けんぷファー / 築地俊彦
けんぷファー
目が覚めたら、なぜか美少女になっていた。いつの間にか話すようになってたぬいぐるみが言うには、俺はケンプファーと呼ばれる戦士になったらしい。ケンプファーには女性のみがなるため、能力を使うときは、女になってしまうのだとか。ふざけるなと思ったが、誓約の腕輪ははずれない。
何とか男の姿に戻って学校へ向かったが、クラスメイトと合っているとき、再び女の姿になってしまい……
男としては平凡だけど、女としては美少女と美女の間。そんなナツルと他のケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメなお話ですね。なぜケンプファーになるのか、戦う理由は何なのか。そのあたりがまるでわからないまま話が進むので、はじめはちょっと乗り切れませんでした。
でも、もうひとりのケンプファーである紅音が出てきてからは一変です。普通のときは内気な眼鏡っ子の図書委員。でもケンプファーになると罵詈雑言のまき散らずガンマンという二面性で、何かと引っ掻き回してくれます。特に意味不明だけど、勢いのある罵詈雑言には、思わず爆笑してしまう破壊力がありました。
どちらの姿のときもとても魅力的ですが、僕としてはナツルが気になる存在であることをたぶんに示してくれる(そしてナツルはまるで気づかない)眼鏡っ子バージョンのほうがお気に入り。
面白かったのは、ナツルが女性バージョンのときに、自分の好きな子と仲良くなってしまったことですね。好きな子の笑顔を見ると拒否できないけれど、相手が見てるのはいわば偽者の自分ということで、どうすればいいのか悩む姿が笑えます。相談されて拗ねちゃう紅音がかわいくて。このあたりのドタバタは良かったなあ。
ただ、どうにもインパクトがあまりないので、もう少し何か欲しい気もします。
どうやら、ケンプファーにはいろいろと問題があるようで、かの敵が示唆したことが何を意味しているのかは気になるところではあります。やや酷なことが起きそうな感じがひしひし。
とはいえ、次はおそらく幼馴染によるドタバタが始まりそうなので、微妙な三角にでもなるのかな?こっちの展開が楽しみです。
けんぷファー 2
ケンプファーとして戦うときは、女の姿になってしまう。経験を積めば自分の意志で変身できるようになるらしいが、俺はまだそこまではいかない。それどころか、不安定になっていて、敵がいなくても、何の兆候もなしに変身してしまう状態になってしまった。
授業中に変身したらどうしようなどと不安を抱えていたら、海外へ行っていた幼馴染(と本人は言う)水琴が日本に戻ってきて、しかも同じ学校に通うと言い出して……
変身して戦うケンプファーに選ばれし者たちの物語ですが、戦いそのものよりも、騒動を楽しむ感じですね。いやあ、初っ端からエンジン全開で面白かったです。ケンプファーになったら乱暴者だけど、普段は気弱で、ナツルの味方である紅音のさりげない好意の見せ方が、奥ゆかしくてカワイイったらないです。
でもまあ、今回はほかの人が目立ちまくりでした。幼馴染の爆弾娘、水琴がナツルをかいがいしく世話をする姿が良くて。男版でも女版でも、何気にモテモテだよなあ、ナツル。でも、途中で身を引くような素振りを見せていたような気がしましたが、あれは恥ずかしいからかしら。
もうちょっと、いろいろ引っ掻き回してくれるのかと思っていただけに、少々物足りなさを感じましたが、腕輪が目に付いたみたいだし、これからかな。
女としてのナツルに女子部の籍を作るという、敵に対して塩を送ってくれた雫でしたが、女子高で女性にモテるという騒動が凄かったなあ。ナツルにはご愁傷さまと言いたいですが、考えてみたら、モテモテなんだからいいか。百合疑惑やらナツルがナツルに恋をしている話やら、噂が先行されまくりで、誤解されまくりで、頭を悩ませる姿が笑えました。
ひとつひとつは単純なんだけど、それがどんどんガンガン重なってきて、いったい今どれくらいの不幸を抱えているのかわからなくなる怒涛の展開が、面白かったです。
雫のたくらみについては、ちょっと変化球過ぎるので、さすがに気づきようがありませんが、またもや会長の手のひらで踊らされた感があるかな。ケンプファーの話に限らず、さりげなく意地悪をする雫の悪辣さがたまりません。佐倉と三人で話したときのシーンでは、雫がニヤリと笑う顔が思い浮かびました。いやあ、いいね。会長大好き。
ケンプファー自体の秘密というか特徴が、またひとつ出てきましたが、いまだ全貌は明らかになっていないので、もやもやしたものが残りますね。ま、ケンプファーの戦いよりも、恋の行く末のほうがはるかに気になるので、そちらの展開に期待したいですね。
けんぷファー 3
沙倉さんは俺のことが好きなのだが、よりによって「女の俺」に惚れている。おまけに男の俺を敵視しているんだから、世の中、理不尽な事が多すぎる。どうすればいいのかと絶望に浸っていたら、いつの間にか文化祭の実行委員にさせられてた。しかも男子部・女子部の両方でだ。俺の体はひとつしかないのに。
さらに、伝統を復活させるなどと言い出しやがった会長の発案で、ミスコンが開催されることになって、よりによって「女の俺」が出場することに……
文化祭のミスコンに参加することになって、右往左往する瀬能ナツルのお話ってぐらいでしかないような感じなんだけれど、次から次へと誰かが何かをやってくれるので(巻き込まれるので)、面白おかしく読めてしまいますね。たまにごちゃごちゃしすぎて混乱することもありましたが。
ナツルの不幸は、まあ、本人の優柔不断さというか、流される態度にも原因があるし、モテモテすぎるからどうでも良かったりしますが(ひど!)、相変わらず、女子部のナツルのクラスメイトの腹黒っぷりがいいですね。中年オヤジな演技には爆笑ものです。副委員長最高。個人的には副委員長のロングスカートなメイド姿は見たかった。脇役のイラストが無いのは残念でなりません。
今回は紅音が頑張りましたね。沙倉さんが、女ナツルに近づこうとすると、必死に阻止するところは、今までに無い積極性です。しかも狂犬バージョンのときなんて、怒鳴りながらも好意を露わにしているんですから、もうキュンキュンです。天然記念物的鈍感男のナツルが、まるで気づいてくれないので、まるっきりアレですが。
ハラキリトラに殴られたり、敵かもしれない相手を問い詰めようとしたら、ナツルに邪魔されたりと、何気に扱いが酷いような気がしますが、いつか思いが届くといいですね。
何を考えているのかわからない、敵にして生徒会長の雫の活躍も、何か良かったなあ。あのヌイグルミの話は、事実なんじゃないかなあと思いますが、さてさて。さりげなく肩もみさせるあたり、ひょっとしたらひょっとしてと思ったりしてましたが、最後にそうきますか。ナツルの初めてを奪っていくなんて、これは素敵な関係になりそうで、ちょっと楽しみだなあ。個人的には、紅音を応援してたんですが、雫株急上昇中。
実は一番注目していなかった沙倉さんが関わりあってきて、ちょっとびっくり。たしかにそうか。手がかりとしては薄い気がしないでもないけれど、ミスコンでの挙動はたしかに怪しいなあ。まあ、どこまでわかってるかとなると、また別かもしれないけれど。
このあたりは、けんぷファーの根底に関わりそうな問題なだけに大きくなりそうだけど、沙倉さんのことになるとムキになるナツルや、嫌悪してる紅音、友人の雫などなど、複雑な人間関係が絡むだけに、どうするのか難しい選択を迫られることがありそうですね。
っていうか、次にあの子がけんぷファーに?しかも下手したら敵?
急展開が期待出来るだけに、どうなるのか面白くなりそうですね。
けんぷファー 4
文化祭のミスコンで衝撃的なことがあったが、呆然とする間もなく、俺はメイド服を着て、クラスが経営する喫茶店で働いていた。クラスメイトの策略で、訪れる男どもが金を貢いでいく中、なんと生徒会長の三郷雫が現れた。しかも、俺を側に座らせて。何を考えているのかと思ったら、いきなり「そろそろ新しいケンプファーが出てきそうね」などと言い始めて……
雫の予感どおり、新たなケンプファーが登場するお話です。それと、ケンプファーの大元……というのもなんですけど、そういったものが見えてくるところがありましたね。狭いところで話が展開されているせいか、騒動は面白くとも、なかなか話が進んでいなかったんですが、ここへきて急展開かな(というには遅いんだけど)。
何といっても、今回大活躍なのは、会長でしょう。何があっても動揺する様を見せないクールさは、いまだ健在ですが、時折見せるナツルへのからかいは、冗談よりも、本気成分が多く感じられるようになってきましたね。さりげなく苛める姿は、好きな子ほど苛めたくなるパターンの典型だと思いました。切れ味の鋭さに惚れ惚れです。
おかげで、ちょっと紅音が霞んでしまったのは残念ですが……
新たなケンプファーについては、前作を読んでる人ならば、予想通りですよね。問題はどっちの人間になるか、どう出てくるかでしたが、さすがさすが。こんなにあっけらかんとやってくるとは思いませんでしたよ。
どう出て行くべきかと迷うナツルたちの気持ちはわからなくもないけれど、あそこまできっちゃったら、さっさと言ってしまえばいいのにと思わなくもない。
赤から青に変化とかできれば、わりと問題ないんだろうけれど……さすがにできないか。
誰が一番怪しいかといったら、文句なしで一番怪しいのは沙倉さんなんですが、やっぱり本人自覚はないのかなあ。訪問イベントでもうちょっと何かあるかと思ったら、ポッキーゲームとかお風呂問題とか、そっちですか!いや、楽しいけど。
まだまだ沙倉さん家のイベントは終わらないようですが……えーと、一軒の家に、とある人物を狙う女性が四人?未だケンプファーの詳細について、明かされてないことも気になる要素のひとつですが、恋愛方面も大きく気になるところ。
今後どうやって収拾つけていくのか楽しみです。
けんぷファー 5
憧れの沙倉さんの家に泊まることになった。もちろん女ナツルとしてだ。紅音や水琴、それに会長まで一緒になってのお泊り会は、部屋数が足りないので、誰が誰と一緒に寝るかということで、ひと騒動になったが、ようやく落ち着いて寝れる……と思ったら、男に戻ってしまった。そうだ、寝ると戻ってしまうんだ。そのとき、そっと部屋に入ってきて、さらに布団に潜りこんできたのは……沙倉さん!?
前作の続き。お泊りイベントから、新たなるケンプファーの登場、さらにモデレータの目的が見えてくるお話です。
いやあ、お泊りの様子が楽しいこと楽しいこと。ナツルをめぐっての女の子の駆け引き……というよりは、騒いでるだけですが、ここまでくると、誰も気持ちを隠そうとしませんね。にもかかわらず、肝心のナツルが、まるで気づかないって……。どれだけ鈍いんだ。
そんな中、いい具合にナツルに接近してきたのは、会長ですよね。腹黒いだけあって、他の勢力をさりげなく押しとどめていく手腕が素敵です。顔にはそれほど出さず、それでいて嫉妬しているところとか、ああもう!
さすがに今までの所業のおかげで、ナツルの心証は良くないですが、頼りになることはわかってるだろうし、何より、いつの間にかご飯作ったり、さりげない気遣いを見せたりという姿に、ひょっとしたら……なんて思いがなくもないですが、難しいか。
水琴あたりでは太刀打ちできなそうだけど、紅音はどうするかしら。
一方、ケンプファーの戦いにも大きな変化が見えてきましたね。モデレータの思惑がようやくわかってきましたが(雫の脅迫は相変わらずすばらしい)、そこからさらに変化してくるとは思わなかった。
何も知らないようだけど、沙倉さんがジョーカー的な位置にいるのは間違いないようですが、さらにナツルまでもキーとなってきますか。まあ、ケンプファーとしては異色すぎるから、ありえる話ではあったけど。
戦いの決着のつけ方は非常にシンプルですが、恋愛感情が複雑に絡んでくることになるので、いったいどうなっていくのか楽しみですね。
けんぷファー 6
雫に呼び出された。何の用かと思ったら、彼女の口から飛び出してきたのは、デートの誘いだった。ありえない。何か裏があるに決まってる。まさか、ケンプファーについての重要な問題でも見つけたのか?
本当のことを言えといっても、笑って受け流す雫にイラツキながら、ナツルはカムフラージュとおもわしきデートを受けることにしたが……
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第六弾。今回は、ケンプファー同士の戦いはなく、仲間のケンプファーである紅音や水琴、会長の雫たちと戯れる短編集風味なお話です。
いやあ、面白かった。腹黒なクラスメイト(女子部)によって、メイドなことをさせられる一編目は、いくらなんでも無理やりすぎだろというドタバタ展開で、だんだん投げやり気味になるところが面白かったりしますが、ま、そのあたりは、どうでもいい。今回一番良かったのは、雫ですよ、雫。
何を考えているのかわからないミステリアスさが持ち味だった会長ですが、ナツルへの好意が見えまくり!ナツルの誤解を利用して、さりげなくデートに誘う策士っぷりがたまりません。
今までの行いが行いだけに、ナツルがまるで振り向いてくれないところは、不憫に思ったりしますが、へこむどころか悠然と相手をリードする姿が格好いいです。時折見せる嫉妬な言葉が、ああ、可愛い。
おかしいだろ!と全力でツッコミたくなるぐらいナツルの鈍さは際立ってましたが、それでも会長は、今回のデートで、自分がやりたかったこと、相手にやらせたかったことは、きっちり成し遂げたでしょうね。
こっそりとキスするだけじゃなく、最後には望みを叶えるところに、さすが!と感心。
何気に会長はいい思いをしまくってましたが、紅音も結構いい思いしてましたよね。図書館でナツルとふたりっきりになったときのチャンスを逃さないところとか、昔に比べたら積極的になったよなあと思うばかり。
この状況で、沙倉さん話を持ってくるナツルの無神経っぷりには呆れましたが、消去法とはいえ、紅音に対して、素敵な言葉を投げかけてあげたところに、グッジョブ!と言いたくなりました。そりゃ紅音も驚きで変身しちゃうわ。
いやあ、面白かった。こういった恋愛事情のぶつかり合いは、ほんと楽しいですね。個人的には、会長とぜひと思うけど、ナツルの心情を考えたら紅音のほうが有利だよなあ。いや、このぐらいの劣勢、雫なら何とかするに違いないと、彼女の策士っぷりを願ってみる。
けんぷファー 7
「ナツルさん、会長とデートしたじゃないですか」
「いやだからあれはデートじゃなくて……」
自分でも半分くらいしか信じていないので、当然のように紅音には無視された。
「だから今度はあたしの番です」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第七弾。今回は、ナツルと会長がデートしたことを知った紅音が、自分もデートしたいと言い出して……お泊りでテーマパークへ行くことになるお話です。
いやあ、楽しいなあ。雫とデートしたことを認めたくないナツルの葛藤とか、クスっと笑えるものがありますが、それより何より、紅音の積極的な行動が良かったです。今まで、一歩どころか、三歩ぐらい下がってる状態だったのに、自分からデートに誘うんだから、恋する女の子は強いです。まるで気づかぬナツルはどうかと思うけど。
っていうか、ナツル。君と佐倉さんの道は、絶対無いから。無駄な自信いらないから。
で、頑張ってナツルをひっぱってテーマパークに行ってみれば……そこには一枚上手な会長が待ち受けてるわけで。そりゃ出し抜くなんて、無理だわな。クールなんだけど、実はナツルに好意全開な雫の行動が、すっごい好きです。
そういえば、白いケンプファーたちのお話にも動きがありましたが、やっぱり彼女が関わってたか。意外って事はぜんぜんないんだけど、ようやく見えてきて、さて、ナツルたちはどうするのだろう。
っていうか、今のところ、雫は気づいてない……よね?このあたりの連携が取れてないところが、ナツルの甘いところだと思うけど、おかげで、最後の最後でゾクゾクさせられました。邪魔だと思ったのか、それとも正体に気づいたのか……。
恋する女の子たちのナツル争奪戦の行方もさることながら、彼女の動きも楽しみです。
けんぷファー 8
「ねえナツルさん」
沙倉さんの声が小さくなった。
「雫ちゃんのこと、好きになっちゃったらどうですか?」
「……へ?」
「だから、雫ちゃんのこと好きになって欲しいんです」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第八弾。ナツル、紅音、雫、水琴、そして沙倉さんの四人でテーマパークへ行ったら、男ナツルが沙倉さんに誘われて、二人っきりで花火を見ることに……という始まりなんですが、今回は沙倉さんが怖い!
今まで天然な可愛いキャラだっただけに、うっすら笑みを浮かべながら、「雫を落として」とナツルにささやく姿が怖くて怖くてしょうがない。
おかげで、だんだんと沙倉さんの正体がわかってきましたけど、操られたナツルの暴走で、雫がすっごい可愛いことになっちゃったときにはどうしてくれようかと思った。クールなお姉さんの照れる姿に悶えたのは僕だけじゃないはず。
それにしても、好きな人にあそこまでされても、最後の一線は超えさせないプライドの高さに惚れ惚れ。
というわけで、もはや雫がいれば十分な僕ですが、紅音も頑張ってましたよねー。狂犬モードじゃないときは、控えめだった彼女が、自分から積極的に動くんだから、にんまりしちゃう。でも、決定的な言葉とか伝えても、気づいてもらえないところが、彼女のキャラらしくて可哀想だね……。
女ナツルバージョンになって、みんなで温泉入ったりとか、何気に露出度高くて、キャッキャうふふなお話……だったはずなのに、雫が時に見せるデレシーンと、沙倉さんの腹黒い姿のほうが印象に残るから恐ろしい。
それにしても、あれだけの情報から、沙倉さんを怪しむ雫はさすがだと思うけど、だからといって、力任せにいけるわけじゃないっていうところが面白くなりそうな予感をさせますね。この足かせを、雫が、ナツルが、どう裁いていくのか、とても楽しみです。
けんぷファー 8 1/2
「会長は怒らないのですか」
「美嶋さんのこと?」
「もちろん。四股ですよ」
お前たちが勝手にそうしたんだろ。
「何度も言ったけど、気にしてないの」
そしてさらりと言う。
「絶対私のところに戻ってくるから」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第九弾。二分の一となってるのは、番外短編集だからですね。ナツルとのキスをめぐって、水琴、紅音、雫がそれぞれ奮闘するお話です。
あー、楽しい!あそこまであっぴろげな女の子たちの好意に気づかないって、ナツルの思考回路はどうかしてるんじゃないかと思うんですが、そんな鈍チンのナツルを相手に、振り向いてもらおうと頑張る女の子たちが可愛い……時もある。いかんせん、みんな強引すぎるから、周囲で見てると楽しいけど、当事者のナツルは大変だろうなあと思ってしまう僕がいる。ま、これだけモテてると同情しませんけどね。
水琴の強引さにはドン引きしつつ、どこか憎めないものがあったり、水琴とのデートを知った紅音は、わざわざ狂犬モードになってデートして、でも最後は奥ゆかしい間接を見せたりと、にまにま笑いが止まりませんでしたが、やっぱり最高なのは雫でした。
他のふたりからすると一歩リードしてるようにみえる雫も、雫視点からだと、追いつかれているように見える。そんな乙女心が、繰り広げる嫉妬心がたまりません。しかも策士っぷりは、水琴よりも一枚上手で、さりげなく会話を誘導して、ナツルの逃げ道をふさいでいく手腕が素晴らしすぎる。
何より、他の二人を突き放す積極性には脱帽です。強気というよりは、嫉妬や不安の裏返しから来る誘惑を見てると、ああ、雫かわいいよ雫という言葉しか思い浮かびませんでした。そこで逃げるナツルには、もうなんというヘタレなんだ……
水琴、紅音、雫が一話ずつナツルとデートして、最後にみんなが集まったら、どういう展開になるかは想像に難くないですが、それでも読んでて、頬の緩みが止められない、そんなお話でした。もうけんぷファーの戦いなんていいから、このやり取りを続けてほしいなと思う僕がいる。
けんぷファー 9
「もっと見たいですか」
にこりとしながら彼女は言った。俺は水飲み鳥みたいに頷いた。端から見たら、さそがしみっともないに違いない。
「ここから先のご褒美は、雫ちゃんを落としたらです」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第十弾。今回は沙倉さんがナツルに色仕掛けしてくるお話。
ここまできても沙倉さんを諦めないナツルはどうかしてるんじゃないかと思うけど、痘痕もエクボというやつなのかしら。まあ、ご褒美攻撃されたら仕方ないよねと思ってしまうぐらいには、僕だって男の子なので……うふ。
今回はあまり話が進まないんですが、その分イベントたっぷりでした。っていうか、いくらなんでも全裸ロッカーふたりっきりはないと思うよ!積極的に動いた紅音の頑張りは誉めるところかもしれませんが、ここにでてくる女性陣はやりすぎのような気がしないでもない。
っていうか、何でもホイホイ安請け合いするナツルが一番ダメなんだけど。
沙倉さん話で、いろいろ見えてきたような気がするけど、それでも、核の部分はまだの模様ですね。なぜ雫を落とさせようとするのかよくわかりませんが「実家」がどう関わってくるのか気になるところです。
ところで、みんな告白しすぎじゃね?
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「ナツル、分からないふりはやめなさい」
泣きたくなった。怖いんですけどこの女性。
「じゃあ理解するまで、何度でも言ってあげるわね」
「いや、そこまで……」
「私の恋人になって」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第十一弾。今回は……いつもとそんな変わらないかな。紅音、水琴、雫が、ナツルに対してさらに一歩踏み込んできたというお話です。
てっきり沙倉さん話が進むのかと思ってたので、ちょっと拍子抜けではありましたが、ラブ要素が満載でニヤけるニヤける。
なんせいつものようにナツルにおとぼけが許されませんでしたからね。全員が逃れようのない告白をしてきたら、向き合わざるを得ないわけで。
これまではたいてい何かあると沙倉さんのことしか考えてなかったナツルが、三人について考え始めるあたりがよかったです。
個人的には三人の中で雫が一番好きなんですが、今回一番よかったのは、水琴でしょう。普段は元気娘すぎてひっかき回す彼女が、ちょっとしたハプニングからナツルに向き合うようになったときのあの羞恥心丸だしモードといったら!
ギャップ萌えとはこういうことかと突きつけられました。やべ、可愛い。
紅音、水琴が動いたおかげで、自分の不利を認識して、挽回しようとする雫の積極性もとて良かったですが、さて、いったいナツルは誰を選ぶんでしょうね?
まあまだ沙倉さん話が済んでないので、結論は先延ばしになるでしょうが、気になるところです。
けんぷファー 10
「この瞬間にあたしが存在している。それだけは確かだ。そのことをお前に覚えておいて欲しいんだ」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第十二弾。今回は、沙倉さんの家にいくお話。
あの変貌をみても、なお沙倉さんを信用してるナツルは、いっそ天晴れというべきか。こんな男に惚れたらとても大変だろうなあ……と、三人娘たちに同情を禁じ得ない。
こうなると、女の子たちの積極性もわかるような気がしますね。ナツル争奪戦模様は、いつになく紅音が積極的で、雫が押され気味だったりと、楽しさいっぱいでした。同時に「けんぷファー」だからこそのシリアスなお話もありましたが。
狂犬・紅音の強気でありながら、最後まで直接いえなかった想いには……なんか思うものがある。
二人に比べて目立たなかった水琴は……まあ、しょうがないか。これまで身近だったからこそ、いったん線を越えるとどうしていいかわからなくなっちゃうんでしょうね。いつになく可愛い感じがしてただけに、相手に利用されちゃう展開はやりきれない思いがしました。
さて、戦力は分断されたうえに、彼女があんなことになってるので、これからナツルたちには危機一発の連続が待ち受けたりするのかな。消えてなくなるということから目をそらしてはいけないと思うけど……怖いですね。
にしても、今回ナツルの好みは……という言葉が何度もでてきたけど、あれはどんなフラグなんだか。
けんぷファー 10 1/2
「なあ会長……」
「なあに?」
「どうしてあんなことすんだ」
「どんなこと?」
「その……足で」
「あなたが喜びそうだったから」
「喜ばねーよ!心臓が止まりそうになったじゃねえか」
「嘘ばっかり。気持ちよかったんでしょう」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第十三弾は短編集。
- 男のナツルが合コンにいったら、そこにやってきたのは……「それは足ですか」
- キスの練習をしたいと言い出した水琴の相手を紅音がすることに……「練習は完璧です」
- 雫がケンプファーになったばかりの頃のお話「ぬいぐるみと先輩と私」
初っぱなの「それは足ですか」が一番面白かったかな。
シークレットゲストが来ると言われて、沙倉さんを連想するナツルはどうかしてると思ったけど、まあ、それはいつものこと。やってきた雫に、翻弄される姿はニヤニヤが止まらないですよ。
ナツルに好みのタイプを質問した雫の手腕(足腕?)は、エロくてきわどくて、やばかった。ドSすぎる。思わず反応したナツルは、相手が悪かったと言うことで。
「練習は完璧です」は、恋する乙女の暴走って感じで、そこでやるか?というおバカさんっぷりが楽しかったですが、「ぬいぐるみと先輩と私」は、ちょっとシリアス話でした。
まだ雫がケンプファーになったばかりであり、ナツルと出会う前のお話。タイトルにある先輩とは、雫にケンプファーの事を教えてくれた人のこと。ああ、こういう喪失があったから、彼女は食い止めたいと願って動いてるんだろうなと思いました。
そして、これほどまでにあからさまに動く沙倉さんは、いったい何者なのか……大いに気になるところです。
どうやらあと二冊ぐらいで終わりを迎えるらしいので、結末が楽しみですね。
けんぷファー 11
紅音の瞳はもはやピンク色だった。いつもなら殺意か狂気のどちらかに支配されているのに、男に身を任せた美少女という表現がぴったりだ。
ぽつりと呟く。
「……しても、いい……」
はい?
「しても、いいから……」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第十四弾(短編集含む)。今回は、沙倉さんの家で白のケンプファーに襲われて、地下に逃げ込んだら臓物アニマルの秘密が……というお話。
ああ、もう、なんてデレかたをしてくれるんだ、狂犬・紅音さん。せっかく四人揃ってもスグ分断されて、地下を紅音とナツルで探索して、いつものように銃を突きつけてたのに……これはやばい。強気な口調と弱気な態度にメロメロになった。敵地でのまさかのエロい展開にドキドキでした。
分断されたもう一方、雫と水琴のほうも、なんかいい感じだったなあ。そういえば、これまで冷静に話をしたことって無かったかも?水琴の内心の告白と、雫の仲間を思う気持ちなど、ふたりのこれまで見えなかった一面が見えて良かった。まあ、雫はいつだって雫なんですけどね。彼女を怒らせてはいけないとツクヅク思いました。
それにしても、白ケンプファーの話などを聞いても、相変わらず沙倉さんを諦めきれないところには、イライラするけど、地下探索が続くこのお話もイライラだった。ラブコメ方面は楽しいけど、こう、ね。もうちょっと何か見えて欲しかったなあ。
とりあえず、臓物アニマルについては、見えてきたものがあったけど、まだわからないことがあるし、何より負けたケンプファーの話が気になってしょうがない。これまでクールな姿勢を見せていた雫が、「彼女」の姿を見て、果たして冷静でいられるのか気になるところです。次なる最終巻で、どんな結末が見られるのか楽しみですね。
けんぷファー 12
「簡単に言うと、忠誠を誓ってもらうの。今までの赤と青の対立が、雫ちゃんによってうやむやになったじゃない。だから最初からやり直すの」
「わたしとナツルは、赤と青の代表ってこと?」
「ちょっと違うわ。決着をつけるのはナツルさん一人だけでいいの」
男としては平凡だけど、ケンプファーという戦士に変身すると美少女に。そんなナツルと彼を慕うケンプファーたちが繰り広げる学園ラブコメの第十五弾(短編集含む)。ケンプファーの秘密と、最後の戦い、そしてナツルの決断が描かれるシリーズ最終巻です。
いやあ、まさか、ナツルの選択がそこにいくとは!これはとても意外でした。でも、鈍感で、どこか他人事めいた思いばかりだったナツルが見せた本音を知ると……やられますね。熱い言葉にゾクゾクさせられた僕がいる。
まあ、選ばれる人がいれば、選ばれない人もいるので、そのあたりは……ね。特に人前で涙を見せようとしなかった彼女の思いは、切なかった。
恋愛要素はとてもよかったけれど、ケンプファーの方は……正直もやもやするものが残る。臓物アニマルの秘密や楓の変化などは興味深くあったけれど、ナツルの存在の意味が薄い気がする。まあ、目的が目的だから……だけど、それで消えた人がいるのは、悲しいなんてもんじゃないです。特に、雫は……今回彼女の心が揺れるシーンが多く、決して強いわけじゃないことが見えるところは、何とも言えない思いになりました。
それでも、悲劇を繰り返させないという意味で、終わったことは良かったと思います。
最後に彼女の言葉を聞いたとき、じわっときた僕がいる。
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