ライトノベルの楽しい書き方 / 本田透
ライトノベルの楽しい書き方
自称敏腕な若手編集者だという姉の心夏に頼まれて、新人ライトノベル作家の姫宮美桜の原稿を取りに行った与八雲を出迎えたのは、クラスメイトの流鏑馬剣だった。学園最強と謳われ、凛としたいでたちの美少女が、ライトノベル作家だったなんて!
秘密を守ることを誓わされた八雲だが、肝心の原稿は、いまだ仕上がっていないのだという。恋愛をしたことがないという剣は、どうしても学園ラブコメが書けないのだとか。ならば、恋愛シミュレーションとして、八雲と付き合ってみては?と姉が言い出し、一ヶ月間、剣と八雲は、彼氏彼女の関係の振りをすることになったが……。
恋愛経験のない美少女・流鏑馬剣の次回作のために、彼女の正体を知ってしまったクラスメイトの与八雲が、お試しでお付き合いをするお話です。
感想サイト各所で評判がよかったので手にとって見ましたが、これは楽しいお話でしたね。コワモテな剣が、実は……というギャップもさることながら、それを八雲に知られたときのドギマギっぷりと言ったらもう!照れ隠しのために死んでくれとか言い出したときには、思わず吹き出してしまいましたよ。
で、小説を書くために、お付き合いをすることになった二人なんですが、これがまた非常に微笑ましい。奥手な二人のために心夏が、名前で呼ぶとか、手をつなぐとか、お弁当をあーんするとか、小説でよくあるパターンをやらせていくんですが、初々しい反応に、読んでるこちらがドギマギする。
時々ツンとする剣がとても可愛くて、そんな剣の可愛らしさを八雲が知っていくうちに惹かれて、同じように八雲の優しさを知った剣が惹かれていってと、だんだんと本気になっていく二人の様子がとても微笑ましいです。いつしか二人の仲を応援している僕がいました。
ちょこっとケンカっぽいこともして、はじめてのケータイメールのやり取りににんまりさせられて、初めてのデートでは楽しんでるようすが伝わってきてと、二人の雰囲気がとてもよかっただけに、終わりの時間が近づいてくるにつれて、だんだん二人がそのことを意識しちゃうところが、切なかったなあ。
どちらの気持ちもみえるだけに、素直になれない二人がもどかしい。
二人の恋愛関係もさることながら、小説を書くということの重さも見えてくるあたりには、ハッとさせられることもありましたが、二人で過ごした時間があったからこそ、物語を書ききることのできたという最後がよかったです。
いやあ、面白かったなあ。非常にオーソドックなんだけど、それがいいんですよね。
続きが出るかどうかわかりませんが、もし出たら、今度は迷わず手に取りたいと思います。
ライトノベルの楽しい書き方 2
「……あんたまさか、最近やっくんとうまくいってるから小説に魂がこもらないんじゃないでしょーね?」
図星だった。
「な、な、な、何を言っているのだ、なっち!?わ、わ、私は、や、八雲とはそのっ、取材だ。しょ、しょうせつのための取材として、ちょ、ちょ、長期間にわたって、か、か、カップルのふりを、そ、そ、そのっ」
「いい、美桜っち?一作目の立ち上がりが良かったからって、調子に乗ってラノベをなめてもらっちゃ困るわね!ライトノベルはシリーズもの。マラソンの如き長丁場なのよ。今度のシリーズの流れを決定づける二作目は、とっても大切なんだからっ!」
美しく最強にして孤高の女子高生が、実はライトノベル作家だった?ということで、ライトノベル作家であることを隠しながら、捜索を続ける流鏑馬剣と、彼女の正体を知ってしまった与八雲が繰り広げるラブコメシリーズの第二弾。今回は、夏休みに仮(?)の彼氏である八雲との仲をと張り切っていた剣の前に、学園一のかわいい女の子・市古ゆうなが近づいてきて……というお話です。
ああ、楽しいなあ。八雲と一緒にいることがうれしいのに、素直になれない剣がかわいくてかわいくて。ヤキモチをやいてほしくて、いろいろ声をかけて、だんだん自滅していくところとかいいですよねぇ。ベタなのに、何と楽しいことか。
で、夏休みに入ったら、八雲の家でバイト三昧して……といろいろ考えていた剣の前に、市古ゆうながバイト仲間として入ってきてから、楽しくなるんだ。ふわふわと可愛い女の子と、自分のような目つき鋭い女を比べて、勝手に落ち込み、もしかしたら、八雲もゆうなを……と、危惧しちゃうのは、やっぱり妄想力がありすぎるんでしょうね。
何とか八雲の目を引こうとすると、女の子らしいところはゆうなにとられて、用心棒みたいな頼もしい姿ばかり見せ付けてしまうところに、空回りの楽しさを感じます。
そんな剣の努力に気づかない八雲ですが、まあ、これは八雲を責められないよねぇ。彼は彼でちゃんと剣のことが好きなんですから。とはいえ、みんなで海に行ったとき、ビキニ姿をちゃんと見てあげないのは、困ったもんですけど。彼女にも弱いところはあると知ってるんだから、照れてしまうのは判るけれど、ちゃんと言葉にしてあげないとね。
八雲との関係を勝手に疑っていたおかげで、なかなかゆうなと話をすることができなかった剣でしたが、海で語り合う機会ができて、だんだんとゆうなに対して、彼女を思う気持ちが出てくるところがいいんだなあ。
そして、ゆうなも。
はじめは、ただ尊敬というか、憧れの目で剣を見ていたゆうなが、「友達」と言ったときのシーンには、じわりときてしまいました。あー、ほんといいな、これ。
まだまだ素直になりきれない剣だけど、恋に友情に、そして創作に、頑張ってほしいですね。
オススメ!
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