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姫様とオレ様と / 神代明

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姫様とオレ様とカゲトリバコをめぐる覚え書き

姫様とオレ様とカゲトリバコをめぐる覚え書き - 神代 明

生まれつき影を持たないライズオール王国の末姫サラは、優しき兄姉や俺様な性格なのにサラには優しい乳兄弟のアーウィンに守られていたものの、何かと差別され、辛い思いをしてきた。
そんなある日、他国の皇太子と長男のエルスの影が、奇妙な小箱に奪われるという事件が起こった。触る者はみな小箱に囚われてしまうため、近づけるのは影を持たないサラしかおらず……

影がないため、何かと差別されていたサラが、自分にできることがあるならと、影を囚われた人たちを取り戻す旅に出るお話です。

いやあ、これはいいですね。影がないこと確認する視線を感じたり、あからさまに嫌悪を抱かれたりしながらも、健やかに成長しているサラが、かわいくて素敵です。
落ち込んだり、涙を貯めることもあるんだけど、そんな彼女を優しく包む周囲の人たちが、またいいんですよ。特に乳兄弟のアーウィンが素敵です。言葉は悪かったりするんですが、サラを大切に思う気持ちが伝わってくるんですよね。

アーウィンがサラを思う気持ちは、どちらかといえば家族愛的な感じではあるんですが、「安心して守られろ!」と言われて、全身で信頼を表すサラは、完全に恋してますよね。二人の距離感が最高でした。

影を囚われた人たちのために、サラがアーウィンたちと危険を顧みずに、女神リリアルの元まで、お忍びで旅をするんですが、道中「精霊の隠れ里」の獣人ラトナと出会えたのは、サラにとって、目的を達成することと同じぐらい重要な出来事になりましたよね。初めての同性で同年代の友人とのやり取りは、読んでるこちらまで微笑んでしまいます。

危険な旅を乗り越えて、目的を果たしたご褒美を女神からもらえるとき、サラがどうするかと思いましたが……。サラならそう判断するだろうなと思いつつも、優しい気持ちにさせられました。このあとに、肖像画話をもってくるなんてずるいよ。気づけば、じんわりと浮かぶものがありました。よかったね。

その後の話が短編で収録されてましたが、こちらも良かったなあ。本編でも幾度となく見せられましたが、サラの笑顔がほんと素敵なんです。目に見えない精霊だって喜んでしまう気持ちがわかりますね。

いやあ、良かったです。こういう温かい気持ちになれるファンタジーって大好き。ほんわかした気持ちになりたい人にオススメ。
このお話で終わってしまうのはもったいなく思いますが、続編とか出てくれたら嬉しいな。

姫様とオレ様とカゲトリバコをめぐる覚え書き - 神代 明

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姫様とオレ様と眠れぬ魔女に奏でるアルペジオ

姫様とオレ様と眠れぬ魔女に奏でるアルペジオ - 神代 明

歌姫であった亡き妻を偲んだトカットの領主グレゴリは、音楽祭を開催しようとしていた。音楽学校に留学中のサラ姫の姉、フィーナ姫とリリーナ姫も参加するとのことで、末姫サラもトカットへと向かった。久しぶりに会った姉たちの変わらぬ姿を喜んでいたサラだが、音楽祭本番を控えたリハーサルで、魔女クーファ役に化けたものが、双子姫を連れ去って……

生まれつき影がないため、何かと差別されながらも、まっすぐ成長しているサラ姫と、彼女を守るべく騎士となったオレ様な乳兄弟アーウィンが繰り広げる物語。今回は、さらわれた双子姫の行方を追ううちに、ふたりの距離に変化が生まれてくるお話です。

うん、いいですね。好きといっても、どちからといえば、兄妹のような感情だと思っていたのに、実は……ということに気づきつつある姫様が可愛い。本来であれば、王と一緒にトカットへと向かうのに、アーウィンが側にいてくれる機会が少しでもほしいと、単独(護衛少数)で旅する姿が健気です。
一方のアーウィンも、サラが幸せであるならそれでいいといいつつ、領主の息子がサラに近づくと、いらいらする自分に気づいたりして、いったい自分に何が起きてるんだと、ぐるぐる悩む姿ににやり。

アーウィンにドキドキするサラと、無意識のうちに甘い言葉を伝えてしまうアーウィンと。物語の中で、随所に現れる甘酸っぱくもいじらしいふたりの距離がたまりません。

ただ、お話としては、盛り上がりに欠けてたかな。領主の息子の話はともかく、フィーナの才能に嫉妬するヴィオレッタの葛藤は、もうちょっといろいろ読みたかったですし、ツァイについても、さらりと流されただけで、あれだけの切なさを見せてくれるんですから、もっと深く入り込んでもよかったのではないかと思うのは、僕だけかしら。

というわけで、面白くも物足りないところがありましたが、領主の幼い娘オリガの迷いや心の変化とかには、大人の優しい目線が感じられて、よかったです。

最後にはサラとアーウィンが、またひとつ距離を縮めてくれて、嬉しくなっちゃうものがありましたが……なんですか、あの巻末に収録されてるおまけの短編がすごかった。本編のほのぼのさとは一変して、ぞわぞわとさせられる。ひょっとしてこれから、そういう方面に物語が発展していくのかしら。

これは続きが楽しみになってきましたね。

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