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アストロノト! / 赤松中学

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アストロノト!

アストロノト! (MF文庫 J あ 5-1) - 赤松 中学

昼は海に落ちた荷を引き上げる作業を、夜は酒場を盛り立ててと、毎日働きずくめのノトは、魔法陣師である幼なじみのレンビアへ恋心を抱いていた。なかなか思い切ったことができないけれど、せめて誕生日ぐらいはと、彼女にプレゼントをして喜びの顔を見た直後、ノトは突如として胸に苦しさを覚えた。まさか、こんなことが。でも、この胸に覚えのある感情は……
そして、彼は月へ行かねばならないと言い出して……

なんとしても月へ行かねばという思いを胸にしたノトが、ガルニア王国の「月面突破計画」に宙士として参加して……というお話。半分が魔法、半分が科学と言う世界観ですね。

面白い……んだけど、ちょいと微妙な感じ。なんだろう、このもやもや感は。月へ行くというSF風味なお話なのに、ラブストーリーのための宇宙だったというのが、しっくりこないのかしら。

いや、面白いんですよ。お互い相手のことを思っているのに、言い出せない距離感とか、素敵でしたし。特にレンビアの「今日だけだからね?」というツンデレさんなところは、ニヤニヤが止まりません。ラタラ族なる耳としっぽを持つ亜人のナキアミという女の子とのノトを巡っての、こっそりとしたやり取りも、楽しい。

ただ、なぜ月へ行きたいのかというのがはっきりしないまま話が進んでいくので、どうにもノレないんですよね。いや、言えない事はわかるんですが、それならそれで、もうちょっと葛藤みたいなものがみたかったかなあ。
ノトだけじゃなく、ナキアミやサベラもそれぞれ事情を抱えて宇宙を目指しているんですが、心理描写があんまりなくて、物足りなかったです。いろいろ感動させられただけに、外側ばかりが語られてる感じを受けたのはもったいなく思いました。まあ、これは僕の好みのお話かもしれませんが。

とはいえ、月へ行ってからの展開は、良かったです。ああ、この伏線をこう生かしてきたのかという驚きと、その真っ直ぐな思いにじわり。本当のところはどうかわかりませんが、ここを書くために、この小説は生まれたんだろうなあと思いました。
美しくも哀しい終わりを迎えるのかと思いきや、ああ、なるほど、ここで「科学」の話が出てくるのか……ってところに、ニヤリとさせられる。

苦難を乗り越えた後には、さらに急展開が待ち受けていてと、このあたりのスピード感は素晴らしいですね。苦難を乗り切った後の仲間の絆を思わせるやり取りにじーんとさせられて、好きな人に挨拶できる幸せを感じて。ここでのレンビアのツンデレ台詞のニヤニヤ度は、最高でした。お約束なオチもまた良し、です。

あれ、いろいろ文句言ってた割に、感想を書いてたら、結構気に入ってるんじゃないかと思い始めてきた。前半はともかく、後半になってからは良かったからなあ。逆に言えば、気に入ったからこそ、心理描写の物足りなさが、気になったのかもしれませんね。

あとがきによると、続編があるっぽいですが、どうするんだろ。普通にラブコメ物語になるなら、手を出そうかな。

アストロノト! (MF文庫 J あ 5-1) - 赤松 中学

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アストロノト! 2

アストロノト! 2 (2) (MF文庫 J あ 5-2) - 赤松 中学

行き倒れのように「ノト屋」へやってきた少女ラキザミは言った。そらがおちてくる、と。そんなことはありえないが、せめて少女の不安を吹き飛ばしてあげようと、亜大陸で一番宇宙に詳しい新宙軍へと足を運んだノトは、そこでとんでもない話を聞いた。「街を天から落ちる球が襲う」という予言部の言葉を受けて天体観測をしていたナギアミが、地球へと向かう小惑星「ネロ」を発見したのだ……

宇宙から隕石が落ちてくる!ってことで、地球を守るためにノトが再び宙士となり、レンビア、ナキアミ、サベラ、そして新キャラのラキザミとチームを組んで、宇宙へと向かうお話です。

いやあ、面白かった。特別宇宙に興味があるわけでもないノトをどうやって宇宙へと向かわせるのかと思ったら、そうきたか。隕石が落ちてくる、しかもレンビアとの愛の巣を妄想中の自分の家に、っていうんだから、そりゃ必死にもなるわ。
まあ、愛の巣妄想は、いい感じにお約束になってましたけど。ナキアミの積極的っぷりが楽しい。レンビアもこれくらい素直になればいいのにと、ニヤニヤしながら、ふたりの騒ぎを見ていました。

今回新たに登場したラキザミは、ナキアミと同じ人間計算機ってこと以外は、正体不明を装ってましたけど、前作を読んだ人なら、何者かは想像つくかな。ただ、わかったからつまらないってことはなく、逆に前作のようなもどかしさが無くなって、良かったかもしれない。無表情な少女が、時折見せる笑顔はとても素敵。

刻一刻とタイムリミットが迫る中、ようやく宇宙へと飛び立とうとしたときに、まさかの抵抗勢力が現れて……ってときには、ほんとどうなるのかと思ったけど、まさかかの人が、あんないいところを持っていくとは思わなかったですよ。かっけー!
強引な展開だなあと思うところは随所にあるんだけど、それでも引っ張られてしまう勢いと、乗せられてしまう格好良さが、この物語にはありますね。

前作同様、どんでん返しの連続には息詰まるものがありましたが、何といっても良かったのは、最後を予感させた恋人未満のふたりのやり取りです。温かくて、こそばゆくて。思いが伝わってくるだけに切ない。それ以上に胸に来たのが、呟かれた言葉でした。最後の本音に思わず涙。

いやあ、面白かった。こうなると次はどうやってお話を作っていくのか興味が沸いてきますね。次も宇宙もの中心なのか、それとも「あーあーきこえない」方面に行ってくれるのかわかりませんが(いや、宇宙モノだとは思うけどね)、大いに楽しみです。

アストロノト! 2 (2) (MF文庫 J あ 5-2) - 赤松 中学

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アストロノト! 3

アストロノト!3 - 赤松中学

「だが、誰が行く?火星は遠い。危険極まりない。サベラたちがなぜ遭難したか、原因も分からぬ。これでは救出隊も死ぬかもしれん。誰も、行きたがらんだろう?」
……もうこうなれば、売り言葉に買い言葉だった。
ノトは太い眉をつりあげ、ぎぎん、とレドライアスに向き直る。
「じゃあ俺が行くよ!」

今度こそレンビアと……と決意してたのに、ちょっとすれ違ってたら、レンビアがレドライアス大王にプロポーズされちゃって……といった大事なときに、火星に向かったサベラとラキザミが音信不通になり、急遽ノトたちが救助へ向かうことになるお話。

いやあ、面白かった。
ノトとレンビア。どちらも相手のことが好きで、相手の気持ちもわかってて、あとは、ただ言葉にするだけという状態なのに、ちょっと躊躇している間に、国王にレンビアをかっさらわれてしまうんだから、思わず、にやりとしてしまう。まあね、好きという思いはあっても、相手が国王じゃ、尻込みするのもわかるけど。っていうか、自分から出なく、ノトの言葉を待ってるなんて、レンビアも可愛いところありますね。

ってな感じで、なかなか先に進めないどころか、王妃候補ってことで、ろくすっぽ会えなくなった二人には、ああもう!とニヤニヤしながらイライラしてましたが、そんな二人が救助船に乗って火星に向かうんだから、いろいろ期待させられるってもんです。いや、ナキアミもいたけど、かなり脇役状態だったので、どうでもいい(ひど)。

火星で何が起きているか。ということについては、火星人が……と始まるわけですが、まあ、サベラの様子がおかしいとかいったあたりは、真相こそやるせないものが見えるんだけど、そんなことよりも、ノトとレンビアの関係がすっごいいいんですよ。
地球にいるときはどうしても話すことができなかった二人が、火星という王の力の及ばぬ地で、勇気を振り絞って気持ちを確かめ合うところには、こちらまでドキドキしてしまう嬉しさがありました。ああ、恋する気持ちって素敵。

何かが解決すると、何か問題が起きるという展開は、今回も存分に発揮されてて、救助船が火星にいく推進力がないとか、火星から戻れないとかいうところで、意外な解決方法を持ち寄ってくるところが楽しいです。科学的なところもあるし、かと思えば魔法を使ったりもするんだけど、その間に既刊で触れられてた複線を回収してくれちゃったりするから、やってくれるんだ。
なぜレンビアがツインテールになったかとか明かされるところは、予想通りだけど、ニヤリとさせられるものがありました。

ただ、地球に戻ってきてからの展開は、ちょっと速すぎるものがあって、微妙に置いてけぼりだったんだけど、レンビアを取り戻すあたりは、王道できてくれたのが良かったです。幸せそうなレンビアの笑顔が、すべてを物語ってますよね。イラストが素敵でした。

いやあ、面白かった。強引ながらもグイグイ引っ張ってくれて、あっという間に読まされてしまいましたね。楽しいひと時でした。
ところで、これって続くのかしら。あとがきには何も書いてないけど、話としては一段落ついてるので、ここで終わりなのかな。サベラさんがこれからどんな人生を送って、あんな決断をするのかというあたりは気になるんだけど、ま、そのあたりはいいか。

アストロノト!3 - 赤松中学

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