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ウェスタディアの双星 / 小河正岳

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ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章

ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章 (電撃文庫 お 10-5) - 小河 正岳

豊かなれど小さく弱い国ウェスタディア。隙あらば、襲い掛かろうとする周辺の国を抑えることができたのは、「仁王」とも呼ばれ、多くの国に影響を及ぼした王エドアルドの力があったからだ。だが、その王が崩御したとき、国は支えを無くした。あろうことか、王位を継ぐ息子が、他国の侵略を恐れて亡命したのだ。有力な貴族までもが逃げる中、エドアルドのために力を尽くした商人にして外交官のチェザーリは、15年間、王家のことを知らず、修道院で平和に生きてきた王の娘ルシリアに、過酷な運命を告げる決意をしたが……

修道院という閉ざされた世界で平和に生きてきた優しき少女ルシリアが、外務卿たるチェザーリや周囲の力を借りて、崩壊寸前の国を立て直そうと奮闘するお話です。

これは面白かった。いや、いくら国が危ないからって、宰相までもが逃げ出すとは思いもしませんでしたけど、ここまで堂々と有力貴族たちが逃げ出していく姿は、いっそ天晴れにも思えるユーモアさ。当事者からしたらとんでもないけど。
ウェスタディアの民でもない、ただエドアルド王の人柄に惹かれただけの元商人チェザーリが、何としてもウェスタディアを守ろうと奮闘する姿には、なんとも言えない皮肉を感じたなあ。

それまで、汚れた大人ばかりを見ていたから、ルシリアの健気さが、映えること映えること。狭き世界で生きてきたことから、弱々しさを感じましたが、時折見せる芯の強さや、民を思うやさしさ、学ぶ意欲と聡明さが、とても素敵です。まあ学ぶ意欲は、チェザーリが相手だからというのもあったりするのかなー、なんて思ったりするのは邪推?

とまあ、始めはルシリアとチェザーリのお話で進んでいくんですが、途中から、スペースオペラになっていきます。弱った国を叩こうとする隣国が軍を挙げてきてと、一方のウェスタディアは正規の軍人たちも軒並み逃げ出していたので、気づけば戦力差は 6000 VS 600。

ルシリアはもちろん、チェザーリとて軍を動かした経験はなく……ってときに、軍をつれて立ち向かったのが、推察力こそあれど経験の少なさから、従来は重く扱われなかったアルファーニが作り上げた戦略を、戦上手でありながら素行不良で降格されていたバドエルが運用していくというコンビは面白かった。

自分たちの有利な場所へと相手を導き、油断を誘い、圧倒的戦略差を奇策一本で抜けていこうとするギリギリさが良かったです。 雰囲気としては、銀河英雄伝説というよりは、タイタニアかな。いや、なんとなくそう思っただけなんですが、ともあれ、若き英雄たちの活躍に乾杯。

いやあ、面白かった。これって、今後も政治が絡むルシリア・チェザーリ方面のお話と、バドエル・アルファーニの戦争方面のお話が、並列して進むのかしら。既に次なる戦いは決まってるので、戦争方面は確定ですね。
個人的には、ルシリア・チェザーリ方面の行方のほうが気になるので、そちらも楽しみにしたいと思います。

ところで、これ、主人公って誰になるんだろう?

ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章 (電撃文庫 お 10-5) - 小河 正岳

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ウェスタディアの双星 2 幸運の女神(?)降臨の章

ウェスタディアの双星 2 (2)- 小河 正岳

過去の武勲に対する賞賛は、未来に対する期待のあらわれでもある。
バドエルとアルファーニに課せられた新たな使命は、過去の偉業の難度を下まわるものではなかった。
「ラミアム大公国を攻略せよ」
チェザーリがふたりの英雄に下した命令がそれである。

修道院という閉ざされた世界で平和に生きてきた優しき少女ルシリアが、外務卿たるチェザーリや周囲の力を借りて、崩壊寸前の国を立て直そうと奮闘するお話の第二弾。今回は、大国ルフェール共和国の信用と助力を得るために、ラミアム大公国を落とすべく、ウェスタディアの双星が動くお話です。

相変わらず漫才やってるバドエルとアルファーニのコンビですが、そこに苛烈さで有名なジェルトルーデ隊の次期跡継ぎである少女ローゼが入り込んでくるから、もっと面白くなってきた。猪突猛進なんだけど、意外に策士なところもあるので、先日のアルドゥオの決戦で、アルファーニの策を知った少女が、ベタ惚れしてくれるから、笑ってしまいます。惚れすぎな態度は時々怖いけど。

そんなこんなで戦力も新たにして、ラミアムを目指すんですが、ルフェール共和国から突きつけられた条件が、選挙に間に合うべく、二十日以内に攻略しろというんだから、大変なんだ。
ただ勝つだけだったら何とかなったのに、政治が絡んだおかげで、思うように戦いを進められない苛立ちみたいな展開があって、さらには、こちらに英雄がいるならば、ラミアムにだって英雄がいて。防戦の名手といわれるユリアヌスを相手取ることになって、タイムリミットが近づいてくるから、どうする、どうなる?とワクワクです。

戦力差があるなら分断させるべく情報を使い、兵士たちの心理を使用した囮まで放ち、一進一退を繰り広げていた中、更なる勢力が入り込んでくるとは思わなかった。いやあ、大国がやってくれる!
ここからの二転三転する展開は、まさに手に汗握る戦闘で、戦場の生き物っぷりが堪能できてただけに、正直もっとがっつり書いてほしかったなあ。

大国には大国ならではの悩みみたいなものがありましたが、敵・味方関係なく、兵を率いる将レベルの人たちの格好よさは、すばらしいものがありました。今回の戦いで、大国ロアキア軍のオリアスは、バドエルとアルファーニをきっちり意識するようになったと思うので、このあたりがどうなっていくのかは、楽しみですね。

いやあ、面白かった。
宇宙での話がメインであるため、地上にいるルシリアとチェザーリの出番は少ないんですが、それでも印象深いやり取りがいくつもあって、ニヤニヤしちゃうものがありますね。特にラスト。今まではやり込められてばかりだったルシリアが、チェザーリをからかうような態度を見せてくれたのは、ほんと楽しかったです。いつかふたりが……そう思いたくなりますね。

ひとつの戦が終わったことで、政治的な動きもだいぶ活発になってきたような感じがしますね。ひょっとしたら、次は政治方面が動いてくるのかしら。どちらにしても面白くなりそうなので、楽しみです。

ウェスタディアの双星 2 (2)- 小河 正岳

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ウェスタディアの双星 3 世を忍ぶ将軍漫遊記の章

ウェスタディアの双星 (3) (電撃文庫 (1654)) - 小河 正岳

「前に、わたしが言ったこと覚えてる?」
「あ?」
「バドエル閣下は、わたしの憧れの人だって」
「……そう言や、そんなこと言ってたっけか」
「あれ、本心よ」
ルチーナの目が、まっすぐバドエルの顔をとらえる。
「今も。そして、きっとこれからも……」

「仁王」の崩御と共に、崩壊寸前となった弱国ウェスタディア。修道院という閉ざされた世界で平和に生きてきた優しき少女ルシリアと外務卿たるチェザーリが政治を、正規軍では芽が出なかったバドエルとアルファーニが軍を率いて、崩壊寸前の国を立て直そうと奮闘するシリーズの第三弾。今回は、ウェスタディアの辺境ラタントで猛威を振るう海賊たちを、双星が相手取るお話です。

ああ、いいなあ。バドエルの恋……とまでいかないかもしれませんが、下級貴族であるルチーナの気さくな性格に、だんだんと笑みをこぼすようになるバドエルを見ていると、うまくいってほしいなあと思ってしまうものがある。おそらく彼女がいたからこそ、海賊の被害で悩むラタントのために、国軍としてではなく、ただの一兵士として戦ったんじゃないかなあ。
むろん、彼女だけでなく、民を守ろうとするラタント知事の思いも踏んだんだろうけど。

ただ、これまでに比べたら、小さくまとまってる感があるかな。海賊を相手にしたってことで、戦術部分とかあんま無かったので、物足りなく感じてしまいました。戦力差はあったけど、それほど緊迫感なかったし……まあ、これはラタントのブロンジーノ家の頑張りがあったからこそとも言えるか。
仕える人が共に戦場にいるということは、きっと士気にも大きな影響があったんでしょう。恐怖を抑えながら、決して逃げなかったルチーノの姿は、きっとバドエルの心を捕らえてくれたんじゃないかしら。隠密行動ということで、素性を明らかにすることができなかったバドエルですが、いつか……と思いたいです。

さてさて、隠密行動といいつつ、全然隠密になってませんでしたが(ローゼに話しちゃだめだよねー)、いつもながらの活躍を見せてくれて、同時に問題点も気づいてきたので、今後は内部の政治的なお話が続くのかな?個人的には、ルシリアとチェザーリ物語が読みたいので、もう少しそっち側を厚くしてくれると嬉しいです。

ウェスタディアの双星 (3) (電撃文庫 (1654)) - 小河 正岳

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