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人類は衰退しました / 田中ロミオ

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人類は衰退しました

人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1) - 田中 ロミオ

人類が衰退して、人口は減る一方なところに、彼らはやってきた。平均身長10センチの妖精さんたちは、自由に生きる力があり、人間と言葉は通じるけれど、対話はほとんどなく、彼らがどうやって生きているのか、よく知らない。人類最後の教育機関である学舎を卒業したわたしは、妖精さんと人間との間に立つ調停官の仕事を始めることにしたが……

調停官といっても特にやることはなくて、でも何もしないのもなあ、ということで、「わたし」が妖精さんたちに、触れ合っていくお話です。いやあ、これはいいですね。のんびりとした雰囲気が個人的に好みです。

お祖父さんができる仕事なら、楽にできるだろうと思って、調停官の仕事を選ぶとは、何とも怠惰な少女ですが、そんな少女とお祖父さんの軽快なやり取りは、時に微笑ましさを交えながら、楽しいものがありましたね。会話の魅力とはまさにこのこと。
寝坊やら門限やらで、いまだに怒られると思ってる少女が微笑ましかったりします。

妖精さんたちが、またかわいくてかわいくて。魔が差して、拉致ってしまったヒロインの気持ちはよくわかります。名前がないので、少女が考えてあげるんですが、このときのやり取りが、たまらなくヒットしました。なかたさんに対して、そーきたかー、とは素晴らしいレスです。個人的にはちくわさんが大好きですが。さりげなく、いじめてしまうシュールさにニヤリとさせられますね。
あー、たまらん。お持ち帰りしたい気分でいっぱい。

技術力の高さを示したかと思いきや、鬼(神?)ごっこで、はしゃぎまくる姿を見せられてと、ギャップが激しいことこの上ない妖精さんたち。側にいて、いろいろ観察しても、結局妖精さんについてわかることはほとんどないんですが、仲良くなったかと思ったら、相手の忘却力に翻弄されてがっくりきたりという、少女のお仕事模様が楽しいですね。この雰囲気はクセになりそう。

いやあ、楽しかったなあ。この楽しい雰囲気は伝えるのが難しいですが、個人的には大ヒットだといっておきます。大いにオススメ。
先日のガガガトークLIVEのイベントへ参加したときに、続きがあるという話を聞いたので、ゆるゆると待っていたいと思います。

人類は衰退しました (ガガガ文庫 た 1-1) - 田中 ロミオ

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人類は衰退しました 2

人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫) - 田中 ロミオ

最近、奇妙な品が出回っている ― そんな知らせを受けて、調停事務所から渋々里へと足を運んだわたしは、本当に奇妙なものばかりを回収することになった。外見に変わったことはないのに、履くと中に水がたまっていく長靴や、引いた線が動きだすパステルなど、何に使うのかわからない道具をあれこれ試していたら、ひょんなことから計量スプーンを自分の頭に突き刺しちゃって、見る見る背が縮んでいき…

衰退した旧人類となった人間と、次の「人類」である妖精さんの交流を描くお話の第二段。今回は、妖精さんの意味不明な道具のおかげで、妖精サイズになっちゃった「わたし」の騒動「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」と、現場に復帰するという助手さんを迎えにいったら、時間のハザマに囚われる「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」の二編が収録されています。

あー、なんて愛らしいんだろう。履いて歩くと中に水が溜まる長靴や予備の雲など、とんでもない技術力をまったく持って役に立たない方向へ使ってる妖精さんの道具に、思わず癒されてしまいますが、それよりも何よりも、妖精サイズになってしまった「わたし」の冒険が、可愛くて可愛くて。

頭では慎重な行動を考えているのに、体は「やー」とばかりに特攻してくれちゃったり、ハムスターとのふれあいは、愛らしさと微笑ましさいっぱい。もう読んでてニヤニヤがとまらないんですが、そういった微笑ましさだけでなく、普段、言葉を交わすことのできない植物の思いが伝わってくるようなところでは、清々しい思いにさせられるばかりでした。いやあ、いいなあ、こういう描写。

途中からちょっと切ないお話にもなっていったんですけど、ひとまずホッとした「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」でした。

妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」は、お出迎えに向かったら、延々と同じことを繰り返すことになってしまったループもの。同じことの繰り返しながら、ちょっとずつ違ったものが見えてくるのは、面白くもあり、ちょっと退屈でもあり。あ、でも、今までになかった恋愛要素が見れたのは、嬉しかったなあ。人見知りなので、あんまそういう話にはいかないと思ってたので。ま、それでもやっぱり、妖精さんとののんびりしたやり取りのほうが素敵ですけど。
バナナのお約束に、にんまりなお話でしたね。

あー、楽しかった。雰囲気で魅せつつ、楽しませてくれるお話って早々ないですよね。いつまでも続いてほしい、そんな物語です。オススメ!!!

人類は衰退しました 2 (ガガガ文庫) - 田中 ロミオ

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人類は衰退しました 3

人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫) - 田中 ロミオ

「かなしいおしらせです」
「へ?」
「おわかれ、しちゃいます」
「お別れ、どうして?」
「……やつが、くるです」

衰退した旧人類となった人間と、次の「人類」である妖精さんの交流を描くお話の第三弾。今回は、妖精さんがお暇を?という時に、都市遺跡へ調査へ向かわねばならなくなり……という「妖精さんの、おさとがえり」というお話と、助手さんが描いた絵本「ティードラゴンと鉢植えの都市」が収録されています。長編一本ってはじめてかな。相変わらずのゆるゆるさがとても楽しい。

妖精さんがいなくなる?ってことで、少しは落ち着くのかと思いきや、気づけば都市遺跡の奥深くに紛れ込んで、遭難寸前になってしまうトラブル体質が、とても「わたし」らしくて、にやりとしてしまう。妖精さんに鍛えられたんだなあと思えるところでも、頬がゆるんじゃいましたね。

そこから、だんだんとシャレにならないぐらい追い詰められるところには、どうなることかと思いましたが、そこへ妖精さんが一匹登場するだけで、雰囲気が一変するからすごいですよね。何一つ状況が変わったわけでもないのに、何この安心感、安堵感。妖精さんというキャラクタのすごさを痛感しました。
フェアリー・ダウジングの姿を想像して、ああ、癒される。

都市建造物の謎や、人間と言い張るロボットたちの壮絶な戦いなど、大ピンチの連続が続くんですが、大慌てした後に、あっさり助かるパターンが、妙に面白かったりしましたね。さすが妖精さんだ。
足を引っ張ってるような気がしないでもない助手さんもいい味だしてました。助けようと頑張ってる(ようにみえる)ところは、良きことです。子供っぽいところも見せてくれたりして、相変わらず無口だけど、なんか可愛い。

いやあ、面白かった。
O太郎とP子なるものの正体が、まさかそんな壮大なものだとは思いもしませんでしたが(思いあたったらすごすぎる)、共に冒険した者たちのために、全てを背負った孫ちゃんの姿が、とても良かったです。最後に、みんなが戻ってきて、元通りな日常が見えたときには、とてもホッとしました。うん、やっぱり、このお話には、ティータイムが良く似合いますね。

助手さんの絵本も、すっごいほんわかさせてくれて、できればカラーで見たかったなあと思うばかり。「ごちそうさま」に思わずにやり。

さてさて次はどんなお話で、魅了してくれるのかしら。とても楽しみです。

人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫) - 田中 ロミオ

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人類は衰退しました 4

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫 た 1-5) - 田中 ロミオ

「おやくだちー」
妖精さんが髪の合間から、万歳ポーズで突き出ます。
「……そんなところにいたんですか」
「せまいながらもたのしいわがやですが?」
「失敬な」

衰退した旧人類となった人間と、次の「人類」である妖精さんの交流を描くお話の第四弾。今回は、怪しげな品を里に配りまわる「妖精社」を視察に行く「妖精さんの、ひみつのこうじょう」と、いつの間にやらクスノキの里が世界一の妖精人口密度地帯になってしまったことで、妖精さんに異変が起きる「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」の二編が収録されています。

妖精さんの、ひみつのこうじょう
衰退した人類ってことで、食糧不足はなかなかに深刻なんですが、どこかのんびりした雰囲気は心地よいです。肉を手に入れるために鶏を追いかけていたのに、気づけば加工済みのチキンが走り回ったりしているから、なんだこれは状態ですよ。

もちろん、こんな怪しいことをするのは、妖精さんしかいないわけですが、肝心の妖精さんもなかなか姿を見せないので、いったいなにをしたいんだろう?と、興味津々にさせられます。まさか、下克上があったとは思いもしませんでしたけどね!
わかってみれば、やれやれだぜと思いながら微笑んでしまうお話でした。

ゆる楽しさがたまりませんが、何気にラストのチキン話はシュールだ。

妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ
お菓子を挙げてるせいか、妖精さんが爆発的に増えてしまったクスノキの里。このままじゃ、まずいぞってことで、分散させるべく一部の妖精さんを引き連れて、とある島へ行くんですが、この一部の妖精さんってのがちょっと鬱ってる連中なので、とても楽しかったりする。のんびりモードでネガティブ思考の可愛さにやられんばかり。

この状態の妖精さんは、いつものような超人的な創造力がなくて、どこか人間くさい物づくりを見せてくれるので、新鮮ですね。いつもこのくらいのレベルだったら、調停官は楽なんだろうけど、鬱られると衰退してっちゃうので、いつもは妖精さんをからかってる主人公も、何とか持ち上げようと必死になったりして、なかなか楽しいものでした。

ま、その持ち上げが行き過ぎて&自分も調子に乗りすぎて、というのはお約束ですよね。わかっていても楽しいものがあります。
しっかしまあ、どんなピンチに陥っても、なんだかんだいって切り抜けるあたり、主人公はタフですね。

そうそう。あとがきによると、来年なんらかの新展開があるそうです。本以外のメディアに展開したりするのかしら?

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫 た 1-5) - 田中 ロミオ

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人類は衰退しました 5

人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫 た 1-6) - 田中 ロミオ

「お久しぶりですねぇ」
「いつもいっしょですが?」
わたしはおかしくなって、声を出して笑いました。
「そんな気はしませんでした」
「まだ、さびしい?」
「いいえ」わたしの答えは決まっていました。「頭の中で、いつでもお茶会が開かれているようなものですから」

衰退した旧人類となった人間と、次の「人類」である妖精さんの交流を描くお話の第五弾。今回は「わたし」が調停官となる前に過ごした<学舎>のお話「妖精さんの、ひみつうのおちゃかい」と、世界がドット絵ゲームになる「妖精さんの、いちにちいちじかん」が収録されています。

これは素敵だった。「妖精さんの、ひみつうのおちゃかい」には、どれだけ感動させられただろう。

幼い頃、祖父から離れ、寄宿舎に送られた「わたし」の心は閉ざされていて、孤独で、人に期待することなく、ただやり過ごすだけの毎日は、読んでいて痛々しいものがあり、ほんと辛かった。人の好意すら素直に受け取れないんですから、荒んでますよね。

そんなとき出会ったのが、家政婦ロボットと妖精さん。孤立した彼女が心を開いたのが人以外というのは、何とも皮肉なものですが、この出会いがあったから寂しさを自覚していったんですよね。

人間関係に巻き込まれて、いつの間にか友達ができて。寄宿舎に入ったばかりだった頃だったら跳ね除けていた先輩たちとの出会いから始まるお茶会は、ちょっとびっくりすることもあったけれど、微笑ましい思いになりました。

こうなると、卒業の時なんてもうね……ほろりときちゃいますよ。 ほんといいお話を読んだなあ。

「妖精さんの、いちにちいちじかん」は、変なお話でした、っていつものことか。万物ゲーム機によって、世界がゲーム化しちゃうんですが、そのことを登場人物たちが認識してないので、なんともシュールです。要所要所で見せられるゲーム模様に気付かされると、思わずニヤリとしてしまう。
グミが四つ揃ったら消えちゃうとか、レンガが一例う揃ったら無くなっちゃうとか。掘った穴が埋まるところでは爆笑しちゃったけど、ボクはあまりゲームに詳しくないので、知ってる人ならもっとニヤニヤなんだろうなあと思ったり。

それにしても、妖精さんがリアルになると怖いですね。

人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫 た 1-6) - 田中 ロミオ

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人類は衰退しました 6

人類は衰退しました 6 (ガガガ文庫) - 田中 ロミオ

調査を行った結果、全三十二チーム中、乗員が競技中に墜落死するおそれのあるチーム……二十五。乗員が行方不明になるおそれのあるチーム……七。
嫌な予感しかしません。

衰退した旧人類となった人間と、次の「人類」である妖精さんの交流を描くお話の第六弾。今回は、冬季の物語。鳥人間コンテストに巻き込まれる「妖精さんたち、すかいはい」と、マンガのデータを見つけた悪友Yによって同人誌ならぬ同類誌が広がっていく「妖精さんたちの、さぶかる」の二編が収録されています。

楽しく脱力させてくれるお話でした。やっぱり妖精さんたちは可愛いなーと思いつつ、巻き込まれると大変なことになることを思うとぞわぞわする。っていうか、そんな状態に巻き込まれても、またか、みたいな感じで落ち着いてる主人公の慣れっぷりににんまり。

妖精さんたち、すかいはい」は、人力飛行機で飛距離を競う鳥人間コンテストのお話。やる気満々なおじいさんに連れて行かれたら、安全対策係に任命されてしまう主人公は、まあ、そういう運命なんだなと思うしか。しかもエントリーされている人たちに会ってみたら、挑む人は皆高いテンションとやばい飛行機しか持ってないから、嫌な予感しかしないどころか、危険度大サービスでもはや死のコンテスト状態だから、そりゃ気が休む暇もない。予想していた展開なのに、ニヤニヤが止まらなかった。

どうするかといったら妖精さんたちに力を借りるしかないわけですが、これがまた万能すぎて困ります。何がどうなってるのか分からないけれど便利な道具を使って、バレバレの伏線を回収して、大惨事を防いでいくあたりが楽しかったです。妖精さんほしいです。
それにしても、あんな状況でも、助手さんと一緒にいると、なんかほのぼのしてていいな。

妖精さんたちの、さぶかる」は、人類が後世に残す記念碑的建造物「ヒト・モニュメント」に関わる悪友Yがやってきて、手にしたのが印刷機とマンガの入ったデータだったってところから、思わぬ展開が待ち受けていたから楽しい。いやー、まさか、男同士のちょめちょめなマンガが、娘さんたちの間で大流行するとは。同人誌ならぬ同類誌が広がっていく様が無駄に楽しい。
Yがどんどんと深みにはまっていき、気づけばライバル誌が登場して苛烈な競争が始まり、さらには……もう、これコミケだよねと思った僕がいた。

その壮大な話が実は序章だったりするから、ちょっとおかしいんだけど、個人的には序章が面白かったです。妖精さんが関わってきてからはシュールすぎる(笑)。あの煽りっぷりは楽しかったけどね。

そんなこんなで、冬が舞台だというのに、そんな寒さを感じさせないお話でした。ちょっと短かったのが残念ですけど、楽しかったです。

人類は衰退しました 6 (ガガガ文庫) - 田中 ロミオ

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