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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん / 入間人間
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸
何の取り得もない街が、最近世間の、特に警察の注目を集めているのは、連続殺人事件とひとつの失踪事件が相次いだからだ。その誘拐事件を起こしているのが、聡明で容姿も端麗なクラスメイトの御園マユだと誰が知ろう?かつて、一緒に壊され、一緒に狂った仲間として、彼女は僕にだけ気を許してくれているが……
かつて小学生だったまーちゃんとみーくんが誘拐されてから、8年後。再び小学生が誘拐される事件が発生したが、誘拐犯は、以前の被害者まーちゃん。彼女は以前の事件の後遺症で、心が壊れていて……というお話。
う~ん。小学生を誘拐した壊れた女子高生まーちゃんと、彼女のやっていることを知りながら、止めるわけでもなく見守るみーくんという感じだったので、どんなに重苦しい話になるのかと思ったら、それほど酷いことにもならなくて、なんていうか物足りなかったです。もっとグッチョリといけるだろうに、ああ、もったいない。
そのグッチョリさというか、残酷さが存分に出てたのは、まーちゃんが過去に誘拐されたときの話ですね。いきなりすべてを明かされることはないですが、各章の頭に、当時の様子を思わせるやり取りがあって、これが心に痛くて。その上、少しずつ明かされていく事件の内容には、心が壊れても仕方ないと思わせるものがありました。この過去編は良かったです。
同じ過去を経験したとして、彼女はみーくんにだけ心を許すわけですが、そのみーくんが何をしたいのか、いまいちわからなかったのが、微妙だったかな。まーちゃんを守りたいという感じは伝わってくるものの、何でもかんでも「嘘だけど」でかわしてるせいか、煙に巻いているというよりは、軽さばかり感じて、どうにも好きになれなくて。
とはいえ、いろいろと疑惑やら不安やらを煽られていくところは、なかなか良かったですよね。特にカウンセラや警察の人とのやり取りは、コミカルでありながら、ちょっとサスペンスさがあって楽しめました。こういうところ、もっと欲しかったかも。
変なテンションだったり、会話のテンポが妙に良かったりするので、雰囲気は悪くないんですが、いかんせん、誘拐・監禁ものですから、何とも言えない気分になりますね。でも、読後感は悪くないから不思議だなあ。
みーくんの「嘘つき」っぷりに、思わずにやりとさせられる最後でした。
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2 善意の指針は悪意
先日の事件で大怪我を負って、暇を持て余す入院生活を送っていた僕の元へ長瀬透が現れた。もう終わったこととはいえ、一年前まで付き合っていた人だ。まーちゃんに知られたら、何をしでかすかわからない。
そう思っていた最中、なんと、まーちゃんが入院してきた。何者かに花瓶で殴られたのだ。誰がやったはわからないというまーちゃんは、別のことで驚かせてくれた。最近何かなかったという問いに、こう答えたのだ。「死体を見つけた」と……
というわけで、公になっていない死体を発見したことで、まーちゃんが何者かに狙われてるのではないかと、みーくんが事件解決に向けて動いていたら、昔の彼女が現れて……みたいなお話です。前作に比べたら、インパクトという点では弱いですが、素敵にラブコメなところがあって(ちょっと変則的だけど)、個人的には好きだなあ。
まーちゃんとみーくんのバカップルっぷりも楽しいんだけど、それ以上に面白かったのが、元カノである透とのやり取りですね。さりげなく、かつツボを突くみーくんの言葉に、悶えながら照れまくる透が、面白くて可愛くてしょうがないです。危うく、まーちゃんから乗り換えようかと思うほどでしたよ。
特に授業ノートのシーンは最高でした。みーくんが見つけてしまったイラストのみならず、他にどんな落書きが書いてあったのか、とても気になる。
そんな元カノのおかげで、まーちゃんが何かしでかすんじゃないかとドキドキさせられましたが、何かとみーくんがうまく立ち回ってて、やるなお主気分。ただ、ひょっとしたら、まーちゃんは何か気づいてる……?気がしないでもなくて、みーくんとまーちゃんの関係は、また違った視点があるのかもと思わされましたね。
死体にすら嫉妬するまーちゃんが、可愛くも恐ろしいですが、さらに恐ろしさを感じるのは、まーちゃんを狙う/利用する者たちの心境ですね。追求されたときにキレた例の人よりも、毒を使いながらも「ふーん」って感じで流す人のほうが怖かった。罪の意識を感じない悪意に、ゾクリとさせられます。
謎を解明するシーンでの説明が長いかなあと思いましたが、かつての事件にリンクしていくところで、悪意の重さを痛感する次第。相手を追い詰めてるわりには、緊迫感があまりなかったのは残念ですが、誰であれ、まーちゃん以外の人には容赦ないみーくんが、実は一番病んでるのかもと思いました。
ちょっと物足りないところもあるんですが、面白かったですね。いろいろと気になるところがあるので、続編がでたら、今度はすぐさま手にとってみたいと思います。
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生
バレンタインの季節に、僕のちょっとした一言から、ダイエットを始めたまーちゃん。包丁で体の肉をそぎ落とすのを辛うじて止めて、何とか普通にジョギングと称した散歩に誘導することができたが、ある日、疲れ切って寝ちゃったマーちゃんを背負って、夜道を歩いていたとき、目の前に女の子が現れた。血染めの服を着た女の子は、死んだはずの妹にそっくりで……。
そして次の日、朝礼で美化委員会の委員長が惨殺されたという知らせがあったとき、僕は妹のことを思い出して……
動物連続殺害事件の標的が人間へと変わってきたころ、死んだはずの妹がみーくんの前に現れて、というお話。
バレンタインの季節っていことで、表紙はチョコをまーちゃんですが、みーくんのために尽くしたり、じゃれてくる姿がとても可愛い……んだけど、8年前のチョコとか渡されると何気に怖いし、みーくんが女の人とちょっと触れ合っただけで、グラウンドを整備するトンボが飛んでくるんだから、嫉妬の怖さがハンパじゃない。まーちゃんに言い訳するみーくんの言葉が、何気に甘くて好きだったりしますが、命がけだから大変ですね。
さてさて、みーくんの妹らしき人が現れてという展開。そもそも、みーくんに妹がいたかどうかすら忘れてたので、突然出てきた感があったんですが(ええ、忘れっぽいさ)、幼い頃から妹に虐げられてたみーくんの過去に涙を誘われるばかり(面白いけど)。
生きているのかいないのかわからない状態で話が進みつつ、ついに現れた女の子とのやり取りが、とても微笑ましい。いや、足蹴にしまくったり、ナイフつきつけてきたりする凶暴な女の子なんだけど、みーくんが危機感を見せないので、ツンな子にしか見えなくて……って、僕の頭は茹だりすぎかもしれない。気をつけないと。
まーちゃんと女の子だけじゃなく、学校の生徒もいい味出してたなあ。みーくんに冷たい同じ委員会のクラスメイトや、まーちゃんを狙ってる軽薄な男など、何とはなしに不安を呼び寄せてくれてましたが、個人的大ヒットしたのは、みーくんと同じ部活にいる伏見さん。文字で他人との意思疎通を図る変人さんですが、そんな彼女が感謝と肯定の言葉を放ったことに、やられました。さらに、そのあとの動揺しまくり&修学旅行のお土産にかまけてアケチするところには、惚れるしかない。
いや、実らない恋だし、僕としてもまーちゃんの方が好きなんだけど、それでも、まーちゃんに気づかれないよう頑張ってねと応援したいかな。
そんな具合に、登場人物たちの関係や心情から見える壊れた日常は、とても魅力あるんですが、それ以外がちょっと物足りないかなあ。まーちゃんを連れて、事件の捜査ができないってのは、結構足かせなのかもしれない。いや、犯人とか以外だったし、面白かったんだけど、まーちゃんや妹話のほうがインパクト強くて。
特に最後のまーちゃんvs女の子のときは、まーちゃんの恐ろしさ爆発しまくってたので、事件なんてそっちのけでした(僕の意識の中では)。
クラスメイトが歯牙にかかったのは、仕方なくも哀しいものがあるなあと思ってたら、そうか、そうきたか。最後の1ページで、絶たれた望みが心に痛くてしょうがない。
ところで、まーちゃんは何か気づいているのかしら?ちょっと気になる。
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