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ライタークロイス / 川口士

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ライタークロイス

ライタークロイス (富士見ファンタジア文庫 170-2) - 川口 士

幼いころ、村へ向かってきた魔物を倒した騎士に憧れたカインは、騎士となるために、帝都へとやってきた。ところが、スリにやられて全財産がなくなり、当てにしていた知り合いの宿は、主が破産して夜逃げしてと散々な目に。それでも、なんとかしようと、知り合った人たちの協力を得たが……

騎士を目指して帝都へきた少年カインが、騎士試験を受けに来た人たちと切磋琢磨を繰り広げるうちに、不審な事件へと巻き込まれるお話ですが、なんか、いいですね、こういう友情もの。ちょっとした縁で知り合ったレイクは、軽い感じしかしなかったので、うさんくさいなあと思っていたんですが、だんだんと信頼に足る人物であることがわかってくるところがうまいです。

同じく騎士を目指す女の子のアルファや、カインの師匠を知っているというバルトなどの交流もいいですね。知り合って間もないのに、掛け合いとかが楽しいったらないです。レイクとアルファのやり取りは、アルスラーン戦記でいったらギーヴとファランギースのやり取りにみえてくるほどでした。下地からじっくり作りこまれていくおかげで、信頼関係が目に見えるようですね。

ただ、そんなアルファを気に食わないのが、破産した宿の侍女イングリドで。破産したとはいえ、お客様であるカインの面倒を見るよう務める姿には、アルファに対抗する思いもあるのかしらと、いろいろ想像させられました。特に不安の迷路に入り込んでしまったカインを引っ張りあげるために取ったイングリドの行動と言ったら……。すばらしすぎです。
実際のところ、恋愛方面には話が行かないので、ちょっと残念なんですが、好意とかの感情の匂わせ方がうまいのでいいか。ニヤニヤしながら読んでる僕がいたりする。

はたして騎士になれるのかと不安に思う中、発覚した問題について、いったいどうするのかと思いましたが、騎士の夢と天秤に掛けて出したカインの答えは、ここまで読んできた人だったら、誰しも納得するんじゃないかな。話を持ちかけられたレイクの答えも同様に。
いつの間にか読んでる僕まで仲間に入っているかのごとく、友情を感じてしまいました。

いやあ、面白かったです。登場する人物や人間関係がとても魅力的で、友情ものとしても素晴らしいものがありましたね。
惜しむらくは、展開がオーソドックスだと思えてしまうところが……。これは好みの問題かもしれないけど、個人的にはもうちょっと捻ってくれると嬉しいかも。

ライタークロイス (富士見ファンタジア文庫 170-2) - 川口 士

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ライタークロイス 2

ライタークロイス 2 (2) (富士見ファンタジア文庫 170-3) - 川口 士

騎士になるため、帝都を訪れたカイン=パルスは、紆余曲折の末、結果として騎士にはなれなかったが、皇女ファリアの従衛となり、翌年の騎士登用試験を臨むことになった。
現役の従衛の手ほどき、変わり者の老人の発明など、刺激的な毎日を送っていたが、ある日、皇女のファリア隣国へと赴く任務を請け負い、従衛として、カインとレイクもついていくことになったが……

騎士を目指して帝都へきたものの、騎士試験を受けられなかった少年カインが、ひょんなことから皇女と知り合い、彼女の従衛となって、というお話。

あーもう笑った笑った。なんとユーモア溢れる人たちなんだろう。嫌味の応酬やら陰険漫才やら、キャラ同士の掛け合いが最高に面白かった。ニヤニヤどころか、幾度となく吹きだしてしまったおかげで、怪しい人に思われたかもしれない。

中でも面白かったのは、アヴァルの行動ですね。カインを相手にしてるときは、情けなさばっかり目につくのに、騎士の中に入ると、結構いい男なんだよなあ。若造らしい生意気さとかあったりするんだけど、忠告とかは素直に聞くし、今の実力はともあれ、今後の成長株なんじゃないかしら。

ただまあ、仲間には恵まれないわけじゃないんだけど、ちょっとクセありすぎてアレだったり、好きな人には即答で断られたりして(しかも実りそうにない)、人間関係はちょっと可哀想かもしれない。いや、頑張って欲しいモノです。影で(笑いながら)応援してます。

そのアヴァルの恋する相手のイングリッドさんが、とても素敵で。さりげなく見せる好意とか、好きな人の言葉を胸に抱くような思いとか、ついには嫉妬まで見せてくれちゃって、クーとなりました。

カインに好意を持つ人は、他にもいるので、三角関係……どころじゃないか、相関図というか好感図みたいなものを作りたくなるぐらいいろいろある人間関係が、今後どういう発展を見せてくれるのか楽しみ。
ちなみに、一番笑えたのは、レイクの婚約者が「リリエル」と呼ばれてること。レイクの将来を思うと涙が出る。

って、キャラ話しかしてないけど、本編はそれほど進んでないといってもいいかな。従衛となって日々修行を続けるカインとレイクと、カインをライバル視するアヴァルが騎士として勤め始めるのと……あと、他国での動きがちょろっと見えるぐらい。
最後の方に、カインたちを連れたファリアが隣国へと向かうところで、一騒動が始まるんだけど、これは大きな火種の元になりそうですね。

いやあ、面白かった。まだ大枠が見えてきたってぐらいの話なのに、これほど引き込まれるとは思いませんでしたよ。物語の展開もさることながら、成長しながらも未熟なカインのために、最後の一手を打ったファリアの優しさが素敵でした。普段だらしないところを見せていても、こういうときは、上に立つ人だよなあと惚れ惚れします。イングリッドもいいけど、ファリアもなかなかだなあ。

この人間関係がどうなっていくのかは、他国との動きと同様、気になりますね。続きがとても楽しみです。

ライタークロイス 2 (2) (富士見ファンタジア文庫 170-3) - 川口 士

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ライタークロイス 3

ライタークロイス 3 (3) (富士見ファンタジア文庫 170-4) - 川口 士

十二の氏族が一人の王の下に集って興ったとされる隣国インフェリアへ、皇女の従衛としてカインは足を踏み入れた。着慣れぬ儀式用の服や堅苦しい雰囲気に心落ち着かぬものがあったが、変装した皇女たちと共に、お忍びで城下を渡り歩いたときは、見慣れぬ食材や町並みにワクワクして楽しんでいた。そんなリラックスした気分が一変したのは、とある料理屋で、かつてカインの夢を奪った男、アリキーノを見かけたからで……

騎士を目指して帝都へきたものの、騎士試験を受けられなかった少年カインが、ひょんなことから皇女と知り合い、彼女の従衛となって、というシリーズの第三弾。今回は皇女や従衛たちと一緒に、隣国インフェリアへと向かった先で、騒動に巻き込まれたお話。

これはすばらしい!

初めて他国へ行くという不安と、それ以上のワクワク感などを抱えながら、隣国へと向かうところには、いつもながらのユーモアあふれる人間関係を楽しんでたんですけど、かつてカインの受けた騎士試験を妨害した男・アリキーノを、インフェリアで見かけてからは、謀略ものの要素も生まれてきて、俄然面白くなってくる。

なんせアリキーノがインフェリアでも、名家中の名家、十二将の一人って言うんですから、うかつに手を出せない。確信を持ってるのが、カインだけなので、隣国との関係を考えるとなかなか動けないところに、もどかしい面白さが生まれてきます。
真っ直ぐ過ぎるところがあるカインを、皇女が抑えるという図も良くて、とても楽しい。

これだけでも十分面白いのに、ここからさらに熱い展開が待ち受けているんだからたまりません。

初めての魔物との戦いで、押し潰されそうな恐怖と、それを乗り越えようとする姿には、いかにもカインらしい真っ直ぐさを感じましたけど、魔物との力の差に心が折れそうになったとき、奮い立たせてくれたのが、アリキーノだったところには、痺れたなあ。
これが騎士を目指した十二将か。
憎むべき敵であることはわかっていても、その心の強さと誇りの高さに、心奮えるものがありました。すばらしい。ほんとすばらしい。

一巻は面白かったけど普通だよなあと思っていたら、二巻では登場人物たちの魅力が追加されて、さらに三巻では熱き心を呼び起こしてくれてと、巻を重ねるごとに、新たな魅力を見せてくれるシリーズですね。いやあ、面白かった!

カインの成長のみならず、一足先に騎士となったアヴァルの方も、少しずつ成長していってるみたいなので、この二人のライバル関係が、どうなっていくのかも、楽しみの一つですね。戦争の兆しも見えてきたし、さらには、魔物とライタークロイスについても興味深い謎が見えてきてと盛りだくさんなので、これからが本当に楽しみです。
超オススメ!

ライタークロイス 3 (3) (富士見ファンタジア文庫 170-4) - 川口 士

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ライタークロイス 4

ライタークロイス4 (富士見ファンタジア文庫 170-5) - 川口 士

「さあて、戦でござる、戦でござる」
あらためて、頭の中で計画を整理し、要点を確認する。成功しようと失敗しようと、自分の存在が明るみに出ない限り、帝国の目は外から内へ向けられることになるだろう。
しかし、あっさり済ませてしまっては意味がない。
灯火ていどでは駄目だ。巨大な火に。身を焼くほどの業火に。

騎士を目指して帝都へきたものの、騎士試験を受けられなかった少年カインが、ひょんなことから皇女と知り合い、彼女の従衛となって、従衛をしながら騎士を目指すシリーズの第四弾。今回は、ただの従衛が魔物と戦って生き延びたことなどから、騎士たちの間でカイン注目を浴び始める中、同じく従衛を勤めていたレイクが突然「従衛をやめる」と言い出して、さらに内部で反乱が起きて……というお話。

カインをめぐって繰り広げられるファリア VS イングリドのやり取りは、もはや鉄板な面白さを誇ってくれますね。個人的には、カインは、イングリドとのやり取りのほうに、安らぎを覚えてるような気がしますが、さてさて。

お嬢様方ふたりだけでなく、騎士たちの間からも、何かと注目を浴びるようになって。まさか騎士団長と手合わせするとは思いませんでしたけど、まだまだということを目の当たりにしたのはいい経験だったんじゃないかな。これをバネにますます精進を……と思ってる最中、突然レイクが「従衛をやめる」と言い出して、さらには、インフェリアの謀略によって、帝国がゆれ始めるんだから、もう読む手が止まらない。

それにしても、うまいところついてくるよなあ。魔物という不安要素に、皇女の秘密という火種を撒いちゃうんだから、国を憂う騎士からしたら、思わず立ち上がってしまうのもわかります。特に魔物に故郷を蹂躙された過去がある人なら、なおさらでしょう。 もちろん、国を憂うなら立ち上がっていいのかということは、それはまた別の話ではあるんですが、逆に国を思う気持ちがあったからこそ、皇子の処遇に迷ってしまったんだろうなあ。
おそらく迷わなければ、はじめの目的だけは達成できたであろうに、と思ったりする。

皇女ファリアの秘密については、驚きつつも納得するものがあったのは、やっぱりお転婆という言葉ではすまない行動力があったからかな。とはいえ、その秘密を守るための重圧たるや、少女の肩では支えきれないものがあったと思います。
あのとき「戻れ」といった彼女の声を、カインが振り払い、共に戦う決意をしてくれたことは、ファリアにとってどれほどの支えになったことか。カインにとっても大きな分岐点だったと思うけど、この決意が未来を見せてくれることを願わずにいられません。

いやあ、面白かった。
今までは魔物と戦うことだけを考えていたけれど、ここにきて騎士との戦いも見えてきて、ああ、戦争とはこういうものなんだなと思った次第。そんな中、憎まれ口を叩き合う仲だったアヴァルとの信頼が築けたり、一度は落ちたレイクと再び手を取り合えたこと、さらには国を思ったものとの戦いで引き受けたバトンなど、いろいろなドラマを経たことで、きっとカインも大きく成長してくれたんじゃないかな。

これから、帝国がどうなっていくのかはわかりませんが、ひとまずカインも引き立てられることになったし、従衛を続けながら、騎士としていい位置につけてくれたら嬉しいなあ。
そうそう。ちょっとシスコンな皇子のせいで、カインとファリアはなかなか難しいものがあるかもしれないけれど、イングリドとはいい雰囲気になってきているので、がんばれーと応援したいです。

ライタークロイス4 (富士見ファンタジア文庫 170-5) - 川口 士

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ライタークロイス 5

ライタークロイス5 (富士見ファンタジア文庫) - 川口 士

「いま、卿には、思い人というか、恋人はいるか?」
「待ってくれ。そもそも、なんなんだ、その話は。どうして僕がそんなことを答えなくちゃならない」
ファリアは口を開いて何かを言いかけ、そのたびに口を閉じてうつむくという行為を三回ほど繰り返したあと、思い切ったように言った。
「卿はな、私の婚約者候補になった」

騎士を目指して帝都へきたものの、騎士試験を受けられなかった少年カインが、ひょんなことから皇女と知り合い、彼女の従衛となって、従衛をしながら騎士を目指すシリーズの第五弾。帝都の叛乱を治めた功労者として騎士へとなったカインは、さらにファリアの婚約者候補になり……、自分はどうしたいのか迷う中、カインの存在を面白く思わないものが動き始める、シリーズ最終巻です。

いやあ、面白かった。
騎士になるという夢を掴んだ直後に、ファリアの婚約者候補となったことで、一躍注目を浴びることになったカインですが、当然、面白く思わないものは出てくるし、さらには帝国を討たんとするグラフィアカーネが、悪魔に魂を売ったことで、カインのみならず、イングリドにまで危険が及んでと、波乱に満ち溢れてて、どうなるのかとドキドキ。

中でも一番興味津々だったのは、カインがファリアとイングリドのどちらを選ぶのかってところですね。婚約話を聞きつけたイングリドが、カインから身を引こうと考えはじめるのをみると、せめて言ってから!と思ったりしましたけど、ともあれ、騎士を目指すことしか考えていなかったカインが、自分の思いはどこにあるのだろうと考え始めて、謀略にはまって囚われの身になったところから、自分の気持ちに気づいていくところが、なんともいじらしい。

それにしても、ライタークロイスにあんな秘密があったとはなあ……。ある意味暴走だと思うけど、自分の興味のために、国すら利用するあたりは、グラフィアカーネの執念というべきかしら。
騎士たちの思い、敵でありよきライバルでもあるものの思い、そして、何より皇族としての思いが、暗躍する執念を打ち破る展開が良かったです。

ああ、これで最終巻だなんてもったいないなあ。まだまだいろんなお話を展開できただろうに……。
特にファリアとイングリドの恋のお話は、一応の決着がついたけれど……ねぇ?いや、カインが心変わりするとは思わないけど(あの告白シーンはすばらしかった)、何が起こるかわからないのが人生だし。残されたほうが、どういう恋をしていくのかは、非常に気になるだけに、もうちょっと続きを見たかった。

ライタークロイス5 (富士見ファンタジア文庫) - 川口 士

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