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シャギードッグ / 七尾あきら

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シャギードッグ 天使の序章

シャギードッグ 天使の序章 (GA文庫) - 七尾 あきら 宮城

大介が彼女に出会ったのは、遊園地の人ごみの中だった。ものすごい美人なのに、誰一人彼女を見ていない。それどころか、自殺した男に拳銃を渡したころすら、誰も認識していないのだ。 追いかけたものの、あっさりと逃げられたが、ある日、彼女にそっくりな男子生徒が大介のクラスに編入してきた。何か関係があるかもと、追いかけたら、彼のペースに巻き込まれて、いつしか何でも屋の助手をやらされて……

これはいいですね。個人的ヒット。
<日本震災>後の近未来の日本。脳を改造する技術によって違法な格闘プログラムを父親にインストールされた平凡を愛する高校生大介が、なんでも屋を営んでいる死にたがりの美少女オズの仕事を手伝うことになって、というお話。脳にインストールしたからといって、誰でも強くなれるわけではなく、技を生かすには鍛錬が必要というのは、普通に考えれば当たり前のようですが、何か珍しいですよね。

鍛錬を欠かさないため力があるのに、力を使うことに躊躇する大介にやきもきしますが、実家のこと、暗く重い過去などが見えてくるにつれて、戦うことを極度に嫌う姿や、他人との距離感のとり方の不器用さに納得してしまいますね。

そんな大介に出会ったことで、強制催眠をかける能力者として、圧倒的な力を持っているがゆえに、他人に対して興味をもてなかったオズが、少しずつ変わっていくところがいいです。心を操る事ができる人間が、自分の心の変化に戸惑う姿は、微笑ましくあります。

何かとつっかかってくるクラスメイトのまりんのツンっぷりには、にやりとさせられますが、大介に対してあれほどの自責の念にかられていたとは思いませんでした。自分の行動ひとつで防げたかもしれない出来事には、辛いものがありますね。
口ではつい反対のことを言ってしまう態度に隠された恋心と、素直になったときの真っ直ぐな気持ちが素敵でした。この恋はかなってほしいなあ。

オズを狙うもの。大介を狙うもの。別々の敵が、重なり合って、急展開するバトルには一気に引き込まれます。敵ではないけれど味方でもない、異局の「西の魔女」も、なかなかにいい味を出しているし、戦闘などに直接関係がないけれど、悪態ばかりついていた大家さんが、実はしっかりと彼を見ていてくれてるところなんて、思わずぐっとくるぐらいです。魅力的なキャラ満載の物語ですね。

最後に意外なところから闇を感じましたが、はたして思惑は何なのか気になります。これはぜひとも続きをお願いしたいですね。

シャギードッグ 天使の序章 (GA文庫) - 七尾 あきら 宮城

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シャギードッグII 人形の鎮魂歌 defeated

シャギードッグII 人形の鎮魂歌‾defeated‾ (GA文庫) - 七尾 あきら

チャイムが鳴り、ドアを開けたら、そこにはオズがいた。無事で良かったと心から思っていたら、なんと、オズは大介の隣の部屋に引越してきたのだ!クラスメイトやら知り合いやらに反感を食らって、学校内では大騒ぎ。しかも、外では「猿人」に勝ったという噂が流れているようで、大介はストリートファイトな連中に狙われるようになり……

ここで終わるか!?あまりにいい場所で終わられてしまって、どうしてくれようかと思いましたよ。あー気になる、ほんと気になる。新刊が出るという10月まで待てば良かった。

オズが戻ってきて、さあ、これで元通りと思ったら、亜夜が教師となって学校へ入ってくるところには笑いました。異局の仕事をしているときは格好いいのに、人前だと上がりまくるなんて意外すぎですが、何気に教師役にハマってくところは良かったですね。
場合によっては敵対することになる大介ともはじめは緊迫感あったけれど、次第に仲間的な感じになっていったところが印象的でした。夏祭りに行くことになったら準備に勤しむあたり、微笑ましいったらないです。

新たに入った仲間の沙織のことや、再びジェットボードを手に取った大介など、いろいろ動きがありましたが、やっぱり一番印象に残るのは、オズと大介のやり取りかな。仲間なんだけど、冷酷で、時に凶暴な面を見せるからか、なんとなく緊張感ありますね。
ただ、今回はオズがかなり子供っぽいところを見せてくれることもあって、楽しいことも多かったですけど。いつの間にやら、まりんの熱意に心許してるオズがカワイイです。

大介を巡っては、喧嘩屋さんたちよりも、女性陣のほうが気になるかな。オズとの関係は言うに及ばず、まりんもかなり意識しているようだし、新規参入組の沙織も反応してるみたいだし。いったいどうなるのかしらと思って楽しく読んでたんですが、まさか大介を狙うヤツにこんな凶暴な人がいるとは。

こと、自分が狙われることよりも、周囲の人が狙われることに怒りを覚える大介が、友人のことをああ扱われて、怒らないわけがない。普段よりも、静かに、ただし決して消えることがないことを思わせる怒りが、激しく伝わってきました。

このあたりで話が終わるのかと思った僕が甘かった。まさか、早くも次なるステージへ進むとは思わなかったです。おかげで、ものすごいいい場面で終わってくれましたよ。ああ、気になる。いったいどうなるのか気になる!しかも、自身が崩壊しそうな事実まで判明するんだもんなあ……

残酷な思いに囚われてしまうんじゃないかと思いますが、ここから一体どうするのか、どうなるのか。続きが待ちきれないなんてもんじゃないですね。

シャギードッグII 人形の鎮魂歌‾defeated‾ (GA文庫) - 七尾 あきら

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シャギードッグIII 人形の鎮魂歌 in the dark

シャギードッグIII 人形の鎮魂歌~in the dark~ (GA文庫 な 2-3) - 七尾 あきら

「わからんな。君はまさか、あんなものがほんとうに、怖いのか?」
「……!」
「ふん、笑わせるなよ鳴神。言っておくが、あんなくだらんものに負けたりしたら、絶交だ」

<日本震災>後の近未来の日本。脳を改造する技術によって違法な格闘プログラムを父親にインストールされた平凡を愛する高校生大介が、なんでも屋を営んでいる死にたがりの美少女オズの仕事を手伝うことになって、というシリーズの第三弾。今回は、重傷を負い、一ヶ月後に再戦を持ちかけられた大介が、「幽霊」に追われることで、自分の存在に疑問を覚えて……というお話。

間が空いたおかげで、思い出しながら読んでたので、乗るまでにちょっと時間がかかりました。

それはさておき、「幽霊」に怯える大介の描写は、わかるだけに重苦しい。追われる者の恐怖は辛いですよね。無関心なようでさりげなく気をかけるオズの言葉がなかったら、どうなったかと想像すると……。あと、あとたぶん「父」の生きている様子を見ることができたのも、ショック療法的なものもあったから、何とかなったんじゃないかしら。

それにしても、大介の「力」はすごいものがあるな。無意識にやってしまうにしては、恐ろしい限りですが、ここでまりんとの確執……あれは確執とは言わないか。たぶん、まだどちらも子供なんですよね。二人とも後悔を胸に抱いてるので、おそらく次に会ったときは……と思うけど、その次がアレなんだよなあ。異局員の亜夜でさえ、軽くあしらうカイはどれほどの強さを秘めてるのか……

今回は繋ぎの巻って感じなので、大きな動きはなかったですが、自分の心を取り戻し、カイへの複雑な思いを自覚した大介が、どう立ち向かっていくのか。続きが楽しみですね。

ちなみに今回一番素敵だと思ったのは、大介の担当医の可南子です。快活な女医さんには今後も出てきてほしいですね。

シャギードッグIII 人形の鎮魂歌~in the dark~ (GA文庫 な 2-3) - 七尾 あきら

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シャギードッグIV 人形の鎮魂歌 reborn

シャギードッグIV 人形の鎮魂歌~reborn~ (GA文庫) - 七尾 あきら

「大介さんは……自分のために泣けるんですね」
言われて初めて頬を伝うものに気づき、大介はあわててぬぐう。
「あの方には、できなかったことです」
「……育ててくれて、ありがとう。さようなら」

<日本震災>後の近未来の日本。脳を改造する技術によって違法な格闘プログラムを父親にインストールされた平凡を愛する高校生大介が、なんでも屋を営んでいる死にたがりの美少女オズの仕事を手伝うことになって、というシリーズの第四弾。今回は、満身創痍の大介がカイとの再戦に挑むお話です。

いやあ面白かった。
カイと戦ったことで、自分の弱さを痛感しながらも、逃げるという発想がないんだから、なんだかんだ言いながら、大介は戦うことが好きな人なんだろうなあ。覚悟を問う桂翁の言葉と行動で、ふっきっていく展開が熱かった。

ふっきったあとの大介は、なんか気持ちいいものがありました。
すべてに対して受け入れる度量のようなものがありましたよね。あれほど好きだったレースですら、楽しさを感じながらも自分の居場所ではないと気づき、カイと対峙するあたりでは、死を意識しながらも求めていた強さを得ていく感じがありました。信頼が生んだ支えが、きっと大きな力になったんだと、そう思います。

「シャギードック」らしい戦いを経て、でも敵は手をゆるめなくて。
ドリーマーの仕掛けてきた戦いは、人の思いを踏みにじるようで、心痛むものがありましたが、ハンデを背負いながら、大介、オズ、まりん、みんなで力を合わせて、親友を助けていくというのが、とても良かったです。

それにしても、沙織はどこまでを考えて動いてるんだろう。大介のことを気になってると思うけど……まりんも気に入ってるから、ああいうことしたのかな。ドリーマーの話も気になるけど、思いの行方も気になるばかり。

シャギードッグIV 人形の鎮魂歌~reborn~ (GA文庫) - 七尾 あきら

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シャギードッグV 虹の幕間

シャギードッグV 虹の幕間 (GA文庫 な 2-5) - 七尾 あきら

「ということは……私が今していることは子守、ということか」
「あう、あー……まぁ、そう言えなくもねぇかな」
「ふん、何が『駆け落ちの相手を求む』だ!最初から子守を募集しておけばいいものを」

<日本震災>後の近未来の日本。脳を改造する技術によって違法な格闘プログラムを父親にインストールされた平凡を愛する高校生大介が、なんでも屋を営んでいる死にたがりの美少女オズの仕事を手伝うことになって、というシリーズの第五弾。今回は短編集。「小悪魔の遁走曲」「人魚姫はそれから」「あなたに捧げる花束」「一撃」「たぶん、サイコーについてない日」の五編が収録されています。

これはすっごいよかった。面白かった。なんといっても一話目の「小悪魔の遁走曲」が素晴らしいです。

駆け落ちの相手を演じて欲しいという依頼に出向いたら、そこにいたのは小学生の男の子で、相手にしないつもりだったのに、食えない天才児だから、さりげなくオズを苛立たせて、気づけば事務所に入り込んで。

男の子の言葉は、嫌味にしか見えないのに、頭は良くても身体は強くなく、それでいて意地っ張りな姿を見ていると、だんだんと可愛くなってきて、なんというか子守な気持ちかな。さっさと追い出したいと思っていたのに、気にかけてしまうオズの気持ちがよくわかる。にしても、オズの負けずぎらいっぷりも、かわいいなあ。

彼が何のために駆け落ちをしたかと言う話は、主ではないですが、オズの生活に入り込んで、風のように駆け抜けていった小悪魔が残した空気は、温かいものだったと思います。いつか再会できるといいな。

沙織が家族と喧嘩した話、現役を引退した<虎>の元へやってきた運び屋<ウサギ>の話、カイが武錬場で稽古する話と続き、どれも良いものでしたが、一番最後の話も素晴らしかった。

まりんと大介がバイトするため出かけたら……タイトル通りになる「たぶん、サイコーについてない日」。行く先々で「ついてない」と溜息をつきたくなるトラブルに遭遇しまくりで、回避するために大冒険というと大袈裟だけど、大回りしたり、山道を歩いたり、いろいろ大変だったけれど、デートとして考えたら、実はサイコーの日だよなあと思ってニヤニヤした僕がいました。このふたりは、もっと素直になるといいよ。うん。

シャギードッグV 虹の幕間 (GA文庫 な 2-5) - 七尾 あきら

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