プリンセスハーツ / 高殿円
プリンセスハーツ 麗しの仮面夫婦の巻
幼いころ、人質として大陸一の強国パルメニアに預けられていたルシードは、第一王女であるであるメリルローズに約束した。いつか、迎えに来ると。やがて、大公の地位を手に入れることに成功したルシードは、かつての誓いを忘れることなく、メリルローズを后とした。
だが、仲睦まじく見えたメリルローズとルシードの間には、見えない壁があった。何とパルメニアが送ってきたのは、メリルローズにそっくりな身代わりの女性ジルだったのだ……
これは面白い!それぞれの目的のために、身代わりの件はごく一部の人を除いて内緒にしているわけですが、この女性が、冷静沈着で頭脳明晰なおかげで、ルシードからしたら、自分の政策が行き詰ったときには、的確なアドバイスをしてくれる頼りになる人であるけれど、馬鹿にされた目で見られているようで、やり込められては、腐ってるところが笑えますね。
お互い印象最悪なままなようで、実はお互い気になってるということが、何とはなしに見えてくるところがいいですね。特に感情を表に出さず、まるで笑わないジルが、ルシードに強く言われると、顔には出さないけれど、傷ついてるところとか、何とも複雑な乙女心を感じます。
ルシードもルシードで、ジルが何を考えてるのかわからないので、当たることがあるんですが、どうみても嫉妬だよなあと思う描写があって、彼もまた自分の心に気づいてないところがあるのかな。
どうにも気まずいものがある中、政府の要員が一人、また一人と殺されていくという事件が発覚するんですが、ここで糸を引いている者を捜し求めるジルが素晴らしい。この事件を通じて、ジルとルシードの仲が一歩進んだところは、ほんと良かったなあ。最後にルシードがジルに向かって言った「ばか」という言葉に込められた思いがたまりませんでしたね。
いやいや、お似合いな夫婦じゃないですか。はっきりいって、メリルローズを妻にもらうより、よほどいいんじゃないかと思いました。ルシードの弟の話や隣国の話など、まだまだ気になる部分はいろいろと残っているので、このあたりがどうなるのか、楽しみですね。いつかは、ふたりが結ばれることを祈って待ちたいと思います。
オススメ。
プリンセス・ハーツ~麗しの仮面夫婦~のドラマCDも発売中。
プリンセスハーツ 両手の花には棘がある、の巻
力こそがすべてという草原の戦士の忠誠を得るためには、王として力を見せつけなければならないと判断したルシードは、軍を率いて、北へと遠征した。戦は快勝し、気分良く都へと凱旋した王を待ち受けていたのは、愛する人のそっくりさんである仮面夫婦の妻ジルと、その隣になんと、ルシードの愛妾を名乗るオルプリーヌ嬢がいて……
仲睦まじい大公ルシードと公妃ジルは、実は仮面夫婦で、彼らの正体を知るマシアスと三人で手を組み、打倒パルメニアのために、国力を強化していこうというお話の第二弾。今回は、有力貴族の娘オルプリーヌ嬢が、愛妾になるべく押しかけてきて……というお話。
戦場で武を見せていたときは、あれほど格好良かったのに、王宮へ戻ってきてからは、愛妾から逃げるために、トイレで寝泊りするなんて……。ルシードの情けなさに笑いが止まらん。権力があっても、逆に相手の面子を考えて思うように動けないあたりは、窮屈ですね。ジルあたりなら華麗にかわすんでしょうけれど、そこまで気が回らないルシードの不器用さが光ります。
っていうか、ジルに愛妾をつれてこられて、ショックを受けてる時点で、もうニヤニヤがとまらなくて。おいおい、目的のために手を組んだだけじゃないの?と、側にいたらからかってあげたくなるぐらい。
一方のジルは、やってきたオルプリーヌが、城をわが身のごとく動いても、なんら気にしない姿が、すっごい面白い。相手は嫉妬してほしいのに、きれいな帯を見せつけられても、そこから税収を考える思考回路が素敵でした。
こうなったら、熱くなるのはルシードだけかと思ったら、ときおり、もにょもにょする思いを見せてくれたりして、思わずグッとこぶしを握ってしまいました。そうだよ、そうきてくれないと困るよとニヤリ。
いろいろと愛妾問題が王宮を駆け巡る中、町では教会の横暴に苦しむ民衆がいて、これらを以下に解決するかとジルやルシードが頭を悩ませていましたが、こういうときのジルの切れ味は素敵だなあ。ルシードからすると、先を行かれてムカつくというよりは、自分に対する悔しさみたいなのがあるんだろうなあ。
王宮内にわずかな歪みが見え初めたとき、普段なら軽く裁けただろうに、ひねくれた想いが思わぬ嫉妬を呼び合って、自体が少しずつ不穏な方向へと向かっていって、ドキドキ。
まさか、ここで敵が手を伸ばしてきた?と思ったら、囮だったとは思わなかった。というか、ここで続くとは!
未だはっきりとしないことが多いだけに、いったいジルがどうなるのか気になるばかり。リドリスあたりも、ひょっとしたら何か絡んでるのかしら。だとすると、不安だなあ。ああ、頼むから短期を起こさないでくれよルシード、と祈りながら、続きを待ちたいと思います。
プリンセスハーツ 乙女の涙は最強の武器!の巻
「なにしろ、いま我らが主であらせられる大公殿下は」
といって、上座を見る。誰も温めることのないまま、もう二時間も放置されている空の玉座を。
「この場にご不在なのですから」
無理もない。
これは、ごく限られた者の耳にしか入っていない情報だが、なんと昨夜から大公妃メリルローズが行方不明なのだ。
仲睦まじい大公ルシードと公妃ジルは、実は仮面夫婦で、彼らの正体を知るマシアスと三人で手を組み、打倒パルメニアのために、国力を強化していこうというお話の第三弾。前作で敵の罠にはまり拉致されたジルを助けるために、ルシードが奮闘するお話です。
仮面夫婦だったのはずなのに、気づけば相手のことを真剣に考えてますよね。公妃だから、大公だからと、建前を並べているものの、心配する姿は、間違いなくひとつの感情を思い起こしてくれて。実際、敵の策にハマったジルが怒りをあらわにするのは、ルシードの心の傷を抉られたときだし、ルシードはルシードで、ジルを捜し求めるために、手段を選ばなかったし。
特に、薬で朦朧としていたジルが弱さを見せたとき、ルシードが発作的に見せた行動には、もうニヤニヤです。
一方、王宮に忍び寄った影ですが、なかなか痛いところをついてきますね。なまじルシードたちのやろうとしていることが正しいからこそ、追いつけないものに不満がたまるというわけですが。もちろん、煽ってる人がいるんですが、内部の燻りに気づけなかったのは、ジルとルシードの落ち度といってもいいのかな。
よりによって大きな秘密を敵に知られてしまい、それを利用して追い詰められていくんですが、そうやすやすとやられないところが、この夫婦なんだな。相手の思惑を逆手に取り、それを実行する逆転劇は、とても痛快でした。
にしても、お約束かもしれないけど、あの状況で逃げられちゃうのは、ちょっとなあと思った。
陰謀劇は面白くもちょっと物足りないところがあったけれど、後日談がすっごい面白かったなあ。ジルのくどき文句には微動だにしなかった犯罪者が、ルシードの言葉に落とされるんだから、この天然男が!と思わずツッコミそうになる。
ジルもジルで、旦那様にたいして、今までにない積極性を見せて……落とすか(笑)。いや、ほんとはルシードを思ってるよね?ちょっと言葉の選択を間違っただけだよね?
ルシードがちょっと可哀想だったので、ちゃんとフォローしてあげてください、ジル。
さて、一見、めでたしめでたしですが、いろいろと不安も出てきてますね。特にジルを探すときに必死すぎて、いろいろやっちゃいけないことをルシードがやってしまったので、このあたりが今後どうなっていくのかは、大いに気になりますね。
あと、今まで清楚なイメージしかなかったメリルローズでしたが、何気にヤンでるみたいなので、このあたりも気になります。
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