Home > Series > SAS スペシャル・アナスタシア・サービス
SAS スペシャル・アナスタシア・サービス / 鳥居羊
SAS スペシャル・アナスタシア・サービス
立夏が妹の紗友と共に帰宅しているとき、目の前に美しき金髪の少女が現われた。思わず見とれるほどの少女は銃を手にして、背後にいた立夏たちを狙うものを撃ち始めた。彼女の車に引っ張りこまれて、カーチェイスの末にようやく聞けた事情は、なんと紗友が、ヨーロッパの小さな国の王の血筋を引いており、後継者争いに巻き込まれたというのだ……
双子の妹だと思っていた紗友が、実は某国の王の血筋を引くということで、彼女を狙う者が現われはじめ、クールな美少女アナスタシア、無口なフランツィスカ、お茶目なメガネっ子エーファが護衛としてやってきて、というお話。どことなく見たことある展開ではあるんですが、面白かったです。ちょっと薀蓄多かった気もしたけど。
立夏の兄として、紗友を守ろうとする姿がいいですよね。事情をまるで知らない状態で銃撃戦に巻き込まれたとき、身を挺してかばうところや、紗友が妹ではなくイトコだと知ったとき、自分のショックよりも、紗友を気遣う様子など、大切な人だという様子が伝わってきます。
また紗友も立夏が大好きで、どちらかというと家族的というよりは……?という気がしないでもないですが、時々見せる甘えた素振りが、いやらしくなく可愛い。
護衛として訪れた三人の美少女たちは、護衛のために学校へ転入したはいいものの、軍隊での生活しか知らないおかげで、チグハグなことを繰り返すあたりは、フルメタを連想させられましたが、コミカルさよりも、立夏の大変さを見せた感じでしたね。もうちょっと何か欲しかったかも。
護衛のアナスタシアたちの予想通り、まさに学校を基点として、紗友を狙うものが動き出すわけですが、まさかまさかの展開には驚きでした。いや、ひとつめは予想内でしたが、二転三転していくところは、思わず手に汗握りましたよ。軍人のわりに、情に流されすぎとは思うんですが、きっと立夏が信頼を勝ち得ていたからこそなんだろうなあ。
哀しく終わりそうだったのに、嬉しい展開になってくれて何よりです。特に三人の護衛者が、はじめとは違った感情を見せてくれるようになったのがいいですね。
立夏自身は紗友を大切な人と思ってるようですが、アナスタシアにも目を向けることがあるし、さて、このあたりはどうなるんだろう。アナスタシアはかなーり立夏に心頭している気がするしけど、紗友は言わずもながな状態なので、なかなか素敵な三角関係になりそう。どうやら二巻も出る模様なので、このあたり期待してみようっと。
第1回ノベルジャパン大賞優秀賞受賞作。
SAS 2
ヨーロッパの小国であるリヴォニア公国の陰謀に巻き込まれた立夏は、双子だと教えられて育ってきた紗友を守るために、護衛のアナスタシアから戦闘訓練を受けていたが、たまに彼女の様子をおかしく思うことがあった。氷のような表情に赤みが差すような……。
そんな二人の訓練をみて、紗友が胸に苦いものを覚え始めた最中、ひと段落ついたと思ったリヴォニア公国継承権問題に、新たな勢力が出てきて……
氷の女であったアナスタシアが立夏を意識して戸惑い、紗友がアナスタシアと立夏の距離が近づいていることに不満を持ちと、ふたりの女の子と、立夏の心情が綴られる中、再び立夏たちを狙うものが現れて、というお話。
いやあ、女の子二人の心境がいいですね。特に、アナスタシアの今まで覚えたことのない感情に戸惑う様が、たまりません。表情にはあまり出さないんですが、立夏に触れたり、顔を見たりしては、サッと顔に赤みが指したりするところが、初々しいったらないです。このもやもや感が何を指しているのか、はっきりと気づくのはいつなんだろう。
一方の紗友も、今まで自分だけに向けられていた立夏の笑顔が、アナスタシアにも向けられるようになったことを不満に思うようになってきて、今まで以上に、立夏にベタつくところが可愛いです。ただそれが、嫉妬から、当てつけのように行動してしまうところは、意外でしたね。立夏が好きだという初子の手伝いをしていたから、立夏への思いは、いわゆる恋愛とは違うのかと思っていたんですが、失ってはじめて気づく、みたいな感覚だったのか。
たぶん、自分でも良くないと思ってるんだろうけれど、抑えられないんだろうなあ。初子には可哀想なことしましたね。
そんなふたりに囲まれている立夏は、さて、どうするのかと思ったら、いきなり平和が破られて。
自宅が襲撃されたとき、どうなるのかと思ったら、いやはや、意外にも活躍したじゃないですか、立夏君。ただ、それが油断にもつながったのかなあ。命を狙われるという危機感をあまり持ってない感じがしたんですが、むしろ、狙われるとしたら自宅にいるとき、という思いがあったのかしら。テロリストというのは、周囲に被害をもたらすことを躊躇しないから怖いんだなと改めて思う次第。
紗友が助かったのは、運とか気まぐれみたいなものだと思いますが、うーん。ひょっとしたら、彼女の気持ちの揺れ方は、今後の大きなキーになるかもしれませんね。特に紗友の隠された事実は、フランが言い及んだように、更なる分裂を思わせるものがあるので、こういった外部な人が、意外な活躍をしてくれるんじゃないかと勝手に期待中。
- Search
- Recent Entries
- Profile
-
- id: deltazulu (deltazulu@booklines.net)
- PageView: