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幻獣降臨譚 / 本宮ことは

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聞け、我が呼ばいし声

聞け、我が呼ばいし声 幻獣降臨譚 - 本宮 ことは ドラマCD 幻獣降臨譚

子供の頃から、女性は精霊の声を聞き、使役する事ができるが、初潮を迎えてから、結婚するまでは精霊から離れ、より大きな力をもつ幻獣と契約する事になる。友人たちは、幻獣と契約するどころか、子供を産んだ人もいるが、アリアには未だ音沙汰がなかった。
そんなある日、突然精霊の声が聞こえなくなった。ついに自分にもと、女となった不安を抱えながら、アリアは「契約の儀」を行なったが……。

女性は精霊や幻獣を使役するのが当たり前という世界で、幻獣との「契約の儀」に失敗したアリアが忌み女として、生きていかねばならないお話です。
妹尾さんが「しまった、大人買いしてくるんだった」というほどの引きらしいので、思わず手にとってしまいましたが、マヂでそうでした。しまった、大人買いしてくればよかった……って、積本の山を何とかしろという内なる声が。
それはともかくとして、本編。精霊などの力を使うことができ、さらには女性が生まれにくいということもあって、女性のほうがハーレム状態な世界なんですが、忌み女だと話がちがってくるわけで。

昨日まで笑いかけてくれていた人たちが、幻獣と契約ができなかったというだけで、蔑み、罵倒し、守る精霊などがいないことから、襲い掛かってくるような、そんな危険な毎日を過ごす事になったアリアの心境が辛いですね。小さな村であるならなお更でしょう。
このあたりはさらりと流されていますが、想像するだけで胸が痛いです。

特に、忌み子の運命から逃れるために、王都へ向かう道のりでの出来事は、今まで男を知らなかった人じゃなくても、愕然とするでしょう。それも、村で共に生活してた人たちから、そんな扱いを受けるんですから。
すべてを洗い流そうと、同じ箇所を何度も何度も洗いつづけるシーンには、胸が苦しくなりました。

王都で加護を受ける前に、誰かと契ってしまうはめになったら全てが終わるというだけに、何かあるとドキドキしまくり。早く逃げて!とか、そいつと関わらないで!と、心の中で叫びまくってました。ああ、疲れる。

とはいえ、完全な孤独ではなく、好いてくれる幼馴染や頼りになる兄的存在の人、さらには素性はわからないまでも助けてくれる人など、守ってくれる人も多いし、このあたりで恋愛もの的なものもあるので、ちょっと楽しいかも。何気に無愛想なクルサードがいい性格していたので、楽しくなりそうな予感。

それにしても、ホント最後が凄いですね。「我が呼ばいし声を聞け」というところは、ゾクゾクさせられました。何が起きているのかはわかりますが、どうしてそうなったのかがわからないので、これからどうなるのか、ものすごく気になります。続きがとても楽しみですね。

聞け、我が呼ばいし声 幻獣降臨譚 - 本宮 ことは

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吠えよ、我が半身たる獣

吠えよ、我が半身たる獣 幻獣降臨譚 - 本宮 ことは

思わず見入ってしまう黄金のドラゴンの幻獣 ― 光焔との契約を済ませたアリアを待っていたものは、アランダム騎士団の面々だった。「聖獣」と契約するための門を管理していたアランダム騎士団としては、巫女姫として、アリアと光焔を手に入れたいらしい。
聖獣の力を利用しようとするものが集まる中、アリアはどの道を行くべきか迷ったが……。

聖獣と契約したアリアが、かつて光焔を使役していた人が巫女姫を務めていたアランダム騎士団に向かうお話です。
幻獣と契約できなければ忌み女として、周囲から無視も同然の扱いを受けるというのであれば、聖獣と契約すれば崇められるのはわかりますが、さっきまで汚らわしいものとして扱われていた身としては、相手の態度の豹変にはついていけないものがありますね。このあたりの戸惑いが伝わってきます。

それでも、自分でも同じことをしたかもと思い当たるあたりは、優しいですね。相手の気持ちを感じて、反省したり、自分の行動を省みることができる素直さが素敵です。何ていうか、かわいいですよね。
光焔が何気にユーモアある行動をとってくれるので、振り回されるアリアにニヤニヤ。

村に帰るか、それとも別の道を進むか。力があるということは、利用される可能性もあるわけで、そのあたりを周囲の人たちが守ろうとするところが、何ていうか愛されてるんだなあって感じでいいですね。
自分の道を決めることで、仲間と別れることになることはともかく、敵対する立場になったりするあたりは、ちょっときついものがありますね。立場って時に足かせになることがあるのはわかりますが、それでも彼女のことは守りたいと、契約を促すライルがかっこいいです。

男が少ない世界のわりには、いい男がいろいろ出てましたが、女にもいい人がいましたねぇ。女だてら船長をやっているウィーダのあっけらかんとした態度と、いい人へのラブラブさは、いやらしくなく、それでいて色気を感じるものがありますね。アリアの心の曇りを吹き払った言葉が素敵でした。

ひとまず、アランダム騎士団で、自分のやりたいことを見つけたとはいえ、騎士団の全員が快く出迎えてくれるわけでもなく、反対勢力もいるだろうから、ここからまた何かひと悶着ありそうですね。
そういえば、クルサードの過去もちらちら見えるものがあったし、今後どう関わってくるのか気になるところです。

吠えよ、我が半身たる獣 幻獣降臨譚 - 本宮 ことは

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繙け、闇照らす智の書

繙け、闇照らす智の書 幻獣降臨譚 - 本宮 ことは

アリアたちの元を離れ、ライルが王都へ戻った直後に、上官から呼び出しを受けた。まずはアリアの今後を協会と相談しようと思っていたが、どうやら聖獣のことはバレているようだ。なるべく余計なことは言わないようにと思ったが、上官だけではなく王へ謁見することとなってしまい……
一方、アリアは身を寄せたアランダム騎士団の古文書館で、学問にいそしんでいたが……

いきなりライルが王都で詰問……とまではいかないまでも、それに近いものを受けてましたね。アリアのみならず、村の人たちも守ろうと、体中に汗をかきながら、しれっと王と対峙するライルの頑張りが素敵です。いや、素敵なのは、王に対しての言い訳でしたけど。
とっさのこととはいえ、あとでアリアに知れたら、大変なことになりそう(笑)

王だけでなく、正体不明の女性、さらには王子など、聖獣を手にしたというアリアを利用しようとする輩が少しずつ動き出してくるあたりは、きな臭いものがありますね。ライルはどこまで頑張れるのか興味津々。

一方のアリアは、すごい頑張ってますね。光焔を使役する方法があるかもと、勉学を頑張ろう決意して、ちょっと無理をしながらも、そのとおりに実行していく姿には、とても惹かれます。真剣な姿って、見てるとわかるんですよね。周囲の人が評価を変えていくのもわかります。

特に、天敵とまでは行かないまでも、アリアにきつく当たっていたシェンナが柔らかくなるところとか、正論だけど厳しい言葉を与えていたツヴァイスが、真剣にアリアを心配するところとか、光焔が憎まれ口を叩きながら、応援するところとか、とてもよかったです。
余談ですが、このあたりの描写で、ふと彩雲国物語を思い出しました。彩雲国が好きなら、この話は好きになるかもしれません。

個人的に好きなシーンは、字を覚えたばかりのアリアが、本の楽しさを夢中になって話すところです。このあたりの気持ちは、ひとりの本好きとして激しく同意してしまいました。きっと師と呼ばれたオレリーも、彼女と同じ気持ちだからこそ、いろいろ手を尽くしてるんだろうなあ。

聖獣を連れているとはいえ、必ずしも全員に親しまれてるわけではないというところが、いろいろ出てくるわけですが、そんな中でもめげずに頑張るアリアが良かったです。以前のアリアなら、冷たくされただけで落ち込んだと思いますが、打たれ強くなったのか、自信がついたのか。このあたりの人間関係をどうやっていくのかが、今後楽しみですね。
アリアは心配ないんだけど、ディクスがちょっと不安……

光焔すら手玉に取る元巫女やら、古文書館にあるという秘密の部屋探しやら、館長の意外な事実など、最後のほうに来て、次から次へと動きがあったおかげで、引き込まれまくりです。その上、ここで終わるなんて……もう!
海でも大きなことが起こりそうなだけに、次にどんな展開が待ち受けているのか楽しみです。

繙け、闇照らす智の書 幻獣降臨譚 - 本宮 ことは

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猛れ、吹き荒ぶ沖つ風

猛れ、吹き荒ぶ沖つ風  幻獣降臨譚 - 本宮 ことは

「禁じられた秘庫」でアリアが出会った一人の少女。彼女こそが、禁じられた智の書そのものだった。聖獣を御する方法はあるというが、示された道は、王都だった。
光焔を御すなら、行くしかないが、どうにも決意しきれず迷っていたとき、アリアはいつも自分を見つめている男性に気づいて……

新たな知識を得て、目標が見えてきたところに、影が覆い始めてきたお話という幹事でしょうか。「資格」のために試されるというのは、気分のよいものではありませんが、強大な力を手に入れてしまったものを相手にするには、仕方ないところがあるんでしょうね。歴代の巫女たちの苦悩が伺いしれます。

それにしても、またいろんな人が出てきたなあ。聖獣の巫女を手に入れるために、動き出してきたってところですね。ただ、狙いがあからさまなので、歯が浮くような言葉が、どうも白々しく思えてしまうのが、ちょっと残念かな。
アリアが絶賛ドキドキ中のキルシュなんて、登場当初から怪しくて、何でこんな男に?と思ってしまうのは、僕がディクスやライルなどの聖従者たちを贔屓にしているからかもしれないけれど。もうちょっと対抗馬として、何とかしてほしいところって、別に応援してないからいいか。

今回のお話で一番印象に残っているのは、わだかまりがあったマルチェとのやり取りですね。やっぱりぶつかり合うというのは、理解するのに一番手っ取り早いですよね。ツンツンしてたマルチェが、アリアのことを見てくれるようになったところが、とても良かったです。

アリアへの態度が変わったといえば、シェナンもそうですね。いや、前作のときに、既に変わってましたが、船での話を見ていると、もうちょっと違う感じになったような気がします。キルシュよりよっぽどお似合いだじゃないかしら。
まあ、今のところそういう兆候は無いし、身分とかを考えると、難しそうだけど……

アリアを男の魅力で引きとめようとするあたりは、陰謀としてはやわい感じでしたが、引き止めるのではなく、動かざるを得ない状況を作り上げていくランドールの手腕は、見事でしたね。世話になっていることや仲の良い人がいることを、巧みに使う辺りがイヤらしい。
ディクスももうちょっと考えてあげれば……と思わなくもないけれど、ちょっと難しいか。ガツンとやられちゃったし。

キナ臭さは騎士団だけじゃなくて、ライルがいろいろ頑張ってる都のほうでもいろいろあるみたいだし(シェリカ姫はかわいいけど)、アリアの父たちの動向が不穏なものがあるし、さらには、今回の敵も何かしら思惑みたいなものを感じるので、真っ直ぐなアリアがどこまで対抗できるのか気になるところです。

まあ、そんな周囲を気にしていられるかどうかわからないぐらい、最後の最後でアリアが負った心の傷は大きいように思えますが……。ああ、どうなったのか、気になる!

猛れ、吹き荒ぶ沖つ風  幻獣降臨譚 - 本宮 ことは

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流れよ、凍りし我が涙

流れよ、凍りし我が涙 幻獣降臨譚 (講談社X文庫ホワイトハート) - 本宮 ことは

「敵を滅ぼして」 ― アリアの言葉に反応した光焔がもたらしたのは、壮絶なものだった。アリアは恐慌状態に陥り、死者は八百人を越えた。食べ物も喉を通らず、眠りは訪れず、ようやく眠れたら悪夢を見る毎日。
死ぬことすら許されぬその身に、優しい言葉を囁いてくれたのは、キルシュだった。
「いっしょに、逃げよう―」

アリアの評判が地に落ちて、アリアが一人閉じこもっていくお話ですが、これはつらいなあ。光焔を御しえなかった自分が悪いとはいえ、自分の想像の範疇をはるかに超えた結果が待ち受けていたわけですから。これがせめて他の人に責められれば良かったんでしょうけれど、聖獣の使い手ということもあって、自分ひとりですべてを背負わないといけないところは、何ともきついものがありました。
手に入れたときは、喜びに満ち溢れていたのに、今は、光焔を恐ろしく感じてしまうというところがやるせないですね。

そんなときに甘い言葉をかけられたら、なびくのはとてもわかるんですが、疑いもしなかったのかな?いや、きっと気づいてたところもあるじゃないかなと思ったりするんですが、どうなんだろう。キルシュが命を帯びているのは、わりとあからさまでしたが、アリアのことを思って心痛めることがあるならば、まだアレかな。いつか、初恋が復活するかもしれないと思うのは、甘いのかしら。いや、逆に苦いものになるかもなあ。う〜ん。

個人的に印象に残っているのは、マルチェの言葉ですね。自分を無力と知りながらも、それでも後悔することがないという言葉に、心の強さを感じました。かつて仲が悪かったとは思えないぐらい、力強い言葉をかけてくれましたよね。
あの言葉を聞いても、キルシュの手をとろうと思ったアリアの心境は、ちょっと良くわからなかいものがありましたが、まあ、それが恋なのかもしれませんね。

それにしても、今回は今までの純情キャラが軒並み黒くなってますね。フィアンセを壊されてしまったサフィアが彼女を恨むのはわかりますが、何だ、あのディクスの心境の変化は。変化というか、物事の捉え方が、自分の都合のいいようになってるというか、捩れてるというか。この辺が、ライルとの差なんだろうなあと思ったり。
なまじ頭がいいために、大きな力を持ってくると怖くなるかもしれないで。

騎士団のほうでは、ミルテあたりが暗躍してるらしいし、ランドールも何を考えてるかわからないところがあるので、戻ったからといって安心できるわけではないんですが、図らずともアリアの願いがかないそうな方向に進んではいますね。こっちはこっちでいろいろあるんだろうなあ、なんて漠然と次の巻のことを思いながら、最後を読んでいたんですが、油断してました。
最後の一言で、いっきに引っ張りあげる手法は、健在です。まさか、こんな事実が隠されていたとは思わなかった。うわー、気になる!

あまり表に出てきてなかっただけに、ここでかの人のことがわかるのは嬉しいですが、素直にわかるのか、それとも引き伸ばされるのか。気になるお話なだけに、楽しみですね。

流れよ、凍りし我が涙 幻獣降臨譚 (講談社X文庫ホワイトハート) - 本宮 ことは

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響け、世界を統べる唄

響け、世界を統べる唄 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 ホワイトハート) - 本宮 ことは

巫女姫・シエネスティータと会うべく、王都へたどり着いたアリアたちだが、警護が厳しく、姫の所在すら掴めないまま、日数が過ぎ去っていった。このままでは、動きようがないと判断したアリアは、幼馴染にして、王立騎士団員であるライルを頼ることにしたが……

リスタル王国の巫女姫・シエネスティータと出会うために、伝手をたどっていくアリアたちと、他のところで渦巻く陰謀が見えてくるお話ってことで、今回はそれほど大きな動きはなく、どちらかといえば、今後のための伏線を張ったという感じかしら。

前作のラストで驚愕させられたアリアのお母さんの話は、まだまだわからないことが多いですが、父ゲイドとの大恋愛によって結ばれたことを知ったのは、アリアにとっても嬉しいことだろうなあ。フィオラに出会って、安心する姿を見せられると、波乱に満ちた生活をしてても、まだまだ子供なんだなと思わされますね。

今回目立ったのは、アリアに心揺らす二人の男のお話かな。他人のことなど気にしなかったシェナンが、アリアが怒ると、何が悪かったんだろうと考えるなんてね。ひょっとしたら、アリアのことを?なんて思うには、まだまだふたりとも精神的に幼いですが、いい傾向に思えます。利用するだけ利用して、さりげなく釘を刺すユリストルが小憎たらしいったら、ありゃしない。

アリアを守るために、彼女と許婚であると口実を作ったライルの様子もまたニヤリとさせられましたね。久しぶりに会ったアリアが美しく成長していることを知って、ドキっとしたかと思ったら、アリアに今までどおり、抱きつかれたり、覗き込まれたりして、余裕をなくす姿が笑えます。どうやら本気で惚れてきてくれたので、これは素敵な取り合いになりそう。うふふふふ。

アリア以外のところに目を向けると、サフィアが良からぬことを企み始めましたね。彼女の怨念めいたところは恐ろしくとも、手段等については、実はそれほどでもないかなと思ってたりする。むしろ恐ろしいのは、サフィアとミルテの動きを利用しようとしてる輩のほうかな。何を仕掛けてくるのかドキドキわくわく。

そういえば、誰もがアリア(というか、聖獣の力)を手に入れたいのかと思っていましたが、ライルの庇護者となった人が、意外な面を見せてますね。今のところ怪しい動きも見せてないし、今後の鍵となる人かも。

後半というか、父の過去が意外なところで生きてくるところは、ちょっとご都合な感じではありますが、仮面舞踏会で、シェナンやライルの姿に心揺らすアリアを見ていると、何気に恋多き女なのかしらと思ってしまったりする。

ともあれ、最後に「世界を統べる唄」と出会ったという事は……だと思うので、次あたりで物語が大きく動くかもしれませんね。大いに期待して待ちたいと思います。

響け、世界を統べる唄 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 ホワイトハート) - 本宮 ことは

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走れ、真実への細き途

走れ、真実への細き途 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 9 ホワイトハート 幻獣降臨譚) - 本宮 ことは

王宮の舞踏会に紛れ、巫女姫・シエネスティータがいる風待宮へと向かっていたアリアは、突然立ち止まった。唄が聞こえる、と。いつ見回りの衛視が来るかもわからぬときに、何を言い出すのかとイラつくシェナンだが、アリアはそのまま別世界へ行ったかのように唄を聞きつづけ、意識を取り戻したあと、戻ると言い出した。唄に「警告」が込められていたと……

シエネスティータと出会うために、ある決意をするアリアと、ライルを通してアリアを手に入れようとする王家の思惑が見えてくるお話です。

うおお!なんて急変する展開なんでしょう!陰謀渦巻く緊張感あふれる展開が続いたかと思ったら、キャーと転げまわりたくなるような甘々展開が出てきたりして、すばらしく面白かったですね。二転三転する展開に引き込まれっぱなしでした。

王宮への道筋を作ってくれた、いわば味方のミロアを相手に、ユリストルがどこまで自分たちの素性を知られたか探りを入れるんですが、酒飲み話に見せかけて、お互いの思惑を探り合うように話すから、もうドキドキ。おかげで、王家や玉座を巡る争いの背景が見えてきて、今さらながらにアリアやシェナンの立場の危うさを感じました。
どちらかといったら、ミロアのが一枚上手な感じでしたが、敵に回らないことがわかって、とりあえずホッと一息。しっかし、格好いいなミロア。

そんな緊張感溢れるやり取りは、幾度となくありましたが、もっとも緊張感漂ったのは、ライルと国王の会話でしたね。アリアを追求される事はわかっていましたが、こういう責め方でくるか。冷静さを装いながら、ぎりぎりまで追い詰められていく問答がすごいです。言葉のやり取りだけなのに、これほど緊迫感を見せられるとは……。会見が終わった後にぐったりするライルの気持ちが良くわかります。読んでるこっちもぐったり。

一方のアリアたちの方では、ついにシェナンがついにアリアへの思いを自覚してくれましたよ。恋してるとか指摘されて、動揺しまくるところとか、意識しすぎて、優しい言葉をかけられないところとか、クーってなっちゃいますね。
誤解されたくないが故に、迫ってくる女を冷たくあしらって……というところからの連鎖は、いつもながら、すごい崩壊だ。

シェナンの気持ちに気づいているかどうかはともかくとして、今回のアリアは、迷いながらも、弱さみたいなものはあまり感じませんでしたね。シエネスティータに会う方法はわかっても、もしかしたら……という状態は、今までだったら逃げてたと思いますが、進む道を選んだところに、強さを感じました。今まで支えてくれた人たちがいるからこその思いの強さに、じーんとさせられるばかりです。

ライルの思いを知り、それでも心揺れず、ついにシエネスティータと!ってところで、新たな事実が見えてきたりして、権力者ってヤツは……な気持ちになりましたが、それはオイトイテ、今後は他国をも巻き込んでいく話になるのかな。
アリアの居場所もさることながら、アリア父たちの行方とか、例の人の意外な正体を匂わす描写を考えると、そちらの国が、今後メインになってくるのかしら。ああ、気になる!
次なる巻がとても楽しみですね。

走れ、真実への細き途 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 9 ホワイトハート 幻獣降臨譚) - 本宮 ことは

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渡れ、月照らす砂の海

渡れ、月照らす砂の海 幻獣降臨譚- 本宮 ことは

人の気配はおろか火の影もない。見渡す限り、砂以外なにもない。砂漠に飛ばされたことに気づいたアリアが、落ち着いていられたのは、光焔の思いを感じることができるようになったからだ。水場を、そして人のいる場所を求めて、移動をして三日。ついに人が現れた。言葉すら通じない人たちだが、水を手に入れるために、彼らの後をついていったとき、光焔と同じ聖獣・ペガサスにまたがった少女が出迎えて…

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第八弾。今回は新たな聖獣・風速とその巫女姫キーラと出会い、幻獣の謎が見えてくるお話です。

いやあ、面白かった。今まで苦労していた分、光焔との間に絆のようなものが見えてくるところがいいですね。砂漠に放り出されても、見知らぬ人たちが現れても、落ち着いて対処できるあたりに、アリアの成長を感じます。っていうか、ほんと芯が強くなりましたね。

一方、王都で置いてけぼりを食らったシェナンは、なんと乙女な落ち込み方を……。いや、好きな人がいなくなってしまったから、ショック受けるのはわかりますが、こうも可愛い反応を見せてくれるとは思いませんでした。ま、落ち着いて、落ち込んでいられる状況じゃないですけど。

アリアとのことを誰かと話したいと思い余って、行動しちゃうあたりに、ニヤニヤしちゃいましたが、マルテェとの間に共通の思いを感じられたのは、良かったですね。その分、ディクスが……。もはや引き返せなそうで、やばいなあ。
アリアを取り巻く環境もさることながら、シェナンも陰謀に巻き込まれそうで、ドキドキ。

で、アリアのほうですが、風の聖獣ペガサスと契約しているセンドラ族の巫女、キーラとの出会いは、思った以上に収穫がありましたねぇ。なるほど、外からでないと見えないものってあるんだなと思う次第。

価値観というか、文化の違いというか、聖獣に対しての扱いについて、リタリルとの相違に戸惑いを覚えたアリアでしたが、光焔の思いを汲んで、すぐさま立ち直るところが、彼女らしくていいですね。
にしても、ようやく幻獣の謎が見えてきたので、楽しくなってきたぞ。

普段は男勝りなところを見せていたキーラも、アリアといるときは、妹を相手にするような優しさを見せたり、友族のアデリアンとの間では、恋する乙女っぷりを見せてくれたりと、いいキャラクタでしたが、まさか彼女を、あんな悲劇が襲うとは……

思いは決して間違っていないと思います。ただ、聖獣いや幻獣も含めて、契約についての思いに、ズレがあったからこその悲劇なのかなあと思うと切ないものがありました。

アリアの流した涙が、キーラの心を洗ってくれたらと、心から願いたくなります。

渡れ、月照らす砂の海 幻獣降臨譚- 本宮 ことは

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この手の中の儚きもの 幻獣降臨譚短編集

この手の中の儚きもの 幻獣降臨譚短編集 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは ドラマCD 幻獣降臨譚

『美しい芸術を生み出すためには、一流のものをみなければならない』 ― 大貴族ポルクスに目をかけられた陶工ゲイドが連れて行かれた先は、聖女の館だった。色と欲が渦巻く場所だが、数多くの芸術品を飾り立てる場所でもある。女性よりも細工に魅入られたゲイドだが、誰か女性を選べといわれたとき、ふと目についた女性がいた。色気のない、それでいて朝焼け色を瞳を持ったイリアに……

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの短編集です。

いやあ、楽しいなあ。アリアの幼いころの話や、イヴリーダの落とすつもりが……な恋や、マルチェの秘めた恋心、シェナンの不器用さがアリアを怒らす話など、思わずにんまり笑ってしまうエピソードが満載でした。

他愛もない話であっても、続きが気になって仕方がないのは、キャラクタの魅力が溢れているからなんでしょうけれど、ただ、ひとつひとつの話がとても短いので、その点が物足りなく思います。

個人的に、一番面白かったのは、アリアの両親の馴れ初め話「この手の中の儚きもの」ですね。芸術家は目を肥やすべきだという信念を持つ貴族に気に入られた、陶工房に勤める職人ゲイドが、芸術品を多く飾り立てている「聖女の館」に連れて行かれて……というお話なんですが、何が楽しいって、ゲイドの朴念仁っぷりです。

そういうコトをする場所で、聖女と二人っきりになっても、部屋の内装をチェックするって!あまりに自分に興味を向けてくれないことに業を煮やした当時No.1だったフィオラが全力でお誘いムードを作り上げたのに、それよりも寝台の飾り付けに興味を持ってスケッチするゲイドと、振られたフィオラの様子は、頬の緩みが止まりませんでしたよ。
それでも決してないがしろにしているわけじゃないことがわかるから、どうにも憎めないんでしょうねぇ。ムキになってたフィオラが、ただ、そこにいるだけの彼に慣れていくところが、なんだかとてもよかった。

で、アリアの母イリアとゲイドはそこで出会ったわけですが、このときの彼の口説き文句が最高でした。ああ、もう駄目だ。僕はゲイド大好きだ。

またイリアも、ちょっとおかしな子で、無愛想この上ないんだけど、ちょっとしたことがきっかけで、ゲイドと話す仲になっていくところに、ニヤニヤが止まらなかったです。
聖女の館で、手も触れずに話し合うだけの二人。
見守る気持ちになってしまうフィオラに、とても共感でした。

このころ、イリアは恋がどういうものかといったことすらわかっていなかったようですけど、最後にチラっとゲイドの思いを見るような素振りがあって、思わずクーとなる。ここからどうやって、二人は愛し合うようになっていったのかしらと、あれこれ想像したくなりますね。

いやあ、面白かったですね。こういったエピソードを読んだ後、既刊を読み返したら、楽しいんだろうなあ。いつか時間を取って再読してみたいと思います。

ところで、「王立騎士のひそかな楽しみ」で出てきた「いけてる騎士様番付」とか「これであの騎士のすべてがわかる!」などの小冊子を、とても読んでみたい僕がいる。

この手の中の儚きもの 幻獣降臨譚短編集 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

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踊れ、光と影の輪舞曲

踊れ、光と影の輪舞曲 幻獣降臨譚  - 本宮 ことは ドラマCD 幻獣降臨譚

「ぬしはこれよりリスタル王国を目指すのだろう?途中、ミルヒランド公国を通ることは知っておるな。……ミルヒランドにいったことは?」
「いえ。ミルヒランドどころか、故国から出たのはこれが初めてです」
「ならば、もっとも役立つ礼というか、餞別をやろう。……キーラ」
「なんだ、婆様」
「おまえ、この巫女の道案内をしてこい」

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第九弾。今回は、ミルヒランド王国へと足を踏み入れたアリアと、姿を消したアリアの父の周辺に、暗黒教団「虚無の果て」の手が見え初めて……というお話です。

他国は他国で政治的な動きを見せ始めてくれてるんですが、その動きによって、リスタル王国の思惑も見えたりするから、政治というか陰謀って面白いですよねぇ。ミルヒランド王国の公女ヒルディアが、いろいろ考えてる最中、リスタルでも注目の的になりつつあったアリアと、アリアの父・ゲイドが、この地で揃ってきちゃってるから、ああ、ドキドキ。
しかも、今までは、どちらかというと、味方な雰囲気をかもし出してくれてたクルサードが、時々妙な動きをしてくれちゃっているので、余計、不安を誘われますね。このあたり、すっごい楽しみ。

一方のリスタル側では、ライルがどんどんと貴族にまで成り上がっていましたが、それを引き立てた第一王子シェルドーンの思惑が、いまいちはっきりしないために、利用されてる感がバリバリ伝わってきますね。本人もわかってると思うけど、だんだんとがんじがらめになっていかないか心配だなあ。

心配といえば……もう、ディクスは無理か。力がほしいからって、あそこまで歪んでいくとは思わなかったよ。このまま突っ走っていくのか、同じように力がほしいと思いながらも、ディスクとは違う道を探そうとするシェナンが何かしてくれるのか、いろいろ気になりますね。
っていうか、シェナンの恋する男の子っぷりがすっごい良くて、もっと彼の出番を!と思ったのは僕だけじゃないはず。

今回一番印象に残ったのは、アリアの成長著しいところを垣間見たシーンですね。ミルヒランドでいきなり襲われて、助けてくれた騎士たちとの話で、その裏に隠されていたものを見抜いていく切れ味が素敵でした。
力が大きいがゆえに、自分だけじゃなく、他の人も被害に巻き込まれることを学んでいった結果、冷酷になってるわけじゃなく、慎重に、かつ大胆に動いていくことを覚えてきましたよねぇ。あれはちょっとしびれましたよ。

おかげで「虚無の果て」が、いろいろなところで繋がってたことが見えてきましたが、暗躍する連中の話だけでなく、表舞台でも、戦争という大きな動きが見え始めてきたので、このあたりがアリアの今後をどう動かしていくのか、とても楽しみです。

踊れ、光と影の輪舞曲 幻獣降臨譚  - 本宮 ことは

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掲げよ、命懸ける銀の剣

掲げよ、命懸ける銀の剣―幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

「皆、シェリカの祝いの宴を楽しんでいるところだというに、無粋にも中断させたことを詫びる。そして、落ち着いて私の言うことを聞いてほしい」
「殿下?」
「デルタスから風文が届いたそうだ。内容は……シュータン帝国からの開戦の通告だ」

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十弾。今回は、リスタル王国ちシュータン帝国との間で戦端が開かれる中、アリアの前に現れたクルザードが不審な動きをして……、というお話です。

ついに戦端が開かれたリスタル王国では、王宮内のごたごたに巻き込まれて、特に幼い姫君の好意にやられまくってるライルの様子にニヤニヤしてましたが(なんだかんだいって女たらしだよね)、何といっても素晴らしいのは、シェナンですよ。あの傲慢な王子が、民のために動く姿は、ああ、なんと成長したものかと感動するものがあります。
その過程で、今までの自分の態度がアリアにどう受け止められていたかと知って落ち込むところとか、可愛く思える。

これまで守られるだけの存在だったシェナンでしたが、町の人たちのたくましさに触れたことで、さらなる成長を見せてくれると思います。ライルや今回は出てこなかったけどダーク化してるディクスに比べたら、まだまだチャンスはあると思うので、頑張ってほしいな。あ、でもかつて思いを寄せた赤い髪の人とは……どうだろ?

一方、ミルヒランド王国にいるアリア側のお話はほとんど進んでないですね。アリアが不審に思うほど、クルザードが意味深な行動を取ってるけど、むしろ、そのことがアリアやアリアの父・ゲイドのことを思ってるようにも思えます。このあたりは続刊で語られていくんでしょう。
ひとまずミルヒランドの姫君との出会いで側にいたフェンリルを連れる人が気になるんですが、このあたりを含めつつ、アリアが父と会い、リスタルに戻れる日がいつになるのかも大いに気になりますね。

掲げよ、命懸ける銀の剣―幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

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囁け、この現世の秘密

囁け、この現世の秘密 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

「ゲイドは、あなたのお父さんは、連れていかれてしまったの ——」
「つ、連れていかれたって、誰に?」
トレンスが、沈痛な面持ちで答える。
「おそらく、闇の獣ケルベロスを信奉する闇の教団、『虚無の果て』に——」

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十一弾。今回は、アリアの父クルザードを人質に取った「虚無の果て」が、アリアに驚愕の事実を突きつけるお話です。

いやあ、面白くなってきた!
ミルヒランドの公女との緊張感ありながらも暖かさを忘れない会談も良かったけど、「虚無の果て」が何を望んでいたのかが見えてくるところには、すごかった。いろいろなパーツが、カチカチとはまっていくような展開は、興奮してしまうものがあります。

不安要素が常に目の前にあるのに、それを押し殺して、決して相手に悟らせず頑張るアリアは、またまた大きな変化を受ける事になりましたが、それはさておき、リスタル国。戦火が近づいてるのはわかっていたけど……ヤンでるディクス君、きみは、よりによって、そんなものを持ち出してしまいましたか。こうなると、さらなる悲劇を呼ぶのは必死だよなあ。 禁断と思われるモノが、今度の戦争でどれほどの力を見せるかで、世界が大きく変わりそうですね。「禁じられた書庫」(だよね?)とは言い得て妙です。

ディクスの案を受け入れてしまうシェナンは、人が良すぎる気がしますが、それもまた彼か。ユリストルへの反発しながなければまた違った事になったかもしれないと思わなくもなかったですが、よくよく考えたら彼のほうがやばいかもしれない。 そういう意味では、今後シェナンを中心とした流れが生まれてくる可能性がありますね。

愛する人のために、という言葉で、人を傷つける矛盾に、気づいているのかいないのかわかりませんが、いずれにせよ、大きな戦いが始まる直前なので、アリアたちにしてみてもここが正念場でしょう。再びくぐった門が開かれたところで、彼女はどんな決意をするのか、楽しみです。

囁け、この現世の秘密 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

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眠れ、蒼く深き海の底

眠れ、蒼く深き海の底 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

「……アリアに惚れてるから、か?」
「……ああ」
何の迷いもなくそう言いきると、シェナンはまっすぐにライルを見て微笑んだ。
「私は修道騎士だ。だから、けして叶うことのない思いだともわかっている。おそらく、これが最初で最後の……」
語尾は途切れて消えた。

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十二弾。今回は、アリアが孤島にとばされたことから、契約の門の秘密に気づき、シェナンはライルと再会して……というお話。

シェナンが格好いいじゃないか!
ライルと再会してのやり取りで、アリアのためを思っての中、揺るがないものを見せてくれるから、思わず応援したくなりますね。僕の中ではライルよりも一歩上ですが、変わっていくシェナンがいるのに、それを見ようとしない周囲がなんだかなあ……。

さて、一方のアリアは、孤島にとばされてましたが、ここで水のリヴァイアサンと遭遇するとは……と思ったけど、リアラの九窮のことを考えると当たり前だったのか。問われるまで話さない光焔は、まだまだ隠してることがありそう。
それはともかく、リヴァイアサンの見る夢の話は、何か示唆してそうで気になりますね。

飛ばされた先からまた飛ばされてという具合に、巡り巡って戻ってきたところでの出来事で、自分に向けられた思いに気づいたところには、ニヤニヤさせられました。いつの間にか成長したアリアの芯を感じさせるやり取りもありましたが、シェナンやライルを目の前にしたら、どうなるのか楽しみですね。

それにしてもまた最後の一行で引きを持ってきてくれたなあ。次は戦場の話になるようですが、さて、どうなることやら。

眠れ、蒼く深き海の底 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

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翔べ、遙か朝焼けの空

翔べ、遥か朝焼けの空 幻獣降臨譚 (講談社X文庫ホワイトハート) - 本宮 ことは

「……君は、怖いお嬢さんだな」
トレンスはため息をついた。
「失礼だが、一見、どこにでもいる普通のお嬢さんみたいに見えるのに、鮮やかにこちらの意図をすくい出して突きつける。まるで、鏡のように」
「私は、ただ、優しくしてくださった方には同じように優しく、そうでない方にはこっちも意地悪してやろうと、そんな程度のことしか考えていないんですけど」
「だから鏡だ、っていうんだよ。君の態度で、こちらも覚悟を新たにさせられる」

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十三弾。今回は、「虚無の果て」を追うべきか迷う最中、新たな武器により軍隊が作り上げられる危険性を知ったアリアが、故国へ戻る決意をして……というお話です。

なぜ男が国を治めるのか、という根本を突きつけられる始まりは、いろいろ考えさせられるものがありますが、それはともかく、ミルヒランド公国の公女ヒルディアの政治力を目の当たりにしたのは、アリアにとって、政治を考えさせられるものがあったんじゃないかなあ。成長著しい彼女のことだから、これもまた何かのきっかけになってくれると嬉しい。

一方、リルタルでは戦争が始まってましたが、ライルが最前線でギリギリしてるのは、ほんとやばいなあ。なんせ、新たな武器は、平凡な人ですら歴戦の戦士を倒せるんですから。しかもそれを手がけているのが……知ったときのライルの動揺が怖いですね。

アリアもようやく気づきましたが、ディクスには次なる闇が忍びよっているので、もはや衝突は避けられないよなあ。まあ、ショックを受けた後、ちゃんと前を向いたシェナンと比べてしまうとどうしてもディクスは、ね。

故国を守るために戦いに赴く覚悟を見せたアリアの旅立ちで、今回は終わりましたが、あとがきによると、これですべての伏線を張り終えたとのことです。ここからは、怒濤の展開になるんだろうなあ。
成長したアリアがどんな戦いを見せてくれるのか、目が離せません。

目が離せないといえば、恋愛方面もですね。キーラには思わぬ所からいいお相手が現れてくれて、マルチェにも祈る姿に心打たれた人が出てきてと、乙女心をくすぐるところがありますが、アリアの心を射止める人は誰になるんでしょう(個人的にはシェナン一押し!)。楽しみです。

翔べ、遥か朝焼けの空 幻獣降臨譚 (講談社X文庫ホワイトハート) - 本宮 ことは

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進め、骸横たわる荒野

進め、骸横たわる荒野 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

「いいか?忘れんなよ」
髪を撫でる手が止まる。
「いい女はたくさんいる。綺麗な女も、優しい女も、身分の高い女も星の数ほどいる。俺はいい男だから、これからもそんな女相手に選り取りみどりだ」
「……なんだ。やっぱり女たらしだって話じゃん」
「だがな。俺の背中を託せるのはおまえだけだ」

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十四弾。今回は、故国リスタル王国へと戻ってきたアリアは、シェナンの姉と出会ったが、さらに意外な人物と遭遇して、ライルの元へと向かうことに……というお話です。

やばい。ライルがすっごい格好良い。
これまでは真剣でありながらどこか軽薄なところを漂わせていたので、僕の中では「悪くないけど、シェナンのがいいよね」という位置づけだったんですが、あの誓いのシーンでじんときた。同時に叶わぬ想いが見えて、切なくなる。

ともあれ、故国に戻り、シェナンのお姉さまであるシエネスティータ姫との出会いから、お話が始まっていくんですが、良い人ほど苦労してるよなあと思うばかり。わずかな時間であっても、シェナンのためにどれほどの尽力を捧げたかが伝わってきて、そりゃシェナンも敬愛するわけだ。
でも、ここではそんな弟話よりも、クルサードとの恋話に興味をそそられた。あーんもー、もうちょっと愛想よく!と思った僕がいる。

さて、できたお姫様がいればワガママなお姫様もいて、第二王女シェリカは、幼いが故に、甘やかされたが故に……というのはちょっと酷かな。でも、権力という力の強さを知らずにワガママを言う事の愚かさを、戦場という現実を知っていったのは良かったと思います。アリア自身、力について大きなショックを受けたからこそ、溺れることなく、負けることなく、進んで欲しいと思ったんだろうなあ。
身分高き人の前でも決して折れず、また慢心しない覚悟の言葉に、アリアの芯を見た気がします。

戦場は過酷な上に、内通者らしき存在が確認されて、さらに銃という計り知れない戦力を相手取ることになり、先行きが不安だけど、それでも……と思ってる差中に飛び込んできた報告は何!?ここで終わるなんて……ああ、もう!いつもながら引きは凶悪だ。

進め、骸横たわる荒野 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート) - 本宮 ことは

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開け、細き一条の血路

開け、細き一条の血路 幻獣降臨譚 (講談社X文庫ホワイトハート) - 本宮 ことは 池上 紗京

アリアは今頃、どこにいるのだろうか。今の彼と同じように、こうして空を見上げることがあるのだろうか。そして、少しは彼のことを思いだしてくれたりしているのだろうか。
彼女の姿を見られない間に、思いだけが育っていく。

会いたい。
会いたくてたまらない。

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十五弾。今回は、アリアが激戦の地に赴いたころ、シェナンの周囲に怪しげな動きがあって……というお話です。

ライルか、それとも戦場か。そんな選択を迫られて、涙を飲んで大局を読むアリアの成長が素晴らしいな。訪れた先では、野蛮極まりない第二王子と共に、ほろ苦い思い出が蘇りましたが、自らの役目をこなしていく男らしさに惚れそうです。むしろキルシュのほうが……とか思うのは邪推かしら。

そういえば、ここには可愛らしい第三王子もいましたね。周囲が汚れた人ばかりなので、とても眩しく思えました。あとで黒くならないことを祈りたい。

一方、シェナンは……大変だなあ。前だけではなく後ろにも敵がいるのだから。今回意外な人が、間諜であることが判明して心揺らしていたけれど、まだまだ衝撃を受けることはありそうな予感。成長したとはいえ、まだ読みが浅い(ような気がする)彼が、ここからどう生き延びていくのか楽しみです。僕は彼を応援するぜ。その恋心を持って頑張るんだ。

それにしても宗教観の違いから生まれる戦争ってのは、何とも遣りきれないものがあるなあ。なんで他国を救ってやろうとか思うんだか。権力者が都合よく植えつけた感が否めませんが、ディクスに関わりある人たちの暴挙がいよいよ本格的になってきたので、こちらも大いに気になるところです。
頼むから、ツヴァイスとマルチェは生き残らせてあげて。

開け、細き一条の血路 幻獣降臨譚 (講談社X文庫ホワイトハート) - 本宮 ことは 池上 紗京

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叫べ、涙溢るるこの心

叫べ、涙溢るるこの心 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 21 ホワイトハート 幻獣降臨譚) - 本宮 ことは 池上 紗京

アリアの幼なじみが、どんどん暗いほうへと足を踏み出していこうとしている。このままでは、ディクスはこのリスタルに住む者にとって共通の敵となってしまう。
なんとかしなくては。
なんとかしてここを抜け出して―アリアに知らせなくては。

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十六弾。今回は、敵国の少女や兵士との交流を通じたアリアが、「涙なきイティス」との対戦を決意するお話です。

はじまりのね、ライルが思い出す幼き日の夢の話は、みてるだけで辛かったなあ。夢が手に届くところにあるというのに、三人で過ごした温かな時間はもう……。 まだわからないけれど、ライルが離脱する気配に寂しさを感じながら敬礼。

今回の発見は、第三王子シエロの資質が見えたことでしょうか。偉大な兄たちに隠れていますが、どうしてどうして人を引きつけるものがあるじゃないですか。力や知ではなく、いうなれば人徳みたいなものでしょうか。引け目を感じていることもあり、弱々しさは残りますが、このまま健やかに伸びて欲しいと思いました。

一方、どうしちゃったんだ?なディクスですが、彼が担ぎ上げられてることが明確になってきた「虚無の果て」のおかげで、アランダム島は大変な事になっていますが、マルチェが頑張ってくれたよ。いいな、こういう人は応援したいですね。 助けを求められた騎士団からは、シェナンが動くようですが、ぜひとも活躍を期待したい。

そして、アリアの格好良さは続きます。王子相手だろうと一歩も引かぬ態度と言葉は、どれだけの人の心に響いたことか。もう惚れ惚れしちゃいますよ。決して計算でなく、本気でそう思い、覚悟しているからこその態度に、敵国の人まで心揺らすんですから、さすがだと思いました。

おかげで戦争回避の可能性がちらちと見えてきましたが、そのためには「涙なきイティス」との対決が避けられないようですね。どんな戦いを繰り広げるのか楽しみです。

ちなみに今回一番楽しかったのは、アリアがハーレム状態になったところでした。敵を説得するためとはいえ、クルサードやキルシュのノリノリっぷりと、真っ赤になって「馬鹿」というアリアが可愛くてしょうがない。

叫べ、涙溢るるこの心 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 21 ホワイトハート 幻獣降臨譚) - 本宮 ことは 池上 紗京

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轟け、暗雲薙ぎ払う雷鳴

「今度こそ、俺は間違えずにちゃんと君を守れたよね……アリア」

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十七弾。今回は、アリア・光焔が、「涙なきイティス」・バシリスクと対峙するお話しです。

ラストに向かっての盛り上がりと、ワクワク感がたまらない!

バシリスクの契約の門への道を託されてイティスの元へ。それは戦争を止める為の戦いですが、多くの後悔を抱えながら、それでも立ち上がってきた彼女だからこその決意だと思います。それは、バシリスクという聖獣を使役したイティスも一緒で……彼女の悲劇は、アリア以上のものがあって、何とも遣りきれない。権力を持つ者は、なぜこんなにも同じような過ちを繰り返すのだろう。人は、戦う道具ではないのに。

戦いを終わらせたいという思いが、功を焦るバカ王子と、立場を笠に着る王によって踏みにじられていく様は、失われた命を思うとやるせないですが、理想を追い、現実を知り、力と責務を負うアリアの言葉が、多くの人を動かしていくところは、もう格好よくてしびれます。あの迫力は、王すら超える。
アリアの言葉に動かされた人たちと、名君の誕生を思わせる展開にはゾクゾクしまくりです。きっとこの話は書かれないんだろうけれど、ああもう読んでみたい。

そしてラストもすごかった。ようやく、ようやくアリアが戻ってきて、シェナンの胸の内に温かいものが広がってきましたが、そのシーンたるや、もはや彼女は女神として降臨したといっても過言じゃない。ディスクという重荷はあるものの、戦争を止め、争いを止めるために、舞い戻ってきたアリアとその仲間たちが、どうやって暗黒教団と決着を付けていくのか。最終巻まであと二冊ほどということなので、楽しみに待っていたいと思います。

轟け、暗雲薙ぎ払う雷鳴 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 22 ホワイトハート 幻獣降臨譚) - 本宮 ことは 池上 紗京

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捧げよ、永遠に続く祈り

捧げよ、永久に続く祈り 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 23 ホワイトハート 幻獣降臨譚) - 本宮 ことは 池上 紗京

「私は——私だけは、そう考えちゃいけないんだよ」
旅を経て、多くの人と出会って、ようやく固まりつつある思いがある。

「私は、この世でいちばん強いから」

乙女の間、女性は精霊や幻獣を使役するという世界で、聖獣・光焔と契約したアリアが、巫女姫の力を得ようとする王家や騎士団が謀略に巻き込まれていくシリーズの第十八弾。今回は、アランダム島へと戻ってきたアリアが、世界の鍵を知るお話です。

いやー、嬉しい。ついにシェナンの時代がやってきた!

一度は逃げ出した場所だから、戻ることに勇気がいったけれど、アリアに反発する人たちに対して、敬意を持った言葉と態度で守り、優しく包んで泣かせてあげたシェナンは、本当に素敵だった。そのときの様子を見ていた光焔は、団へのアピールと言っていたけれど、たしかにそういう計算もしただろうけれど、それ以上に、好きな人を守りたいという思いが、アリアを抱き上げたんだと思う僕がいる。

さて、「虚無の果て」が目的としているものは何かということを推察していくアリアには、かつての甘さはないかと思ったけど、やっぱりディスクを前にしたら……いや、でもこんな人が傍にいたら怖いですよ。恋する思いが、すごい力を生み出すというのは、ライルを思うシェリカを考えればわかっていたことだけど、でも閉じこもってしまうと、こんなにも歪んでしまうのかと恐ろしくなる。ディスクにされた行為と同じことを幼馴染にされて気持ち悪く感じるなんて、アリアのショックがどれほどのものかよくわかります。

もちろんそのあたりのことをわかっていたから、「虚無の果て」はディスクを担ぎ上げたんでしょうけれど、もうひとりの幼馴染であるライルの現状を伝えて、己のしたことについて、言葉よ届けといわんばかりに叩きつけて……ちゃんと彼の胸に響くといいんだけど。

それにしても、ここにきてまた大きな真実が見えてきたなあ。「世界の鍵」なんてものをしれっと背負わす光焔は、とても意地が悪いと思うけれど、これまでのアリアを見続けてきた身としては、その目の確かさによしよしと思ってしまう。あわわしながらも、逃げようとしない彼女の姿に、きっと多くの人が目を奪われると思います。

戦いが苛烈になっていく前線も気になるけれど、それ以上に「虚無の果て」の最高指令の一人が王都にいると知ったら、まずは中からだよなあ。っていうか、個人的には怪しい人って一人ぐらいしか思い浮かばないんだけど、さて、どうなるのかしら。次が本当に最終巻になるのかを含めて、楽しみに待っていたいと思います。

捧げよ、永久に続く祈り 幻獣降臨譚 (講談社X文庫 もE- 23 ホワイトハート 幻獣降臨譚) - 本宮 ことは 池上 紗京

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