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神曲奏界ポリフォニカ ホワイト / 高殿円
神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト
グラナード家のメイドであるスノウドロップの日常は、お嬢様であるプリムローズのためだけにあった。
今日は年に一度開催される音楽コンクール。お嬢様が参加される大事な日に寝坊してしまったスノウドロップは大慌てで駆けつけるが、そこで知ってしまった。お嬢様が優勝してしまうと、離れた精霊島にある音楽学院へ入学されてしまうことに。
さびしい心を堪えながら応援していたスノウドロップだが、突如現れた男に「連れて行ってやろうか」といわれ、しかもその男が実は伝説のコントラバスの化身であるという精霊で……
ポリ赤やポリ黒よりもさらに過去の話。お嬢様のために猪突猛進するスノウドロップに思わず笑ってしまう。力技で精霊島へ行くシーンがたまらないですね。
シリアスさがメインとなっていたポリ赤やポリ黒とはだいぶ違う雰囲気ですが、これはこれで面白い。
どこか思わせぶりな展開が続いていましたが、みながもっと自分の心をさらけ出す、とまではいかなくても、言うべきことを言っていれば、ここまで事態は大きくならなかったんでしょうね。わかった気になってしまっていたり、自分を頼ってくれなくなったことに対する嫉妬等がとても伝わってきました。
個人的には雫のシーンが一番印象的です。あんな弱々しいのに、僕の中では妙に存在感があったんですよ。それだけに泣きそうになりました。
ジョッシュとストーカー精霊の行方がもっと見たかったなあ。どうなるのか、なんてのは決まってるだろうけれど、せっかくなら最後まで見たかったですよ。どんな契約をするのかなあ、なんてひとり想像してにやり。
シェアードワールドを感じさせる展開、さりげなく登場するコーティが嬉しかったですね。
神曲奏界ポリフォニカ インフィニティ・ホワイト
精霊島音楽院の生徒たちが地上へ戻る夏休みに、スノウドロップはプリムローズとコンサートへ出かけた。慣れない服装と場所に、緊張していたスノウドロップだが、新進気鋭の音楽家であるミナギの奏でる曲を聴いたとき、違和感を覚えた。初めて聞くはずなのに、どこかで聞いた覚えがあるのだ。
やがて、夏期休暇が終わり精霊島へ戻ったら、驚いたことにミナギが精霊島音楽院に編入してきて……。
記憶に触れる音を奏でるミナギと知り合ったことで、失われたスノウの過去が明らかになりそうな展開です。思わせぶりな態度と断片的な記憶から見える描写がとても気になりますね。なんにせよ、ミナギは怪しすぎるわけですが。
おそらくは、何か気づいているであろうブランカが、何も言わないのはいただけないなあ。説明不足は悪循環の種ですよ。特に自分の力に自信を持っていないスノウドロップなんですから、このあたりは年長者であるブランカが歩み寄ってやらんとと思ったり。
まあ、傷つけたくないという気持ちはわかりますけどね。
そんなブランカですが、プリムローズには若干負けるようで。ふたりのスノウドロップを巡るやり取りが面白いです。特にプリムローズがだんだんと黒くなってて素敵過ぎ。天秤にかけられたらブランカには勝ち目がないだけに、今後どうなるやら楽しみ。
初まりが前作でジョッシュのあとをつけていた精霊さんの過去話だったので、このあたりを巡るお話になるのかなと思っていたんですが、そっち方面には話が(あまり)広がっていかなかず、ちょっと不完全燃焼。二人きりの演奏会が素敵だっただけに、うまくいってほしいな。
それにしても、盛り上がってきたところで、終わってしまったので、思わず「えーーーーーーー」と声を上げそうになりました。まさか前後編になっているとは思わなかった……。
またもやプリムローズが奇妙なことをし始めてるし、かのミナギもまた怪しい動きをし始めて、と気になることばかりなので、なるべく早く続きをお願いしたいところです。
神曲奏界ポリフォニカ ミッシング・ホワイト
「ブランカは君を騙している」― ミナギの言葉に、スノウは衝撃を受けた。彼の話は、あまりにも突飛で、でもどこか信じられるものがあって。ブランカと顔を合わせるのもつらいと思ったスノウは、部屋に戻らずに一夜を過ごした。
次の日の朝、気まずい顔合わせの後、ブランカと共に食堂へ向かうと、周囲の視線が冷たかった。皆の精霊が行方不明になっているにもかかわらず、スノウだけがツクヨミとブランカという精霊をつれていたからだ。自分は何もしていないという言葉を誰にも信じてもらえず……
周囲の責めと、ブランカへの不審から、「契約解除」の言葉を発してしまったスノウに、元の世界に戻るという、怪しくも魅了される手が差し伸べられて、というお話です。
ひとりだけ精霊を連れている、なんてあからさまな罠ですが、ここいら変がお子様集団の怖さですね。身分的な意識もあって、責められるスノウの可哀想なことと言ったらないです。
でも、スノウが一番ショックだったのは、デイジーに疑われたことなんだろうなあ。デイジーは焦っていただけなんだろうけれど、心が通じたと思ったあとだけに、きついですよね。この状態で、ブランカが隠し事をしていることがわかったら、反発してしまう気持ちもわかりますね。
信じていた人を突き放して、信じようとした相手に裏切られて。いったいスノウがどうなっていくのかと思いましたが、いやあ、かっこいいよブランカ。こういう積み重ねから、信頼ってのは作られていくんですよね。ただ、守られるだけじゃなく、相手も守りたい。ブランカとスノウが、そういう関係になっていくところは、良かったですね。
とはいえ、今回のお話で一番の目玉は、リシェリーでしょう。ライバルを蹴散らしながらも、恥ずかしがって、ジョッシュのことを影から見守るしかなかった彼女が、ついに彼と向き合うところは、たまりませんね。彼の音に乗って、戦う姿は……まさか、こうなるとは思いませんでしたが、まあ、嬉しかったということで。
なかなか契約しない二人に業を煮やして、さりげない策を講じるコーティに思わず拍手したくなりますが、そんなお膳立てをされても、相手の好意に甘んないジョッシュがかっこよかったですね。お似合いな二人が、今後どう付き合っていくのか楽しみ。
それにしても、ミナギがようやく見せてくれた本性は、幼い子供の癇癪のようなものでしたが、力があるだけに厄介でしたね。操られていたとすれば、わからなくもないものでしたが、何とも気持ちの治まりの悪いものがありました。
今回は退けることができたものの、裏にいたヤツは逃げ切ったし、お嬢さまとの契約は切れてないみたいなので、スノウからしたら、きつい運命が待ち受けることになりそう。
お嬢さまといえば、今回あまり活躍するところがなかったなあと思ったら、エピローグでやってくれましたね。桃まんでトップ通過するとは、一味違うにもほどがあります。ボウライなんてやってるときのイラストのかわいらしさとやってることの鬼畜さのギャップがたまりません。
神曲奏界ポリフォニカ アニバーサリー・ホワイト
天空に浮かぶ楽園、精霊が生まれるとされる島において、唯一人の住まうことが許された場所。精霊島にある精霊島学院は、いつものような学生たちの賑やかな話し声も、音楽もない。というのも、今、学生たちは冬休みに入ったからだ。ほとんどの学生たちは、故郷に戻り、家族や友人たちの交流、新年のパーティといったものを楽しむ。
そんな中、お嬢様であるプリムローズと共に、お屋敷へと戻ったスノウは、「お休み」ではなく、メイドとして、執事のルークにこき使われるはめに……
お嬢様に婚約話が?と、スノウが慌てふためく「僕の時を刻む神曲」、ジョッシュが七家の新年の集まりで、タタラ家の跡継ぎとして披露される「セレブレーション・ホワイト」、ミノティアスがプロムのためのタキシードを作るために、地上へ降りた「金平糖の恋」という、精霊島学院が冬休みの間に起きた出来事の三編からなるお話です。
僕の時を刻む神曲
いやあ、楽しかった。お嬢様の婚約話に動揺しまくるスノウでしたが、執事のルークまで動揺してることに気づいて、もしやルークはお嬢様のことが……と、いろいろ暴走していくスノウの様子が面白かったです。その間に、執事のルークの驚愕な事実まで発覚しましたが、人間と精霊の間には、まだ分かりあえてない感情もあるんだなあと思いましたね。生きる目的を持てなくなる精霊の話は、切ないものがありましたが、ブランカみたくおバカでも思ってくれる人がいてくれるってことも忘れちゃいけませんよね。
それにしても、プリムローズは、スノウのためなら、何でもやらかしちゃいそうだなあ。ハーミットを利用して、何をするつもりなんだろう。
セレブレーション・ホワイト
新年の集まりで、タタラ家の跡継ぎとして披露されるジョッシュのお話でしたが、名門タタラ家の跡継ぎであること快く思わない七家の嫌らしい態度が目に付きます。精霊島でも嫌がらせをしてたランディが、ここでも頑張ってましたが、むしろ小物っぽく見えるところが面白かったり。
それより何より、他の家の当主の視線を受けて、ビクビクすることはあっても、跡継ぎとして背を伸ばし続けたジョッシュがかっこよかった。
幼いころ、いじめられてた自分を厳しくも優しく接してくれた姉のようなサラサが、その後においてどんな生活を送ったかについては、悲しい物語がありましたが、ジョッシュの契約精霊になれなくて落ち込んでたリシュリーが復活してからの強烈な前向き加減の楽しさが、暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれました。
ジョッシュとサラサの間にある淡い関係と、嫉妬に燃えるリシュリーと関係は、想像するだけで楽しくなってしまいますが、僕としてはリシュリーを選んでほしいなあ、ジョッシュ君。何気にサラサとリシュリーは仲良くなっていくんじゃないかしらとか思ってるんだけど、さてさて、どうなっていくのか楽しみですね。
実は義理の父が一番ツンデレだったことに吹いた。
金平糖の恋
地上に降りた心優しきミノティアスが、牛として食べ物扱いされそうになったり、奇異な目でみられたり、はてはかつての同業にバカにされたりと、いろいろ大変な目にあうお話でした。おかげで、笑いが止まらない。
とはいえ、ミノティアスからしたら、不運の連続だったために、さすがに落ち込むことになりましたが、ここで人のいい老婦人に出会えたのは、ほんと良かったと思います。その姿勢の美しさと、ちょっぴりお茶目な姿に、勇気付けられていく展開は良かったなあ。ちょっと臆病になっていたを前向きにしてくれたおばあちゃんの言葉とダンスが素敵でした。
どんな歳になっても、恋する美しさを見せてくれるラストを見て、三編の中で、一番好きなお話になりました。
楽しかったなあ。これで、冬休みが終わって、精霊島に戻ってきてからの話が、一段と楽しみになってきましたよ。続きが待ち遠しいですね。
神曲奏界ポリフォニカ エンシェント・ホワイト
「だって、テストが終わったっていうことは、明日からは待ちに待った学園祭の準備じゃない」
「学園祭?」
「毎年この時期に行われる、学院のお祭りです。この精霊島にいる精霊たちに感謝の意をこめていろいろな出し物をするのですよ」
グラナード家のお嬢様・プリムローズのためなら猪突猛進するメイドのプリムローズが、コントラバスの化身であるという精霊ブランカと契約して、お嬢様と共に精霊島にある中央精霊師学院に通うことになったポリ白シリーズの第五弾。今回は進級したスノウたちが、「精霊のもてなし」をする学園祭の準備を始めるお話です。
新章ってことで、一学年進級したわけですが、新たに登場してきたのが、新入生のナノポニートですね。先輩として構内を案内する役割を与えられたことで、距離が近しくなりましたが、無表情な女の子ってだけでなく、何やら不穏な言葉を発してるので、何かやらかしてきそうだなあという感じです。
っていうか、わりとあからさまに怪しいんだけど、気づかないのは……まあしょうがないか。プリムローズとブランカは、スノウをめぐった争いをしているし、スノウはスノウでブランカの思わせぶりな言葉に悩んじゃったりしてるから、周囲に注意がいってないし。このふたりはなかなか進展しないよなーと思うけど、二人の過去に何があったのかがチラッと見えてきたので、今後このあたりが描かれていく……と思ったら、まさかの超展開でびっくりしたラスト。
こういう形で続くとは思わなかったけど、おかげで今までの多くの謎が明かされてきそうな感じですね。ブランカに対する複雑な思いを持つスノウにしても、例のことで「ショック」を受けたので、いろいろ意識が変わっていくだろうし、このあたりどういう心境の変化が生まれていくのか楽しみですね。
なお、最後にスノウとプリムローズの幼いころの出会いを描いた「私の美しい雪」という短編も収録されています。格式高い家に生まれたことで、物に恵まれても空虚で暗い闇に包まれるような暮らしをしてたプリムローズの日々には切ないものがありましたが、だからこそ、何一つ持たず側にいてくれるスノウが光のような存在になったんですね。他人を信じることができなかった子供の胸に、愛情が見えるようになったところが素敵でした。
そりゃ、ここまで心に入り込んでこられたら、手放さないためにどんなことでもしようとするわけだと思った次第。温かくもちょっと怖いお話かもしれませんね。
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