暴風ガールズファイト / 佐々原史緒
暴風ガールズファイト
ああ、今日から高校生なんだ。幼稚園のころから、聖ヴェリタス女学院に通う麻生広海は、親友が別の高校へ進んだことで、喪失感を味わっていたが、そんな気分を吹き飛ばしてくれたのが、帰国子女のクラスメイト、五十嵐千果だった。高校ラクロス日本一を目指すと宣言する嵐を呼ぶ女は、会員が二人しかいないというラクロス同好会を目の前にして、落ち込んだかと思ったら、立ち直って会員集めをはじめやがった。なぜか広海まで巻き込まれてしまい……
いやあ、面白かった。文句なしで大絶賛オススメ。こんなにラクロスの魅力を伝えられたら、たまりませんよ。
部から同好会へと格下げになり、十二人必要なのに部員は二人しかおらず、練習場はパス練ぐらいしかできない狭い校舎の屋上というラクロス同好会に、嵐を呼ぶ女・五十嵐千果が入って、初等部のころから級長をやっていたという優等生の麻生広海が巻き込まれて、人を集め、練習場を確保して、ラクロス部結成を目指していくお話です。
行動力あふれる五十嵐のおかげで、ひとり、またひとりと仲間が増えていくんですが、それぞれ個性あふれる人たちばかりで、これがまた面白いんですよ。特に、普段はお嬢様なのに、極度の負けず嫌いという、家柄と美貌を備えた「白雪様」こと宮前雪乃のキャラクタは、群を抜いてます。「妖精さん」を連れてくるところにGJ!
そんな個性溢れる部員たちに振り回されて、ラクロスをやるつもりなんてなかったのに、いつの間にかまとめ役な位置についてしまう広海の境遇が楽しいですね。いつか抜け出そうと内心思いつつ、ラクロスの魅力に惹かれていくところとか、すっごい良くて。
そう。ラクロスの魅力。これが、とても伝わってくるんですよ。オレンジのボールをクロスで飛ばす快感。ボールを追い回す楽しさ。読んでて自分もやりたくなってきます。
試合できるほどの人数は集まっていないものの、ミニゲームぐらいはしたいと練習場を捜し求めるところで、大いなる壁にぶち当たるんですが……、ここでの五十嵐の熱意にやられました。能天気なように思えたけれど、負ける怖さも悔しさも知っていて、それでもなお勝とうと言える人なんですよね。
素人同然の部員たちが、練習を通じて仲間となっていく最中、何かとみんなに頼られることがありながらも、最も不純な理由で部にいる広海が、後ろめたさを覚えていくんですが、そんな広海が自分の正直な思いを五十嵐に告げたところは、印象的だったなあ。拒絶されるかもしれないのに、それでも伝える勇気が、格好良かったです。
最後にちょっとしたコネから試合ができるようになったんですが、ここがまた良かった。たかが一点を取る、そのために、汗だくになり、泥だらけになって、走り回る姿が素敵でした。敵意を抱いていた人たちまでが応援したくなる気持ちが良くわかります。みなで繋いだ一点の素晴らしさに、思わず感動の涙しちゃいました。
スポ根ものらしい熱き心に燃えるものがありますし、繊細なものを感じさせる心理描写に、時にハッと、時にグッとさせられるものがあって、ほんと面白かったです。最後の親友の言葉も素敵だったなあ。思わず、そっと目をつぶって、思いをかみ締めてしまいました。いいものを読んだなあという気持ちでいっぱい。
暴風ガールズファイト 2
チーム名が決まり、ユニフォームも出来上がって、あと公式戦出場に必要なのは人数だ。1チーム12人が必要ならば、何としても、あと4人集めなければならない。そんな折に、ラクロスが盛んだと言われているオーストラリアから留学生が来たという知らせを受けて、暴風ガールな五十嵐が、熱烈な勧誘に向かったところ、顔色の悪い留学生カレンは、呪いがかかるからダメだと言い出して……
嵐を呼ぶ女・五十嵐千果の熱意に巻き込まれた少女たちが、ラクロスで全国を目指すお話の第二弾。今回は、部員集めと初めての公式戦の模様が描かれています。
いやあ、面白かった。初っ端のユニフォームが届いたという、ただそれだけのエピソードで、こんなに笑わされるとは思いませんでしたが、そこここで笑えるのは、12人も選手がいるというのに、全員のキャラがしっかりと立ってるからでしょうね。
前作同様、優等生の仮面をかぶった麻生広海の裏の顔や、「白雪様」こと宮前雪乃の気の強さに、幾度となく吹き出しましたが、今回新たに同好会(おっと部に格上げになったんだった)に入ってきた四人もすごかった。
オーストラリアからの留学生で、ラクロス経験者にしてオカルトオタクなカレンを部に入れるための過程は、ほんと面白くて。あの暴風女・五十嵐の弱点や、部にするためなら嘘さえも正義とする麻生の策略に、にんまりしっぱなし。
そして何といっても一番よかったのは、「王子」の参入でしょう。「マリみて」でいう令さまのような存在の人の人気のはっちゃけっぷりが楽しかった。まるで、物怖じしない五十嵐はともかくとして、あの麻生ですら、直視されたら思わず顔を赤らめてしまうって、どんな王子だ!王子ネタで一番面白かったのは、合宿所のお婆さんまで、顔を赤らめるところです。しかも、王子にだけプリン。笑いまくり。
ともあれ、騒がれていても、本人はいたって真面目な人で、運動神経抜群という彼……じゃなかった彼女と、彼女の追っかけである双子の姉妹・高梨光葉と明葉が入ってくれたことで、チームとしての人数が集まって、さあ、試合を目指そうと練習するんですが、これがまたワクワクさせてくれるんだ。
朝から晩まで、怒号を飛ばし、泥にまみれ、それでも、時間が足りないといわんばかりの様子に、彼女たちの本気が見える。
そして、ついに始まる公式戦。試合前の緊張感には、こちらまで緊張しちゃうものがあったけど、始まってからのスピード感とチームとしての一体感が、ホントすばらしい。古豪の嘲笑に負けず、むしろそれをバネにして戦う姿が、見事でした。 よくぞ、ここまで負けず嫌いが集まったものだと感心しましたよ。
初得点、初めての勝利に喜ぶ姿には、嬉しくなっちゃいますが、それ以上に、もうひとつの初めての経験に泣かされたなあ。
怖さと、不甲斐なさと、悔しさと。
思い返しただけでも、じわりと来るものがあります。
それでも、きっと彼女たちなら、今度こそやってくれる、そういう思いでいっぱいになりましたね。
いやあ、面白かった。本当に面白かったです。大絶賛オススメ!
今後どんな展開を見せてくれるのか、楽しみで楽しみで仕方ありません。
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