天は赤い河のほとり外伝 / 篠原千絵
天は赤い河のほとり 外伝 魔が時代の黎明
母である皇妃ヒンティが毒殺された。犯人は女官で、その場で同じ毒を飲んで自決したとされていたが、第4皇子であるザナンザは、その死に不審を持った。兄のカイルも何か考えがあるらしいが、わたしには打ち明けてくれないのだ。ならば、自分で調べようと、ザナンザは動き始めたが……
「天は赤い河のほとり」の外伝は、ユーリがこちらに来る前のお話ですね。カイルの母が命を落とすところから物語が始まります。語り手は、主にザナンザで、兄であるカイルや義理ではあるものの母として慈しんでくれたヒンティに対して、何かお役に立ちたいと願う心が伝わってきます。
誰が、皇妃を殺したか。この本を手に取る人だったら、犯人はわかってると思いますが、当時は、彼女は頭角を現していなかったんですねぇ。カイルを除いたら、誰も疑っていなかったというところが意外です。っていうか、皇妃の座を狙うとしたら、かなりの人を殺さなくてはならないので、普通に考えたら現実的じゃないしですしね。それでも実行するのがナキアですが。権力なるものを掴み取りたい欲望が、ナキアのみならず他の人にも感じましたね。
まだ若かりしころのザナンザということで、冷静さに欠く行動が多くて、見ててハラハラしてしまいましたが、逆にカイルはこのころから、女癖悪かったのか。裏からの手の回し方はさすがです。決定的証拠をつかみながら、最後の最後で逃してしまうところは、本編でも多々ありましたが、ここでも来たか。
いったいどうなるのかと思ったら、まさか続くとは思わなかったよ!うわー……油断してた。登場してくる人たちのその後については、本編で普通に出てくるので、どうなるかはわかっていますが、こんな終わり方をされたら、とても気になります。
カイルとて、あっさりやられるわけはないでしょうから、どう一太刀浴びせていくのか楽しみですね。
天は赤い河のほとり外伝 続 魔が時代の黎明
皇帝の寵姫を毒殺し、さらに策を凝らしたナキア妃は、着々と自らの地位を固めていった。ナキア妃を追い詰めるべく証拠を失ったカイルたちは、彼女の立后を抑えることができなかった。
さらに、ナキア妃は、邪魔者であるカイルを、離れた地に封じようと手を打ち始めて……
前作の続き。皇帝の側室となってから6年間、目立たずにいたナキア妃が、ついに本性を現していくお話です。
囚われの身となったザナンザの命と引き換えに、ナキア妃を追い詰める証拠を失って、という具合に、あと一歩まで追い詰めるものの、そこから先には進めないもどかしさは、コミックでの本編と同様ですね。
カイルたちの悔しさが伝わってきますが、本性を現したナキア妃は、さらにすごかった。次から次へと手を打ってきて、カイルたちはすべて後手にまわってるんだもんなあ。いや、いくらなんでも、ここまで後宮内に死が溢れたら、立后とかそんなのやってる場合じゃないだろうにと思うんですが……。カイルたち意外は、わりと平和なのは、大国の油断かしら。
足手まといになったことを悔やみ、ナキア妃を追い詰めるべく動いていたザナンサでしたが、兄や部下たちに、時として諌められるのは、読んでてちょっとわからなかったんですが、ザナンザと一緒に理解をしていけました。憧れの兄の手足ではなく、肩を並べて、動くことを望まれていたんですね。
そのことに気づきながらも自信を持てなかったザナンザが、最後の最後に来て、決意を固めていくところに、ああ、この話はザナンザの成長物語だったんだなと思いました。
うん、よかったですね。ただなあ、短くも思いました。前作と併せて初めて一冊分といったぐらいの量なので、ちょっと物足りないですが、ザナンザの別の顔が見れたのは、よかったです。
個人的には、お気に入りのイル・バーニあたりのスピンオフも見てみたいけど……。
無理ですよね。はい。
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