お狐サマシリーズ / かたやま和華
お狐サマの言うとおりッ!
兄の鷹一郎と一緒に、父の残した剣術道場を引き継いだ桐緒だが、平和が続く昨今、剣術を習おうとする者などおらず、ついには門下生が独りもいなくなってしまった。家賃をどうしようかと迷う最中、ひょんなことから助けた猫が、実は九尾を持つ狐の小姓だったということで、恩返しとしてその狐 ― 紗那王に、桐緒は憑かれてしまった。
気位が高く、どっちが主だかわからないような主従関係が始まったある日、仇討ちのために入門したいという女性が門を叩いて……
お江戸ならぬお江都を舞台にしたコミカルなお話ってことで、時代背景や雰囲気は、著者の「楓の剣」シリーズと似ていますね。紗那王の小姓である化丸とレベルの低い言い争いをするような、負けず嫌いで意地っぱりな桐緒が、紗那王との素敵な雰囲気にドギマギするところを見ると、思わずニヤニヤしちゃいます。
門下生が独りもいないという貧乏道場に訪れた入門者が、か細い女の人ってことで、いろいろワケアリそうなのに、あっさり信用する兄の鷹一郎はお人好しだなあと思いましたが、実は思慮深いものがあるところに、ほおーと思わされたり。大らかさっぷりも魅力的なだけに、大人物だなあ。貧乏だけど。
人がいいのは、桐緒も同じで、だから紗那王もここにきたんでしょうね。
ちょっとした出来事から紗那王を突き放してしまった後、諭すように話をする鷹一郎の言葉と、素直にごめんなさいと謝ることができる桐緒の態度が印象的でした。
お江都を駆け巡る義賊や、紗那王の兄の話など、いろいろありましたが、かつて同じ道場で剣を振るった仲間、桐緒の初恋の相手の話は、切ないものがありますね。身分、お金、そういったものが要らないと言えるほど、生きていくのは楽ではないということでしょう。
果たしてどこまで自分の意思だったのかはわかりませんが、飲み込まれてしまったという点では、なるほど器にあうというのは、大事なことなんだなと思いました。
最後の最後は、ずるいなあと思いつつニヤニヤさせられました。なんだかんだいって、桐緒には優しいんだから。家族も増えてめでたしめでたしではありますが、これで終わるなんてもったいない!
桐緒と紗那王の仲は、まだまだ発展の余地がありまくりなので、ぜひぜひ続きをお願いしたいところです。
お狐サマのから騒ぎッ!
芝居を見た帰りに、桐緒はお尋ね者の高札を見つけた。刀鬼坊なる大男が武士の刀剣を狩っているというのだ。武士の命とも言うべき、刀を奪われるなんて情けないと思いながらも、悪党をのさばらせておくつもりはない。懸賞金三百両にも心惹かれた桐緒は、紗那王に内緒で、刀鬼坊が現れるというシン宿に向かったが……
お江戸ならぬお江都を舞台にした、貧乏剣術道場の娘・桐緒と、彼女に憑いた狐・紗那王のラブコメシリーズ第二弾です。今回は桐緒が刀を狩っている悪党退治しに行ったのに、相手に懐かれてしまうというお話でした。読んでてニヤニヤ笑いが止まりませんね。
紗那王にからかわれて、じゃあ見返してやろうとすると行動する桐緒ですが、それは認めてほしいという気持ちの裏返しなんですよね。自分でも気づいていないような、気づいていても素直になれないような、乙女心がたまりません。
紗那王も紗那王で、素直に守ってやるといえばいいのに、言葉足りなかったり、小憎たらしいことを言うからややこしくなるんだよなあ。ま、このあたりは照れとか嫉妬とかもあるんだろうけど。桐緒が男の役者や、男の妖怪を誉めたら、ムスッとするところがカワイイぞ、紗那王。
悪党退治はわりとすぐ終わったんですが、紗那王の言葉足らずが原因で、ムキになった桐緒が突っ走って、面倒ごとにというのは、いつものパターンではありますが、まあ、今回は紗那王が悪いよねー。言ってあげればいいのに。
ともあれ、そのおかげで、紗那王の意外な一面も見れたし、自分がどれだけ紗那王を思っているかわかったので、桐緒としては良かったんじゃないかな。夜桐に見せた紗那王の顔に、あー、もう!
最後の最後なんて、とってもいい雰囲気になったのに、あのオチですか。ある意味、らしいけど。二人の仲がまた進んだところが、素敵でした。
問題の発端であるお家騒動は、まだ問題が残ってそうだけど、ひとまず落ち着いたかな。紗那王のおねーちゃんが、超ブラコンで大笑い。今後も何かとちょっかい出してきそうな気がしますが、それより何より、もっと面倒なことが起こりそうですね。今度は紗那王が苦労しそうだなあ。
どんな騒動がおきるのか、今から楽しみです。
お狐サマの縁結びッ!
桐緒を狙った辻斬りがあったかと思えば、風祭道場に道場破りが訪れてと、何かと物騒なことが続いたある日、桐緒たちの前に茶々姫が現れた。フリフリした着物と栗色の巻き毛が良く似合う姫君は、紗那王の前憑き主であり、なんと許婚でもあるというのだ!茶々姫の登場に心を痛めつつも、彼女の気持ちも分かる桐緒は、お人好しにも彼女に強く出れず、さらには、茶々姫の実家のピンチに手助けをし始めて……
九尾の狐・紗那王と貧乏道場の娘・桐緒の胸キュンラブストーリィの第三弾。自称紗那王の許婚だという柳生の娘・茶々姫と、紗那王の思わせぶりな態度に振り回されながらも、桐緒が奮闘するお話です。
いやあ、楽しい楽しい。人前だと、素直になれないけれど、紗那王と二人っきりでいい雰囲気になると、恋する乙女心がビンビンに伝わってきますね。マジでキスする五秒前……で邪魔が入る展開は、ドキドキ感とガッカリ感が伝わってきます。可哀想すぎるなあ。なんて思いながら、ニヤニヤ。
茶々姫の登場で、紗那王が自分から離れてしまったらと不安になりながらも、恋する気持ちは分かるだけに、ついつい茶々姫のことも構ってしまう辺りが、桐緒らしくていいですね。
茶々姫の実家である柳生が、将軍家御指南役から降ろされるかもというピンチから、なぜか恋敵の手助けすることになった桐緒でしたが、始めこそ、憑き主としての器を示そうとかいう気負ったものがあったかもしれないけど、一度動き出してからは、打算とか駆け引きとか、そういったものは、意識に上らなかっただろうなあ。常に真っ直ぐな桐緒だからこそ、紗那王も守りたくなるんだと、そう思います。
なんせ、お手並み拝見とばかりに悠然と構えているように見えてた紗那王が、実は後方で桐緒を助けるために動いてたりしたし。まったくもう、素直じゃないなあと思いながら、にんまり。
茶々姫の自己中っぷりには、一緒にいたら辟易するんだろうなあと思ってましたが、途中から我が儘っぷりを感じなかったのは、ひょっとしたらいろいろ事情を知ってたりして?何かと曲者っぷりを見せてくれるところに、ちょっと見直したりもしました。最後の桐緒へのアレは、弓弦にされたことの照れ隠しなんじゃないかなと思うと、うふふってなりますね。
それにしても、今回柳生降ろしを画策していた時津の裏で暗躍していた妖怪が、実は紗那王たちとも関係があるところには、いろいろキナ臭いものを感じますが、その妖怪が憑いている相手が、よりによってあの人(だよね?)だとは!となると、今後も紗那王は安心できなそう。
ところで
さすがに、二度あることが三度もあると、ふたりとも可哀想なんで、そろそろキスの一回ぐらいやらせてあげてください……。
お狐サマの神隠しッ!
十五夜の月を愛でようと宴会をしていたら、風祭道場の前に赤ん坊が捨てられていた。紗那王さまへという文があったことから、まさか隠し子?と桐緒がショックを受けていたら、シデンが紗那王と桐緒の子と勘違いして大騒ぎに。はじめは憮然としていたけれど、赤ん坊の可愛さと、ママ扱いされることに(もちろん、パパ役は紗那王)、桐緒がうふふとしていたら「あなたに憑いてる悪い狐を落としてあげる」という男が現れて……。
貧乏道場の一直線娘・桐緒と、クールな九尾の狐・紗那王とが繰り広げるドタバタラブコメの第四弾。今回は、風祭道場に捨てられた赤ん坊問題と、紗那王を払い落とそうと誘いかける男がやってくるお話です。
ああ、楽しい。隠し子騒動を(勝手に)引き起こしながら、子供の愛らしさに勝てず、一生懸命世話するところが、らしいよなあ。兄や千代が手伝うのはともかく、いつの間にか、化丸まで赤ん坊の世話をしてるところが、にぎやかでいいですね。なんだかんだいって、お人好しが集まってますよね、風祭道場は。
普段クールに決めてる紗那王が、ぐずる赤ん坊をあやすシーンでノックアウトされたのは僕だけじゃないはず。
楽しき赤ん坊騒動での桐緒の奮闘には、いい子だなあとニヤニヤしながら読んでましたが、やっぱり乙女らしく、好きな人のことになると不安を持っちゃうんですよね。斑娶りのことなども含めて、紗那王のことについてわからないことがあるといてもたってもいられなくなる気持ちはわかります。信頼していないのではなくて、悩むことがあるなら、共に考えていきたいみたいな気持ちがあるんでしょうね。
だからといって、怪しいちゃらい男・一蝶のもとへ、単身で乗り込むのはどうかと思うけど。
まあ、そこでの出来事よりも、一蝶の術で、お色気むんむんな桐緒が、紗那王へ迫るシーンのほうが楽しかったですけど。いつか、本当にお互いの気持ちを通じて、ああいうシーンを繰り広げてほしいなあ。っていうか、ここまで気持ちを確かめ合ってるのに、いまだ、キスすらしてないって……。ああ、でもあれはカウントして……いや、やっぱ、ちゃんとしないとだめだよね、うん。
桐緒を狙っていたのは、実は……というところは、いわゆるお家騒動が絡んでいたわけですが、みんな芝居っ毛が多すぎて笑える。ただ、相手も桐緒を傷つけたのは遣りすぎでしたね。紗那王の怒りは、結構怖いぞ。まあ、最後のところでお人好しっぷりが出るところは、桐緒にいい影響をもらってるのかなと思いますが。
ひとつが解決したら、もうひとつの問題にも解決の道が見えて、というところは、良いことなんだけど、やっぱり、愛情を注いだ相手を手放さなければならないところは、切ないものがありましたね。桐緒たちを見て、手を伸ばしてきた姿には、胸を締め付けられる思いでした。そんな彼女を慰めようとした紗那王の言葉は……プロポーズを飛び越してるような気ががしましたが、OKなのかしら。
ともあれ、幸せな家族計画は、もうちょっと先ってことですね。
いろいろ障害が多いかもしれないけれど、ふたりで力をあわせればきっと乗り越えられるし、幸せを手に入れられると思います。がんばれ、桐緒!
お狐サマの花吹雪ッ!
「武者修行のたびに出ようと思います。捜さないでください」― そんな置手紙を残して、兄・鷹一郎が姿を消した。何を考えているのかわからないけど、心痛のあまり衰弱していくお千代さんを見ていると、放っておくわけにはいかない。九尾である紗那王の力を借りてでもと思ったのに、なんと紗那王でも鷹一郎の気配を探れないという。ひょっとしたら、松寿王が関わっているのではないかと、紗那王と桐緒は問い詰めに向かったが……
貧乏道場の一直線娘・桐緒と、クールな九尾の狐・紗那王とが繰り広げるドタバタラブコメの第五弾。今回は「行方がわからなくなった兄、鷹一郎を追おうとしたら、意外な人物の名が上がってきて、というお話。
あー、もうニヤニヤがとまらない。紗那王を見る桐緒の視線の熱さを感じることは、今までもありましたけど、今回は紗那王も結構見せてくれてますよね。ふたりっきになった途端に……キャーというシーンが多くて、大変でした。そこだ、いけーと何度思ったかわかりませんが、いいところで邪魔が入るのはお約束ですね。
鷹一郎がどこへ行ったのかってところで、例の人の名が浮かび上がってきましたが、うーん、さすがにもう、この人はいいかなあ。いや、鷹一郎にとっては、いまだ禍根があるんだろうけれど、桐緒にとっては、救ってあげたいという気持ちこそアレ、それ以上のものはなさそうなので、いまいちラブ寄せ的盛り上がりが感じられなくて、ちょっと物足りなかったです。前作がそっち方面で、すっごい良かったから、なお更そう思うのかも。>
どちらかといったら、今回のお話は、斑娶りとか、お家騒動関係のための前振りになるのかな。彼に憑いた九尾の東宮あたりの話が、今後どうなっていくのか、気になります。
それにしても、最後に、桐緒とアレした紗那王のちゃっかりさにニヤリ。
次はぜひ目を開けてるときにやってあげてください。
お狐サマの赤い糸ッ!
「かわいこちゃんは緋月のために女らしくなろうって思った、それだけの話でしょ」
「違います、自分のためです!」
この従兄弟は、いつもこういう歯に衣着せぬ物言いをする。
「あっそ。じゃ、『女らしくないあたし、紗那王に嫌われちゃう』とか、そういう感じ?」
「ち、違いますっ、違いますっっ、違いますっっっ!」
貧乏道場の一直線娘・桐緒と、クールな九尾の狐・紗那王とが繰り広げるドタバタラブコメの第六弾。今回は、女らしくなりたいと思った桐緒が、花嫁修業に行きたいと言い出して、大奥に足を踏み入れるお話です。
きゃー!最後、なんてこと!
冷静に考えれば、奥手の二人なんだから、いきなりそんな……と思いつつも、そろそろ紗那王も限界が、とも思うし、いや、もう、いろいろ考えちゃって、ニヤニヤでした。
そんなラストでしたが、そこに至るまでの道のりも楽しかった。急に大奥に行きたいと言い出したのは、もちろん紗那王のために女らしくなりたいという思いがあるからなんだけど、素直にいえない乙女心の桐緒と、そんな桐緒の思いぐらい気づいているだろうに、離れ離れになってしまうことが嬉しくなくて、不機嫌な表情を隠さない紗那王の姿を見てると、ほんと似たもの同士だなあと思う。
周囲の人たちが何かと構いながら見守る気持ちがとてもよくわかりますね。
にしても、紗那王はやることやってるなあ。「虫刺されの痕」とか、からかいのネタであるとともに、マーキングの意味もあったりするんじゃないかしら。まったくもって、ごちそうさまです。
で、女の園・大奥では、いろいろ苦労の耐えない出来事があるわけですが、新たな出会いと共に、嫉妬という感情を覚えていく桐緒がよかったかな。今までただ漠然とした紗那王への思いに、深みが増した気がします。嫉妬って決して悪いことばかりじゃないですよね。もちろん、それで歪んでしまってはいけませんが。
嫉妬は女のたしなみと言った歌橋さんがとても素敵でした。
目立つことをするなといわれても、困った人がいたら助けに入ってしまうところは、とても桐緒らしくていいですが、敵と明かされてもやっぱり、あの人は憎めないなあ。目的を果たすための行動こそすれど、嫌われるようなことをして、あまつさえ挑発まで繰り返すのは、とめてほしい思いがあるからじゃないかと思ったりしたんですが、さてさて。
桐緒との出会いで、何かを思ってくれれば嬉しいんだけど、どうなるかは、次以降ですね。
いやあ、面白かった。
斑娶りについての真相を聞いて、好きだけど、それでも躊躇する桐緒の戸惑いはよくわかりますが、背中を押すきっかけとなったのが、人である御台所の言葉であったのが印象的でした。嫁ぐって、そのぐらいの覚悟が必要なんですよね。
夫婦の絆を目の当たりにしたことも、桐緒にとっては大きく心動かされることだと思いますが、彼女ならきっと、うまく言ってくれると、似た者である歌橋さんをみて思いました。
ラブラブいっぱいな物語を堪能させていただきました。満足満足。
お狐サマの七変化ッ!
「桐緒、ひとつ条件がある」
「え、条件?」
「わたしの頬に、くちづけを」
「はぁ!?」
「わたしの許しなく雲上までやってきた罰だ」
「そ、そ、そんな罰聞いたことないわよ、せくはら狐っ」
貧乏道場の一直線娘・桐緒と、クールな九尾の狐・紗那王とが繰り広げるドタバタラブコメの第七弾。今回は翠連王のお見合い騒動に巻き込まれて、雲上の狐の里へ訪れることになるお話です。
ああ、もう、最近の桐緒と紗那王のラブラブっぷりは、なんなんだ!ちょっとすれ違いっぽいことがあっても、すーぐ仲直りしちゃうんだから、犬も食わない状態ですね。いまだ寸止めなのが不思議なぐらいですが、よく考えたら江戸時代だった。そこまで開放的じゃないよな。
ともあれ、タイトルどおり、まさに桐緒の七変化で、お見合いを嫌がる翠連王の身代わりになって、豊満なスイカの体験をしたり、紗那王に黙って雲上の狐の里に行ったときには、他の人にバレないようにと、猫耳やらウサ耳やらの女中に変身させられてと、毎度毎度楽しいことやってるなあとニヤニヤです。紗那王がウサ耳萌えだったことには、驚いたりもしましたが、ま、元が桐緒だったら何でもいいのかもしれませんね。
斑娶りによって狐の里の勢力図が変わっていくことはわかってましたが、賛成・反対が想像していたのと反対方面だったのは以外でした。いや、よく考えればそうなんだけど。このあたりを知った桐緒がどう動くのかと思ったけど、相変わらず前向きに頑張る姿は紗那王じゃなくても惹かれるものがありますね。なんだかんだいいながら、多くの人に愛されてる感じが伝わってきました。
いやあ、面白かった。
随所にある紗那王の甘い言葉に、転がりまわりまくりましたが、ようやく最後、身分を明かすことが……というところで、一転しちゃいましたけど、さて、ふたりの邪魔をしたのはいったい誰なんだろう。今回手を出してきた例の人なのかなと思いますが、どんな思惑があるのか気になりますね。
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