グロリアスドーン! / 庄司卓
グロリアスドーン 1 少女は黎明に唄う
広大が目を覚ましたとき、隣に美しい少女が寝そべっていた。なんでこんなギャルゲーな展開?また都合よく(悪く?)幼馴染の恵子が入ってきて、一騒動に発展!
何とか恵子の攻撃をかわし、少女に話を聞いたところ、広大の母親に拾われたと言う。
何のことかと思ったら、どうやらティセと名乗った少女は宇宙から来た bio クラフトだったのだ……
bioクラフトと呼ばれる宇宙人と地球人の交流を描いた物語。というとほのぼのしているように思えますが、戦いあり、裏もありといった SF な展開です。
とはいえ、全体的にコミカルで bioクラフトの中でもちょっと特別な存在っぽい少女ティセと、彼女を追いかけてくる者たちの騒動が楽しいです。特に他人を気にしないティセに対して、周囲が空回りしていくところでニヤニヤ笑いが止まらない。
追跡者たちとの騒動もさることながら、広大と恵子の絡みも楽しい。ツンデレ恵子の破壊力万点さ(文字通り)が特にいいです。当たったらやばいです。集中なんてできませんよ。いや、効果あるのはわかるけど、って、何の話だ。
いずれティセと三角になるのかもしれませんが、姉御肌っぽい恵子なので、結構仲良い三角になりそう。
気になるのは、広大の秘密と言うか、隠された力とでもいうところでしょうか。ところどころに示唆があったけど、これは父親も関係しているのかなあ。広大の母、広海は何か知ってそうだけど、一番のクセ者っぽいので、なかなか明かしてくれないだろうなあ。実は一番好きなキャラですが。
わからないといえば、そもそも bioクラフトの目的がよくわからないし、ティセに関わることもほとんど明かされていない。今回はまだまだ顔見せという感じで、本格的な話の展開は次の巻からになるのかな。
とても楽しくなりそうなので、大いに期待したいです。
グロリアスドーン 2 少女は夕暮れに遊ぶ
大切に育てられているのはわかるけれど、自由な時間がない。まるで籠の中の鳥のよう。そんな生活をしている静花は、ある日、オレンジ色の髪をしたティルと出会った。bioクラフトではあるけれど、静花にとって初めての友だち。
一方、bioクラフトを悪用している人物が、次々と襲われている事件が相次いでいた。どうやら、せーラ服を着た女子高生らしいが……
bioクラフトと呼ばれる宇宙人と地球人の交流を描いた物語。相変わらずコミカルなドタバタが楽しい。
今回は広大とパートナーを組んだティセの妹たちが登場するんですが、なんといっても、妹のひとりである天真爛漫なティルがカワイイです。箱入り娘の静花とのあどけないやり取りには、思わず見守りたくなる微笑ましさがあります。ああ、それなのにそれなのに。
裏から伸びてくる手が、害をなすわけではないところに、いやらしさを感じますね。相手の弱みに付け込んだ効果的な示唆に、釣られてしまうティルに、そっちに行くなー、と声をかけたくなります。
もうひとりの妹のティオは、パートナーである桜子の印象が強くて、それほど印象に残っていないんですが、妙にティルが恐れていたのが印象的でした。まだまだ隠している何かがあるのかな。曲がったことが嫌いそうな感じのふたりですが、手段を選ばないところに何かありそうですね。
ほかにもティセの友人(というか仕える人)なども出てきましたが、キャラの濃さでは王子な先生が一番ですね。すげー、バカっぽいと思いきや、さりげなく裏を感じさせてくれるところがいいです。UNbAR も一枚岩でないのか、それともほかの思惑があるのか。bioクラフト側にも、画策している連中がいるものの、思惑の全容が見えないので、気になります。
いろいろありましたが、今回の話はまだ前振りといったところですね。妹との話はひとつぐらい終わるかと思ったんだけど、捩れそうだなあ。あまり、ティルと静花の関係は壊してほしくないんですが……。
力関係では、ティセに仕える友人のアイシャと恵子がお約束になったことだし、大丈夫かな?
グロリアスドーン 3 少女は宵闇に彷徨う
bioクラフトの契約を私利私欲に利用しているbioパートナーが襲われ、強制的に契約が解除されているという事件が多発している。犯人がティセの妹であるティオなのは確実だが、パートナーは未だ明らかになっていない。
友人が「bioパートナー狩り」に遭ったアンリは、犯人に対する怒りを胸に日本へやってきて、ティオのパートナーらしき女学生に出会い追いかけていくが、裏ではさらに陰謀が動いていて……
ティオと桜子の「bioパートナー狩り」を追いかける勢力がある中、模倣犯が現れて……というお話ですが、桜子とティオの出会いや、桜子の過去が明らかになりましたね。人に対する不信感などから、捻れてしまったのは、なんともやるせないものがあります。ティオにも同じような傷があるようですね。
この二人は、冷たい雨がなんと似合うことか。
ティオの心の傷については、今回明らかにされていませんでしたが、手を取り合える人が側にいるというのは、どれほどの安心感があるのかが伝わってきますね。ただ、それでもなお、力を振るおうとするのは、なぜかと思いましたが、座談会?みたいなあとがきを読んでなんとなくしっくりきました。ティオが11歳だってことを考えると、拗ねてる感じなのかもしれませんね。
広大たちは、相変わらず楽しい雰囲気で、特に初っ端の雨のシーンは、ティオたちとはまるで違って、不思議な空気が流れてましたね。雨を見たときのティセの行動に、とてつもなく微笑ましい気持ちになれました。
そんな感じで、不思議空気を作り上げてくれていたティセですが、今回は広大とのやり取りで、ちょっと素敵な雰囲気を作ってくれましたね。何を考えているかわかりにくいですが、あれは好意ですよね。ああ、もっと発展してほしいとつくづく思います。微妙な距離感のモドカシサに、たまらなく悶えたり。
今回ティオと桜子を追って、アンリがフランスからやってきましたが、猪突猛進型な人だったおかげで、いつもながらのトタバタ風味が展開されてましたね。ちょっとシンプルすぎる感じではありましたが、最後の決戦はド迫力でした。まさか、山脈並のドリルだとは。
敵のドリスのスケールの大きさと、ドリルの美しさを語るティオに、思わず笑ってしまいました。
ティセとティオという貴族の力をありありと見せつけてくれた戦いでしたが、ティセが妹を心配する姿が個人的にはよかったです。やっぱり、お姉さんなんですね。昔、妹を信じることができなかったというのはなんなんでしょう。気になりますね。いつか、心が通じ合ってくれるとうれしいなあ。
そういえば、未だに陰謀らしきものを続けてる彼の連中は、相変わらず表に出てきませんが、そろそろ何か動きがあるのかしら。
グロリアスドーン 4 「ちゃぷちゃぷ?」
泳げないというティセが、プールで騒ぎを起こしてしまった。同じことを繰り返してはまずいと、練習することを考えた広大たちは、藍留の親戚がやっているという民宿を頼って、海へ行くことに。
同じころ、静香とティルは同じリゾート施設の超高級ホテルに泊まり、桜子とティオも、bioクラフトの行方を求めて、海へと向かっていて……
偶然にもティセ、ティル、ティオの姉妹と、各パートナーたちが同じリゾート地に会して、というお話ですが、本編というよりは、番外編的な日常の物語ですね。
一堂に会しながら、すれ違ってなかなか会えないところには、もどかしく思いながらニヤニヤさせられましたが、ティセのいつも以上に魅力的なパタパタや、静香と一緒に遊ぶティルの天真爛漫さ、好奇心旺盛なくせに素直になれないティオなど、三者三様のかわいさがたまらなかったですね。
中でも良かったのは、ティオかな。パートナーである桜子との距離が縮まったおかげで、何かと見透かされるようになって、でも必死に隠そうとする姿が、たまらなく愛らしい。容姿の事もあって、大人びて見えますが、こういうときは、年相応ですね。桜子もいい具合に柔らかくなってきたし、このふたりはいい組み合わせだなあ。
そういえば、初めてティルのパートナーが、一同と顔をあわせたわけですが、広大に興味を持つとは意外でしたね。さすが箱入り娘。まあ、ティオや桜子の女らしさにも憧れてるみたいなので、大きな事にはならないと思うけど。年上の人に憧れる姿とか初々しくて、なかなか良かったです。
この地に伝わる伝承とかに、bioクラフトを連想させるものがあって、というところからのお話には、異種族との間にある壁について、考えさせられるものがありました。どうにもならないものだとは思いますが、それでもきっと広大たちなら、乗り越える道を探してくれるんじゃないかと思いたいですね。
最後に「不滅なる正午」が動いてくるような様子を見せてきたので、次はまったりした日常編ではなく、いろいろと動くのかな。どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。
グロリアスドーン アイキャッチ 1「今日のティセ子さん」
「ティセです」
転入してくるなんて聞いてない広大と恵子は、教室で自己紹介するティセの姿を見て驚いた。美少女の登場に、クラスメイトたちが質問攻めをする最中、ティセの正体がばれないよう、必死にフォローする広大たちだが、あるとき、ティセの日用品を揃えるための買い物に、なぜかクラスメイトたちが参加してきて……
「アイキャッチ」って何かと思ったら、学園ドタバタ短編&ラヴィーの物語だそうです。これで「○○は○○に○○」というサブタイトルがつく本編、「ちゃぷちゃぷ?」みたいな日常長編とあわせて、三系統のお話が同時進行していくみたいですね。
というわけで、ティセが転入してくるという一巻の直後の「転校してきました。そういう設定です」(前編・後編)、トランクルナイトに襲われたときの心構えをするという二巻と三巻の間の「特訓しましょう。頑張ってください」(前編・後編)、自称bioクラフトの姫、ラヴィーが登場する三巻の直後の「わ、私は姫だ!本当だぞ!!」(前編・後編)からなる短編集です。
「学園ドタバタ」らしく、今までよりも学園生活が多く描かれているんですが、ティセの正体がバレないようにと、広大や恵子が、あたふたフォローしながら、なんとか学園生活をこなしていく姿が楽しい。
でも、それ以上に目に付いたのは、ティセの可愛さでだなあ。ぱたぱたと両手を振ることで、こうも感情が伝わってくるとは思わなかったです。しかも、イラストが素晴らしいんですよ。自己紹介のときのポーズと、物珍しい少女を見かけたときのワクワク感が伝わってくるイラストにやられました。
時折クスっと笑わされたり、ちょっぴりしんみりさせられたりと、お話としては楽しめるものの、本編の隙間を補完するものばかりで、特別何があるわけでもないなあと思ってたら、最後の話がちょっと面白い展開になってきましたよ。
なんだ、bioクラフトの姫って!?
今後はこのラヴィーをからかう……じゃないや、正体を知るためのお話になるのかしら。小生意気だけど、どこか抜けてて憎めない少女なので、ティセたちと絡むと面白くなりそうですね。今後が楽しみです。
グロリアスドーン 5 少女は閃光をまとう
bioクラフトの目撃報告が頻発しているという報道が相次ぎ、広大たちの住む町が、マスコミやら何やらでにぎわってきた。実際に目撃されたわけではなく、おそらくティセたちをおびき寄せようとする罠だろうと推測したUNbARは、bioクラフト偽装プロジェクトを用意した。ところが、責任者たる十四歳の天才科学者、あーちゃんこと、アーネチカ・シギイワート博士が提示した案は、最先端でありながらレトロなもので……
bioクラフトと呼ばれる宇宙人と地球人の交流を描いた物語の第五弾。今回は、bioクラフトと地球人との関係を好ましく思っていないものたちが、bioクラフトの正体を隠しているティセたちを焙り出そうとするお話です。
お話としてはワンエピソードって程度で、もっと読みませて!と思いましたが、それでもいろいろ伏線というか、裏にある事情がチラチラみえて、気になるばかり。特に、今まではそれほど印象に残ってなかった長女のイモータルヌーンが、一気に怪しさ路線を爆発させてきましたね。出番こそ少ないけど、四姉妹の亀裂を生んだのは、彼女が原因っぽいので、今後の動向が気になるばかり。
気になるといえば、オネストホワールウィンドとアイシャの関係……いや、ティセとも絡みがあるのかな。このあたりも複雑なものがあるようですね。ティセは語らないだろうし、アイシャも隠してるっぽいので、どうなるんだろう。
bioクラフト事情については、シリアスなものを感じさせますが、広大たちの住む町にbioクラフトが潜伏しているという噂を沈静化させるための方法には、クスッとさせられるものがありましたね。こういうふざけたことを真面目にやってしまう、何とかと紙一重な天才科学者あーちゃんのテンションが素敵。戦隊ものとかのネタにはぜんぜんついていけなかったので、ちょっとアレでしたけど。
bioクラフトが絶賛するドリルの魅力についても、ついていけないものがあったはずなのに、だんだん「ひょっとしたら自分が気づいてないだけなんじゃ」と思ってしまうところが怖い。
ひょっとしたらドリルを使えば、ティセとティオの関係も……なんて思ってしまいますが、末妹の意固地な姿を見ていると心痛むので、なるべく早く、ティセと手を取り合えるような仲になってほしいですね。桜子がんばれ!
グロリアスドーン 6 少女は最果てにいざなう
「ドリルがチェーンソーごときに負けるかよ!」
「その通りです」
冷静なビュートが珍しく感極まったように言った。
「ドリルは素晴らしいものです。何ものにも負けることがあってはなりません」
bioクラフトと呼ばれる宇宙人と地球人の交流を描いた物語の第六弾。今回は、bioクラフト・パートナー同士の親睦を深めようとするアーネチカの思惑が裏目に出て、深い溝が入り始めた中、二五〇万光年先に正体不明の敵が現れて……というお話です。
初っ端の親睦会は、なんか楽しかったですね。しぶしぶ場に落ち着いた桜子が、ティセに対してみせる素顔とか、広大の側で顔を赤らめる静花がちょっと頑張るところとか、ティルの直球な明るさとか、すっごい良かっただけに、アイシャ・アンリとティル・桜子の間で、売り言葉に買い言葉が始まって、喧嘩別れしちゃうところが、寂しく思いました。みんな仲良くと思いながら、間に入りきれなかったティセが落ち込んじゃうのも、分かる気がします。
このままじゃまずいよなあってことで、広大が何とか間を取り持とうとするんですが、意外なところにちょっとした助っ人がいてくれたところは、なんかニヤリとしちゃいましたね。静花からしたら力強い味方だよなあ。うんうん。
一番気になっていたティオと桜子組ですが、桜子は桜子でティオのことを思っているので、ティセに対しては、いつものようなツンじゃない姿を見せてくれて、うふふとなっちゃいます。まだどちらも素直じゃないけど、未来は決して暗くないぞ、ティセ!と応援したくなる。
そんな具合に、ちょっとずつ間を埋めていたときに現れたのが新たな敵で、こういうとき、共通の敵が出てくると、結束力が生まれてきますよねぇ。ドリルに対抗する敵がチェーンソーってのがアレですけど。
いったい何者なのかということも気になりますけど、それより驚いたのは、bioクラフトが地球へやってきた目的が明かされたことでしょうか。今まで、頑なに口を閉ざしていたことですけど、そこにパートナーへの信頼が見えて、良かったです。ちょっと壮大すぎるけど。
ただ、長女は、ティセとは異なる思惑を持っているようなので、そのあたり気になりますね。
まあ、ひとまず、四姉妹のうち三姉妹は、仲良くなってくれそうでよかったです。
甘いもの論争で、普通の姉妹喧嘩を見せてくれた最後に微笑むばかり。
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