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パラケルススの娘 / 五代ゆう

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パラケルススの娘 (1)

跡部家 - 古来より魔物退治を生業としている由緒正しき家系。だが、跡継ぎである遼太郎にはその能力がまったくなかった。周囲から蔑み、疎まれ、やがて当主である祖母は遼太郎を「勉学のため」と称して異国の地へ送り届けた。
そこは19世紀のイギリス。交霊会が盛んな町。待ち受けていたのは自称「パラケルススの娘」男装の麗人、魔術師のクリスティーナで……。

伏線だらけというか、明らかにされない事が多い展開。匂わし方が結構ハッキリしているので、???なんてことにはならないけれど。
とはいえ、後半、特に罠をかけるための交霊会が始まってからはスピード感あふれる展開で楽しかった。
現在のところ、主人公(?)の遼太郎は大して活躍していませんが、さてどうなるのか。
これからが面白くなりそうな作品。

パラケルススの娘 (1) - 五代 ゆう

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パラケルススの娘(2) 地下迷宮の王女

クリスティーナの元でシシィの世話役として働く遼太郎の前に二人の女性が現れた。親同士が決めた婚約者である美弥子と義理の妹である和音が。慌てふためく遼太郎の周りが一気に騒がしくなり……。
その頃、ロンドン塔の女主人の使いがクリスティーナの元を訪れ、王女メガエラ殿下がピーター・ピッター&パッター&ポッター殺人請負商会による襲撃を受けたので、王女の捜索と、裏切り者の断罪をご依頼したいという。
関わるつもりがないクリスティーナだったが、美弥子の巻き込まれたトラブルで作った借りを返すために重い腰を上げることにしたが……。

主役は誰なんだ?ヒロインは誰なんだ?というまことに困ったシリーズ。今回はロンドンの裏の世界で繰り広げられる殺人請負人とロンドン塔の争い。そこへクリスティーナと「評議会」が加わってくるから、何がなんだか。
「聖なる血」とは。評議会とは。そして女主人の世界。
謎は膨らむばかり。

ま、そんなことより、今回の美弥子さんは素晴らしくツンデレっぽかった。遼太郎の前ではきついことをいいつつ、内心では応援しているその姿。初めは和音を応援していましたが、ここで一気に逆転。
と思ったところで出てきたメガエラ。宣戦布告で一歩リード?
三人の女性に囲まれて困り果ててる遼太郎を、クリスティーナの気分で見守るのがこのシリーズの楽しみ方でしょう。
次作は和音がメインになるらしいとのことなので、期待しようっと。

パラケルススの娘 (2) - 五代 ゆう

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パラケルススの娘(3) 仮面舞踏会の夜

枯れ木のように干からびた死体が相次いで発見されたロンドン。怪しい空気を感じた時分に、クリスティーナたちはルスヴン卿の仮面舞踏会に招待された。遼太郎たちも参加したが、多くの注目を集めたのは和音だった。
引っ込み思案な彼女は、他の男性と踊ることを良しとしなかったが、思いを寄せる遼太郎の態度に傷つき、いつしか見知らぬ男性についていってしまった。
そこで出会った女性は、和音の思いを見抜き、望みを叶えようと言うが……

今回は控えめな和音が中心となった物語。
妹としてしか見てくれない遼太郎に対して、思いをぶつけることができないが故に引き起こされる悲劇。普通一度ああなったら戻れないのが常ですから、結果はちょっと甘いなと思いましたよ。
とはいえ、このシリーズでそこまでの悲しみは受けたくないからかなり満足。
甘いと言われても、このいじらしい乙女をかばってあげたいのです。

シリーズ一作目は良くも悪くも平凡という印象だったんですが、二作目から三作目と渡り、一気に花咲いたって感じで、今までで一番面白かったなあ。始めからラストまで、まるで舞台を見てるかのようでした。
定番と言えど、これほどまでにきっちりまとめあげられたらたまりません。
次なる展開が楽しみです。

本編とは関係ありませんが、始めの引用の文章を読んで、吸血鬼カーミラが読みたくなりました。

パラケルススの娘 (3) - 五代 ゆう

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パラケルススの娘(4) 緋袴の巫女

櫻井忍は、夜の街を歩いていたとき、不思議な歌声に引かれてふらふらと中国人街を歩いていた。
そこで出会った美しき女性。だが、見惚れていたら、その女性が牙を立ててきた。
動けない忍を救ったのは空気を裂くほどの矢が飛んできたからだ。
そこには多華と名乗る黒髪の少女とその付き人がいた。さらに、豪華な金色の巻き毛の女性と黒いドレスを着た銀髪の少女がいて……。

「4」となっていますが、番外編といったところですね。本編から時間を遡って、遼太郎の祖母とクリスティーナの出会いが描かれた物語です。

出会いの時期が悪く、出会い方も悪く、クリスティーナの性格が誤解にさらに拍車にかけて、どうなるのかという展開に惹きつけられてしまいました。のちに孫を預けるのだから、仲良くなることはわかっていますが、それでも興味を持たずにはいられなかったです。

それにしても、言われるままに動いていた多華が、自身の存在意義を疑い始めるきっかけを作ったのが、クリスティーナとの出会いだったとはね。多華の付き人であった睦月も、クリスティーナと出会ったからこそ、想いを実行することにしたのでしょう。
なるほど、こう繋がっていたのかと思わず納得する場面もあって楽しめました。ちょっと黄夫人が不死身すぎませんかと思わなくもないですが。 いやあ、面白いです

ただ、読み終わった後に残るのは、切ないという感情ですね。最後まできて、エピローグの一ページ目を読んだとき、胸から思わずあふれ出てしまいました。未だに持ってたなんて……。
切なさを胸に抱かせたまま、次なる展開を予感させる終わり方が秀逸です。

パラケルススの娘 (4) - 五代 ゆう

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パラケルススの娘(5) 騎士団の使者

買出しに追いやられ、大荷物を抱えながら帰宅しているとき、遼太郎はひとりの女性に出会った。何を言っているのか意味が分からなかったが、その話をクリスティーナに告げたとき、珍しく彼女の表情は固くなった。何かを警戒しているようだが、教えてはくれなかった。
ちょうどそのとき、たか女お祖母さまが倒れたという知らせがあり……。

クリスティーナの正体が明らかになり、皆が彼女を狙うという新たな展開ですが、いやあ、これはいいです。めちゃめちゃ面白かった。
シヴィルとクリスティーナの会話で、次々と明らかになる事実ですが、中心にいた人間の辛さが伝わってきます。
いつも尊大なクリスティーナですが、守るべきものを持ってしまったというとまどいが見えますね。手を離そうとしつつ離せない、そんな不安や迷いが描かれています。普段と違うクリスティーナの心情が印象的でした。

「聖杯」を手に入れるため、正義のため、正しき道に戻るため、いろいろ理由はありますが、こうなると言葉は通じないから大変だ。宗教に限りませんが、信念のみをもって行動することの恐ろしさを感じますね。

今回は遼太郎がかっこよかったなあ。真っ直ぐなだけという印象だっただけに、忘れ物というレトリックにはやられました。これはうますぎです。意地っ張りなクリスティーナですら、心を開くしかないでしょう。
祖国から離れた国で、家族を持てたという意識が生み出したものかもしれませんね。心が温まります。
ひとつ開花したこともあるし、今後はさらに成長を遂げるのかもしれません。

とはいえ、朴念仁さはそのままのようで……。
和音、美弥子、ジンジャーたちの想いは、まだまだ届かないようです。

パラケルススの娘〈5〉騎士団の使者 - 五代 ゆう

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パラケルススの娘(6) 薔薇と小鳥たちの輪舞曲

パラケルススの娘 6 - 五代 ゆう

半月ほど前に起きた事件で協力してもらったジンジャーに、どこかへ連れて行けという約束をさせられたので、遼太郎がクリスティーナに考えを聞いたら、クリスタル・パレスはどうかと言われた。おとなしく助言を受け入れたら、何と美弥子や和音まで、ついてくると言い出して……

という「つむじまがりのメアリふじん」を含む、えーと、四篇になるのかな、それとも八篇になるのかな。遼太郎、シシィ、バ(略)、リース警部などが、それぞれ主となる短編集……のようで、繋がってるところがあったりするので、連作長編っぽい感じでもあるお話でした。

いやあ、初っ端のジンジャーと遼太郎のデートが面白かったですね。遼太郎自身は、もちろんデートと思ってないですが、何とか妨害しようとする美弥子と和音の連合と、無視して満喫しようとするジンジャーのやり取りが、楽しいったらないです。むしろ、遼太郎がそっちのけになってるところが笑えます。
鈍感な男に対しては、みな同じ思いだから、いつの間にやら仲良くなっていくところが、いいですね。

このこぶたさん かいものに」も良かったです。シシィの初めてのお使い物語ですね。ひとりでできるもんと、レギーネを振り払って、元気よく町に出て行ったら迷子になって……という子供らしい行動が、何とも微笑ましいです。加えて、霊媒体質がこんなところで関わってくるかという断片の繋がっていくところが、楽しいです。天真爛漫なシシィだからこそ、感謝ももらえたんだろうな。
迷子で不安な気持ちになっても泣くことはなかったのに、レギーネと出会えて安心したとたん、わんわんと泣く姿には、良かったねと言いたくなりました。

バ(略)の災難については、いつものことだからどうでもいいとして(ひどい)、パラケルススの娘を敵視するリース警部とクリスティーナが協力して、事件を解決するラストは、なかなか面白かったですね。からかいに激怒しつつ、クリスティーナの色気にドキドキする警部に、ちょっとニヤニヤです。
私利私欲のために、人のみならず、触れてはならぬものに触れていった者の末路がどうなるかといったら、わかりきってることなので、同情する気にもなれませんが、こういった人とは異なる者とクリスティーナの会話は、何とも鋭いものが感じられて、ゾクゾクしますね。

それにしても、最後がよかったなあ。遼太郎を散々な目にあわせておきながら、もらったプレゼントは、大事に大事に身につける三人のお嬢様方の心が可愛いです。誰が一番初めに素直になるのかというところも気になりますが、次はどんな物語が紡がれていくのかも楽しみですね。

パラケルススの娘 6 - 五代 ゆう

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パラケルススの娘 (7) ラーオ博士のサーカス

パラケルススの娘 7 (7) - 五代 ゆう

「本家」の跡部を支える四つの家門のひとつ玄塚の者である英慈が、遼太郎の前に現れた。どうやら、当主であるたか女ではなく、他の家の人が、美弥子や和音の探りを入れようとしているらしい。スパイであることを知られながらも、飄々としている英慈に、どこかうさんくささを感じていた遼太郎の耳に、何者からか言葉がかけられた。玄塚の者に気をつけろ、と。
やがて、彼の手引きで夜遊びに誘われた遼太郎は、みんなに心配をかけまいと、彼に付き合うが……

クリスティーナが嫌悪を露にしたサーカスへ、玄塚の落ちこぼれだというスパイ英慈が遼太郎を連れて行き、そこで遼太郎は美しい踊り子と彼女を狙う化け物に出会って……というお話。

そうだった。そういえば、遼太郎は跡部家の跡継ぎだったんだ。情けない印象が強すぎて、すっかり忘れてましたよ。ともあれ、和音や美弥子の遼太郎側にいたいという思いを利用しようとする勢力争いは、嫌らしいですね。
当然、監視に来たという英慈も歓迎されていませんでしたが、本人は飄々としてまるで気にしないので、ほんとにこいつは怪しいやつなのかと、疑いたくなるほどでした。

そんな英慈に、遼太郎がサーカスを見に連れて行かれたんですが、ここのシーンがすごい印象に残ってます。人気のあるサーカス団を見に行こうとする人ごみの描写には、まるで自分がその場にいるかのごとく、息遣いを感じました。今までこういう描写があったかどうか覚えてませんが、このシーンがなんか良かったです。

このサーカスの場で、引き付けられる可愛さと甘い声を持つサーカスの花形フェリーチェと、彼女を狙う怪物に遭遇するんですが、いやあ、まさか、こういう作りになってるとは思わなかったなあ。サーカス団そのものが怪しいと言い出すジンジャーの依頼を受けて、フェリーチェと話をしていた遼太郎たちが、彼女の言動に違和感を覚えて、それが恐怖へと変わっていくところとかわかりますね。他のところで起きていた事件が、ここで組み合わさってきて、彼女はひょっとして……というあたりは、戦慄ものでした。

そうなると、フェリーチェを狙う怪物が逆に見えてくるんですから、すばらしいですよね。誰もが知ってる物語がモチーフになってるとは気づかなかった。「怪物」であり続けようとする彼の願いに、せつなさいっぱいです。

今回いつもと趣が違うように思ったのは、クリスティーナが悠然と構えていなかったからかな。例え絶体絶命のピンチであっても、他人をからかうことは忘れない図太さを持っていると思っていたのに、魔術師シモンについて、というか、遼太郎が産霊者だってことが、思ったよりも大きく響いてるみたいですね。

聞く耳持たぬとばかりに、遼太郎をけなす姿には、守りたいからこそ遠ざけたいというような感情が見え隠れしてましたが、いったいどういうことなんでしょうね。マクスウェルの言葉が本当だとすれば、遼太郎はかなり大きな鍵となる気がしますが、いまだ不明な点が多いので、このあたりどうなるのかとても気になるところ。

いやあ、面白かった。遼太郎のみならず、美弥子や和音が強くなったところに、成長を感じましたね。「普通」という尊さも、味あわせてくれました。遼太郎には、この「普通」をしっかりと守り通してもらいたいものですね。

パラケルススの娘 7 (7) - 五代 ゆう

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