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付喪堂骨董店 不思議取り扱います / 御堂彰彦

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付喪堂骨董店 不思議取り扱います

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫) - 御堂 彰彦

例えば幸運を呼ぶ石、夜な夜な髪が伸びる人形。そういった特殊な何かをもつ「アンティーク」を売っているのが俺のバイト先「付喪堂骨董店~FAKE~」だ。ただ、FAKEの名のとおり、噂や逸話があっても売っているものは偽物ばかり。それにも関わらず、店で買った幸運を呼ぶ石を持っていたせいで、事故にあったと怒鳴り込んできた女子高生たちに囲まれて、俺とバイト仲間の咲は、彼女たちの言う呪いの石を持たされたが……

高校生の刻也とひとつ年下の咲のふたりがメインですが、時折ちゃちゃを入れてくるカッコいい美人、オーナーの都和子の存在も大きいですね。そんな「付喪堂骨董店」の関係者が、偶然を呼ぶことができるアンティーク、どんな病も治してくれる・不治の病にかかるというふたつの真逆な逸話を持つ像、書いたことは消さない限り忘れることができないノート、お金が宵越しできない財布など、偽物のアンティークを売る店に、本物のアンティークが関わってくる四編の短編集。

第四話の「プレゼント」がたまらなく魅力的です。常に無表情で、何事にも心動かされないと思っていた咲の、ちょっとした勘違いから始まる乙女心満載な物語にやられてしまいます。特に意識していない相手でも、嫌いじゃない人からプレゼントがもらえたら嬉しいですよね。とまどいながら、嬉しさを隠せない様子が可愛くてしょうがないです。
第一話では抱きつかれても無表情だったのに、とニヤニヤ。
普段他人と接し慣れていないため、雑誌の情報を鵜呑みにしてしまうところが笑えますね。
本当のことに気づいたときの様子がかわいそうでしたが、うまくフォローされてて良かった。

アンティークが関わる話については、それほど心惹かれるものがなかったんですが、二人の今後についてはかなり興味津々。続きが出るのであれば、ふたりの関係に注目していきたいですね。

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫) - 御堂 彰彦

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付喪堂骨董店 2 不思議取り扱います

付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います (2) (電撃文庫 お 9-5) - 御堂 彰彦

『明鏡』とは、音のみならず気配まで消して、完全な静寂を作り上げる鏡。その『明鏡』の噂を聞きつけた作曲家の門倉が、自身の曲作り時に静寂が欲しいと「付喪堂骨董店~FAKE~」に乗り込んできた。店主である都和子は「アンティーク」を売るつもりは一切ないと言って追い返したが、そのとき、俺は見えてしまった。門倉の隣にいた女性が、倒れている姿を……

特殊な力を宿した道具「アンティーク」を巡るお話です。今回は静寂をもたらす鏡、もうひとりの自分を作り上げる仮面、他人の見たものを見れる眼鏡、時間の経過を写し取るカメラの四篇ですね。

「アンティーク」なる道具自体は、特別危険ではないんですが、危険性を認識しないで便利だと思って利用して、不幸な目に合っていくという展開が多いですね。特に一話目の「静寂」は典型的でしたね。ただ、静寂を手に入れるだけの道具ですが、どういう結果をもたらすかが比較的容易にわかるため、何とか回避してくれないものかと祈りたくなりました。自業自得と思いつつも、そこまで言ってしまうのはかわいそうな気もしました。

もうひとりの自分を作り上げる仮面「マスカレード」の徐々に、主と従が入れ替わっていくような描写にゾクリとさせられましたし、他人の見たものを見れる眼鏡を持った女性が、刻也の義眼に興味を持って、追いかけてくる様には、恐ろしさでいっぱいになりましたね。
そういえば、ここで咲について、何かしら見たものがあるようですが、今回は明かされず。咲がいろいろ暗いものを持ってるみたいだというのは伝わってきますが、結構大きなもののようですね。いつ明かされるのか楽しみ。

そんな暗いものを持ってる不思議少女、咲の魅力全開なのが、最後の話「化粧」ですね。前作でも最後の短編で、魅力をたっぷり振りまいてくれましたが、今回もやってくれました。時間の経過を写し取るカメラを使ったら、16年後の自分がとんでもないお婆ちゃんになってたので、今までやったことがない肌の手入れや化粧をして、綺麗になってやると意気込む咲のお話です。

雑誌やら本やらの情報に踊らされて、どんどんと変な方向にいってしまうところが何とも笑えますが、ちょっとは綺麗になったかしらと、刻也の反応をチラチラ盗み見る姿に悶えそうになりますね。ああ、乙女心がすばらしい。

自分ひとりだといろいろ失敗しちゃってましたが、プロの手にかかったら、まるでモデルさんかと思うぐらい綺麗になるんですから、素敵にシンデレラですよね。朴念仁な刻也が、まったくもって失礼なことをしてましたが、最後の最後に、咲の意表をつく発言をしてくれて、ニヤニヤです。ああ、もう。

普段のやり取りでも、もっと咲の内面が見えたら、面白くなるんだろうなあと思いますが、そうなるとシリアス展開が難しいか。あ、でも、2話目の「自分」で、刻也の写真をアレしちゃったときの顔を曇らせるところとか、いい感じでしたよね。今後も随所に見せて欲しいと思いました。

咲の過去が見えてないってのは先ほども書きましたが、まだ、店主である都和子の話もあんまり飽かされていないので、今後どういう話を持ってきてくれるのか楽しみですね。

付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います (2) (電撃文庫 お 9-5) - 御堂 彰彦

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付喪堂骨董店 3 不思議取り扱います

付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3) (電撃文庫 お 9-6) - 御堂 彰彦

飼い猫であるミイが三日前から姿を見せなくなったという話を麻美ちゃんから聞いた咲と俺は、猫が集まると言う屋敷に紛れ込んでないか、探させてもらうことにしたが、やっぱり見つからない。落ち込んだ麻美ちゃんを慰めようとしたら、彼女の母親が現れて、次なる引越し先で猫が飼えない事を告げて……

特殊な力を宿した道具「アンティーク」を巡るお話の第三弾。猫のみならず女の子まで行方不明になったことをいぶかしんだ刻也が、猫屋敷を調べる「」、咲に取り付いた人形の心の最後の疑問を取り除く「人形」 、夢から離れられなくなった少女を描く「」、刻也と咲のくすぐったいすれ違いを描く「眠り姫」の四編からなる物語です。

どれもこれも素敵なお話でしたね。「中に入れものが永遠に腐らない保存庫」であるアンティーク話「」は、猫と女の子を追わせながら、猫屋敷の老婆の心が浮かび上がってくるなんて……。後悔しながら、それでも諦めきれなかった姿に、愛を感じてしまったら、自分勝手な行動だとは思うけれど、責めることはできないです。刻也がぬくもりを感じさせてあげたことは、良いきっかけになったでしょうね。時間は取り戻すことはできませんが、形を変えて与える事はできる。そう思いました。

それにしても、猫に萌える咲のかわいいことかわいいこと。

「螺子を巻くと人間のように動く人形」のアンティーク話「人形」は、大切な人が、なぜ最後まで自分の名を呼んでくれなかったのか、という疑問を胸にした人形に、咲が取り付かれて……という、人形の切ない恋愛ものでした。人形の物語が素敵な雰囲気を作り上げてただけに、真実を知ったときの悲しみは、胸にくるものがありましたが、「疑問」の答えにもグッとさせられました。
きっと、普通に話を聞いただけなら、刻也は答えに気づけなかったんじゃないかしら。咲が取り付かれていたからこそ、咲がこのままだと危ないと思ったからこそ、気づけた答えだったんじゃないかと思ったり。いいねぇ、この距離感。

恋人を無くし絶望した少女が、願望どおりの夢を見れる香炉を手に入れる「」は、切なくも恐ろしさを思わせる幻想物語でした。絶望した少女が夢に囚われていくのは、非常に良くある話だなあと思っていたら、まさか、こんな逆転……じゃないけど、それに近い衝撃展開を見せてくれるとは!
夢に囚われたのではなく、夢を選ぶ。
大切な人がいたら、誰もが悩む問題なのかもしれない。
目の前のぬくもりを喜ぶ刻也の気持ちに、心から良かったねと思いました。

某アンティークの呪いで、昼間目覚めることのない眠りにつくことになった咲と、夜目覚めることのない眠りにつく刻也の「眠り姫」は、側にいるのに話をすることが出来ないというすれ違いものでした。呪いを説く方法はキスをすることってことで、ひとつ前のお話で、お互いを意識しはじめてしまったが故のくすぐったさがたまりません。

どちらが先にキスをするか。

駆け引き……というのも変な言葉ですが、いろいろと悶々と考えてしまって、行動に移れない咲や刻也の心境に、頬の緩みが止まりませんでしたよ。オーナー都和子の行動が、また素晴らしく人の悪くてニヤニヤ。
目を覚ました咲を待ち受けていた事実については、読んでのお楽しみということで。

あー、楽しかった!だんだんと恋愛要素が多くなってきて嬉しいですね。今後も大いに期待したいです。オススメ!

付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3) (電撃文庫 お 9-6) - 御堂 彰彦

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付喪堂骨董店 4 不思議取り扱います

付喪堂骨董店 4―“不思議”取り扱います (4) (電撃文庫 お 9-7) - 御堂 彰彦

「おい、咲!」
「いいのよ」
「何がいいんだ」
もともと自分がカードゲームに応じてしまったのが原因だとか、そういうことを言うつもりじゃないだろうな。そんな場合じゃないんだぞ。わかってるのか?
だが、咲が考えているのは、そんなことではなかった。そんな後ろ向きなことを考えているのではなかった。
「刻也がわたしを取り戻してくれるんでしょう?」

特殊な力を宿した道具「アンティーク」を巡るお話の第四弾。今回は以下の四編が収録されています。

  • 存在が薄れていくアンティークに触れた少女の悲哀を描く「
  • 非合法カジノで絶対負けない男と刻也が、咲を賭けて戦う「ギャンブル
  • 赤い糸を紡げるアンティークを手にした少年は、幼馴染の恋を成功させようとして……「小指
  • 咲が指輪を?いったい誰から?気になった刻也は、ついアンティークを持ち出して……「秘密

あー、たまらん! 今まで以上に、刻也と咲の関係が近づいてきてるのに、どちらもはっきり言わなくて、でも、他人を前にしては、ちょっとした公言をしてくれてて、はやく言っちゃえよ!と言いたくなるもどかしさが全開でした。
特にポーカーフェースができてない刻也は、オーナーの都和子さんやクラスメイトにせっつかれたりして、余計意固地になるところが、ニヤニヤです。

そのあたりが、がっつり出てきてくれたのが「ギャンブル」ですね。アンティークを使っているヤツがいるのでは?という情報を入手した都和子が、カジノに潜入して、刻也と咲もついていったら、知らぬ間にカモにされて、あれよあれよという間に、身包みはがれそうになったとき、よりによって咲が狙われたら、そりゃ、刻也としても奮起するしかないでしょう。
相手がアンティーク使いだと知ってから、勝負が絶望的になったとき、最後の最後で強引ながらも逆転劇を演じることができたのは、それだけ咲を思ってるからですよねぇ。あのときのシーンに、うふ、っとなっちゃう。

個人的に一番印象に残ったのは「小指」です。繋がってる赤い糸を切り、別に人に繋げることができる指輪を手にした少年がやったことは、恋多き幼馴染の女の子の恋を助けることで。涙は見たくないという気持ちはわからなくもないけど、彼の抑えてる気持ちがわかるだけにやるせない思いになる。
ひょんなことから、咲とめぐり合って、咲は刻也を、少年は少女を思う気持ちを見つめなおして、ついに……と思ったところからのラストが衝撃的というか、ああ、こういう思いを持つようになるんだなあと思った次第。

そして、このシリーズを読んでいたら、誰もがお待ちかね状態となるであろう咲の内心を全面的に見ることができる「秘密」は最高でした。
赤い糸を紡げる指輪を手に入れた咲が、刻也の指の赤い糸は、自分の指の赤い糸は、どこに繋がってるんだろうと指輪をするかどうか迷ったり、一方の刻也は、咲が指輪を持ってるのを見て、いったい誰からもらったのかと気になってしまって、つい心の声が聞こえるというアンティークを手にしてしまって。
お互いアンティークを隠し持ってることに罪悪感を持ちながら、でも知りたいという衝動を抑え切れなくて、ドギマギするやりとりが楽しかったです。

最後、刻也からしたら、ちょっとした罰とちょっとした天国が待ち受けてて、咲も刻也がヤキモチ焼いてくれたことを嬉しく思って。あー、もう、いいなあと思いながら、にんまりできるラストでした。オススメ!

付喪堂骨董店 4―“不思議”取り扱います (4) (電撃文庫 お 9-7) - 御堂 彰彦

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付喪堂骨董店 5 不思議取り扱います

付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫) - 御堂 彰彦

「おい、咲。その『コトノハ』を返せ」
すると咲は家の中でくるりと振り返り、べーっと軽く舌を出して面と向かって言った。
「贈った言葉は返せないのよ」

特殊な力を宿した道具「アンティーク」を巡るお話の第五弾。今回は以下の四編が収録されています。

  • 未来から前借りする、他人から奪う、現在の幸運をあげるバングルのアンティークを巡る「幸運
  • 世界中の悪意が封じられている壷をめぐる「希望
  • 望んだ人に望んだ思いを届けられるコトノハを巡る「言葉
  • 「業務命令」でデートすることになった刻也と咲を描く「本音

毎度のことながら最後に収録されている短編の咲の魅力は最高ですね。最近では刻也も意識してたりするので、楽しさ倍増です。業務命令でデートさせるとは都和子さんもゆなあとニヤニヤしてしまいましたが、お互いこれは仕事の一環と言い聞かせながら、はやる気持ちを抑えるところが伝わってきて、ああ、楽しい!

いつになく拗ねる咲の様子がみれたのは楽しくもあり、乙女心をわかってない刻也にやれやれだぜと思ったりしましたが、最後にコトノハが素敵な思いを運んでくれて、暖かい気持ちになりました。きっと咲は、あのコトノハを大事にするんだろうなあ。
咲から刻也に送られるコトノハの物語も読んでみたいですね。

そのほかのお話の中では、初っぱなの「幸運」がミステリーテイストで面白かった。さすがにあれだけの情報じゃわかいませんが(いいわけ)。アンティークにかこつけて、さりげなく刻也に身を寄せる咲に悶えたりしましたが、それはともかくとして、バングルを収集していった二人組が気になります。そのうち対峙するのかな。

思いという点では、「希望」が見せてくれた世界が強烈でした。壷に封じられた悪意が見せてくれた世界は、あまりにも人への愛が込められていて……。迷う刻也の気持ちはよくわかるけど、咲と共に戻る決意には、やるせなくも今を生きる人の覚悟が見えました。

いやあ、面白かったですね。次も楽しみです。

付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫) - 御堂 彰彦

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