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メイド刑事 / 早見裕司

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メイド刑事

若くして警視庁長官を勤める海堂を主人に持つ葵は、国家メイド検定特殊の資格を持つ日本でも最高のメイドだった。
ある日、主人である海堂が捜査に行き詰っていることを告げた。
不正の証拠をつかまねば刑事告発はできない。潜入してほしい、と。
始めは断った葵だがご主人様のために、メイドとして彼の家に潜入することになった……

題名にメイドなんてありますが「萌える」ではなく「燃える」内容。
犯罪の可能性があるところへメイドとして潜入し、内偵をすすめるといった感じのストーリィ。
いわゆる「スケバン刑事」のメイド版というか(スケバン刑事よく知らないけど)、時代劇の主役がメイドになってるみたいな感じで、8時40分には「この紋所が……」みたいに完全パターン化している展開。これがまたレトロに熱くて面白い。

それだけじゃなくて、お屋敷に内偵している間は、真剣にご奉仕するという姿勢がとても印象的。
出てくる人も悪い人だけじゃなくて、いい味出している人もいるし、メイドものというよりは、人情ものとして面白いと思います。

これはある意味安定したレベルで続けられると思いますが、できればもう少しはっちゃけたものも読んで見たいかも。

メイド刑事<デカ> (GA文庫) - 早見 裕司

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メイド刑事 2

メイド刑事 2 (GA文庫) - 早見 裕司

御主人様の頼みなら、そう思っていたが、まさか見合いをしろと言われるとは思わなかった。必死になって断ろうと思ったが、どうやら捜査のためだとか。聞くところによると御主人様の後輩が結婚しようと見合いをすると、相手が必ず事故死をするらしい。
いくらなんでも怪しいということで、葵が見合い相手を勤めることになったが、相手は元公爵家。身分を重んじるため、見合いまでの間、葵は茶道から何まで特訓を受けることになったが……。

展開はワンパターンではあれど、華やかな芸能界の裏側や、お見合いから花嫁衣装を着たり、ドレスを着て同窓会へ出席したりと、趣向はさまざまなに凝らされています。流れメイドもさらりと出てきていいところを持っていくしで、安定した面白さ。

葵の情に厚く、義理堅い性格は相変わらず。たとえ雇い主であろうと強気に出て納得させ、アフターケアを忘れないところがいいです。
御主人様である海堂がほんの少しだけ柔らかくなったというか、葵を見る目が変わってきたかなと思う描写がちらほら。恋に発展するかどうかはわかりませんが、この関係は結構好きですね。

今回は何と言っても「悲しき同窓会!葵の王子様」でしょう。過去の事件を解決するために、散々虐められていた中学時代の同窓会に出席するお話。
葵の過去がまたまた明かされ、意外な事実が発覚しと、まさに人間ドラマ。ひょっとして最終回?と思うほどの展開でしたが、最後の最後で取り逃がすところがニクイね、この。まだ終わってほしくない身としては、うれしい限りだけど。

ひょっとしたら毎回三編収録されて、そのうちのひとつが葵の過去関係ものになるのかもしれませんね。

メイド刑事 2 (GA文庫) - 早見 裕司

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メイド刑事 3

メイド刑事 3 (GA文庫) - 早見 裕司

レディース時代の妹分である曜子が、とんでもないはねっかえりの娘がいるため、屋敷で引き取ってもらえないかと葵を訪ねてきた。
何を言ってるんだと怒鳴りつけたが、どうやらご主人様でも葵にでもなく、執事である朝倉さんに引き取ってもらいたいのだという。
ルカと言う名の小さくて生意気な世間知らずの娘は、何と朝倉さんの孫だったのだ……

朝倉さんの孫が持ち込む騒動の「怪奇!幽霊の棲む館 爆裂娘登場」と、ついにライバル登場な「葵、爆殺三秒前! 白薔薇は死の香り」の二編からなる作品です。

朝倉さんの孫が関わる話は、コミカルで、でも熱くてと、まさにメイド刑事の王道といった感じでした。屋敷に置いてもらう代わりに仕事をするという事で、メイド見習いになったルカですが、彼女の小生意気さに手を焼く葵が面白ですね。ついついいつもと調子が狂ってしまう葵が何かかわいいです。さすがの朝倉さんも孫には弱いところが笑えます。

個人的には仕事を投げ出してきたルカに対して、曜子が放った言葉が印象的でした。自分に負けているということを指摘する姿は、まさに総長にふさわしい貫禄でした。突き放す優しさもあるんですよね。いやあ、かっこよかったなあ、曜子さん。

葵の仕事っぷりを見せつけられて、さくら夫人の料理に衝撃を受けて、いろいろ体験しながら、少しずつルカが変わっていくところがとても良かったですね。この話、大好き。

もう一編の「白薔薇は死の香り」。こちらはシリアス一辺倒でした。クイックルワイパーで銃弾を跳ね返すほどの葵ですから、ほとんど無敵かと思っていましたが、ちゃんと出てきましたよ、宿命のライバルが。それも白メイドで。
登場当初から怪しさ爆発な貴美香でしたが、木ノ上に連なるものってことで、いろいろ画策してくれますね。わりと一直線な葵ですから、徐々に追い詰められていくという展開はなかなか良かったです。気がつけばニキータがいたり、まさかのルカ登場だったりと、にぎやかだったなあ。

あそこまで追い詰めておきながら、なぜ……といいたくなるお約束は相変わらずですが、どういうストーリィ展開になるかというのが、わかりきっていても楽しめる面白さはさすがですね。

今回は海堂さんが葵に優しい言葉をかけるようなシーンが見られなくて、ちょっと残念でしたが、次はシリーズ初の長編だとか。これは楽しみですね。

メイド刑事 3 (GA文庫) - 早見 裕司

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メイド刑事 4

メイド刑事4 (GA文庫) - 早見 裕司

特別に治安がいいと言われている姉尾県は、この半年で刑事事件が一件もないという。だが、暗殺集団がいるという噂、銃の横流しなど、警察自体に不審な動きが感知された。このことで怪しんで調査を行っていた人間と連絡が取れなくなったことを受け、葵は姉尾県の県警本部長・桜木の家へメイドとして、潜入したが……

恐怖を持って町の治安を維持する姉尾県に、葵が潜入したら、殺人犯として指名手配されて……というお話。シリーズ初の長編ってことのせいか、葵にピンチが襲い掛かりまくる展開でした。普段とは違った葵の弱さが見れたことが印象的です。

行く先々にニキータがいるのは、なぜかねと思いますが、この人がいるからこそ、安心できるところもあるので、まあいいか。それよりも、もうひとりのメイド、敵である真美香の双子の妹、真奈香がいい味だしてましたね。姉と同じように悪どいことに手をつけてますが、ひょっとしたらこちらのほうが手ごわいかもしれないと思ったり。今回は顔見せ的な感じでしたが、さて、次はどうくるのか。

姉尾県の内部は、どこの国だと思うような恐怖政治状態で、かつてこういう状態だったことがあったり、今でもこういう国があったりするんだろうなと思うと、ぞっとするところがあります。
国のためと称しつつ、ただただ自分のためであるところは、狂信的なようで、ただの駄々っ子のようにも思えます。犠牲になった人のことを思うとやりきれないところがありますが、海堂の堂々たる態度と怒りに溢れた拳には、熱いものを感じました。

そして何より、海堂が葵に対しての気持ちを見せてくれたのは、良かったですね。まあ、私的なものとは言いがたいかもしれませんが、大切に思っていることが伝わってきます。この思いが伝わってきたからこそ、最後の戦いにおいて、葵も踏ん張れたんじゃないかと思ったり。

今までのキャスト勢ぞろいって感じで、全員に活躍の場があるあたりが、定番的展開ではありますが、良かったですね。戦うのは平和を守るためと思わせてくれる、ラストシーンに温かいものを感じました。

個人的にはレディース総長の曜子が大好きなので、今回の大活躍っぷりには、思わず拍手。葵への手助けの仕方とか、読んでるだけでたまらない気持ちにさせられますね。
いつか、葵とふたりで何かやってくれたらなあと思わなくもないですが、どうなんだろう。

次はまた短編でのお話になるそうです。ゆるーいお話の三話構成とのことなので、これまた楽しみです。

メイド刑事4 (GA文庫) - 早見 裕司

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メイド刑事 5

メイド刑事5 - 早見 裕司

最近、ルカのようすがどうもおかしい。ふと気づくと仕事の手を止めてぼんやりすることが多くなってる。食欲も無いみたいだ。学校で何かあったのかと心配する葵だが、さくら夫人は、あっさりと謎を解いた。「あれは、お医者様でも草津の湯でも治せないものだよ」と。
まさか、あのルカが恋わずらい?と大騒ぎする中、色恋沙汰には疎い葵と、めっぽう強いと言い張るニキータが、ルカの恋の相談相手となり、孫バカの朝倉老人が必死に止める中、ルカは意中の人に声を掛けて……

悪徳リフォーマーに警笛を鳴らそうとするノンフィクション作家が狙われて、警察と知られないよう葵が護衛を勤める「その男、マザコンにあらず!葵の身辺警護」、ルカに初恋が?海堂家使用人が賛成と反対に分かれる中、決行されるルカのデート「一大事だよ全員集合!ルカの初恋大作戦!」、海堂家にワイドショーの取材が訪れる「暗殺者を捜せ!葵VS突撃美人リポーター!」の三編からなるお話です。

「ルカの初恋大騒動?」と帯に書かれてる時点から、楽しみにしてた「一大事だよ全員集合!ルカの初恋大作戦!」ですが、これが期待を裏切らないどころか、はるかに面白かったです。朝倉老人の祖父バカっぷりが、楽しいなんてもんじゃないですし、あの海堂までが、さりげなく気にしてるところで吹き出してしまいました。「氷の男」たる御主人様の意外な一面が可愛い。

こういった方面には疎い葵が、心配からデートを除き見ることになって、いつの間にやらニキータと朝倉老人までいて、彼とルカの行動に一喜一憂しながら後をつけていくところは、お約束が多いけど楽しかったですね。はじめは、それほどでもなかったのに、だんだんと野次馬気分が膨れあがっていく葵を見てると、ああ、やっぱり女の子なんだなあと思います。

浮かれるルカの様子から、どちらかといったら、恋に恋して、みたいな感じがありましたが、おぼれることなく、相手のことをきっちりと自分で判断した姿は、今までに無いルカを見ることができたと思います。ちょっと切ないけれど、これから素敵な恋を見つけてほしいですね。

その男、マザコンにあらず!葵の身辺警護」は、悪事を暴こうとしたために、狙われることになったルポライターの身辺警護をするお話って事で、メイド刑事の王道展開ですが、毎度の事ながら、葵の言葉のかっこよさが光ります。頑なな相手の心を開かせて、周囲への気配りも忘れず、気づけば誰もが彼女を受け入れていくところは、悪人退治話よりも好きだったりする。

暗殺者を捜せ!葵VS突撃美人リポーター!」は、まあ、タイトルどおり、芸能リポーターが海堂家に来るお話なんですが、ぶっちゃけそのあたりはどうでもよくて、最後ですよ最後。いまだ捉えることのできない木ノ上ですが、ようやくしっぽをつかんだかと思ったら、相手が……。

次あたり進展はあるかもしれませんが、ある意味とかげの尻尾になるのか、それともまた別の方面があるのか。まだまだ続きそうなんですけど、個人的にはそろそろ、終わりの影を見せてほしいところ。「あの方」の話とかぜひ。

メイド刑事5 - 早見 裕司

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メイド刑事 6

メイド刑事 6  - 早見 裕司

ご挨拶と称して、貴美香が警視庁特捜犯へ電話をかけてきた。避暑へ向かう大臣を狙うことを匂わせながらも、あくまで挨拶の範囲であり、警察が動けるような法的根拠はない。そこで、葵とルカが護衛として、避暑へついていくことにしたが、追い詰められた木ノ上が持ち出した罠は、狡猾に張り巡らされていて……

ここは冥土の一里塚……ってことで、メイド版スケバン刑事シリーズの第六弾。今回はさくら夫人が料理対決する短編と、木ノ上との決戦が描かれる中編からなるお話です。

炎を呼ぶ料理対決!さくら夫人の秘密
二十五年前。その道のプロとして名のあるさくら夫人の行為によって、家庭が崩壊したという男が、復讐の料理対決を持ちかけてくるお話なんですが、うーん、っていうか、年齢と状況を考えたら、気づかないほうが不思議……と思ったけど、そこに気づかないような人だからこそ、責任というのを取り違えてしまうのかもしれませんね。
っていうか、息子の慶一まではともかく、嫁と葵も気づかないなんて……。いや、葵はそのあたりは鈍いか。

料理対決そのものよりも、さくら夫人の料理を食べられなくなったことで、いつもとちょっと違う葵が見れたのは面白かったですね。それ以上に面白かったのは、慶一の変わりっぷりですけど。唐突な改心の仕方に、ユーモアを感じてにやり。

木ノ上、タイマンで来い!国務大臣暗殺計画
避暑へ向かう大臣の護衛についた葵の前に、ついに木ノ上が姿を現して……というお話。
これは面白かった。追い詰められた木ノ上の行動と、それに対する葵たちの間に生まれる緊張感が、とてもよかったですね。葵が格好いいのはいつものこととして、ルカの成長が見えたことが、個人的には嬉しかったかな。いつかメイド刑事ルカ版を見てみたい。

それはともかく、今までの失敗続きを挽回するために、木ノ上が自ら動き始めるんですが、このあたりを裏で操る貴美香たちの嫌らしさったらないなあ。利用するつもりが利用されていることに気づいたときには、もう手遅れなんですが、切り捨てるときでも最後の最後まで使い続ける悪党っぷりが素敵。

直接対決を迎えるまでに一波乱あったし、踊らされた上に、生き残れたのは運がいいだけだったというのは、悔しいと思いますが、それでも、葵にとってひとつの決着がついたことは良かったですね。
個人的には、海堂との仲をもうちょっと進ませてほしいと思ったんですが、それはまた今度のようですね。残念。

メイド刑事 6  - 早見 裕司

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メイド刑事 7

メイド刑事 7 (GA文庫 は 1-7) - 早見 裕司

「皆さんを、ここに集めていただけますかな」
「まさか、もう犯人が分かったので?」
松浦は驚いたようだった。葵もだ。今までのやりとりで、いったい、何が分かったと言うのだろう?
「それなりの自身は、持っていますよ」

ここは冥土の一里塚……ってことで、メイド版スケバン刑事シリーズの第7弾。今回は、執事の朝倉の探偵物語と、地上げに対抗する大家族を葵・ルカ・ニキータが助けるお話と、知性を持ったコンピュータと葵の交流を描くお話の三編からなる一冊です。

何といっても一番面白かったのは、朝倉老人の探偵物語でしょう。とある銀行の頭取が殺されたらしいが、いきなり発表すると日本経済に与える影響が大きいということで、まずは警察の介入を避けるべく、海堂家の執事である朝倉と葵が、現場に足を踏み入れて、というお話なんですが、「マニアック?殺人事件 朝倉老人の華麗な推理」というタイトルが示すとおり、いろいろミステリの小ネタが仕込まれてて、にやりとしてしまうものがあります。

ミステリマニアでない僕は、この謎を解けませんでしたが(コロンボの90分版と75分版なんて知らないよ!)、探偵よろしくしらじらしい引っ掛け質問を投げかけたり、わかっていることがあっても、最後まで真相を明かさないじらしプレイをしてくれたりと、朝倉老人のノリノリな探偵姿が楽しかった。

ご主人様が昔お世話になった乳母が、今、地上げで困っているという「負けるな大家族!黒須姉妹再び」は、弱きを助け、強気をくじくという、いつもながらのメイド刑事物語。悪に対しての恫喝よりも、こちら側にいるいじけた人に喝を入れる姿が格好いいよなあ。

個人的には、知性を持つコンピュータとの交流を描いた「オフェリアよ眠れ!最凶の敵出現」が一番好きでした。葵との会話を得て、人間の感情というものを理解していくオフェリアが、だんだんと可愛い存在に思えてきて、もし、邪魔する者たちが出てこなかったら、二人は本当に親友になれただろうにと残念でなりません。
それでも、オフィリアと分かり合えるものがみえたところは、とてもよかった。コンピュータであろうがなんだろうが関係なく、オフィリアに手を出した輩に、葵が見せた怒りが、心に残りました。

それにしても、なかなか黒須姉妹とその上の人に手が届かないなあと思ってたら、さらに一人出てきたか。しかも、かなり狂った感じなので、今まで以上に葵たちに危険が迫ってきそうです。
こんな危機が迫ってくれば、ふたりの仲ももうちょっと進んだりするかなと期待しながら、続編をまっていようと思います。

メイド刑事 7 (GA文庫 は 1-7) - 早見 裕司

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メイド刑事 8

メイド刑事8 (GA文庫) - 早見 裕司

「長官さんの言ったとおりね。メイド刑事は、いないと思えばいない」
裕美は微笑んだ。
「でも、いると思えば ― いるのね。必ず、助けになってくれる人が」

ここは冥土の一里塚……ってことで、メイド版スケバン刑事シリーズの第8弾。最終決戦一歩手前ってところですね。黒須三姉妹最凶の女・善香が動き始めるお話です。

いやあ、危ない危ない。さすが最凶だなあと思わせる手腕でした。狼女の殺人、という非現実的な事件に取り組むために、メイドとして内偵するのはいつもどおりでしたが、事件の解決が逆に自分たちの首を絞めていくことになるとは。これぞ悪党って感じです。

そう考えると、それなりに周到なように思えたけど、貴美香、真奈香は抜けてるところがあるんだなあと思った次第。

その二人は、末娘の狂気に引きずられて、ラストチャンスを与えられるんですが、やはり一歩及ばないのは、自分から動くか否かってところかしら。
覚悟の違いが、自らの破滅を呼び込むという展開は、逆に驚きましたね。いやはや、敵味方関係なく容赦ないな、善香。

危ういところでルカを救い、救いきれなかった命もありと、勧善懲悪の中でも切ない物語がありましたが、仲間と共に危険を切り抜けて、悲しみを乗り越えていくお話は、いつもながら見応えがありました。
レディースとカタギの友情っていいですよね。

今回はどちらかと言えば、敵方の方に目が向くお話だったように思いますが、次でラストの巻ってことなので、そのための準備ってことなんだろうなあ。善香が動くのはもちろんとして、その後ろにいる人も出てくるんでしょうか。
悪党どもに葵がどのような啖呵をきるかを楽しみにしつつ、葵とご主人様の関係がどうなるのかも楽しみに待っていたいと思います。

メイド刑事8 (GA文庫) - 早見 裕司

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メイド刑事 9

メイド刑事 9 (GA文庫 は 1-9) - 早見 裕司

「葵ちゃん、まさか……」
「メイド刑事、若槻葵はいなくなりました」
きっぱりと葵は言った。
「ここにいるのは、かりそめにメイドの修行をしていた、元レディースの総長です。そんな奴が、ただのタイマン勝負をしに行こう、というのを止めている暇があったら」
葵は眼鏡を外して、背中まである髪をひと振りした。
「あんたらは全力で、黒幕の善香と『あの方』の居場所をつきとめるんだね」

ここは冥土の一里塚……ってことで、メイド版スケバン刑事シリーズの第9弾。黒須三姉妹最凶の女・善香が、葵と海堂が追いつめていく、シリーズ最終巻です。

さすが最終巻ですね。これでもかって盛り上がり方です。葵を追いつめるために、まず周囲に危険をばらまくというやり方の悪どさったらない。これまでも傷つくことは多かったけど、こんなに死の臭いを感じさせたのは、初めてじゃないかしら。動揺する葵の姿が痛々しかったです。

それでも我慢に我慢を重ねていた葵でしたが、ルカを木津つけられたことでついにブチ切れて……、ここから繁劇なるかと思ったところに、さらなる追い打ちをかけるから善香は容赦ない。

政治的に、さらにはメイド刑事を色物として取り扱うことで、マスコミをも誘導して、葵と海堂は追いつめられていって、すべてが後手に回っていく様は、とても心苦しいものがありましたが、そんな中、かつて葵が助けた人たちが、動いてくれるシーンがよかった。これを人徳と言わずしてなんというか。

追いつめられたことで、葵と海堂の間にちょっとしたロマンス模様が見られたのは、こんな状況でありながら嬉しく思うものでしたが……ただなあ、あのラストバトルの展開はなあ。いろいろ拍子抜けるものがありました。

とはいえ、メイド刑事である葵とその主人・海堂が残したものは、多くの人の心の支えになるものであったというラストは良かったです。

メイド刑事 9 (GA文庫 は 1-9) - 早見 裕司

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