Home > Series > レジンキャストミルク

レジンキャストミルク / 藤原祐

To the Navi

レジンキャストミルク

人々の空想と欲望によって生まれたパラレルワールド「虚軸(キャスト)」。その世界がはじけるとき、現実世界へ影響を与える。虚軸からの影響を受けたものは、何かを欠落し、引き換えに力を手に入れる。平穏な暮らしをしていた硝子の「固定剤(リターダ)」の晶。そこへ不穏な空気が流れてくる。
「注意しておきなさい。近くにね、いるわよ」
同じキャストの蜜の言葉。まさか、あいつが?
新たなキャストを探し始める晶たちだが……。

面白い。ただわかりにくい。力の世界観というかそのあたりがなかなか説明されないため、訳がわからないまま読み進めることになる。おかげで、読んでいてイライラしました。中盤ぐらいになってようやくわかりましたよ。そこからはスイスイいけたけど。ちょっと回りくどい感じは相変わらずといったところか。
なんて文句を言ってるものの、面白い作品であることは間違いない。
これからが期待できそうなシリーズ第一巻。

レジンキャストミルク - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

レジンキャストミルク 2

体調不良という言い訳で帰宅した姫島が病院に運ばれた。原因は自殺。ありえない。つい先ほどまで一緒にいた硝子たちは思う。まさか、これは晶に手を出してきている「無限回廊」の揺さぶりなのか。
可能性を考慮した硝子は晶と連絡を取ろうとするが……

誰しもが持つであろう嫉妬。それこそが「無限回廊」を呼び寄せるのか。あるいは「無限回廊」の力のひとつなのか。ほんのちょっとしたことから壊れる日常が何とも言えず残酷。学園ものとしていい感じなだけに、その残酷さが引き立ちますね。
特に出だしの芹菜との散歩のシーンが。蘇るシーンが。こんな日常を過ごしてたら壊れるのもわかる。
心地よい悪趣味といった感じの物語。

個人的には姫が(というかあのグループが)どうにかなってくれたらなと思うんですが……
ああ、続きがどうなるのか気になる。

レジンキャストミルク〈2〉 - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

レジンキャストミルク 3

ひめひめの身体と記憶は無限回廊の手の内にある。まだ取り戻せる可能性はあるのだ。
だが、そのことを硝子はなぜか晶に言い出せなかった。
思考にエラーが頻出し始める中、無限回廊は次なる手を打ち出してきて……

夏休み直前ということで浮き立つ生徒たちの話や、三者面談ならぬ四者面談などの学園ものパートでのやり取りには、いつもながらニヤリとさせられます。芹菜母恐るべし。

今回は意外にも蜜が動いてましたね。己のしたことによる反動が人を傷つけたということに、こうも反応するとは思わなかった。何だかんだいっても根はいい人なのか。きみちゃんの洞察どおり?

ひめひめとのやり取りで「無限回廊」の狙いについてはひとつ予想していたんですが、こっちから攻めてくるとは思わなかった。硝子の鈍さは前から言われてたか。
感情を持つことを目的としていたはずなのに、硝子の躊躇が悲劇に拍車をかけていく展開は見事です。

わりとストレートな展開だったなあと思いましたが、これは前編となる巻だからでしょうか。後編となる次作が待ち遠しくてたまりません。

そうそう。巻頭の「虚軸」の説明はわかりやすかった。これは 1巻で欲しかったなあ。

レジンキャストミルク〈3〉 - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

レジンキャストミルク 4

レジンキャストミルク〈4〉 - 藤原 祐

あんな男よりも僕のほうが優秀だ。恭一は硝子を手に入れた。無限回廊の言うことに間違いはなかった。あとは彼女の気持ちをこちらに向ければ良いだけだ。恭一は捕らえられた硝子に近づいていく。
一方、晶は無限回廊に硝子を奪われ、蜜は恭一に両足を奪われた。だが、まだ生きている。
それぞれが失ったものを取り戻すために、殊子たちの協力を得ることにしたが……

前作が晶の話なら、本作は蜜の話。今まで語られなかった舞鶴蜜の過去の話が明かされましたね。
蜜が過去にあんな性格をしていたなんて意外でしたが、君子との繋がりは今までの展開で匂わせていたので予想通り。
この繋がりこそが、虚軸と現実を繋ぐ砦なんでしょうね。何だかんだ言いながらも大事なんでしょう。
なんていうか、裏表紙のイラストがふたりの関係を物語っているようで、とても素敵。

それに引き換え、目が覚めてからの晶は、しっかりし過ぎというか、できすぎてる感じがあってちょっと拍子抜けしてしまいました。今までが濃厚だったせいか、尻すぼみとまではいかないものの、少し薄い戦いだった気がします。

まあ、そんな不満も最後の最後にきみちゃんのちょっとした台詞で吹っ飛びましたけどね。
繋がりが言わせたであろう言葉。心の奥底にあった僅かな残滓が言わせたであろう言葉。
思わずじんわり来てしまいました。

ひとまず一区切りですが、無限回廊の目的が何なのか気になりますね。

レジンキャストミルク〈4〉 - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

レジンキャストミルク 5

レジンキャストミルク〈5〉 - 藤原 祐

転校生がきた。美男美女の兄妹という組み合わせで。
おそらくは無限回廊の手のうちだろうと警戒した晶だが、普段の様子はこれといっておかしなところはない。
隣の席ということもあり、クラス中の男子に睨まれる一日を過ごしちょっと嫌気がさしていた晶だが、確認すべきことを忘れてはいけない。里緒に調べてもらおうと動きはじめたが、既に歯車は回っていた。そのことに晶は気づかなかった……

ついに「全一」の全容が明らかになりましたよ。なるほど、これは脅威だ。無限回廊が気にするのもわかります。とはいえ、今のところ無限回廊が何をしたいのかがはっきりしないのでモヤモヤが残ります。今までもそうだったんだけど、今回特にそう思いました。
ただ倒すだけなら、こんな手の込んだことをする必要はないしなあ。例のふたりがさらなるショックを引き起こしてくれたので、何が何だか混乱する。

ただ、最後のインパクトこそ強かったものの、思ったよりも小粒な印象なのは、大掛かりな仕掛けが隠されているように思ったのに、そちらではそれほど盛り上がらなかったからかなあ。他の人たちもいろいろ頑張ってるはずなのに、そっちの話があまりなかったからかな。晶と硝子がすべてを持っていってしまったので、ちょっと物足りなく感じました。

あと、普通の人間だった人が敵となると皆同じようになるってのもなんだか微妙な気がします。欠落って人によって違うはず(だよね?)なのに、世界は自分のもの、お前は俺のもの的な感じになってしまうのがどうもイタイ。操られるのならわからなくもないんだけど、そうでもない気がするし……。
一番理解しがたいのが良司の感情と行動かな。晶を責めているのは、単に芹菜を取られたくないからだというのはわかりますが、押し付けがましい考え方と強引な態度はちょっとなあ。「友人だった」ってそれを壊したのはどっちなんでしょうね。

そんなこんなで敵側の話に不満があるものの、味方側の動きはとても興味深い。今回はいつも憎まれ役だった蜜が特に良かった。相変わらず強い口調だけど、押さえるところはしっかり押さえています。さすが、ひとりで戦っていこう気概があるだけあります。かなり好きになってきました。

今回のことで分裂とかあるのか、それともこのまま突っ走るのか。日常と非日常の境界線がさらに薄くなってきただけに今後が楽しみです。

レジンキャストミルク〈5〉 - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

レジンキャストミルク 6

レジンキャストミルク 6 (6) - 藤原 祐

学校中を巻きこんだ事件から五日が経つ。休校状態だった学校は、ようやく再開し始めたが、それでもまだ完全には戻っていない。そして、晶と硝子が守ってきた日常もまた崩壊したままだった。
連れ去られた芹菜の行方がわからないまま、時は過ぎていき、晶は次第に焦り、硝子も不安を抱えはじめて……

巻頭コミックの里緒の可愛さはまさに犯罪級で、ネアの美しさにもやられました。本編の殺伐さとは、天と地ほどの差がある明るさがいいですね。

そんな明るさとは裏腹に、物語は重苦しい雰囲気に包まれていました。日常との繋がりである芹菜が、囚われの身であることからきているんでしょうね。相手の目的がわからないだけに、受身の戦いをせざるを得ない状況から来るもどかしさが伝わってきます。

個人的には、感情を得て、自分だけが抱える問題に苦しむ硝子が印象的でした。今までは、何かあるとマスターである晶を介していたのに、それすらできないという辛さが伝わってきますね。
そんな硝子を支えたのが、晶ではなく仲間であったというところが、とても良かったです。殊子の鋭く突きながらも、前を向かせる言葉には、胸を打たれるものがありますね。

晶のほうも、自分たちが変わったことが、他の人にどんな影響を与えるのかと考える様は、仲間を失うかもしれないという怖さがあったんだと思います。利用するといいつつ、実は大切な存在になっていたことに気づいていくところは、何かいいですね。

言葉にされなくても、それぞれがそれぞれの意思を持って、人のために、仲間のために、動く姿に、いつの間にか強固に結ばれた絆を感じますね。里緒の頑張りも素敵でしたが、やっぱり晶が殊子の登場に心を奮わすシーンは好きだなあ。晶からしたらどれほど心強かったか。こういう役回りをさせたら、やっぱり殊子には適わないなと思いますね。

ただ、今回の晶の気持ちがなかなかトレースできなかったなあ。ここまで両親に固執していたとは思っていなかったので、読むのがきつかったです。始まりが両親の惨劇からということなので、そのあたりの影響があるんでしょうね。
もう少し、樹の天才性が感じられれば、コンプレックスみたいなのも理解しやすい気もするんだけど……

それでも、一気に引っ張られたのは、表紙を飾った佐伯ネアが、ついに本領発揮したからでしょうね。なんだ、その強さは。目立たないように派手にいく矛盾さは、とても佐伯ネアに合ってる気がしますね。
初めて先生らしい言葉を聞きましたが、この場面でそのセリフは、あまりの素敵過ぎます。現在ネア株急上昇。

全一なる圧倒的力を得たと思ったのに、これでもまだ届かないところがあるのは、焦る気持ちすら失せるような絶望を感じますが、そんな中、迎えたラストは素敵でしたね。
これから更なる悲劇が待ち受けている気がするだけに、最後まで手を離さずに行って欲しいなと願いたくなります。

レジンキャストミルク 6 (6) - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

レジンキャストミルク 7

レジンキャストミルク 7 (7) - 藤原 祐

いつ仕掛けてくるかわからないなら、いっそ普段どおりの日常を送るほうが、友人たちを守りやすい。何より、日常を守ることが、晶自身の望みでもあるのだから。連れ去られた芹菜との日常もまた諦めてはいない。
芹菜の奪還、そして樹たちの企みを阻止するため、仕掛けを施した晶だが、無限回廊もまた、ひとつの手を打っていて……

守るべき「日常」の微笑ましさがとても良かったですが、それだけに最後は哀しかったですよね。ああ……思い出すだけで、涙が出てきます。

というわけで、連れ去られた芹菜を奪還するために動き出した晶たちと、無限回廊の戦いです。いやいや、やってくれるよ、晶くん。戦力的には不利にしか思えなかったんですが、ここまで力を引き出してくるとは思いませんでした。一矢報いるどころか、強すぎじゃね?と思ってしまうほど。それでも余裕の姿勢を崩さない鏡が、憎たらしいけど素敵。

ただ、仕掛けに乗りながらも、しっかりと手を打ってるあたり、無限回廊もさすが。人の憎しみを増幅させるのがうまいですね。ターゲットとされた人の徐々に狂気へと堕ちていく様には、何とも言えないものがありました。

芹菜奪還に晶たちが動いている間、学校は他の面子が守る。荒い作戦かもしれませんが、圧していたぐらいですから、悪くなかったと思います。ただ、ほんの少し届かなかった。ほんの少し何かが足りなかった。決して下手を打ったわけではないだけに「もしも~だったら」と思わずにいられません。

彼女の内面が語られる場面でも、グッとさせられますが、それ以上に胸に来たのは、残されたものたちの思いでしたね。「絶対言語」なる反則的力を覚醒させた人の放たれた言葉に、生まれたばかりの感情に振り回されながら、それでも伝えたい思いに、すべてを背負って前を向こうとする者の覚悟に、涙で読む手が見えなくなるほどでした。ああ……

覚えていてくれる人がいるだけで、どれほど嬉しいものかと思いましたが、そこにも世界の影響が絡んできているんですね。芹菜だけでなく、狙われる人がもう一人というところで、次は最終巻だそうですよ。いったいどうなるのかなあ。続きが待ち遠しいったらないですね。

レジンキャストミルク 7 (7) - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

レジンキャストミルク 8

レジンキャストミルク 8 (8) - 藤原 祐

良司と芹奈は、無限回廊の手から逃れ、晶たちの元へとやってきた。良司の考えなしの行動が引き起こした事態には、怒りを覚えるものの、晶は責めることはしなかった。彼女の死は、自分の責任であるべきだから。芹奈を元に戻すために動いた晶は、樹たちの次の手を待っていた。
一方、樹や鏡は、虚軸をすべて統合させる計画を推し進めて……

ついに迎えた最終巻。失った戦友への思いと、失いたくない日常への思いを胸に、最後の戦いへと挑むお話です。

やっぱり、彼女を失ったことは、大きかったですね。晶や硝子たちが、普通の会話をしているときに、いつもだったら彼女がここで言葉をかけてくれるのにと、ふとした拍子に、彼女を思い出してしんみりするところは、グッときてしまいます。

おそらく一番辛い思いをしたのは、蜜だったんじゃないかな。素直に姉と呼べなかったことは、きっといつまでも後悔するでしょう。だからこそ、彼女が守りたかった存在でもあり、自身の大切な人でもある君子を、是が非でも守ろうと思ったんでしょうね。
おかげで、普段では見られらない蜜を見ることが出来たのは嬉しかったなあ。君子の言葉には逆らえない蜜が、君子フレンズたちの仲良しこよしの輪に入って、戸惑う姿には笑いまくりでした。ほのぼのダークのほのぼの部分を一番持っていったのは、蜜でしたね。

そんなほのぼのな空気とは裏腹に、晶の周りでは、不安が横切るばかりだったのが、辛かったですね。芹奈のこともあったけれど、仲間に対して、ひとりひとり決意を尋ねていくところは、力強さよりも、皆、生きて帰れるんだろうかという不安ばかり感じて、見てられませんでしたよ。

迎えた最後の決戦で、最も印象に残ってたのは、ネアの意思の方向性かな。生徒のためという思いが、これほどまで伝わってくるとは思いませんでしたよ。普段は見せることがなかったけど、虚に関わっていたからこそ、実となる存在は、離しがたいものがあったんだろうなと思いました。

蜜の己の生命をかけた言葉も、心に響くばかりで、どうなっていくのかワクワク。してたのに、樹たちの考えがどうもすっきりしないせいか、不完全燃焼気味なんだよなあ。いや、わかるんだけど、こう、ね。ダークなところはあれど、どこか甘い晶がやったことだからこその結末なのかもしれませんが。

なんて油断してたら、まさか、ここで、彼女が……。
彼女の思いとイラストにじわりとさせられて、携帯電話のところで涙。

メインであろう戦いの部分が、ちょっと弱く思いましたが、それを取り巻く人間関係が素晴らしかったです。「ひょっとしたら」もう一冊ぐらい、晶と硝子たちの物語が楽しめるかもしれないとのことなので、期待して待っていたいと思います。

レジンキャストミルク 8 (8) - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

れじみる。

れじみる。 - 藤原 祐

姫島姫の恋人は、速見殊子という女の人。世間から理解されるかわからないので、このことはトップシークレットだ。そんな秘密の付き合いであるふたりが遊園地に遊びに来たら、なんとそこに友人の硝子と、その従兄である晶先輩がいて……

遊園地での話、お弁当対決な話、夏祭りで迷子を拾う話、海に行く話、ネアの暴走につきあうお話という、虚軸な話はまるで関係ないほのぼのとしたコミカル短編集です。いやあ、タイトルがひらがなになるだけで、こんなに変わるんですね。

どれもこれも面白かったですが、個人的に大ヒットなのは「ドキドキ☆お弁当 WARS」。殊子がからかったせいで、硝子と舞鶴密がお弁当で対決する事になったお話です。始まりから火サスな雰囲気バリバリで大笑いさせられました。

何が起こったかなんてことはすぐにわかりますが、至るまでの道のりの笑えること笑えること。料理をした事がない密が、夜中に台所で包丁を構える姿は、お母さんな気分になれること間違いなしです。
ギャグ満載ですが、最後の最後で、ああだからなのか、と思わせる描写にちょっとグッとさせられました。いやあ、素晴らしいですね。

他のキャラについても、普段見れない表情をいろいろ見ることができて楽しかったですが、一番印象に残ったのは里緒ですね。避けていたところへ触れてきた人への思いに、胸が熱くなりました。

どの短編でもそうでしたが、笑いがあって、切なさがあって、時に希望を感じさせてと、いろいろなものがたっぷり詰められていて、とても素敵です。この著者は、ひょっとしたら、短編の方が映えるんじゃないかと思うぐらいです。大変堪能させていただきました。

個人的には芹菜の出番が欲しかったけど、虚軸側の人間のお話ってことなんでしょうね。次があるなら、ぜひ普通の人間方面も読んでみたいです。

れじみる。 - 藤原 祐

To the Navi / Page Top

れじみる。Junk

れじみる。Junk (電撃文庫 ふ 7-15) - 藤原 祐

秋も深まってきたその日は、私たちが通う学園の文化祭初日だった。いつものメンバーと共に、どうやって各クラスや部活の出し物を回っていくか考えていたとき、不意にひめひめが、二年三組に行ってみようと、意味ありげな笑みを浮かべ始めた。彼氏のクラスに行くよとからかわれながら、私たちはマスターのクラスが開催している「TS喫茶」へと足を踏み入れたが……

シリーズ後の文化祭の合間に、「ナンパ×休日×ショッピング」「ナース・アタック」「湯当たりクライシス」「ありがと、ばいばい」という四編の短編と、BONUS TRACKとして「レジンキャスト病棟 ~最後の一葉~」と「喫茶」が収録されています。

文化祭というにぎやかな空気を楽しむ姿が見える中、舞鶴の様子がこうも変わったことが意外でした。まあ、今までの彼女の原動力が怒りであったことを考えれば、わからなくもないですが、「虚軸」を失ったことも、戸惑う原因のひとつだったみたいですね。いなくなった人たちのこともあって、変わってしまったことには、切なさがあったり。

で、短編。「ナンパ×休日×ショッピング」は、まだ硝子が高校に入る直前のお話で、ある休日に、晶と硝子と芹菜が買い物へ出かけ、同じ時間に塚原がナンパしにいってるお話。塚原側の話が面白かったなあ。気づかぬうちに、自分の学校の先輩や同級生をナンパしちゃうなんて、どんな天然さんなんだと思うけど、ま、そのおかげで、ガールフレンドができたのは良かったんじゃないでしょうか。……尻に敷かれたとしても。

晶側の話はわりとどうでも良かったんだけど、最後に芹菜が自分の秘めた思いを確認するところが印象的でした。叶わないとわかっていても、応援したくなるものがあるんですよねぇ。

ナース・アタック」は、高校の保健室が舞台。とても楽しそうなのに、微妙にかみ合わない会話のなんと絶妙なことかとニタニタしてしまった、里緒とネアのやり取りですが、そんな里緒が、ネアの手伝いをしようと決意するお話。悪意の欠片などまるでないだけに、里緒の勘違い治療と笑顔が怖い。さすがの殊子さんも、怯えるわなあ。

蜜を巻き込んだところで、自分の過ちに気づき、落ち込んだところは可哀想になりましたが、さらっとうまくまとめてくれる晶が、格好いいですね、ちくしょー。
蜜が里緒を微妙に苦手にしてたのは、こういうエピソードがあったからかと思った次第。

湯当たりクライシス」は、晶と硝子が商店街のクジで当たった温泉旅行に出かけたら、殊子や君子が家族と共に来ていて、というお話。直接見るのではなく、覗くからこそ興奮するのだと公言する、殊子の変態パワーが炸裂していましたが、君子を守るために、蜜が奮闘する姿が光ります。っていうか、お前ら、何やってるんだとツッコミたくなりますが、まあ、最後はほのぼのして良かったかな。

ありがと、ばいばい」は、プロローグと各短編の間で見せてた文化祭のお話の締めを飾る物語。これが一番良かった。あの出来事のせいで、どこか止まっていた感のあった蜜のために、一歩前へと進ませようとするネアの言葉が、素敵でした。ほんの些細なエピソードにグッときちゃうのは、本編を読んでるからなんだろうなあ。この短編の扉のマンガがまた、とても温かくて、それだけに泣けるんだ。
タイトルどおりの「ありがと、ばいばい」は、読者である僕から作者さんへ告げたい言葉でもありました。

ちょっと物足りないなあと思うんですが、本編を読んだ人なら面白いんじゃないかな。個人的には裏表紙のイラストがすっごい好き。

あとがきによると、次なる新シリーズは、ファンタジーものになるとか。どんなお話を届けてくれるのか楽しみですね。

れじみる。 - 藤原 祐

Home > Series > レジンキャストミルク

Page Top

Search
Recent Entries
Profile
  • id: deltazulu (deltazulu@booklines.net)
  • PageView:

Page Top