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タバサの冒険 ゼロの使い魔外伝 / ヤマグチノボル
タバサの冒険 ゼロの使い魔外伝
北花壇警護騎士団の団長である王女のイザベラは、才能を持つタバサが憎かった。魔法の才能ゆえに、集まる人望。だが、タバサはもう王族でない。ここでは私が姫だ。
そしてイザベラは、今日もタバサに任務を与えるのだった。
ややこしく、危険な任務を……。
という感じで、王女イザベラが意地悪い任務を与えて、タバサが解決していくという四編の短編集です。本編で時々姿を消す間、タバサが何をしていたかというお話みたいな感じですね。
第一話の「タバサと翼竜人」は、ベッタベタな展開ですが、タバサの使い魔であるシルフィードがいい感じに盛り上げてくれます。初めはきゅいきゅい話す姿がうるさかったのに、だんだん可愛く思えてくるから不思議です。タバサだけだったら、無言で物語が終わってしまうかもしれないので、いいコンビなのかも。
タバサの冒険であると同時にシルフィードの冒険と言っちゃってもいいかもしれない。
無表情で感情が表に出てきませんが、それでも感情が伝わってくる物語もありました。「タバサと吸血鬼」の相手の気持ちをわかっていながらも手を下すところに切なさを、「タバサと魔法人形」の情けない男に手を貸すところに寂しさを感じました。
優しい人だから、無表情という仮面をかぶらないと、やっていけないところがあるんだろうなと思うと、心が痛みますね。
ただ、両親の、特に母親のために、感情を押し殺して黙々と任務をこなしていたタバサが、ちょっとずつ、ちょっとだけ、感情を表に出すようになる展開がとてもいいです。子守唄を口ずさんで恥ずかしがったり、キュルケに頼られて嬉しく思う姿に、心が温かくなりますね。
ちなみに一番好きなシーンは、相手してくれないタバサを、シルフィードが頭からがしがし甘がみして、それを他人に見られたところ。焦るシルフィードと対照的なタバサの姿がイメージ化されて、頭から離れません。ニヤニヤ。
タバサの冒険 2 ゼロの使い魔外伝
トリステイン魔法学院で開かれていた舞踏会で、ダンスよりも食事に専念をしていたタバサの元へ、伝書フクロウがやってきた。『出頭せよ』とは、北花壇警護騎士団の団長であるイザベラからの命令である。何でも最近ベルクート街にできた賭博場で、貴族が派手にお金を巻き上げられているという。儲けのカラクリを暴けと言われたが、賭博場に入ったら、魔法の杖を預かられてしまい……
というわけで、賭博場のカラクリを暴くお話と、生贄を求めるミノタウロス退治のお話と、ファイアドラゴンの住処にいる極楽鳥のタマゴを採取させられるお話と、軍の船が爆破される事件を解決させるお話という、前作同様、タバサのことを気に入らないイザベラから、過酷な任務を与えられてという短編が四編と、シルフィードの一日を描いた番外編が一編、収録されています。
毎回毎回、焦りを見せたり、危機一髪な状態だったりと、表情に出さずとも、タバサの緊張している姿があふれんばかりなお話ばかりでしたが、そんな中、印象に残ったのは「タバサとミノタウロス」と「タバサと軍港」かな。
金にもならず、魔法をもってしても倒せるかわからない状況なのに、ミノタウロスから娘を生贄にと言われた家族の願いに、迷わずタバサが動いたのは、「家族」に人一倍思うところがあるからなんだろうなあ。貧しいながらも温かさが伝わってくる家族に囲まれて、タバサがどういう思いを抱いたのか気になるところです。
そんな始まりの「タバサとミノタウロス」では、当然のごとくミノタウロスと戦うことになるんですが、まさか二段構えになってるとは思いませんでした。一つ目までは予想できてたんですが、思いとは裏腹な行動をとってしまう、とらされてしまう者の最後には、やるせなさでいっぱい。
関係ないけど、すっげー美味しそうに食事するシルフィードのイラストが大好きです。
ガリアの軍港で戦艦が次々に爆破されるという事件の調査を、タバサが命じられたという「タバサと軍港」では、事件についての話よりも、犯行を行った者が、実は復讐者だったということが、心に痛かったなあ。復讐者そのものではなく、同じく復讐たる思いを心に秘めているタバサが、犯人に対して、どういった思いを抱いたかを考えるだに辛いものがあります。
全体的に辛く切ない話が多いのは、前作と似たようなものかもしれませんが、心温まるものがあまりなかったのは、ちょっとなあと思ったり。きゅいきゅいとうるさいシルフィードのテンションは、タバサのような人にとって、自身を引っ張り上げてくれるものがあると思うんですが、そういう描写がさらりと流されてる感じがするのは、物足りないところでした。
できれば、心温まるお話があってほしかったんですが……いや、「シルフィードの一日」は良かったんですけど、タバサが可哀想で可哀想で……。早く、彼女の心に温かさが戻ってきてくれることを祈りたくなります。
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