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ロケットガール / 野尻抱介

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ロケットガール1 女子高生、リフトオフ!

女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉  - 野尻 抱介

ソロモン宇宙基地で、日本人の開発しているロケットが六度目の失敗を遂げたとき、政府は最後通牒を行なった。次に失敗をしたら全面撤退をするというのだ。
何としても計画を続けたい那須田所長だが、過酷な命令にパイロットが逃げ出してしまった。
ちょうどそのとき、父親を探すためにソロモン諸島を訪れていたゆかりが、逃げ出したパイロットと追いかけていた那須田所長と出会い……

宇宙飛行士は体重が軽い方がいいということで、父親探しに島を訪れた女子高生のゆかりを、あの手この手で引きとめて、宇宙を目指すというお話。
いやあ、面白い。
強引な始まり方だったのでドタバタものかと思いましたが、宇宙の話は細部まで詰められていますね。とはいえ、堅苦しくなく軽快に描かれているので、非常に読みやすいです。

訓練模様についてはあまり前面に出てきませんが、ちょろっと描写される内容を想像するだけで筋肉痛になりそう。通常の訓練と違う気もするけど。
途中、辛さからというよりは、恐怖から逃げ出すような雰囲気こそ合ったものの、なんだかんだ言いながら、責任ある行動を取るゆかりが素敵です。

どちらかといえば、宇宙飛行士はやらされている感があったため、宇宙に興味があるように見えなかったゆかりが、初めて船外へ出たときのシーンは、とても短かったけれど感動が伝わってきました。ああ、宇宙っていいなあ。

そんな感動もつかの間、終盤のトラブルが連続するスピード感ある展開がすごい。サスペンスとは雰囲気がちょっと異なりますが、一気に引き込まれます。ゆかりの決断力やマツリの行動力、それに基地のみなの力を合わせてと乗り切っていくところが良かったです。
誇り高き宇宙飛行士たちの決意にも、胸が熱くなりますね。

オチというか最後のところは、ある意味ありえるよなあ。日本というお国柄への皮肉を感じます。
さてさて、これからゆかりはどうするんでしょう。続きが凄い楽しみです。

女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉  - 野尻 抱介

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天使は結果オーライ ロケットガール2

天使は結果オーライ―ロケットガール〈2〉  - 野尻 抱介

ゆかりとマツリが乗った宇宙船は、予定地から大幅にずれて着地した。よりによって、ゆかりの母校に。苦情を言ってくる教師がいたがそんな場合ではない。実験用の金魚の様子がおかしいのだ。何とかしなくてはとあわてていたところを、学年一の秀才である生物部の茜が、ありあわせの物で助けてくれた。
この知識、そしてゆかりと同じぐらいの小柄な体型。思わずゆかりは、うちに来てみない?と誘ってしまったが……

宇宙でのトラブルって、ちょっとしたことで命にかかわるはずなのに、ゆかりとマツリが一緒にいると、ほわほわした雰囲気になりますね。技術者たちが重量を 1キロでも削ろうと必死になっているのに、こっそりドリアンを持ち込むところに笑ってしまいます。

さて、今回は新たなロケットガール、茜が登場です。知的で真面目で責任感のある優等生ですね。こんな高校生がいるのかと思いましたが、自分の興味分野になると口が止まらないあたりは、なかなかオタクっぽいですね。一見弱そうだし、実際身体は弱いですが、親を説得するところ、単独突破訓練、そしてオルフェウスと、心の強さはたいしたものです。
迷いながらも決して逃げなかった態度が素敵です。

今回はオレアリー博士と茜の会話に泣かされました。目的が果たされないまま、終わりを告げそうな探査機を救った人に投げかける言葉に、大きな喜びと二十二年の重さを感じましたね。想像するだけで胸が熱くなります。
軽いテンポで進みながらも、要所で泣かせてくれるのがこのシリーズですね。

最後のアポロ方式で起きるお約束については、早くからニヤリとさせられてしまいましたが、まさか呪いの着地が続くとは。このオチにはニヤニヤが止まりませんでした。ああ、面白い。ガールズたちが繰り広げる宇宙の物語の今後が、ますます楽しみになってきました。
次はマツリにもうちょい光を……。

天使は結果オーライ―ロケットガール〈2〉  - 野尻 抱介

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私と月につきあって ロケットガール3

私と月につきあって - 野尻 抱介

ゆかりたち三人が所属する SSA の成功を受け、フランスでは五人組の美少女のアリアン・ガールズという飛行士を売り出していた。今回 SSA は有人月飛行を行うというアリアン・スペース社の要請により、ゆかりたちロケットガールとアリアン・ガールズが共同で、月へと向かうことになったが……

あーもう、素晴らしいというしかないですね!題名どおり、月へと向かうお話です。

フランスと日本の共同ミッションとはいえ、ゆかりたちはサポート要員ってことで、普段とは勝手が違うゆかりたちの戸惑いが伝わってくるんですが、会話とかノリとかすごい楽しくて、幾度となく笑ってしまいました。
それでいて、訓練や人と人とのやり取りは、きっちりしているから、とてもリアルなんですよね。
月へいく。その言葉を聞いたあとの茜の話を聞いたら、誰もが月に行きたくなると思います。

今回はゆかりがホントよかった。アリアン・ガールズのリーダーのソランジュが、ライバル心むき出しにして向かってくる姿は辟易しつつも、フランス側に問題がおきて、ソランジュの気がふっと抜けたとき、ハッパをかける所は、まさに親分肌がなすところですよね。
普段傲慢に見えるけれど、こういうところが、かっこいいです。

仲違いしていたものが、トラブルを乗り越え、目標に向かってひとつになっていく。言葉にすると簡単だけど、読んでいると、心が熱くなって、時に目頭まで熱くなるものがありました。
感動するシーンだけでなく、孤独や恐怖を感じるところは、ほんと辛いですが、それ以上に辛いのが「冷たい方程式」ですね。時にそういう決断を下さなければならないことがあると思うと、暗い気持ちになります。

それでも、最後まで諦めなかったのは、共に行動する人がいるからこそでしょう。再び、手を取り合ったあと、報告するソランジュの言葉には、思わず歓声を上げそうになりました。

ああ、もう素晴らしすぎです。毎回宇宙への思いには、心を震わせてくれるんですが、これほど興奮させられるとは思いませんでした。シリーズとしては、これで終わりなんでしたっけ?ああ、もっと読みたいのに!
これから読む人が、とてもうらやましく思えるぐらいオススメな作品です。

私と月につきあって - 野尻 抱介

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魔法使いとランデヴー ロケットガール 4

魔法使いとランデヴー - 野尻 抱介

トラブルにより小惑星探査機<<はちどり>>の回収が不可能になってしまったというニュースが流れたとき、マツリは突然言い出した。「ゆかり、茜、<<はちどり>>を助けにいこう!」
どう考えても無謀な計画に、ゆかりは難色を示したが、マツリの抱える事情を聞いて、できることがあるならばと、実験的過ぎるミッションに取り掛かり始めて……

という書き下ろしの中編「魔法使いとランデヴー」と、ドラゴンマガジンに掲載された短編「ムーンフェイスをぶっとばせ!」「クリスマス・ミッション」「対決!聖戦士VS女子高生」の三編からなる短編集です。以下、各話の感想など。

ムーンフェイスをぶっとばせ!
タレントのミムタクが、ゆかりたちと宇宙でランデブーするお話。あーなるほど、無重力状態では、思いもよらぬ生理現象が起こるんですね。ムーンフェイスとは、無重力状態のおかげで、顔がアンパンマンのようにまんまるになってしまうことを指すんですが、本人からしたら切実なことでも、見てるほうとしては、思わず笑ってしまいますね。よりによってミムタクがそんな状態なので、普段とのギャップが激しく思えるからなんでしょうね。イラストがまたコミカルさに拍車をかけてくれます。かなり強引な解決策にもにやり。

クリスマス・ミッション
陸上着陸のテストを兼ねて、釧路の孤児院にクリスマスプレゼントを届けるお話。個人的には、この話が一番好きだなあ。偽善的行為が嫌いなゆかりが反対するのもわかる気がするのは、「かわいそう」という視点から孤児たちを見るマスコミたちの行動があるからでしょうね。ただ、そんなマスコミを使わないと、ゆかりたちのPRができないというのは、なんとも皮肉。

そんな孤児院で、マスコミの取材にうんざりしてしまった邦夫くんが、ゆかりたちに対しても冷たく当たるところは、同情する余地もあるような気がしましたが、ちょっと寂しかったですね。茜が戸惑う中、ゆかりが告げた言葉は、厳しくあったけど、きっと邦夫くんの心の礎になってくれるでしょうね。かっこよすぎて痺れました。最後のオチはかっこ悪いような気がしなくもなかったけど、「これも宇宙飛行士の仕事なんだ」という言葉に、じーん。

対決!聖戦士VS女子高生
国際宇宙ステーションにテロリストがやってくるお話。なんで途中で気づかなかったんだろうとか思わなくもなかったけど、聖戦士として自爆しようとしていた連中が、茜やマツリに籠絡されていくところに、いや、ゆかりに誰も見向きしなかったところに、お約束だなあと思いながらにんまり。ぼくはゆかり好きですよと言っておこう。
なんか、微妙なところで終わってしまったので、もうちょっと見たかったかなあ。物足りない。

魔法使いとランデヴー
上に書いたあらすじのとおり、小惑星探査機を回収するために飛び立つお話。普段能天気なマツリですが、シャーマンとして普通の人には見えないものが見えている以上、いろいろ苦労もあるんですね。周囲の人に理解されにくいだけに、余計大変だと思いますが、たとえ理解できなくても、相手が本気で語ってくるのなら、応えてあげるのがゆかりなんですよね。反対していたはずが、誰よりも熱心に立ち向かい、力技だろうがなんだろうが、実現させてしまう手腕を見てると、やっぱリーダーだよなーと思いますね。

いつものような宇宙ロマン的なところは、あまり感じられなかったんですが、目標に向かって一丸となっていくシーンとか、やっぱりいいですよねぇ。温かさが感じられるラストもよかったです。

ちなみに、この<<はちどり>>のお話は、救出方法こそ異なるものの、実際に起きたこととほぼ同じらしいです。いやはや、事実は小説よりも、とはよく言ったもので。

いやあ、面白かったです。短編だとどうしてもコミカルさが中心になってしまって、ちょいと物足りないなあなんて思うところもあったんですが、ロケットガールたちの活躍には、満足でした。できれば、長編も読んでみたいなと思うんだけど……、続きは出てくれるのかしら。出てくれるとうれしいな。
いや、期待という点で言ったら、「クレギオン」シリーズのほうが大きいんですけどね……。

魔法使いとランデヴー - 野尻 抱介

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