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上等。シリーズ / 三浦勇雄

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クリスマス上等。

「おめでとうございます!アナタは見事選ばれました!」
別世界に住むという彼女は言う。最近、自分たちの世界 ― 内世界 ― では、鉄平のいる世界 ― 外世界 ― を観察する番組「ザ・外界ウォッチング」が流行っていると。そして、今回はクリスマススペシャルとして「外界人が外界人を助けるように取り計らう」企画が持ち上がり、白羽の矢が鉄平に当たったとのこと。
鉄平に与えられた役は「薄幸の少女を救う」
わけがわからないながら、どうせ暇だ、とヤケになった鉄平が向かわされた先には、ブランコに乗っている少女の姿が。それはクラスメイトの古都ゆかりだった……。

無理やりな流れの中、動き出す展開。
理由はすぐに思い当たる。
確かにこれなら鉄平しかやれる人はいない。鉄平じゃなきゃ意味が無い。

「違うだろ。お前の役回りはそんなんじゃねえだろ?」
そう言える鉄平がかっこよかった。
優しい笑みを浮かべて返事をした槍ヶ岳が素敵だった。

読み終えたあとに、きゃっ、青春!と呟きたくなる。個人的なツボに入りました。心温まるボーイミーツガール。オススメです。
第1回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作。

クリスマス上等。 三浦勇雄

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バレンタイン上等。

バレンタイン上等。 三浦勇雄

ようやく退院したころ始まった新学期。なぜかそこには鉄平の姉・豆子と名乗る槍ヶ岳の姿が!
何をしでかすのかと思いきやまたまた妙な企画を立てたらしい。
「バレンタイン交流企画『あなたのハートをゲットです』」と題して、鉄平の通う学校と超お嬢様学校の生徒が交流するイベント。
鉄平としては清楚なお嬢様よりもゆかりの態度が気になるが……

前作の登場人物が引き続き繰り広げる騒動。
人生で一度もチョコをもらったことがない鉄平が、ひょっとしたらゆかりからもらえるんじゃないかと思っていたらゆかりが避けてるような……とモンモンとしているところがたまらなくいいバレンタインな物語。

いやーやってくれたよ。今回はゆかりが頑張った。もうそれに尽きます。

私も、怖いよ……。でも、それは私たちが、今、ここで逃げてもいい理由にはならなんだよ……ッ

鉄平だけに負担をかけない努力と協力を求める為の説得がかっこよかった。
何より鉄平を、事情により避けていた鉄平を思うゆかりの気持ち。

今日の私は、全部、鉄平くんだった。

この呟きでやられました。上等だ、おまえら!

むろん、そんなクーと唸りたくなるような展開ばかりじゃなく、サスペンスな展開は今作も健在。なぜ、鉄平がやらねばならぬのかという理由についてはちょっと微妙な事情だなと思ったけれど、ラストの槍ヶ岳の話を聞いて納得。
ほんとよかった。このシリーズ大好き。

バレンタイン上等。 三浦勇雄

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ホワイトデー上等。

ホワイトデー上等。 三浦勇雄

3月の始め。ついに迎えたゆかりとの初デート。
前の日に眠れないぐらい興奮して向かった先で進路について話をし始めたとき、ふたりの意見は食い違った。それも決定的に。
ケンカ別れをしてから仲直りをするきっかけがつかめないまま、迎えたホワイトデー。そこに現われたのはバレンタインデーのとき鉄平を巻き込んだ BTV の大目玉だった……

鉄平とゆかりが初デートでケンカして、そのままずるずると迎えてしまったホワイトデー。
そんなおいしい状況を見逃されるはずがなく、いつものように内界人に巻き込まれるわけですが、微妙に熱さがなかったかなあ。面白いんだけど、胸にくるものが前作ほどではない気がします。

特に今回はふたりとも悩みまくってる状態だったせいか、ジェットコースターのように続く怒涛の展開が途切れ途切れになっちゃったのがなあ。
それと、鉄平がヒーローになるのはいいんだけど、ゆかりだけのヒーローであってほしいんだよね。
持ち上げられすぎるとちょっと冷めてしまう。

ただ、これは前作でも思ったんですが、槍ヶ岳のまとめがうまいんですよ。

結局のところ今回五十嵐さんは、何と闘っていたのか―

その答えに、ああそうか、と納得させられてしまう。
わかっていることではあるんですが、言葉にされたことで染み渡る感じ。
これで一気に印象が変わるんだよなあ。うまいうまい。

既に次作で波乱を呼ぶであろうキャラが登場してきているので、熱い展開を期待したいですね。

ホワイトデー上等。 三浦勇雄

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ジューンブライド上等。

ジューンブライド上等。 三浦勇雄

また槍ヶ岳がきた。今度は何だよ。
「今日はゆかりさんの婚約式です」
結婚なんでまだ早いよ、と照れる鉄平だが、婚約とは源之助が決めた相手とゆかりの話だったのだ!
場所は船上。ゆかりがそんな話を受けるはずは無いと思うものの、気になったので乗り込むことになり、ジューンブライド緊急企画『ミッション・古都ゆかりを奪還せよ』がスタートしたが……

「最後に愛は勝つ」な上等シリーズですから、結末は予想できる。
でも、そこに至るまでの経緯が今までとはちょっと違う。
ふたりの仲に邪魔が入って、鉄平が立ち向かうのはいつもどおりなんですが、危機がハンパない。
シリーズ最高級のサスペンス展開に驚き。

常に直球勝負なので、いつもは鉄平やゆかりが熱いけど、今回は大目玉が熱かった。
ゆかりに言葉をぶつけながら、自分にもその言葉をぶつけている姿に感動しましたよ。
やっぱりこういうところがこのシリーズのいいところなんだよなあ。

後半、文七さんがいろいろ語りすぎちゃうところで、ちょっと興ざめしてしまいましたが、面白かったですね。

ちなみにこの作品で上等シリーズは一区切りだとか。といっても終わるわけではなさそう。
新シリーズを挟むかもしれないとのことですが、より成長した上等シリーズを期待したいですね。

ジューンブライド上等。 三浦勇雄

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エトセトラ上等。

エトセトラ上等。 三浦勇雄

部活動には来るが、不登校を続けるあひるの助けになりたいと思った陽子だが……「ロンリネス上等!
補習に飽きた文七が屋上で出会った少女には、見えない友人がいるらしいが……「ゴースト上等!
久しぶりに大目玉に会ったゆかりだが、こちらの世界への移住を検討しているという話を聞いて……「裏クリスマス上等!
という三編 + プロローグの「サービス上等」からなる短編集。普段光が当たらないたち(といったら言い過ぎだけど)人、陽子、文七、大目玉 & ゆかりが主役となる物語ですね。

一番良かったのは何と言っても「ロンリネス上等!」です。
イジメを受けているらしいという少女の助けになりたいけれど拒絶され、どうするべきかと迷う陽子が描かれますが、まさに文七の言うとおりなんですよね。たいていどうすべきかは既に自分で決めていて、あとは一押しして欲しいだけなんですよね。助けになりたいという思いがとても良かったです。

鉄平が出ないから熱い展開にはならないかと思ったら、そこは上等シリーズ。短編であっても、お人好しな陽子であっても、畳み込んできてくれます。まさか琴を使ってくるとは思わなかった。
あひるを思って投げかけた言葉を聞いたら、思わずじーんと来てしまいました。
いい子だなあ。もう少し気にかけてあげてとゆかりに言いたくなってきます。

文七が主となる「ゴースト上等!」も面白かったですね。自分にしか見えない友達がいると言われても、なかなか信じられませんが、少しずつ少女に会うのが楽しみになっていく文七の気持ちがわかります。説得シーンがちょっとこなれてない感じを受けましたが、うまくまとまって良かったです。ひょっとしたら、恋人関係になるのかなと楽しみ。

大目玉がこちらの世界に移住しようする「裏クリスマス上等!」でのゆかりの気持ちはとてもよくわかります。押し付けかもしれないけれど、理想の人にはそのままの姿でいて欲しいですよね。
逆に大目玉としても見られたくなかった人に見られてしまったことが、吹っ切れたと言うか開き直れたと言う感じになってしまったんだろうなあ。
あの台本はどうかと思いますが、無表情でゲヘゲヘ言う大目玉が何か……良かった。一番良かったのは、かつて自分が言われた台詞を、大事なこの時に使ったゆかりですけどね。
最後の決めポーズは三編の中で一番かっこいいです。

ページ数だけでいったらたいしたことがないのに、とても短編とは思えないボリューム感があります。長編のようなジェットコースター展開ではありませんが、かなり良かったです。ひょっとしたら短編(というか中編)ぐらいの長さのほうがいいのかもしれないと思ったぐらい。
次は今回の短編集に負けないような、熱く激しい長編を期待したいですね。

エトセトラ上等。 三浦勇雄

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フェスティバル上等。

フェスティバル上等。 - 三浦 勇雄

羽原羽高校での学園祭。先輩と過ごせる初めてのお祭りということで、期待に胸を膨らませていた柚子だが、いつも優しい文七先輩はきょとんとした顔をして言う。
「君とおれって、知り合いだっけ?」
嘘をついているようには見えない。いったい何が……?

内世界を知っている者を消そうとする動きが始まり、文七、曜子、ゆかりが、槍ヶ岳に関わる記憶を封印され、唯一、鉄平だけが記憶を取り戻してという、楽しいはずの学園祭が一転するお話です。

鉄平からしたらゆかりが、柚子からしたら文七が、あひるからしたら曜子が。思い人が自分のことを忘れているなんて、いきなり辛い展開ですね。ショックの大きさを想像したら、心が痛くなります。

そんな中、頑張っていたのは柚子ですね。ショックが大きいだろうに、それでも文七を信じて行動するところが、とてもいいです。自分の想いに気づき、想いを伝えるのは記憶を取り戻してからという決意も素敵でした。
がんばれ、と応援したくなります。

対鉄平のために送られてきた内界人の強さがハンパじゃないので、いったいどうなるのかと、ハラハラドキドキでしたが、そこは鉄平。熱き思いのぶつけ合いにニンマリさせられます。
二人で協力し合って、敵とぶつかるというのはいいですね。普通に聞いたら恥ずかしくなるような言葉でも、この場面で告げられると、かっこいいと思っちゃいます。

最後は素敵に終わり……と思いきや、まだまだ学園祭は終わらないようです。新たに事件勃発するとは。しかも、今度はさらにやばめかもと思わせるところで続くなんて、犯罪ですよ。ああ、もう!
次なる戦いはどんな展開が待ち受けてるのかしらと、いろいろ想像させられますが、すべてをなぎ倒すような熱い展開を期待したいですね。

フェスティバル上等。 - 三浦 勇雄

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サクラ上等。

サクラ上等。 - 三浦 勇雄

学園祭の出来事は、俺たちの力で撃退したはずだったが、気がついたときには、またみなの記憶は失われていた。つまり、俺たちは失敗したのだ。自分の記憶が無くなっていない事を知られたら、命の危険があるかもしれないということで、鉄平は迂闊な行動はさけていたが、一ヵ月半が経過しても、越後屋や槍ヶ岳からは何の連絡も無く……

好きな人が自分のことを忘れてしまうというのは、辛いことだと思いますが、その人だけじゃなく、他の人もまるで覚えてないとなると、孤独で辛いですよね。それでも、ひとつずつ、取り戻していこうと頑張る鉄平が印象的です。

ゆかりは記憶を失くしてもゆかりなんだなあ、と感じられるところには、嬉しく思いましたが、逆に昔を思い出してしまうところには、辛いものがありますね。
耐え切れなくなって思わず口に出してしまったことを後悔して、どうすればいいのかと途方にくれる姿は、今までの出来事を乗り切ってきた男とは思えないほど、弱さを感じました。

同じように大切な人に忘れられた柚子とあひるも、辛かったでしょうね。三人が三人とも諦め始めたときに、出会えたことは、ほんと良かったです。孤独じゃないと知ることは、力になるんですね。
「上等だ。」
この場面でのこのセリフがきたときには、思わずグッとくるほど、心が沸き立つものを感じました。

ここからの無敵感というか高揚感はさすがですね。これぞ、上等シリーズだよ!と声を大にして言いたくなる熱さに酔いしれました。この感覚がもっと続いてくれたら、最高だったんですけどねー。
こっからちょっと別の話に移っちゃったので、そのあたり残念ですが、まあ、こっちも気になる話であったことには変わりないのでいいか。

槍ヶ岳の身に何があったのかということが語られるお話でしたが、こちらまで記憶を失っているとは思いませんでした。何気に残酷なことになってますが、それでもこの危機で、記憶を失っているにも関わらず、あの言葉が出てくるとは……、鉄平の影響もまんざら捨てたもんじゃないですね。

最後の最後で大集合っぽい感じになってますが、次でこの第二世界編が簡潔するってことなので、きっと鬱憤を晴らしてくれるような怒涛の展開になってくれるでしょう。大いに期待したいですね。

サクラ上等。 - 三浦 勇雄

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サクラサク上等。

サクラサク上等。 - 三浦 勇雄

そこはひどく暗い世界だった。空気も濁っているのか呼吸がしづらい。そして、そこにはハヤミが、一本釣が、五寸釘が、さらに槍ヶ岳の姿があった。ここは第二世界?要するに自分は、詰草にだまされたわけだ。ショックを受けた鉄平だが、すぐに気づいた。目の前には槍ヶ岳がいて、五寸釘がいるのだ、これはチャンスなのでは?
難しく考える必要はない。成すべきことはたったひとつなのだから……

というわけで、最終巻。みんなの記憶を取り戻して、内界人の陰謀を叩き潰すために、第二世界の鉄平たちと、外世界のゆかりたちが、奮闘するお話です。サクラサク上等どころか、リベンジ上等という感じでしたね。
待ち受けてるゆかりとの未来のために、迷い迷っていた鉄平が、ひたすら立ち向かっていく姿がいいです。

五寸釘の考え方は、決して間違ってなくて、でも、鉄平の考え方も間違ってるとは言えないものがあるだけに、ぶっちゃけハヤミの言うとおり、どちらが正しいという問題ではなく、勝ったほうが正しいというお話は、シンプルでわかりやすい。ただ、ちょっとこねすぎてて、熱気が冷めちゃうところがあったのは勿体なかったかな。

露草の心変わりとかは、微妙に都合良いところが多かったんですが、相手への思いを胸にして、戦うことを決意する似たものカップルに当てられちゃう気持ちはわかるなあ。何だかんだ言いながら、まっすぐな連中がそろってるんですよね、ここには。
記憶が復活した後の文七と柚子を見ていると、じわりと来るものがありました。

復活といえば、自分でも驚いたのは、槍ヶ岳の復活シーンですね。あまり好きなキャラクタじゃなかったのに、「大変お待たせいたしました」という言葉を聞いたときには、ゾクゾクしてしまいました。心のどこかで待ち望んでいたのかもしれません。
死を覚悟してでもカッコつける姿は、この人も同じなんだなあと思えたところが、たまらなくよかったです。

ああ、楽しかった。熱き者たちの戦いは、やっぱり引き込まれるものがありますよね。最後は予想通りですが、大団円に満足です。
これでシリーズ終わりってことなので、次にどんな物語を作り出してくれるのか楽しみですね。

サクラサク上等。 - 三浦 勇雄

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