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秘曲 笑傲江湖 / 金庸

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秘曲 笑傲江湖 1 殺戮の序曲

秘曲笑傲江湖 1 (1) - 金 庸

福州で用心棒家業を営む「福威瓢曲」の若である林平之が、酒屋で店の娘に手を出していた男を殺してしまった。正義感からの行動とはいえ、勢いあまったことに震えていたが、男の仲間は容赦なかった。福州では一目置かれるほどの林家の人間が、次々と殺されていく。両親が囚われ、かろうじて逃げ出すことができた林平之は、一族すべてを惨殺した武林(武術界)の門派・青城派に復讐を誓うが……

drunker's highの中の人のオススメで手にとって見ましたが、これはおもしろい。おもしろすぎ!結構な厚さの文庫でしたが、用心棒家業を営む林家の人たちが、次々とやられていく始まりに引き込まれてから、一気読みでした。

どうやら主人公は、華山派の令狐冲らしいんですが、本作を読んだ限りでは、林平之かなと思うぐらい彼にページが割かれてましたね。一族の敵を討つために、囚われた両親を助けるために、自分の弱さを痛感しながら、決して折れることない心に、矜持を感じました。苦労や屈辱に耐え忍びながら、成長していくところがいいです。

令狐冲も印象的だったなあ。田伯光という格上の人(だよね?)との戦いで、口八丁を用いて自分の土俵に引きずり込んで、這ってでも勝つ姿には感動させられるものがありました。酒好きという欠点はあれど、男儀あふれる行動力には、尼さんどころか男だって惚れますよ!
戦いだけじゃなくて恋愛方面も気になるところ。儀淋の尼さんらしからぬ嫉妬心ににんまり。

林平之、令狐冲の物語だけでも面白いのに、さらに劉正風の引退式での話は、二転三転していって、手に汗握るなんてもんじゃないです。ああ、どうなるんだ!

オススメされたときに「全巻揃えてから一気読みしたほうがいいですよ」と言われましたが、ほんとそうすればよかった。続きが気になってしょうがないったらないです。たしか単行本で出てるんだよなあ、と、やばい考えを起こしてしまいそうなほど面白かったです。

続きも激しく期待ですが、一冊ずつ読んでいくべきか、全巻出てから一気に読むべきか、う~ん、迷う。

それにしても、登場人物がものすごく多いのに(3、40人ぐらい)、誰これ?って思うことがないぐらい、キャラ立ってる人たちばかりなのはすごいですね。

秘曲笑傲江湖 1 (1) - 金 庸

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秘曲 笑傲江湖 2 幻の旋律

秘曲笑傲江湖 2 (2) - 金 庸

笑傲江湖の継承者を見つけてほしいという劉と曲洋の遺言、さらに林平之の両親の遺言を聞く事となった令狐冲は、華山に戻った後、師父より一年の座禅を申し付けられた。玉女峰でひとり座禅と修行を繰り返す日々を続けていた令狐冲だが、食事を届けてくれていた丘霊珊との間に溝を感じ、さらには、華山派の絶技を打ち破る剣技を発見してしまい……

素行の悪さから、ひとり山に篭るはめになった令狐冲が、丘霊珊への思いと、華山派の裏に振り回されていくお話です。いろいろな視点で描かれていた前作とは違って、令狐冲視点による物語になりましたが、これは面白すぎ。読む手が止まらなくて、あやうく仕事休むところでした。

令狐冲が丘霊珊に好意をもっているのはわかってましたが、まさかこれほど恋焦がれていたとは驚きです。丘霊珊を目の前にしてからは、溢れんばかりの好意が伝わってきて、まるで子どものようでした。丘霊珊と稽古する林平之に嫉妬したり、すれ違いから丘霊珊に嫌われたと思い込んだときの落ち込みようと言ったら!戦いのときの冷静さとは全然違いますね。

そんな令狐冲が、儀琳のもとへ連れて行こうとする田伯光と対立するんですが、師父の教えを守ろうとしているはずなのに、気づかぬこととはいえ、いつの間にやら、師父の教えから外れていくところは、何とも言えないものがありました。
強くなればなるほど、読んでる身としては、不安がよぎるばかりですが、一因となった田伯光は憎めなかったなあ。殺し合いに発展しそうで発展せず、むしろ力を競い合うような田伯光と令狐冲の戦いの面白さったらないですね。強くなっていくことを実感させられる展開に、惚れ惚れ。漢と書いて男と読むような二人に、信頼感とか絆が芽生えていくところが素晴らしかったです。まあ、これはこれで、問題があるんだけど。

田伯光や桃谷六仙が、令狐冲を儀琳のもとへ連れて行こうとするのは、なぜかと思っていましたが、これがまた楽しい限り。お父さん、パワフルすぎ、面白すぎ。全力で直球しか投げないお父さんの言葉に、顔を赤くして否定する儀琳のかわいいことかわいいこと。この姿を見て、恋焦がれてないなんて、誰が信じよう。個人的には、儀琳大好きっ子なので、彼女の思いが届いて欲しいけど、さてさて。

そんなこんなでいろいろありましたが、何と言っても面白かったのは、後半も大詰めになってから華山派の一派が追い詰められていく怒涛の展開ですよね!圧倒的迫力とスピード感にはやられるばかり。よりによって、一番弟子である令狐冲が足手まといにしかならないとは、と勝手に悔しさをかみ締めていたときに、例のことが生きてくる展開に大興奮ですよ!いやあ、かっこいい。

超絶に面白い展開に、満足してましたが、よくよく考えてみたら、あの技を見て、師父はどう思うんだろうと不安になってきました。秘笈のことで、溝ができてる(ように感じる)ところもあるし……。
全く持って予想がつかないだけに、これからどう物語が転んでいくのか、とても楽しみです。

しっかし、次から次へと強いやつが出てくるなあ。

秘曲笑傲江湖 2 (2) - 金 庸

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秘曲 笑傲江湖 3 魔教の美姫

秘曲笑傲江湖 3 (3) - 金 庸

令狐冲が風大師叔より授かった剣法によって、危機を逃れた華山派だが、師である岳不羣は、何一つ打ち明けようとしない令狐冲に疑いの目を向け始めた。誤解が解けぬまま、一行は林平之の外祖父、王元覇の住む洛陽へと向かったが、そこで王の息子たちと令狐冲の間に亀裂が走り……

いやあ、面白かった。前作を読んだときに思った不安が的中して、令狐冲と師父・岳不羣の間に溝が深まっていく一方の始まりでしたね。誤解が誤解を呼び、師父との亀裂は深まるばかり、愛しい丘霊珊は振り向いてくれずと、散々な令狐冲がだんだん可哀相になってきましたよ。内傷はひどくなる一方なのに、気づかない or 怒りなどから目が曇ってる岳不羣って、ひょっとしたらたいしたことないんじゃと思ってしまうのは、出てくる人出てくる人、すごい人ばかりだからかしら。

ともあれ、今にも死にそうな状態で旅を続けていた令狐冲でしたが、一人助けたら一人殺す「殺人名医」や、毒物・毒虫を操る五仙教の藍鳳凰など、次から次へと名の有る人たちが、令狐冲を助けようとするところは、いったい何があったのか不思議でしたね。ほんのちょっと腕が立つぐらいの駆け出しの武人を、多くの有名な人たちが、慕ってくるんですから。
それぞれが、自分のできる限りを尽くして、令狐冲を手当てする様は、無駄に壮大で楽しかったです。それがまるで役に立たない度ころか、逆に令狐冲の体を苦しめていくことになるんだけど。

はたして裏にいたのは誰かってのは、だんだんとわかってきて、しかもそれが妙齢の美しき人だと分かっていくところで、やられました。偲ぶ恋に、周囲が気を利かせていたんですが、隠そうにも隠しきれてない任盈盈の強烈なツンデレっぷりがたまりません。あまりにも過激なせいで、令狐冲以外の人で、ふたりの間にかかわった人は、続々死んでいくんですから、とんでもないツンデレですよね。でも、これがまた可愛くて可愛くて。今回の話で、僕の中のヒロインNo.1は、儀琳さんから任盈盈に変わりました。
照れすぎて、令狐冲すら殺しそうになってましたが、かろやかにかわす令狐冲の口のうまさに惚れ惚れしちゃいますな。

とまあ、素敵な出会いがあったかと思いきや、またひどい目に合っていくわけですが、ここまでくると、岳不羣の潔癖っぷりが逆に痛いなあ。ひょっとしたら令狐冲のためを思ってなのかもしれないけど……いや、それはないか。体よりも先に心が死にそうな令狐冲の様子が悲しいです。

死を恐れないどころか、死に場所を求めて動き、逆に名声を高めていくところが、なんとも皮肉ですが、正邪がかなり入り乱れてきたところの中心に令狐冲がいるので、今度どこまでかき回されていくのか、かき回してくれるのか楽しみです。

秘曲笑傲江湖 3 (3) - 金 庸

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秘曲 笑傲江湖 4 天魔復活す

秘曲笑傲江湖 4 (4) - 金 庸

一命の借りを返すという向問天は、言う。必ず治すから、わしを信じて何も言うなと。どうせ、いつ死ぬとも知れぬ身である令狐冲は、全てを向問天に任せることにした。
だが、連れて行かれた杭州で「梅荘」を訪れた令狐冲は、風太師叔の継承者と名乗らされて……

いやあ、面白い。なんといっても悪党どもの魅力がたまらない。平気で、人を騙したり、殺したりするけれど、どこか一本筋が通ってるものを感じられるんですよね。相手の素性の悪さを知りながらも、令狐冲が付き合ってしまうのは、そういう男気みたいなものを感じるからなんだろうなあ。いや、酒を飲む場では皆兄弟みたいな思いがあるのかもしれないけれど。

向問天が何をたくらんでいるかわからないまま話は進んでいくんですが、「梅荘」で出会った人たちとの剣の腕比べは、見ごたえがありました。内力ひとつ使えないのに、次々と武侠ものたちを倒していく姿は、熱くさせられますよね。それでいて、目上の人に対する敬いは忘れないから、令狐冲好き。
そうそう。お酒を美味しそうに飲む姿もいいですよね。お酒好きじゃない僕ですら飲みたくなる気持ちにさせてくれます。しっかし酒豪がたくさん登場する物語だこと。

途中で囚われの身となったところには、向問天の策略があったからなんですが、それにすぐ気づかないところに、令狐冲の人の良さを感じますね。普段、頭いいのに、人との関係になると、てんで弱くなるのが不思議。
おかげでというか、そのせいでというか、魔教の技を手にしてしまうことになるんですが、「武」については、余計というか、政治的(?)なものを無視しちゃう素直さが、令狐冲の強さの秘密なのかもしれない。まあ、思慮深い師父からしたら、そういうところが癇に障るんだろうけど。

内力の暴走とも折り合いをつけ始めた中、魔教とのつながりを疑われて孤立してたにも関わらず、人助けに走るところは、やっぱり令狐冲だなと思わされますが、ただ助けるだけじゃなく、他人になりきろうとするあたり、ユーモア溢れるひとですよね。一緒にいたら楽しそう。
久しぶりに儀琳さんが出てきた気がしますが、やっぱりいい人でしたね。素直にこの人を好きになってれば、令狐冲としても楽なのに、そううまくいかないところに、恋の難しさを感じます。

ひとりになると、何かと岳霊珊のことを思い出して落ち込むところは相変わらずでしたが、好きな人が他の人に恋焦がれる姿を見てしまうところは、辛かったです。しかも、岳霊珊や弟弟子のために、大怪我を追いながら奮戦したにも関わらず、誤解が解けないどころか、ますます深まっていくところを読んでると、岳師父や霊珊に怒りを覚えてきますよ。どれだけ視野が狭いんだと。
思わず岳師父なんて倒してしまえと思ったのは秘密。今なら余裕で勝てそうじゃない?義理人情溢れる令狐冲が、師父に刃を向ける事はないとわかってるけどさ。

大いなる強さを手に入れて、でも安らぎは手に入らない令狐冲ですが、次は恒山派を助けに行くことになるようですね。助ける事ができなかった記憶が新しいだけに、今度こそはという思いが強いんじゃないかしら。

敵対してたように思えてた恒山派の面子が、気づけば令狐冲を慕うようになるのをみて、ひょっとしたら、令狐冲は、正邪を繋ぐ架け橋になってくれるのかしらとか思い始めてきましたよ。
これからどうなっていくのか、ほんと楽しみですね。

秘曲笑傲江湖 4 (4) - 金 庸

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秘曲 笑傲江湖 5 少林寺襲撃

秘曲笑傲江湖 5 (5)  - 金 庸

恒山派の総帥たちを狙っていたのは、魔教ではなく、五嶽剣派の併合を企んでいた左冷禅の手のものだった。危ういところで、令狐冲たちは間に合ったが、そこで、魔教の前当主の娘である盈盈が、少林寺に囚われていることを知ってしまった。彼女には恩がある。そう思った令狐冲は、武林の中でも最高レベルを誇る少林寺へと向かって……

令狐冲に、会う人会う人が、始めは魔教と関わった者としてうさんくさく思い、剣の腕前と人柄に惹かれていくってのはいいですね。恒山派なんて尼さん集団の総帥たちにまで、気に入られてくってことは、ぶっちゃけ、嫌ってるのって、岳不羣だけじゃん。

で、少林寺に囚われの身となっている盈盈を、令狐冲が助けにいくというお話が始まるんですが、やっぱいいわ、盈盈。今まではただの強烈なツンデレってだけのイメージでしたが、令狐冲への思いをこれほどまでに感じるとは思いませんでした。
そういえば、令狐冲が少林寺に行ったとき、盈盈はどうしたんだろうって思ったんですよね。まさか、自らの命を賭けて、令狐冲を助けようとしたとは……。心打たれるばかりです。

これを知って、令狐冲が動かないわけないですが、ここからの少林寺へと向かう旅のシーンが、個人的にすっごい好きです。みんなで力を合わせて助けようとするところもいいし、令狐冲のことをからかいながらも、盈盈と間柄について、温かい目で見守る人たちの空気がとてもいい。分かり合える男たちとの酒って、美味しそうですよね。酒飲めない僕が言うのもなんだけど。

ともあれ、少林寺に乗り込んだところから始まる怒涛のピンチがすごかったですね。まさに絶体絶命。一対一や一対多数なら勝てるのに、多数対多数だと、周囲を動かせない令狐冲の弱点とか見えたりして、如何に切り抜けるのかハラハラドキドキものでした。いやはや、運もあったけど、それはそれ。

何と言っても今回一番面白かったのは、少林寺の総帥である方証大師と魔教の前教主である任我行の戦いだなあ。圧倒的スピード感と迫力には、さすが、武林でも一、二を争う使い手同士の戦い!と手に汗握ること請け合い。

それに比べて、岳不羣ときたら……。令狐冲への態度といい、霊珊を利用しようとするところといい、さらに株が急降下。そんな師父でも、戻りたいと思う令狐冲の健気な姿は、可哀相なぐらい痛々しくてしかたないです。盈盈なる美しき人から思われてるってのに、霊珊に未練たらたらな姿は、もう……。雪だるまに書かれた文字の話は、実際にあったら泣くと思います。なんて残酷な。
武と恋と、両方ともうまくとはなかなかいかないみたいですが、がんばれと応援したくなります。

気孔流と剣術流の分裂の話や「辟邪剣譜」のルーツなど、いろいろわかってくるものがある中、最後は東方教主に喧嘩を売るところで終わるんだから、なんたる引きか!

秘曲笑傲江湖 5 (5)  - 金 庸

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秘曲 笑傲江湖 6 妖人 東方不敗

秘曲笑傲江湖 6 (6) - 金 庸
笑傲江湖の映像化作品。スウォーズマン BOX (4枚組)
スウォーズマン BOX (4枚組)
東方不敗は見てみたいかも。

東方不敗を倒すために、令狐冲たちは敵地へともぐりこんだ。だが、そこで待ち受けていたのは、東方不敗の意外な姿で……。令狐冲のみならず、任我行までもが呆気にとられたが、それこそが、東方不敗の強さの秘密であった。令狐冲、任我行、さらには向門天までもが剣を向ける中、まるで敗色を見せず……

東方不敗との戦いと、五嶽剣派の併合の行方が描かれるお話です。

つえー、東方不敗つえー!!令狐冲を含む希代の剣士が、三人がかりで向かっても、ことごとく受け流して、さらには三人を追い詰めていくんですから、興奮せずにいられようがないです。姿を見せたときには、思わず吹いたけど、これが「葵花宝典」を手にしたものの力かとゾクリ。盈盈の容赦ない機転がなかったら大変だったなあ。
とはいえ、東方不敗の思いを感じると、任我行の思惑のほうが、ゾクリとさせられましたけど。悪意むんむん。

これだけでも面白かったのに、五嶽剣派の併合問題は、輪をかけて面白かった。左冷禅が、姑息にも周到なやり方で、総帥になろうとするんですが、それをやり込めたのが、令狐冲じゃなくて桃谷六仙だってところに、笑いながら拍手喝さいしてました。いやあ、痛快痛快。六人の会話に振り回される者たちの呆気にとられる顔が目に浮かびます。

こういうところでも、さりげなく令狐冲を手助けする盈盈が、ほんと素敵。令狐冲も恩を感じてるみたいだけど、まだ霊珊のことになると動揺するしなあ。ま、しかたないことかもしれないけど。

その霊珊が今回活躍してましたね。林平之とのことは、あぁ……と思いつつも、仕方ないかと思ってたんですが、どうしてどうして、腕を上げたじゃないですか。左冷禅を相手どっての技もさることながら、令狐冲との手合わせには、心から温かいものを感じてしまいましたよ。思わずじわり。

どうして、林平之なんぞを……と思ってしまいましたが、その林平之と岳不羣の様子に驚きましたね。弱くとも品行方正が売りだとおもっってただけに、妙な気持ちになりましたが、それ以上に驚いたのが、岳不羣の強さでした。まさか「あの技」を使えるなんて……。

不気味なだけに、華山派にキナ臭いものが感じましたが、霊珊の様子や盈盈の言葉で気づきました。そうか「壁邪剣譜」がアレの派生なら、かの人と同じことを……。壮絶な覚悟は理解しつつも、むしろ堕ちた感があるなあ。それとも、やはり武を尊ぶものは、凶悪な技でも、惹かれてしまうのかしら。
岳夫人や岳霊珊というすばらしい女性が側にいるにもかかわらず、目をくらますあたりが、何ともやるせない。

ここにきて、君子の偽りが見えてきましたが、このことを知ったら、令狐冲はどういう反応をするだろう。それでもと思うのか、それならばと思うのか。それと、霊珊との間は最終的にどうなっていくのかが、あたりも気になりますね。

今回、令狐冲の活躍があまり見られなかっただけに、次作では大活躍してくれるんじゃないかと思いますが、次作で終わりなんですよね。ものすごくさびしい……。

秘曲笑傲江湖 6 (6) - 金 庸
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秘曲 笑傲江湖 7 鴛鴦の譜

秘曲笑傲江湖 7 (7)  - 金 庸

林平之が襲われて、失明の危機に陥った。さすがの辟邪剣法も、見えなければ戦えない。隣にいる霊珊を思う令狐冲は、怪我を押して盈盈と共に、助太刀しようとしたが、そこへひとりの老人が踊り出た。しかも、その老人は辟邪剣法を使っているのだ!
老人の正体を知り、師父について驚愕な事実を知った令狐冲へ、さらに悲劇が襲い……

これが最後だなんて……と、読み終わるのがもったないないなあと思いながら読み始めたら、もう止まらない。霊珊のピンチに新たな「辟邪剣法」の使い手が出てきたりして、おいおいとか思ってたら……。愛する人の内心を見抜けなかった者たちの末路が哀しい。

令狐冲も辛いよなあと思いましたが、盈盈がいろいろと支えになってくれて良かったですよね。結婚話を持ち掛けると、照れてプンプン怒るけど、仲睦まじさが伝わってきて、読んでて楽しかったです。この二人には幸せになって欲しいと思わせるものがありました。

が、そう簡単に平和が訪れるわけがなく、悪の手が伸びてくるから落ち着いてられない。正体を現してからのかの人の悪どさは、ムカつき度がダントツです。幾度となく倒せるチャンスがあったのに、幾度となく裏切られたのに、最後の一突きができない令狐冲の優柔不断っぷりには、もう……。でも、そういう弱さを持ちながらも、強さを極めていった人だから、みんな惚れていくんだよなあ。

前作で霊珊があれほどの腕前を見せた理由も見えて、そういうことだったのかと、策の狡猾さにうなりたくなりましたが、誰も信用しない人が、他人の信用を得るわけがなく。
気づけば、五嶽剣派の当主が……ってところで、ツワモノどもが夢の跡な思いになったなあ。

これだけでもおなか一杯だったんですが、そうか、魔教との問題がまだ残っていたか。進退きわまってどうなるのかと思いきや、いや、さすがさすが。命よりも大切なものを決して忘れない姿に惚れます。
教主より手を下される危険性があるにも関わらず、令狐冲と杯を交わすことに躊躇しなかった連中の男気に感動。

最後の一大決戦は、絶体絶命もいいところな緊迫感がありましたが(例の椅子に桃谷六仙がアレしちゃうとことかね!)、ひょっとしたらという思いもあったので、ドキドキとニヤニヤが止まらなくて大変でした。

そして、予想通りになったときの嬉しさといったら!!
奏でられる笑傲江湖と、日月新教の新たな符牒ににんまり。

いやあ、素晴らしい。文句なしで傑作でした。このシリーズを読めたことを心から感謝したいと思います。オススメしてくれたdrunker's highの湊さん、ほんとうにありがとうございました。

ちょっと金庸ハマったので、他の作品も追いかけていこうと思います。

秘曲笑傲江湖 7 (7)  - 金 庸

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