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天使の飼い方・しつけ方 / 淺沼広太

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天使の飼い方・しつけ方 ― 本編には一部ファンシーな内容が含まれております。

天使の飼い方・しつけ方―本編には一部ファンシーな内容が含まれております。 (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-16) - 淺沼 広太

神月ひかるが漫画を読んでいたら、突然、天使が現れた。どうやら、ひかるを癒しに来たらしい。特に癒して欲しいことはなかったが、セラと名乗る天使の少女は何とかしてひかるを癒そうと強引に迫ってくる。さらに、悪魔だというイデルが魂を欲しいとやる気ない感じで言ってきて、気がつけば、ひかるは、天使と悪魔と一緒に住む事になって……

目つきの悪さや、口数の少なさで、他人との接点が極端に少なかったひかるが、元気で、けなげで、でもそれらが空回りするセラと、怠惰な悪魔のイデルに挟まれて……というラブコメです。

人の話を聞かないわ、できないことでも突進しちゃうわと、ハイテンションで空回りしていくセラの姿には、どうにも乗れず、これはダメかなあと思いながら読んでたんですが、セラがなぜひかるの癒し天使をやってるのかということがわかってくると、まるで違って見えるから面白いですね。

何と言っても良かったのは、セラのひかるに対する思いです。癒し天使は、恋愛感情をもってはいけないという掟があるのに、自分の心や上司に対して必死に言い訳しながら、ひかるの言動に喜び、嫉妬し、自分の気持ちを認めてからは、苦悩していく姿には、たまらなく胸きゅんさせられました。健気な女の子の姿が良かったですね。

また、イデルもいい感じだったんですよね。何を考えてるのかよくわからない悪魔のお姫様でしたが、同じ歳ぐらいのセラやひかると出会って、実は楽しい思いをしているんだよというのがわかるところが、すごい良かったです。それまで、ちょっと怪しいなと思っていたんですが、印象が一変しました。
口下手なせいで、セラに誤解されるところには、思わず可哀想になってしまいましたが、天使であるセラを友達と呼ぶシーンがとても良かったです。

いつしか一緒にいることが普通になっていった三人の関係が、ひかるがイデルとは別の悪魔に狙われたときに、壊れていくところは、何とも切ないものがありました。
そんな中、それぞれが自分の身を顧みず、他人のために、動くところは、思わずグッとさせられるものがありました。事実を知り、真実を知り、困難にぶつかった時に、みんなで乗り越えていくという展開は、オーソドックスでありますが、可愛く元気なノリと、相手を思う真剣な姿が素敵でしたね。

いやあ、いいじゃないですか。読み始めたときの予想は、いい意味で裏切られましたね。これはとても続きが読みたいな。新シリーズと銘打ってるんですからでますよね?期待してます。

天使の飼い方・しつけ方―本編には一部ファンシーな内容が含まれております。 (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-16) - 淺沼 広太

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天使の飼い方・しつけ方 2 ― なまけものですのでお早めにお召し上がりください。

天使の飼い方・しつけ方 - 淺沼 広太

癒し天使のセラと魂を狙う悪魔のイデルとの同居生活にも慣れてきたひかるは、自分にかけられた呪いを解きたいとセラに相談してきた。役に立てることが嬉しいセラが、天使課長に尋ねたところ、人間の異性に告白されることが条件だという。ひかるの幸せのために、自身の思いを隠しながら、セラは、女の子と打ち解けようとするひかるに協力をはじめたが……

呪いによって、他人との接点が極端に少なくなったひかるの元に、元気で、けなげで、でもそれらが空回りするセラと、怠惰な悪魔のイデルがやってきてというラブコメシリーズ第二弾。いくらひかるが決意しようと、そう簡単に付き合える人がでてくるわけが……と思ったら、かわいくて、ちょっとポエマーな女の子、千景が告白してきくるお話。

よりによって、千景の恋愛を成就させるために天使のアークがついているから、セラとしても協力せざるを得ないところが何とも皮肉です。自分の好きな人が、他人と恋愛することに協力しなければいけないなんて、考えるだけでつらいですよね。
知られてはまずい思いをひた隠しにして、ひかると千景が付き合えるよう、応援しなきゃと思いつつ、最後の最後になると、どうしても協力しきれないのは、わかるだけにきついなあ。

サラとひかると千景の恋愛模様に加えて、アークがサラを好きで、カルマがイデルを好きでと、天使同士、悪魔同士の恋愛感情が絡むんですが、アークにしろ、カルマにしろ、実らない恋を追いかけることになって、これが変なテンションをかもし出してくれるので、一方ではシリアスな話が展開されてるのに、面白おかしいったらないです。ベタなラブコメなのに、引き込まれるのはそういうところがあるからだと思います。先日読んだ「アキカン」と同じようなハイテンションラブコメですが、こちらのが個人的には好み。

初めは戸惑いながら、流されるように千景と付き合ってたひかるでしたが、相手を知ることで、自分の気持ちを知っていくところは、良かったなあ。ひかるのことが好きだからこそ、相手の気持ちに気づいてしまった千景もまた素敵でした。サラがいなかったら、ほんと応援したくなる女の子でしたね。

ひとまず話が終わった気がしましたが、実は残ってる問題が大きいものばかりじゃないですか。それも山積み。ひかるとセラの問題もそうですが、今一番の関心ごとは、イデルですね。
今回イデルがあまり目立たなかったのは、今までと違って魂をほしがらないところに何かありそうだと思ったんですが、そっち側からやってきましたか。誰も気にしてなかった分、後々に響いてきそうですね。セラとしては気づいてやれなかったことを後悔しそうですが、このあたりは次巻で語られるのか、それともまた別の問題が降りかかってくるのか。

大いに気になるところなので、続編を期待して待ちたいと思います。

天使の飼い方・しつけ方 - 淺沼 広太

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天使の飼い方・しつけ方 3 このあとスタッフが全力でもふもふいたしました

天使の飼い方・しつけ方このあとスタッフが全力でもふもふいたし (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-18) - 淺沼 広太

天使のセラと悪魔のイデルが仲良く同居しているひかるの家に、仕事で家を離れていた父親が帰ってきた。守護天使のセラの目から見ても隙がなく、理力でセラについての認識を書き換えようにも跳ね返されてしまうという只者ではない空気に戸惑いながら、それでもセラたちのことを歓迎してくれた。
そんな平和な時間を過ごしている最中、悪魔のカルマが、わら人形マスコットなるものを街にばら撒き始めて……

ひかるにかけられた呪いを解くために、癒し天使のセラが空回りしながらも奔放するラブコメシリーズの第三弾。今回は、ダウナーな気分になるというマスコット人形の呪いを解くために、セラたちが代わりとなるマスコット人形を作ることになって、というお話です。

いやあ、いいなあ。こういう力の抜けたお話。ぬいぐるみの可愛さやもふもふ感に、人間や天使たちが虜となって、他のことに気力が向かなくなっていくって、どんなんだよ!とツッコミを入れつつ、読んでるとぬいぐるみが欲しくなってくるなあ。もふもふしたい。

対抗するぬいぐるみを作るために、セラが慣れない変身の術を使って小動物等のモデルとなり、インスピレーションを受けたイデルがデザインをし、千景が縫い上げるという、皆でひとつのものを作り上げていく過程は、意外な一面も見えたりして面白かったですね。

ただ、三人でというところに、ひかるの立場の辛さを感じましたね。セラたちからしたら、いてくれるだけで嬉しいですが、やっぱり男として……というか人として、自分だけ役に立てないという思いは、今まで以上に無力さを感じたんじゃないかしら。ひとり黙々と、神月家に伝わるという修行(という名のビ○ーズブー○キャンプ)をこなす姿に、やるせなさが漂います。

やるせないといえば、人間に好意を持っていることを知られたら消滅してしまうという天使の規律を、ひかるが知ってしまって……というところが、やるせなかったですね。万が一ということを考えて、距離を置こうとするひかるに、セラが戸惑うのもわかります。それにしても、なまじ規律について知ってしまったが故に、逆にセラに対して意識し始めたような気もするので、いったい二人の今後はどうなるんだろうと気になるばかり。

神月家の秘密については、こういう繋がりがあったとはなあと驚かされましたが、あまり凄さを見せない父が、子を思って動く姿には、心に来るものがありましたね。親と子という意味では、イデルとベルフェラジィの関係にも、言葉で言うほど辛く当たってないのでは?と一筋縄ではいかないものを感じるだけに、はたしてベルフェラジィは、何を思っているのか気になります。でも、なかなか心を見せてくれないんだよなあ。ううむ。

ノリは軽くとも、展開は結構シリアスになってきたような気がしますが、唯一の救いは、ひかるの呪いが解けたことかな。ちょっと急展開過ぎてアレでしたけど、ひとまずホッとしました。
ただ、イデルの身に起きていることが、かなり切羽詰ってる感じがありましたね。今の関係と環境が、イデルにとって心から楽しいと思えるものであることが伝わってくるだけに、何とかなってほしいところ。セラやひかるが覚醒(?)っぽいことをしているので、ここいらが鍵になってくれれば……。

天使の飼い方・しつけ方このあとスタッフが全力でもふもふいたし (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-18) - 淺沼 広太

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天使の飼い方・しつけ方 4 今日から始める実用イデルトレーニング

天使の飼い方・しつけ方 今日から始める実用イデルトレーニング - 淺沼 広太

「昔のセッちゃんは泣き虫さんなところはあったけど、僕をそんな死んだ魚のような目でシーイングすることは、そんなにはナッシングだったのにッ!?モア乙女だったさ。乙女チックがノンストップッ!!リメンバーだよねセッちゃん!あの輝けるバラ色のデイズをッ!!」
「バラ色のデイズってなんですか?まさか二人がその、……もしかして恋び」
「ストーーーーーーーーーーーーップ!千景ちゃんそこまでよ!」

ひかるにかけられた呪いを解くために、癒し天使のセラが空回りしながらも奔放するラブコメシリーズの第四弾。今回は、長編というよりは、短編集風味の一冊でしたね。

プロローグの進路相談で、三人がそれぞれ「将来なりたいもの」をあげていくところも、思わず、へにゃっと力が抜けてしまうものがありましたが、そんな力の抜け具合が、どの話にもあって、とても微笑ましく、とても温かかったです。収録されている物語は、以下の六つ。

  • 福引で当たった銭湯に皆でいく「せんとう開始
  • 飼い犬しばの大冒険を描く「破壊神黙示録 ~冬休み増刊号~
  • クリスマスの家族パーティの模様を描く「思い出のクリスマス
  • 大掃除で皆が疲れてるとき、イデルがお買い物に向かう「はじめてのおつかい
  • 誰が一番縁起のいい初夢を見るかという勝負が意外な方向に向かう「初夢ランナウェイ
  • アルバイトしたいと言い出したイデルが、接客業にチャレンジする「働けイデルちゃん

どれもこれも、優しさに包まれたお話ばかりで、とても良かったけど、個人的に好きな話は、「破壊神黙示録」と「はじめてのおつかい」かな。

普段から大きな事を言ってるしばだけど(もちろん、犬の言葉なので誰にも伝わってない)、実は態度ほどに傍若無人な心を持ってなくて、迷子な女の子の面倒を見てるうちに、自分が迷子だったことに気づいて、寂しくなっちゃうところとか、イデルを思うところとか、可愛いところもあって。でも素直じゃなくて。こんな素敵なツンデレ犬がいたら嬉しくなっちゃうよ。

はじめてのおつかい」と「働けイデルちゃん」では、イデル中心のお話なんですが、カルマたち悪魔が、イデルに気づかれないよう手助けするところに、思わず笑ってしまう健気さを感じました。はじめは気づかないイデルだけど、だんだんと助けてくれる存在を感じて、感謝の気持ちをみせるところがとてもいいです。

カルマとしても、先が短いイデルの望みは叶えたいと思いながら、でもどうせ先が短いなら、バイトよりもひかるたちとすごす時間を持ったほうが、みたいな葛藤があって、ついついイデルに意地悪しちゃうんだけど、最後には、彼女の力になってあげるんだから、まったく損な役回りだ。

おかげでイデルの秘密は秘密でなくなってしまったけど、さて、これでひかるたちはどういう道を選ぶんだろう。最終巻となる次作がとても楽しみです。

天使の飼い方・しつけ方 今日から始める実用イデルトレーニング - 淺沼 広太

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天使の飼い方・しつけ方 5 純情と友情のあいだに

天使の飼い方・しつけ方純情と友情のあいだに (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-20) - 淺沼 広太

「それはそれとして、イデルちゃんがこうしてウェイクアップしたってことは、何かビッグな発表があるんじゃないかな?」
アークに促されてうなずくと、セラから離れてイデルはソファーにちょこんと座る。
「……イデルね……魔界に帰るね」
「帰るって……でも魔界には……」

ひかるにかけられた呪いを解くために、癒し天使のセラが空回りしながらも奔放するラブコメシリーズの第五弾。徐々に弱っていくイデルを少しでも楽にするために、皆で魔界へと向かうお話から始まる最終巻ですが……ああ、切ない。今まで、皆の笑顔ばかりが印象に残るシリーズだっただけに、この最後は切なかった。

でも、はじめはいつもどおりで。イデルの状態が悪いなら、何とかしようじゃないかと、みなで協力し合うところとか、イデルの笑顔を守るために、ひかるやセラが、ベッタベタな学園コメディを繰り広げていくところは、ほんと微笑ましくてよかったです。今まで散々あやしい動きを見せてたイデルの母ベルフェラジィが、良きお母さんっぷりを見せてくれて、ひょっとしたら……と思える雰囲気が素敵です。

ただ、時折見えるイデルの寂しさにはやられたなあ。自分のために、魔界にまで来てくれたセラやひかるの姿をありがたく思いながらも、でも、あちらにいた人間の友人・千景や飼っていた犬・しばなど、今までのような空間を再現してくれるからこそ、物足りないものも見えてしまうところが切なかった。自分でも贅沢と思いながら、抑えられない気持ちとか、しくしくきちゃう。

そして、やっぱり、いいお母さんのままでいるわけがないベルフェラジィの企みが見えてきて、ひょんなことから真実を知った悪魔のカルマが、葛藤しながらも天使と協力していく様とか、やっぱり手を取り合えるんじゃんというところが、とても良かった。

でも、みんなはイデルのためにイデルはみんなのためにというところから、すれ違いが見えて、ベルフェラジィの別の思いが見えて……それぞれが下した決断が切なかった。
個人的には、もうちょっとこのあたりを書いてほしかったなあと思ったけど、じんわりさせてくれる最後と、ちょっとだけ見えた未来の出来事が良かったです。

あー、面白かった。最後まで楽しませてもらいました。次のシリーズも楽しみですね。

天使の飼い方・しつけ方純情と友情のあいだに (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-20) - 淺沼 広太

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