ギャルゴ!!!!! / 比嘉智康
ギャルゴ!!!!! 地方都市伝説大全
占い師として地元では有名だったばあちゃんが、僕に残してくれた遺言は「人間以外の多くの女性に好かれ、町を守る強い人になる運命」といったものだった。それからぼくは、近所のタニザキというコンビニで買ってるドーベルマン(メス)に求愛され、身長20センチのセクシーフィギュアに告白されてと、人間以外の女性に好かれるようになった。
そんなある日、クラスメイトのコトリさんが、都市伝説として流れている噂の被害者となってることを知ったぼくは、何とかしたいと思い始めて……
占い師のばあちゃんの力を少しだけ受けついた「ギャルゴ」こと田中春男が、ドーベルマンのかま子と、セクシーフィギュアのエリアスと共に、街に流布する都市伝説を解決していくというお話です。
これは楽しいですね。ギャルゴと呼ばれるようになった由来には、同情したくなりますが、ドーベルマンや、フィギュアなど、人間以外の女性に好かれるのはわかるなあ。犬相手であろうとフィギュア相手であろうと、素直に相手をして、悪いことをしたと思ったら、素直に頭を下げることができる姿には、好感がもてましたね。さすがに、キスされそうになったら避けてましたけど(笑)。
そんな春男が仲間と共に、都市伝説となった噂の元を絶つために奔走するんですが、武器が物干し竿というところが、ほのぼのしてますね。実際、対峙する都市伝説も、同情するものがあるので、「敵」という感じがしないんですよね。まあ、被害が広がるのを防ぐために仕方なく、みたいなところがあったりして、ちょっと胸に痛かったりもします。まあ、中には非道な輩もいますが。
かま子がその強靭さを見せて、エリアスが色物に見せかけて実は頭脳担当なところとかを見せてくれてと、いい仲間っぷりが素敵です。さすがに犬やフィギュア相手に恋愛は……と思っていたら、ちゃんとありましたね。はじめの都市伝説の被害者となったコトリさん。美少女を相手にしたら、男なら緊張しちゃいますが、ちょっと抜けてるところがあって、いい具合に力を抜かせてくれます。二人のやり取りにほんわかしますが、かま子やエリアスが嫉妬するところが楽しいですね。
それだけに、最後の話には辛いものがあったなあ。彼女の思いに、都市伝説が影響を与えている可能性はあると思いますが、あくまでそれはきっかけだと思うんだけど……。はじめのキスシーンのときもそうでしたが、相手に対してフェアでありたいという気持ちが強いのは、中学生らしい潔癖さとでもいうのかしら。いや、これは春男の真面目さから生まれたものでしょうね。
いつかきっと。
そう思わせるものがあるだけに、彼の決意が実ってくれることを祈りたくなります。
いやあ、楽しかった。物語も良かったですが、このお話での一番の魅力は、主人公の語り口かな。文章のリズムとか、ユニークな言い回しには、惹きつけられるものがあります。個人的にはかなりお気に入りになったので、続編をぜひともよろしくと、お願いしたくなりました。
第3回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞受賞作。
ギャルゴ!!!!! 2 地域限定焼餅大全
桑島のナンパに付き合って、お嬢様学校へと足を運んだとき、地方都市伝説を解決していたおばあちゃんの一番弟子を自負する少女・ライムと出会った僕は、どちらがおばあちゃんのあとを継ぐのにふさわしいか、勝負することになった。
ちょうどそのころ、春男のことをこそこそと調べているという、着物を着た美女の話が話題になっていて……
地方都市伝説が現実化するという不思議な現象を、人知れず解決していたおばあちゃん。その後をついだ春男が、ドーベルマンのかま子と、セクシーフィギュアのエリアスと共に、物干し竿で街に流布する都市伝説を解決していくお話の第二弾。今回は、おばあちゃんの現役時代に弟子にしてもらったという女の子、ライムが登場するお話です。
これは面白かった。
おばあちゃんを尊敬していたライムが、ただ血を引いているというだけで、あとを継ぐ春男に嫉妬して、というあたりは、ちょっと説明が長いというか、冗長な感じがしたんだけど、いちいち一生懸命なあたりが、なんかいいですね。コトリさんとは違った可愛さがあります。つっぱり棒が武器というのも、微笑ましいかぎり。
ただ、可愛さという点では、コトリさんが一番かな。ほわわーんとした言葉が、ほんと素敵で、春男が頭ゆだってるんじゃないかというような反応しちゃうのも、わからなくもない気がしました。今までになく、コトリさんが積極的だったし、通学中の青春なやり取りに、にやりとしまくり。
っていうか、リアルワールドだとフラグに気づけないのは、「ギャルゴ」らしくないような気がするけど、ま、それはラブコメのお約束ってところかな。
で、都市伝説話。
今回は、はっきりした地方都市伝説が見えてこなかったんですが、実は……という展開には、驚きまくりでした。言われてみれば、と思うことなんだけれど、まさかまさか、この都市伝説が伏線だったとは思わなかったよ!
妹のアニメ話の持っていきかたにもニヤリとさせられましたが、最後の一行で、最も怪しい動きをしていた着物女の正体がわかる展開が秀逸でした。いやあ、満足満足。
エリアスの活躍とか、さらには黒幕らしき人の動きなども見えてきたので、今後このあたりがどうなっていくのか、とても楽しみですね。
ギャルゴ!!!!! 地上最強のG級大全
「おお、地伝が始まったんだよ!今度の地伝は『巨乳風邪』っていうらしいぜ!なんでも名前の通り、女性がこの風邪をひくと巨乳になる。もともと巨乳の人はもっと巨乳になる。それだけの病だ」
地方都市伝説が現実化するという不思議な現象を、人知れず解決していたおばあちゃん。その後を継いだ春男が、ドーベルマンのかま子と、セクシーフィギュアのエリアス、おばあちゃんの弟子だという女の子・ライムと共に、街に流布する地方都市伝説を解決していくお話の第三弾。今回は、風邪をひくと巨乳になってしまうという「巨乳風邪」の事件を解決するお話です。
ああ、楽しい。「巨乳風邪」というコミカルで、ちょっぴりエッチなお話でしたが、下品にならない形で見せてくれるからいいですね。まあ、クラスメイトやら教師やら、登場する女性のほとんどが巨乳になってしまい、ギャルゴなんて不名誉なあだ名をつけられる春男には、女子から厳しい視線が飛んできたりするんですが、天然なコトリさんの癒しと振り回しっぷりが、とても楽しかった。健康ランドでの大ハプニングを、自制で乗り切った春男には拍手喝さいしてあげたくなる。
ただ、今回はそれほど、地伝バトルって感じのものはなかったのが残念かな。解決への道のりも、どっちかというと、調査の結果というよりは、偶然の要素が大きかったし。
とはいえ、今回の地伝のおかげで、噂長の正体らしきものがちらりと見えてきたので、次とかでひょっとしたら大きな動きが見えてくるのかな。おそらくは、彼女が……と思ったけど、ひょっとしたらミスリーディングかもしれないな。気をつけないと。
それにしても、コトリさんの可愛さはいつもながら素晴らしいけど、今回はライムもいい味出してたなあ。男嫌いなのに、あんなに好意を見せてくれるなんて、嬉しくなっちゃうものがあります。でも、春男は、ギャルゲーはゴッドなのに、リアルだと女の子のフラグに気づけないのは相変わらずで、ニヤニヤ。
個人的には、かま子の位置もいいなと思ったりしてるんで、いつか、かま子にもいい思いをさせてあげてくれたら嬉しいな。
今回は三つの物語が収録されてるんですが、二つ目の「死神召喚パラパラ」は、地伝話というよりも、妹の話としてよかった。今まで、両親や他の人が見ている前では、かわいい女の子だけど、春男の前では暴君だったという妹が、とある出来事から、春男の力を借りたいと言い出して。
だんだんと兄として、妹としてのつながりを感じさせるお話になっていったところが、とても素敵だった。短いけどいいお話。
次回予告を兼ねた最後の一編では、いろいろ想像させられるものがあったけど、さて、噂長はどうでてくるんだろう。他のメンバーに伸びてくるであろう手を、春男は回避できるのか見ものです。もちろん正体も気になるので、続きが楽しみですね。
ギャルゴ!!!!!4 地獄天国直通大全
「バリヨン?どんな地伝か聞いた?」
「はい。ある場所では携帯電話のアンテナが4本立つそうです。その場所で自分の携帯電話の番号に自分の携帯電話から発信すると、死んでしまった人と会話できるらしいんです」
地方都市伝説が現実化するという不思議な現象を、人知れず解決していたおばあちゃん。その後を継いだ春男が、ドーベルマンのかま子と、セクシーフィギュアのエリアス、おばあちゃんの弟子だという女の子・ライムと共に、街に流布する地方都市伝説を解決していくお話の第四弾。今回は、噂長の正体を探っていた春男たちの前に、バリ4、プチ神隠し、歌沫姫、異世界の少女という四つの地伝が発生するお話です。
うおお、一気に盛り上がってきた!
噂長は誰かということで追っかけ始めたら、クラスに怪しい人がいて、状況証拠が固まりつつあるところに、コトリさんが再び地伝の影響を受け始めてしまったから、そりゃ春男も焦るわけだ。いつになく冷静さを欠く姿に、コトリさんへの思いを感じます。
エリアスやかま子、ライムといったところの楽しきハーレムもいいけど、女のこのためにがんばる姿もいいですよね。にしても、他の女の子は、春男のモテモテ(人外だけど)っぷりをどう思ってるんだろ。気になります。
ただ、冷静さを欠いたために、ミスリーディングにひっかかるあたりは、ちょっとアレでしたね。誰が噂長かってあたりは、外から見てる読者なら比較的容易に気づけるが故に、もどかしさを感じるものがありましたが、それにしても、どちらかといえば、これまでは、巻き込まれるがままに、地伝を解決してきた春男が、自分から危険を犯してまで積極的に動いてたのが印象に残ってます。バリ4のおかげで、おばあちゃんと話をしたとき、引き止められたにもかかわらず、前に進んだところが、恰好良かったな。
丸太話やらシジミなど、さりげなくユーモラスなシモネタをかましながら、シリアス展開を繰り広げてましたが、ようやく噂長への道がつながった……と思ったら、ラストでこんな衝撃的展開が待ち受けてるとは思いもしませんでした。思わず、え?と思考停止してしまいました。噂長話はクライマックスを間近に控えてると思うんだけど、それ以上にもうひとつの謎が気になるところです。そういえば、あの女の子話もよくわからないしなあ。ああ、早く続きが読みたい!
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