plupシリーズ

著者: 森橋ビンゴ

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pulp (1) fa4ecb5c

父親の暴力、自傷する悪癖、退屈な日常。生きている意味を得られない毎日を過ごす嬢は、ある夜、通り魔に襲われた。
自分で傷つけることとは異なる傷。ゆっくりと近づいてくるサバイバルナイフ。
死を覚悟した彼女を助けたのは、日本刀を持った男性だったが……

毎日の生活に悩む高校生。自称癖を持ち、考えることがかなり暗い。
それゆえかちょっとしたことで心が浮き上がり、ちょっとしたことで沈む。

誰か連れ出してくれないだろうか。この家から、この世界から。そんなおとぎ話のようなことを考えてみても、現実にはピーター・パンなどいるわけもなく、ネバーランドもなければ自分はウェンディでもないのだ。

自分というものを持ちながら、生きていくための力のなさを実感する時期。このまま生きていることに意味はあるのだろうか、と考えることは、誰もが経験していることかもしれない。

そんな少女が少しだけ前を向く。自分を傷つけることであっても、その人のためならと決意する心。
はたしてそれは愛なのか、狂気なのか。
それは後に描かれていくのだろう。
全三巻が予定されているダークでセンチメンタルなストーリィ。

pulp (1) 森橋 ビンゴ

森橋ビンゴ
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エンターブレイン(文庫)
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pulp (2) a10c444d

彰のいる「向こう側」へ行きたいと願ったのに、行けたと思ったのに、今わたしがいるのはどちら側なんだろう。足手まといになるのはごめんだった。でもわからないことが多すぎる。それが辛いと嬢は思った。
そんな日々を過ごしていたとき、球はかつての組織の生き残りである赤羽に会うと言う。
味方なのか敵なのか、それは会ってみないとわからない。だが、手がかりがほとんどない今の状態では前に進めないいと決断した故であったが……

動きたいのに動けない。何かしたいのに何もできない。そんな嬢の心の動きが苦しくて、物語全体が圧迫感とでも言うべき雰囲気に包まれていて、息苦しく感じるほど。
前作で少しだけ前を向いたはずなのにと思ったけれど、人間そう簡単に割り切れるものじゃないですね。日常から非日常へ足を踏み入れてしまったら、日常がどんなに素晴らしいものだったのかわかるのかもしれない。

今回の見所はなんと言っても仲間に対する不信感でしょう。不安が不安を呼び、ほんの僅かなヒビが少しずつ広がる展開は見事でした。
後半に入ってちょっと雰囲気が変わってしまったけれど、これはいいですね。
締めである次巻でどういった展開を見せてくれるのか楽しみです。

pulp (2) 森橋 ビンゴ

森橋ビンゴ
pulp(2)

エンターブレイン(文庫)
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[森橋ビンゴ] pulp(3) e02aece4

阿佐田元禄が提案した実験という名のゲーム。不利ではあるけれど、嬢たちにとっては唯一の活路といってもいい。
決意を固めた嬢たちだが、そんなとき、例の植物を調べていた人間から連絡があった。
やや難題を押し付けてきたものの、結果を知るために研究室へ向かったが、たどり着いたとき、男は死んでいた。眉間を打ち抜かれて……

もう動くしかないという展開のせいか、今までほどの重苦しさは感じられませんでした。
生きている、生きていられるということを、前面に押し出すのはシリーズ共通ですね。

第三の勢力とも言うべき、中国の組織「虎春」の李が絡んできましたが、信頼できるようでどこか胡散臭い雰囲気がうまかったです。嬢が揺れたのは、自分には無い(彰にもない)李の強引さが新鮮だったのでしょう。わかる気がします。

一番印象に残っているのは、友人である小夏への態度を決意するシーンでしょうか。変わったのは相手だけではなく、自分もだということを自覚したのは、間違いなく前向きといっていいでしょう。あれほど前を後ろをと揺れ動いていた嬢が、はっきり前を向き始めたのはここの決意からじゃないかなと思いました。

息苦しい世界で、でも生きる意味はあって。繋がりを求めるために自傷するというふたり。慰めあってるだけのように見えていたんですが、もう完全に愛ですよね。
どこか歪みながらも、日常へ戻って生きていくラストが良かったです。

pulp (3) 森橋 ビンゴ

森橋ビンゴ
pulp(3)

エンターブレイン(文庫)
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