マーベラス・ツインズ / 古龍
マーベラス・ツインズ 1 謎の宝の地図
育ての親である「十大悪人」たちの目から逃れ、生まれ育った悪人谷を出た小魚児は、旅をしているときに、「宝の地図」の存在を知った。お金よりも、武術の達人たちがこぞって狙っている事に興味を持った小魚児は、「宝の地図」を持っているという鉄心男を騙して弟子としたが、小仙女、黒蜘蛛、碧蛇神君などなど、手達のものが次々と襲い掛かってきて……
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が、宝の地図を巡る争いに参加して混乱をまいていたら、というお話です。
これは面白い。悪人に育てられただけあって悪知恵ばかり働いてて、騙そうとする商人を逆に騙し、力で及ばない相手には、姑息だったり、卑怯な手を使って倒していくという姿が、何とも楽しい。常に何かを隠し持ってる様子があるから、次は何をやってくれるんだろうとワクワクさせられます。期待してたら、本当に追い詰められてたりするあたりが、また予想外で引き込まれる。
女に対して騙されるものかと構えて接することが多いのは、悪人に育てられたってことで仕方ないのかもしれませんが、気になっていろいろ面倒みちゃうあたりが、悪人になりきれてないですよねぇ。悪党っぷりがいいわりに、こういう情を見せてくれるあたりが、彼を憎めない原因かな。まあ、優しさを見せるのは、今のところ心蘭を相手にした時だけですけど。
何かと突き放そうとしながら、でも離れられない姿に、まったく子供なんだからとニヤニヤしてますが、さて、このあたりは今後どうなるかしら。
今回多くの達人たちが登場してましたが、今のところは顔見世って程度かしら。誰も彼も二つ名を持つ人だけに、今後も登場してきてくれるかな。小魚児の口八丁に騙されてた人たちが、次に会ったとき、どういう思いを抱くのかが、今から楽しみだったりする。
ちなみに一番好きなキャラクタは、暗器の使い手である一族の娘・九妹です。強さと美貌を兼ね備えた少女で、落ち着き払った態度には、老成したものを感じますが、小魚児にからかわれるうちに、子供っぽさを見せてきちゃうあたりが、とてもカワイイ。
なんだかんだいって、小魚児のことは気に入ってる……かどうかは微妙か。あんなことしやがったし。
とはいえ、小魚児に対して、複雑な感情を持っていることは間違いないと思うので、今後九妹や、彼女と義姉妹の契りを結んだ小仙女こと張菁の動向が気になるばかり。
最後に来て、花無缺なる美少年が登場しましたが、どうやら、小魚児にとっての因縁の相手になるみたいですね。って、どういう関係かは、わりとあからさまな気がしますが、それはそれ。
三月に続きの「地下宮殿の秘密」が、四月には三巻が出版される予定とのことなので、因縁がどういう具合に明かされて、今回登場した人たちが、どう絡んでくるのか、楽しみです。
マーベラス・ツインズ 2 地下宮殿の秘密
花無缺(かむけつ)の手から逃れた小魚児(しょうぎょじ)は、なまめかしくも妖しい、ふしぎな美女と出会う。彼女に導かれるまま、地下深くに眠る宮殿へと足を踏み入れた小魚児。そこには、数々の仕掛けと謎に満ちた部屋がたくさんあり、女王にかしずく大勢の美少年たちがいた……。
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇の第二弾。今回は、花無缺の手から逃れた小魚児が、妖艶の美女に連れられて、謎に満ちた地下宮殿に足を踏み入れるお話です。
相変わらずの小魚児の悪童っぷりが痛快です。度胸はあるし、ハッタリのきかせかたはうまいしで、悪人どもが可愛がるのがよくわかる。今回は美少年を侍らす十大悪人が出てきましたが、小魚児を「皇后」にしようとするなんだから、気に入られっぷりが半端ないなあ。
口と態度でOKをしつつ、裏で画策するのはいつものことですが、今回はそこに「后」として侍らされていた江玉郎が絡んできたから、楽しかった。普段は卑屈なまでに下手に出ておきながら、裏の顔を見せたら、かなり冷酷というか残酷というか。1巻でも残酷な人はいたけれど、ある意味、裏表がなかったから、それほど嫌悪を抱くことはなかったんですが、江玉郎は、あー、いやだいやだ。
とはいえ、ピンチの時は小魚児を持ち上げて、自分に有利な状況になったら、態度を一変させるところは、見慣れてくると面白くなってくるんですけど。地下宮殿の八角形部屋で繰り広げられたやり取りは、どうやって殺すかという緊迫感あふれるシーンのはずなのに、コントのような面白さがありました。
なるほど、第二のライバルか。
その後も、姑息な江玉郎の策を、楽しげに避けていく小魚児という展開が続きましたが、どちらかというと、前作よりも小魚児本人の力で切り抜けたっていうのは少なかったかな?いや、江玉郎を相手取るときは、ちゃんと機転利かせてるんだけど、江玉郎に手を貸す者たちを相手にしたときは、どちらかというと助けられてるって感じだったので。
まあ、助けてくれたのは、小魚児を気に入った人ってことを考えると、一概に活躍してないとは言えないかもしれないけど。
ともあれ、今度こそは絶体絶命と思ったら、意外なところから助け舟が来て、おやおやと安心するのもつかの間、相変わらず、相手の隙を突くのがうますぎです、小魚児。僕だったら、完全にだまされてたよ。
前作の宝の地図の謎が解けたときは、思わずポンっと膝を打ってしまいました。
いやあ、面白かったなあ。
不満があるとしたらひとつだけ。
前作であれほど魅力的だった女性陣が、今回はほとんど出てこなかったことです。ああ、九妹が見たかった……。鉄心蘭も、最後のほうにちょこっと出番があっただけだったし、とても物足りないです。
ただ、ただ、その最後のちょこっとで、鉄心蘭はやってくれましたけどね!
好きな人のために体を張る姿には、思わず心打たれるものがありましたが、次に二人が出会えるのは、いつになるんだろう。
この巻から次の巻へは、三年の時が流れるようなので、それ以降なのかなあ。
次に鉄心蘭と会ったら、絶対離さないでほしいですね。
マーベラス・ツインズ 3 双子の運命
「彼らは双子の兄弟だから、知恵も実力も、きっと大差ないはずよ。たがいに戦えば必ずどちらかが死ぬことになるわ。兄弟同士が血みどろになって殺しあう。どう、おもしろくない?」
「なるほど。おもしろい……」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇の第三弾。今回は、小魚児がどうして悪人谷で育てられることになったのかということが明かされる、十四年前の過去物語です。
小魚児と花無缺の関係については、予想通りでしたが(題名が題名だしね)、両親の最後がやるせないです。愛するものが手を取り合ったら、倒れる羽目になるんですから。
っていうか、何で強い人たちはこんなに悋気が強いんだろと思わなくもない。
おかげであわや状態の小魚児だったわけですが、憐星宮主の機転……というか、あれは助けようとしたのか、それとも容赦ない思いなのか、いまいちよくわからないけど、結果として小魚児としては助かったから、良かったと思うことにしよう。
とまあ、そのあたりはわりとどうでもよくて、「神剣・燕大侠」と呼ばれる燕南天が出てきてからが、武侠小説っぽくて楽しかった。なんて強さだ。
強いだけじゃなくて、弟のために怒れる姿や、黄金には見向きせずとも、傷ついた燕は助けてあげる心意気とか、真っ直ぐな漢って感じで、格好いいったらありゃしない。
そんな強さと心を兼ね揃えた燕南天でさえ、悪人谷に足を踏み入れるのが躊躇するっていうんだから、恐ろしい場所だよなあ。力のみならず、人の隙をついていく卑怯さが、一瞬の油断も許してくれなくて、ああ、もうドキドキハラハラ。
これならきっと……というあたりを容赦なく吹き飛ばすあたり、心痛むものがありますが、なるほど、こういう過程で、小魚児が悪人谷で育てられることになったのね、と納得。
それにしても、悪人谷の連中は、どう考えても、ひどい連中ばかりなのに、なぜか憎めないのは、小魚児を育てたってあたりが関係しているのかなあ。だんだんと、小魚児が手に負えない悪ガキになっていくところは、面白いものでした。
いつか再会することがあるのかもしれませんが、まあ、そこはいいや。むしろ、気になるのは二巻の続きですよ。
どうやら次の巻で、二巻から三年たった物語が始まるようです。しかもしかも、花無缺や鉄心蘭、さらには九妹にまで再会するとか!?これはとんでもなく楽しみ!
副題となってる「だましあい」にも注目したいですね。
マーベラス・ツインズ契 (1)だましあい
「おまえって、利口なのか馬鹿なのか、全然わからないね」
小魚児はため息をつくと、彼女に背をむけ、遠い虚空を見あげた。
「俺は馬鹿でいたかったんだけど……。どうやらそうもいってられないらしい」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇シリーズの第四弾。ようやく第二弾の続きです(第三弾は過去編)。小魚児が十四歳から十七歳へとなって「契」なる冠がついた新章の始まり。
いやあ、面白かった!!
花無缺を前にして、逃げることしかできなかったことにショックを受けて、落ち込んでいく様は、今までの明るい性格を知ってると、うそのように思えるけれど、初めての挫折というのは、やっぱり辛いですよねぇ。しかも、支えてくれる人はいないんですから……と思ったけど、やる気なく、ただただ生きていくだけの小魚児を、構ってくれる人が行く先々でいたってことを忘れちゃだめですよね。
見世物一座の看板娘・紅珠の思いに応えられないところは切ないですけど、それだけ小魚児の心に、鉄心蘭が深く刻まれたんだなあと思うと、早く再会してほしい気持ちでいっぱいになりました。
今回一番印象に残ったのは、小魚児が変わっていく様子ですね。今までは、悪戯好きで、ただただ騒ぎを起こしてるだけだった子供が、挫折を知り、胸の痛みを知り、人の温かさを知って、義侠心が生まれていくところが良かったです。弱き人たちをさりげなく守っていくところとか格好いいですよねぇ。
そんなとき、天下に名高い鉄無双が、悪人たちにハメられていくのを知ったら、しかも悪事を働く者が、表立っては善人として尊敬されてる連中だったら、そりゃ小魚児も義憤を覚えるよなあ。情報を集め、謀略を阻止すべく動く姿に、応援したくなりましたよ。
相手の謀略を次々と看破しながら、逆に相手をハメるべく策を練る姿は、やっぱ痛快だ。こういうところを見ると、復活してきたなあって気がしますね。
意外なところで意外な人と出会ったりしてましたが(九妹とか、黒蜘蛛とか!)、昨日の敵は今日の友という感じで、敵を倒すためなら、悪人だろうがなんだろうが、手を組めるところが、小魚児の強さだと思いました。花無缺じゃ絶対そういうことやらなそうな気がする。
おかげで大ピンチを迎えることになったけど……と思いきや、実は先の先を読んで逆転手を作っていたところに、大興奮!こっちからつなげてくるとは思わなかった!いったい、このだましあいは、どうなるっていくんだろう。
すっごいいいところで終わってるので、続きが待ち遠しくて仕方ないです。
マーベラス・ツインズ契 (2) めぐり逢い
「あんたは、どうあっても江別鶴をやっつけたいみたいだね」
「人をやりこめるんなら、奴みたいな善人の仮面をかぶった悪人を狙ってこそ、やりがいがあるってもんだ。まじめで誠実な人間をやりこめたって、おもしろくもなんともないからね」
「あんたのいうのもわかるけど、悪人をだますのは大変だよ」
「だから、おもしろいんじゃないか」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇シリーズの第五弾。小魚児が十四歳から十七歳へとなって「契」なる冠がついてからは第二弾ですね。善人の顔をした悪党・江別鶴の化けの皮をはがすために、小魚児が奮闘するお話です。
いやあ、面白かった。っていうか、こんな展開になるとは思ってもいませんでしたよ。驚いたけど、ますます面白くなってきた。
相変わらず小魚児はずる賢くて、詐欺仙とか呼ばれるような人すら手玉に取るところとか、ニヤリとさせられるなあ。十大悪人より伝授された変装術とか大活躍で、江別鶴を追い詰めるための包囲網を着々と進めていく展開が、楽しくてしょうがない。
こういうとき、ぎりぎりで逃げられてしまうのは、お約束というところでしょうけど、まったくもってツメが甘いというか、男や大人の感情を利用するのはうまいけど、自分に寄せられる感情を利用することができないあたりが、まだまだお子様というところでしょうね。それがまた魅力なんですけど。
小魚児の前にいるときの三嬢と九妹はほんと可愛くて、鉄心蘭はもう諦めてもいいんじゃね?と言いたくなった僕がいる。
ただ、策が変な方向にいったとき、立ちはだかったのが、花無缺で。
なんていうか、こう、あまりにもまっすぐでまぶしい男ですね、彼は。無理難題を吹っかけられても、力と機転を利かせて、さらりとクリアしていく姿は、惚れ惚れするものがありました。そりゃ、小魚児もあんなの見せつけられたら、素直になれないよなあ。
せっかく鉄心蘭と顔を合わすことができたのに、天邪鬼なんだから。
そんなこんなしているうちに、十大悪人のうち5人が悪人谷から出てきて、その理由の一端を担った男が、小魚児の前に現れてくれるから、さらに面白いことになってくる。十大悪人は、世間一般からは恐れられてる悪人たちだけど、小魚児のことは可愛がってるようで、小魚児も懐いてて、腹の探り合いをしつつも、どこか和やかな雰囲気があって、良かったです。
そして、十大悪人すらおびえる男の登場で、小魚児の意識が変わっていくところもまた良かった。三ヶ月後に戦おうと花無缺に言い渡したときの小魚児を見ていると、人というのは、ほんの一瞬でも大きな成長するものなんだなと思いました。
さてさて、約束の日を交わした後に、まさか二人が……となるとは思いもしませんでしたが、確執があった相手でも、思い切って言葉を投げかけられるのが、小魚児の良さですよね。
花無缺もまた、新たな思いを胸にすることになったみたいですし、これからさらに楽しみです。
マーベラス・ツインズ契 (3) いつわりの仮面
「この世では、人の想像を超えることがよく起こるものさ。そんなことが毎日いくつも起こってるんだ。俺たちだって、数日後には再会しているかもしれない」
「そんな奇跡が、都合よく起こるでしょうか……」
少し表情を曇らせていった花無缺に、小魚児は片目をつぶった。
「俺が奇跡を信じていなかったら、いまここで、どうして笑っていられると思う?」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇シリーズの第六弾。小魚児が十四歳から十七歳へとなって「契」なる冠がついてからは第三弾ですね。小魚児と花無缺が期限付きの友人となる中、江別鶴の悪事が見え初めて……というお話。
あー、面白かった!
今まで無類の強さを誇りながら、どこか自分の意思というものを感じさせなかった花無缺が、小魚児との付き合いから、少しずつ自分というものを感じさせるようになってくれて嬉しいです。師の命令と友との約束に葛藤する姿は、とても人間らしいし、相手の幸せのために私心を押し殺す姿とか見てると、いい男になったなあと思います。今回のお話は、花無缺の成長を大いに感じました。
一方の小魚児は相変わらず面白いことをやってくれてます。銅先生という圧倒的強者を前にしても、からかいながら自分のペースに持っていってしまうんだから最高です。絶体絶命のピンチなのに、つい笑わされてしまう僕がいました。いや、相手してる銅先生からしたらイラついてしょうがないと思うけどね。よくぞ耐えてるものだと思いながら、歯軋りする銅先生の姿にニヤニヤ。
とまあ、楽しさがいろいろありながら、悪人たちもしっかりがんばってますね。江別鶴と江玉郎がほんとひどい。はじめっから悪いやつという認識があるせいか、十大悪人のほうがよっぽどいい人に見えるから不思議です。
それでも江別鶴は、疑心暗鬼というか、自分を基準に考えてしまうが故に、ボロを出し始めてるから、よっしゃよっしゃと思うんだけど、江玉郎は……。ただでさえ姑息なのに、さらにああいうことするか。そしてそういう男に引っかかっちゃう女を見ると、ちょっとアレです。なまじ、小魚児と一緒にいるときの姿が、ほんと可愛いかったから、可哀想になる。
まったくもって、どうしてあの親子はこんなギリギリのところでも逃れることができるんだろうと、勝手にぎりぎり思ってたら、本当の意味での大侠と呼ばれるにふさわしい人が、あんなやられかたを……。思わず涙を誘われるばかり。
いやあ、ほんと面白いな。
江別鶴や江玉郎がどうなっていくのかはわかりませんが、ぶっちゃけ今はそっちはどうでもよくて、一番気になるのは花無缺ですよ。彼の行く道は、今までにない険しさがあると思いますが、それでも進んでいくことでしょう。
さて、運命はどう転がっていくのか、続きがとても楽しみです。
マーベラス・ツインズ契(4) 貴公子の涙
「わたしたち三人一緒に、楽しくお酒を飲める日なんてくると思う?」
「どうして、こないと思うのです?」
花無缺は、なにげないようすで続けた。
「この世では、毎日いくつもの奇跡が起こるのだそうです。だから私たち三人だって、いつの日かきっと一緒に酒を飲める日がきますよ」
ありとあらゆる悪の限りを尽くした悪人たちが隠れ住む悪人谷で、「十大悪人」に育てられたという少年・小魚児が繰り広げる冒険活劇シリーズの第七弾。小魚児が十四歳から十七歳へとなって「契」なる冠がついてからは第四弾。小魚児に危険が迫ることを知った花無缺の前に、悪辣なものの手が伸びてくるお話です。
いやあ、面白かった!新たに登場したキャラの魅力はたっぷりで、小魚児も相変わらず痛快なことをしてくれて、読み始めると止まらないとは正にこのことです。しかも、今回は花無缺が……。
強く正しく優しく。何もかもが抜きん出てる花無缺ですが、そんな彼にもたったひとつ、人の良さという弱点があって。これを利用して、のさばる悪党どものやり方には、正直ムカっときましたね。特に前巻から小悪党っぷりを発揮しまくってる江玉郎の野郎は!
ヤツの毒牙が忍び寄ってくる鉄心蘭のシーンは、花無缺の窮地を知っていても、それでもなお、お願いせざるを得ないものがありました。よかったとホッとする間もなく、次々と花無缺に降りかかる火の粉は、見てて痛々しいものがありました。
それでも決して誇りを失わず、自身の命を削ってでも鉄心蘭を苦しめないための嘘をつき。ああ、花無缺。君ってやつは……。男としてのプライドを感じます。
ま、因果応報というか、やったことに対しては、当然報いがあるんですけどね。今回新たに出てきた美女の蘇桜が、いやはややってくれる!小魚児とタメをはる口達者っぷりと、武力こそないものの医療の腕を利用して、並み居る武侠どもを相手に一歩も引かないあたりが素晴らしかった。江玉郎を懲らしめてくれたときには、拍手喝さいしてしまいましたよ。
どうやら、小魚児を追いかけてくるっぽいので、次以降の出番も大いに期待したいです。個人的には、小魚児よりも花無缺を相手にしてほしいんだけど、どうなるんでしょうね。
前半は花無缺の話でしたが、後半は小魚児のターン。花無缺がやられた手口を華麗に切り抜けるあたりは、さすがというところでしょうか。今まで溜まってたフラストレーションが、一気に吹き飛ぶ痛快さでした。しかも、意外な優しさも見せたりしてくれたりして、ちくしょう、惚れてしまうぜ。ほんと魅力的な男ですね。
最後にきて、更なる展開が待ち受けてるとは思いませんでしたが、いったいあそこで何があったんだろう?すっごい気になりますね。どうやら続きは、「マーベラス・ツインズ絆」の冠で登場するみたいですが、これが最終章となるのかな(何冊になるかはわかりませんが)。
とても楽しみなんですが、不安が一つあります。それは、巻末には次巻の予定が「ケータイで配信」としか書かれていないこと。お願いですから、本でも出版してください、コーエーさん……。
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