Home > Series > ダナーク魔法村はしあわせ日和
ダナーク魔法村はしあわせ日和 / 響野夏菜
ダナーク魔法村はしあわせ日和 都から来た警察署長
捜査官から署長へ。普通ならば栄転なのかもしれないが、イズーにとっては、左遷な気分だった。何せ、首都から半月近くかかるぐらいド田舎なところなのだから。
一年前の事件の古傷を胸に、イズーはダナーク村へと向かったが、今まで都会の汚れた部分だけを見ていたイズーにとって、平和な空気はどうもなじめない。しかもこの村には、大きな秘密があったのだ。都会では噂ぐらいしかない魔女がいるのだから。それも、村の女が全員……
どこかのサイトで感想を見て、手に取ったんですが、う~ん、思い出せない。ちゃんとメモっとかないとダメですね。
で、ダナーク魔法村。エリート捜査官のイズーが、超平和な田舎村の署長さんになって、というお話なんですが、これは面白かったですね。生真面目で、首都で培った経験を生かそうとしても、あまりにも平和すぎて、やることが何にもない状態に途方にくれる姿が、切なくもおかしくなります。普段、頑張りすぎてる人って、息抜きが下手だよなあとか思ってしまいますよね。
また、この村の様子が面白くて。女性はみな魔女なので、箒に乗って空を飛んでるのが当たり前。新しく来た署長さんを見ようと、落し物をした振りとか、何か理由をつけては警察署に人が来たり、窓の外には、箒に乗ってホバリング女性がいたりとか、好奇心旺盛な村人たちの様子が、とても楽しく描かれてるんです。真面目なイズーが疲れていく姿に笑ってしまいますね。魔女長のいたずらっぷりが楽しい限り。
そんなほのぼのとした騒動から一変して、後半に入ってからは、イズーが首都で買った恨みが、村まで及んでくるんですが、この解決が、実に見事で。魔女たちだけでも、うまくいったでしょうけれど、イズーとの共同戦線だったからこそ、速やかな逮捕劇になったんだろうなと思いました。
新参者である自分に、村の人たちは何かを隠しているんじゃないかと思い、なかなか馴染めなかったイズーでしたが、最後には、笑顔を見せてくれるようになって、ああ、良かったなあと思える終わり方でした。これはいいなあ。
クールなイズと元気いっぱいなビーの組み合わせは、今のところ、恋愛要素はそれほどないんですが、だいぶ仲良くなってきたみたいだし、今度どんな感じで発展していくのか楽しみですね。こういう作品、大好き。
ダナーク魔法村はしあわせ日和 ひみつの魔女集会
「今日は『ひみつの魔女集会』の日です」
何をするかは内緒。しかも集会が行われる今夜、魔女以外の人は外出は禁止だと、村長の孫娘であるビーから伝えられた。もし、男が外へ出たら……。考えたくもない事態が待ち受けているのは明白なので、大人しくしていたイズーだが、何とダナーク署の署員であるシーカーが魔女集会を覗いたということで、囚われてしまい……
村の女はすべて魔女。そんなダナーク村に、署長としてやってきた生真面目な警察官イズーが、魔女集会を覗いた罪で魔女たちに囚われてしまったシーカーを助けるために、奔走するお話です。
いやあ、これはサブタイトルの「ひみつの魔女集会」と帯の「今夜、絶対覗いてはいけない魔女集会!」という言葉がいいですよね。いったいどんな集会なんだろうと、思わず覗きたくなるシーカーの気持ちがわかります。覗きの理由のバカバカしさは、むしろシーカーらしいですが、軽率な部下を持ったイズーの苦労する姿には、涙をそそられますね。笑いすぎて。
怒りに対してのクッションのもうひとつの使い方が、なんともこの物語の雰囲気に合ってて、微笑が止まらないです。
魔法方面については、まるっきし無知なイズーですが、「爆薬」を使おうと思うあたり、危険を生きてきた人の発想ですよね。きっとヘルムが知恵を貸したのは、魔法の怖さをある程度知っていながら、それでも無鉄砲に見えるぐらい突っ込んでいくイズーが、好ましく思えたからなんだろうなあ。普段クールなのに、一度決めると、頑固ですよね。
おかげで、ビーの秘密というか、マリーク家の秘密になるのかな、そういうものがチラチラ見えてきましたが、なんだろうねぇ。ただ、その秘密のせいで、ビーがつらい思いをしているんだなということがわかるところは、心苦しいものがあります。
思わず、いつもと違った態度を見せてしまうイズーには、ふふふと思いますが、きっと、その心はビーに届いてますよね。イズーも意地を張らず、優しいところをもっと見せてあげればいいのに。
暗闇の魔女のところでも、いろいろ見えてくるものがありましたし、最後の娘発言では、おいおいとか思ったりしましたが、残念ながらこのあたりは次巻以降のようですね。
魔女長問題もまだまだ片付いてないみたいだし、イズーとビーの関係もちょっと面白いことになってきたし、これからどうなるのか楽しみです。
ダナーク魔法村はしあわせ日和 ドラゴンが出たぞ!
仮にも自分は「長」のつく役職についている。にもかかわらず、用があるから来いと呼びつけるとは何事だ。ぶつぶつ文句を言いつつ、イズーが魔女長であるアガードの元へ向かったら、ビーも呼び出しを受けていたのだ。いやな予感は当たった。なんと230年ぶりにドラゴンが出たというのだ。いったいどういう状態なのか、ふたりで調査をしてこいというのだが……
もはや魔法なんて過去のものという時代なのに、村の女はすべて魔女。そんなダナーク村に、警察署長としてやってきた生真面目なイズーが、「外」を見たことがないビーと共に、ドラゴンが出たと言う国境へ行くお話です。
いやあ、いいですね。あのイズーが、ビーに対して、いろいろな感情を見せてくれちゃうんですからね。しかも今回は、別のところからドラゴン調査に来ている同年代の男の子の魔法使いライが出てきてくれたおかげで、イズーの嫉妬する姿が見れちゃったりするんですから。これだけでもこの物語を読んで良かったと思うぐらい。
さらには、魔法を使う者にとって「外」がどういうものかわかってしまい、しかも、魔法のことについては察する事ができないために、いろいろ悩むイズーでしたが、それでも、諦めるという選択肢が浮かばないところが、良かったですね。あれは決して挑発されたからではなく、本心からの言葉だよなあ。
ふたりの関係がとてもよかったので、他はどうでもいいや、なんて思ってましたが、どうしてどうして、侮れない。まさかここで、イズーの過去が関わってくるとは思わなかったです。いやはや、いつまでたっても付きまとう存在になるようですね。
おかげで多くのことが、特にビーの秘密についての謎は、いろいろ見えてきたような気がします。いや、謎は謎のままなんですけど、匂わすものがプンプンあって、いろいろ想像しちゃいますね。どうやら、今後はイズーだけじゃなく、ビーも絡んできそうですが、フランは何があるのかは、全然わかんないなあ。う~ん。
ともあれ、騒動も一段落。思わず失言しちゃうところとか、宣戦布告とかいろいろあったけど、あれほど嫌がっていたダナーク村に帰ってきて、一安心するイズーが変わったなあと、そう思える場所になったんだなあと、ちょっと温かい気持ちになりました。
といういい話だったのに、最後の最後までやってくれますね。もう、ごちそうさまと言いたくなるぐらい、仲のよい二人の様子に、うふふでした。
ああ、楽しかった。やっぱり、何だかんだいって、お似合いですよね。次は、どんな騒動と、どんなドキドキが待ち受けているのか楽しみです。
ダナーク魔法村はしあわせ日和 いとしのマリエラ
初雪も降り始めようかという頃、ビーが体調を崩したという。村の人に寄れば、毎年のことのようだが、さりとて安心できないイズーは、お見舞い品をもって、ビーの家へと向かった。が、途中で、箒にのった魔女に体当たりされそうに!ビー以外にこんな操縦するやつがいるのかと思ったら、マリエラと名乗った女の子は、フランを母様と呼んで……
魔法なんて過去のものという時代なのに、村の女はすべて魔女というダナーク村に、警察署長として赴任してきた生真面目なイズーが、魔女たちに振り回されつつも、共に歩みよっていくシリーズ。今回は、フランの立場やビーの出生の秘密について、明かされるお話です。
いやあ、面白かった!
お見舞いにいくほど、病気で寝込んでるビーが心配なのに、ビーの嬉しそうな顔を見ると、ついつい無愛想になってしまうイズーの男心が素敵です。今までなら冷静に対処できたことも、ビー相手だと、つい騙されてしまうのは、魔法云々関係なしに、好きな人が相手だということならではの目の曇りというやつでしょうか。
「えへっ?」という笑顔に、血迷いそうになって、必死に抑えるイズーの様子に、ニヤニヤがとまりません。
ビーの親友ベルと彼女の恋人シーカーが姿を消して、という騒動が起こったときも、騒動のシリアスさはさておき、魔法になんか関わりたくないのに、病気の体に鞭打って動くビーのことが放っておけないイズーの頑張りには、涙を誘われましたね。笑いすぎて。
失踪騒動もさることながら、マリエラがきてから、ビーの家族はどうにもギクシャクしてて、いつもだったら当然のように、誰も何も教えてくれないのに、ビーやアガードがぽつぽつ話してくれるようになったのは、やはり信頼が厚くなったってことなんだろうなあ。まあ、アガードからしたら、イズーがビーに惚れてるってことが、見え見えってこともあるんでしょうけど。
ひとりでも多くの人の味方を。そう思わせるぐらい、ビーの境遇は、あまりにも重いものがありましたね。非難の目を向けられる理由はわからなくもないけれど、さらに魔女として大きなものを背負わされるんですから。辛いとき、ひとりで泣き明かすようになったのは、このあたりのことがあったからなんだろうなあ。
彼女の明るさに隠された気持ちには、切ないばかりでしたが、そんな彼女の気持ちをまるごと受け止めて、決して甘やかさず、でもビーだけに覚悟を負わせないイズーの決意が素敵でした。「エラ」についての言葉は、魔法に疎いからこそ思いついたことかもしれませんが、ビーを思っているからこそ思いついたことだとも思います。言葉そのものよりも、きっとビーはその気持ちのほうが嬉しかったんじゃないかしら。
守りたくなく、それでいて絶対な約束には、心の痛みを感じましたが、それを誓うかのような行為には、彼女を守る以上の愛情を感じました。
いやあ、すばらしかったです。村との距離と、それ以上にビーとの距離が縮まってきたので、次は村ではなくイズー関連のお話になってくるんでしょうか。今度はビーのイズーに対する気持ちとかも見てみたいなあ。
続きがものすごい楽しみなシリーズです。
ダナーク魔法村はしあわせ日和 ただしい幻獣の飼い方
学校をサボったビーが、よりによって不良署員ギャラントと「デート」だという。もちろん言葉の綾だとはわかっている。だが、二人の関係がどんなものなのか、よく知らないイズーは、ギャラントとビーの関係を調べるために、ダナーク唯一の酒場を訪れた。だがそこで、言ってはならぬ言葉を言ってしまい、しかもそれをアガードに聞かれてしまい……怒りを見せたアガードによって、イズーはなんと銀色のコウモリに姿を変えさせられてしまった!……
真面目なエリート捜査官イズーが、超平和な田舎村の警察署長となったら、その村の女は全員魔女だったというダナーク村での騒動を描いたコミカルな短編集。今回は四編が収録されています。
- 魔法と無関係な一日を過ごそうとイズーが決意したら、ビーの烏退治騒動に巻き込まれる「クライン署長の優雅ではない休日」
- ダナーク村の女性のほとんどが持つエラという名は何の意味があるんだろうとイズーが疑問視する「うるわしのエラ」
- アガードの禁忌に触れて、イズーがコウモリにされた「たのしい使い魔生活」
- 書庫から出てきた怪しい卵が孵化したら、なぜかイズーに懐いて……「ただしい幻獣の飼い方」
1編目は1巻の後、2、3編目は3巻の後、4編目は4巻の後のお話なんですが、イズーの心の移り変わりが見えて取れますね。一編目なんて、ビーとの間にそれほどの思いを感じなかったのに、二編目以降は、ビーの「えへっ?」や何気ない仕草に反応しちゃうんだから、ああ、楽しい。
感情を表に出さないことが板についていたイズーが、怒ったり、大人気なく拗ねたり、そしてビーに振り回される様は、見ていて飽きませんね。
どれもこれも楽しかったですが、その中でも好きなお話は、あらすじにも書いた「たのしい使い魔生活」かなあ。ビーとギャラントの関係が気になるのは、やっぱり恋だよねぇとか思ってたら、そこがアガードの逆鱗だったというのは、何とも運の無い事で。
しかも使い魔にさせられたことで、なんで俺が?と思うようなことでも、命令されたらふらふら仕事する姿に、いつもと違うイズーの様子を見れて、とても楽しい。
ビーの母フランと、家族のティーナの険悪さが食卓を包んだときの出来事に巻き込まれたり、コウモリに説教されと散々でしたが、最後には謎も解けたので、イズーとしてはホッとしたでしょうね。
それにしても、あそこまで重症だったとは……。恋って素敵な魔法だなとニヤリニヤリ。
一方、恋の相手ビーのほうも、結構変化があったんですね。基本的にはイズー視点で進むので、どこまで思っているのかはあまりわからないんですが(だからイズーはやきもきするんだけど)、四編目まで来ると「えへっ」どころか色仕掛けまでするんですから、たまりません。イズーの気持ちを知ってからかう姿が、とても魅力的。
ま、からかってるビー自身も、思わず赤面しちゃうことがあったりして、はいはい、お似合いカップルですねと、パタパタ仰ぎたくなるシーンがありました。ダナーク村に行って、二人のやり取りを眺めたいと思ったのは僕だけじゃないはず(と思いたい)。
あー、楽しかった。これはほんとオススメなんだけど、あとがきみたら、この巻で終わり……。あまりのショックにくずおれそうになりました。ほんと大好きなんですよ、この二人が繰り広げる物語は。
イズーの過去話とか気になるものがたくさんあっただけに、残念でなりませんが、もうひとつのシリーズ「今夜きみを奪いに参上!」の方も素敵な物語なので、そちらの続きを楽しみにしたいと思います。
- Search
- Recent Entries
- Profile
-
- id: deltazulu (deltazulu@booklines.net)
- PageView: