バトルフィールドは空騒ぎ! / 淺沼広太
バトルフィールドは空騒ぎ! 週末の旅団
オンラインゲームASの世界で、ブリッツは傭兵をやっていたが、敵を殺すことなく倒すことに拘るが故に、誰もがチームを組むことを拒んでいた。あるとき、いつものようにひとりでミッションをこなしていたら、テロリストに狙われていた姉妹を助けたことからつるむようになって、さらにブリッツの性格を面白がったトップクラスのランカーや狙撃手などが集まって、いつしかチームが出来上がり……
「死亡」したら一からやり直しというゲームだからこそ、非殺に執着しつづけるブリッツの周りに、力があるけど一匹狼な連中が集まってきて……というお話。
ゲームの外の話は一切ないので、MMORPGそのまんまという感じなのかな。やったことないので、よくわかりませんが、傭兵街に行ったり、ミッションをこなしたりして、仲間になってくれる人を探していくという展開は、「ルール」こそあるものの、王道ファンタジーって感じもあります。
順調に仲間を増やすところには、ご都合っぽいところがないわけじゃないんですが、非殺を貫く頑固な信念と細かいことを気にしない大らかなブリッツだからこそ、他のところでは浮くような一匹狼たちが、うまく動けるようになっていくってところはいいですね。
個人的に好きなキャラクタは、クセの強い仲間たちの中で、唯一何ら特徴を持たないハナかな。実力のなさから他の人たちに引け目を感じながらも、それでも頑張る姿は、ブリッツに認められたいという気持ちがあるからなんですよね。さりげない恋愛要素が、いい感じに彼女を引っ張り挙げてくれてます。
何より良かったのは、チームとしてトーナメントに出場したときの戦いですね。相手に有利な条件で、さらに分断されてしまったとき、単なる暗殺者だったシャドウの心境の変化や、あとを託すナスカの思いには、一匹狼だった頃とは違い、「シュウマツの旅団」というチームへの信頼を実感させてくれる戦いであったことに、思わず興奮しちゃいました。やっぱいいよね、仲間って。
敵ながら天晴れなストレイ・シープも魅力溢れる人で、惚れ惚れ。
一応は終わりを見せたけれど、考えてみれば、まだ実戦としてはたいしたことしてないので、これからが面白くなりそうな感じですね。例の人のことも気になるし、できれば続きが読みたいな。
バトルフィールドは空騒ぎ!2 ―人形遣い―
白銀杯で注目を集めた「週末の旅団」だが、いままでどおりマイペースにスキルをあげていた。そんなある日、いつものように彼らが戦闘を始めたら、空を歩くもの、戦車を放り投げるものなどなど、摩訶不思議な力を使う輩が現れた。いったい何が起きたのかと思ったら、最近薬を使って特殊能力を発生させ、敵を殺戮する集団が現れてきたのだという。抑え付けられることを良しとしない傭兵たちは、特殊能力集団E.Cを打倒するために力をあわせて戦いに挑むが……
オンラインゲームASの世界で、チームを組んだ者たちの戦いを描く物語の第二弾。今回は、特殊な能力を持ち出して、戦闘を挑んでくる集団E.Cを打倒するために、人形遣いや週末の旅団など、今までいがみ合っていた者たちが、力をあわせて戦うお話です。
相変わらず、緊張感ないチームですが、ブリッツのリーダーシップに成長が見えますねぇ。今までだったら、ひとりで突っ走ってたところも、引くことを覚えて、仲間のことも考えたりして。普段は、何考えてるんだかと思わなくもないけれど、ミッションが始まると、ビシッと決めてくれるあたり格好いい。チームを組んでるハルが、ツンデレしちゃうのもわかるなあ。
旅団はともかくとして、仲間でなかった者たちも、同じ志を持つものとして、共に協力してひとつの敵へと挑んでいく展開も、面白かった。そんな中でも、一番良かったのは、前作であまりいい印象を残さなかったヘルハウンドですね。なんだ、この指揮の上手さは。言葉は強いけれど、的確な判断力で味方を導いていく姿が素敵。
そういえば、さりげなくハルへの思いも見せたりしてて、ちょっとニヤニヤ。
それにしても、ジンノの化け物っぷりはすごいなあ。あの冷酷さというか、感情の冷め方には、ゾクっとさせられるものがありますが、当てられたものが事件を起こしたというところに、奇妙に絡まったものを感じますね。ガルダとホークアイの関係には、悲哀を感じましたが、それでも最後、遺恨を残さずに終われたことには、救われるものがありました。
それにしても、いろいろ不審なものが残ってるなあ。今後どうなっていくのかわかりませんが、旅団としては、例の人の秘密っぽいものが見えてきてしまってるので、こちらはこちらで不安ですね。ブリッツのことだから平気だとは思うんですが、思いたいだけなのかもしれない。
できれば今後も、いがみ合いながら高めあう、仲間たちとの冒険が見れたらうれしいですね。
バトルフィールドは空騒ぎ!3 ―蒼空の終末―
「お前の戦う場所はここじゃないだろ?ライブのステージがお前のがんばるべき……戦うべき場所だ。それまでは俺たちが守ってやる……だから信じてくれないか?」
「私の戦う場所……やっぱり、ブリッツはすごい。すごいです!感動です!目からうろこです!歌が……歌が私のバトルフィールドなんですね?」
オンラインゲームASの世界で、チームを組んだ「週末の旅団」の戦いを描く物語の第三弾。今回は、ジンノの更なる成長を促そうとするASのシステム管理者が、「週末の旅団」に対して、歌姫を護衛すべく状況を作り上げて……という最終巻です。
今まで「仲間」という雰囲気の素晴らしさを見せてくれてただけに、システム管理者の思惑は、いやあなものを感じましたね。ジンノの気持ちも分からないでもないけど、戦うことでしか意味を見出せない彼の姿に、胸が痛むものがあります。本当はそんなことしたくなかったろうに。
同じく手助けをする羽目になったウリューも、いちいち言い訳しながら動くあたり、「週末の旅団」の素晴らしさを感じてたんだろうなあ。
読んでる身としては、不安で不安でたまらない中、ASの中にいて、戦うのではなく、歌を歌うことで、存在を作り上げていった歌姫リリィを、ブリッツたちが護衛するという任務が始まるんですが、彼女のエピソードは、ちょっと面白かったですね。ウェスタンラリアットをくらって、人生が変わっちゃうんですから。とはいえ、そのおかげで、歌姫という立場になれたんですから、偶然が重なったとはいえ、ブリッツもやるもんだ。
ブリッツに感謝するリリィの姿に、嫉妬しちゃうハナとか、嫉妬してるハナをみて、嫉妬してるヘルハウンドとかの関係がすっごい楽しくて、できれば、この雰囲気のままで話が進んでほしかったと思いました。裏切りとかちょっとねぇ。
それでも、最後はじんわりと来ちゃいました。
エピローグ 1 の「声」は、聞いてるだけで、誰の言葉か分かって、切なく、微笑ましく、温かくなるものがあって、エピローグ 2 では、彼の成長というか、受け継がれたものを感じられて、良かったです。コーラというキーワードにこんなニヤリとさせられるとは思わなかったよ。
そういえば、結局最初から最後まで、リアルワールドの話はなかったですね。そっち方面もちょっと気になったけど、これはこれでありかも。
- Search
- Recent Entries
- Profile
-
- id: deltazulu (deltazulu@booklines.net)
- PageView: