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煉獄のエスクード / 灼熱のエスクード / 貴子潤一郎

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煉獄のエスクード RAINY DAY & DAY

その紙片に書かれた内容を解読しようとしたものは、ある者は発狂し、ある者は自殺した。それほどまでに危険な紙片には、ゲートの場所が記されていた。
ゲート。それは世界と「向こう側」を繋ぐ扉。
人類はそれを施錠するために、「奴ら」はそれを開くために、キィとなるひとりの少女を奪い合う。レディ・キィという呼び名のソフィア 現在 12歳。

そんな少女を守るもの。「殺戮のレイニー」「裏切り者レイニー」「堕天使レイニー」。与えられた名は不名誉なもの。だがひとつだけ確かなことがある。「鍵の番人レイニー」。レディ・キィのいるところ、彼女がいる。

それは「奴ら」への切札。持ち主を選り好みする剣。持ち主以外の手は受け付けぬ剣「ブラディミール」。それを使うもの。己の役目を知らずに成長したもの。受けた命令はひとつ。
「レディ・キィを守れ。奴らに奪われるぐらいなら殺せ

ゾクっと体が震えたシーンがどれほどあったろう。
ぎこちないながらもセンスを感じる場面が多数ある。
前作の「眠り姫」は 2004 年個人的ベスト 10 入りするほど気に入っていたので、期待が大きかったのですが、見事に応えてくれました。
やはりこの人は買いだ。

シリーズものとは思っていなかったのですが、読み終わったとき、「なんだ続くのかよ」などと思わずに、素直に喜べる作品でした。

煉獄のエスクード RAINY DAY & DAY (富士見ファンタジア文庫) - 貴子 潤一郎

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煉獄のエスクード2 The Song Remains The Same

伝説の魔道書。かつてその書をめぐり、魔道師と魔術師が争った。
だが、どちらも手に入れることができないまま月日は経った。
それがフィンランドの小さな村に存在するらしいという話をバチカンに持ち込んできたクラウディア。
かつての借りを返すためにしぶしぶ協力する教皇庁。
その任務を引き受けた薫は、とある小さな村に潜入したが……。

いつになったら前作の主役クラスな人たち出てくるんだろうと思っていたら、まさか最後まで出てこないとは。それでいてこれほどまで読ませるとは!
いやあ、面白い。
特に謎が少しずつ明かされる展開が秀逸でした。最後までひっぱられましたよ。
前作であった展開のぎこちなさが無くなり、すっきりとまとめられた作品でした。
次作では、また前作の活躍者たちが登場するとの事なので楽しみです。
お勧めなシリーズ。

煉獄のエスクード(2) The Song Remains The Same (富士見ファンタジア文庫) - 貴子 潤一郎

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煉獄のエスクード 3 RHYTHM RED BEAT BLACK

連続失踪事件を追うために、薫は高校へ転校し潜入捜査をはじめた。
バチカンと魔術師協会との間に結ばれた協定により、魔術師ルーシアと行動を共にしていた薫だったが、ある日、旧校舎でケルベロスの遺骸を発見した。そこへルーシアがかけた魔法が反応し……
目が覚めたところ。そこは魔族が集まる城の中。
それは十三世紀のとある夜だった……

読み終わった後に思わず小躍りしたくなるぐらい面白い。
敵対している者同士が手を組んで、事に当たる。しかもデュアルで。
下手したら複雑になりかねないストーリィ展開を見事にまとめてくれました。
新しいキャラのおかげか重すぎず、もちろん軽すぎず。
恐ろしきデジャ・ヴュと赤い死の連続。
シリーズが続くにつれてどんどん面白くなるんだから嬉しい限りだ。

それにしてもレイニーが美しすぎる。ほんの少しの出番でも圧倒的な存在感。
畏怖する薫の気持ちが良くわかる。
とはいえ、何となく薫が近づいている気がするので、ひょっとしたら新たなキャラとレイニーが薫を巡って、なんて話もあったりするんでしょうか。
真澄とヴァルデリーの怪しい関係も興味津々です。

煉獄のエスクード〈3〉RHYTHM RED BEAT BLACK (富士見ファンタジア文庫) - 貴子 潤一郎 ともぞ

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煉獄のエスクードARCHIVES だけど綺麗なものは天国には行けない

スケアリー・モンスターズ
IRAとの党首会談の警備から外された俺は、バチカンの人間である薫と名乗る男を観光ガイドすることになったが、彼と行動を共にしているときに出会ったのは……
美女と野獣
レイニーさんと共同で倒した魔物が、ただの人間であったと言われ、現地の特殊部隊に拘束されることになった薫は……
だけど綺麗なものは天国には行けない
病気だからといって、お母様は私を外へ出してくれなかった。でも、もううんざりだとそっと抜け出したエリザは、追いかけてくる母たちを振り切り、薫と名乗る東洋の男と出会ったが……
鏡の国のクラウディア一門 お師匠様はご機嫌斜め #1
クラウディアの弱みを握ると息巻いて、クラウディアの部屋に忍び込んだルーシアと真澄が見たものは、荒らされた部屋とクラウディアの警告文で……。
本日快晴
マフィアのボスが殺されたという。かつて、ハリーから愛する人を奪った男が。ファミリーの疑惑の目が届く前に町を出ようとしたとき、ハリーは赤い髪の女と出会い……

という五編からなる短編集ですが、はじめの四編は前菜に過ぎないと思います。いえ、決して悪くはないんです。魅惑と優しさを感じられる「美女と野獣」や切なさに胸が痛くなる「だけど綺麗なものは天国には行けない」など、心惹かれるものはありました。
でも、五編目である「本日快晴」が飛びぬけていいんです。こういう作品を書いてくれる作家だからこそ、熱狂的に追いかけたくなるんですよ。

しがない探偵の停めておいた車の中に、赤い髪の美女が乗り込んでいた。しかも血まみれで。くしくもマフィアのボスが殺されたと騒がしい NY。しかたなしに自分のアパートへ連れて行ったが……という始まりを見せる物語。

いやあ、ほんと素敵なハードボイルドです。このシリーズのことを何も知らない人が読んでも痺れるかもしれません。

ハリーは、おそらく途中で気づいていたでしょう。それでも止められなかったのではないかと思います。自分のせいで愛する人が犠牲になったことをずっと忘れられないセンチメンタルさは、嫌いじゃないです。
ただ、それに溺れることなく、振り切ることができる優しさと強さを持っていたからこそ、レイニーは最後までやらせなかったんだと思います。
ハリーの切なさもさることながら、浮かび上がるのは、時を移ろうレイニーの悲しみでした。

「take me out of the ball game」とメロディが流れたら、間違いなくこの物語を思い浮かべてしまうでしょう。貴子潤一郎の忘れられない一編になりそうです。

煉獄のエスクードARCHIVES―だけど綺麗なものは天国には行けない (富士見ファンタジア文庫) - 貴子 潤一郎

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灼熱のエスクード MATERIAL GIRL

魔術師教会、教皇庁、魔族と、三つの組織から狙われ、「トリプル・クラウン」と渾名される凶悪犯罪者ブレンティス・ストリックスランドが、薫に言った。― 外国への脱出の手筈を整えてほしいと。 ふざけるなと怒鳴り返そうとしたが、トリプル・クラウンから手渡された紙片を読んだ薫は、要求を飲まざるを得なかった。
その紙片には『わしはレディ・キィの居場所を知っている』と書かれていて……

この世界と向こう側をつなぐ「ゲート」を一千年にわたり護りつづけてきた「鍵の番人」レイニーと、同じくゲートを護る教皇庁の組織「エスクード」の薫がコンビを組み、「ゲート」を封ずる唯一の存在「レディ・キィ」を捜し求めるシリーズ。
今回は、てることで「トリプル・クラウン」なる渾名をつけられるほどの凶悪犯罪者が「レディ・キィ」の情報を持っていると言い出したことで、レイニーが動き出して、というお話です。

「煉獄のエスクード(→感想)」の第二部なんだけど、「煉獄」読んでない人向けに、いろいろ解説があるので、この作品から手をつけても問題ないようになっている……のかな。前の話を知ってる身としてはよくわからないけど、ホント面白かったなあ。今までの渋さは、渋いというイメージが強かったけど、今回はコミカルさもたっぷりでした。

特にイギリスの魔術師教会から派遣されてきた見習魔術師ルーシアのワガママで、勝ち気なところにニヤケ顔が止まらなかった。他人の前だとお嬢様なのに、薫と一緒にいると、ついムキになってしまうところとか、可愛いですよね。また薫がレイニーばっかり気にするから、余計に面白く思わないルーシアが八つ当たりを、という連鎖に、ニンマリしまくり。

とまあ、コミカルなところはおいといて、トリプル・クラウンをめぐる争いが、すごかった。
三つの組織から狙われているけれど、レディ・キィの情報を持っていることを魔族は知らない。知られたらゲートを封じる前にキィを失ってしまうってことで、何とかして魔族の興味を引かないように、トリプル・クラウンを手に入れなければ、というところで生まれる駆け引きのハラハラどきどきっぷりといったら!

単なる戦いならともかく、駆け引き的なものが入ってくると、足手まといになる薫たちをつれて、レイニーが繰り広げる戦略に拍手しつつ、どんでん返しの連続に大興奮させられました。ああ、ドキドキが止まらない!

レイニーの格好よさに比べたら、薫はどうにも情けなく見えちゃうんだけど、究極の選択を突きつけられて、後悔に後悔を重ねながら、それでも前へ進もうとする姿はよかったです。こういう人だからこそ、魔族となった真澄も、なんとなく気にかけてしまうんだろうなあ。

凶悪犯罪者だと思ったトリプルクラウンの意外な感情も見えたところには、なんともやるせないものがありましたが、ルーシアの秘密が明かされて、裏で糸を引く人たちが現れて、さらには、レディ・キィの情報も見えつつあるって、状態で終わるんだから、ああ、気になる!これは続きがものすごく楽しみですね。

オススメ!

灼熱のエスクード―MATERIAL GIRL (富士見ファンタジア文庫 132-7) - 貴子 潤一郎

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灼熱のエスクード(2) LADY STARDUST

『そうそう、今日、ウチの学校で採血検査があったんだ。んで、ナースさん(かな?)の中にすっげえ美人がいてな。撮影に成功したから送ってやる。感謝するように』
添付ファイルを開く薫の手は震えていた。
「これも……偶然なんですかレイニーさん?」
薫は写メールに写った、鮮血のように赤い髪の美女に向かって訊ねた。

この世界と向こう側をつなぐ「ゲート」を一千年にわたり護りつづけてきた「鍵の番人」レイニーと、同じくゲートを護る教皇庁の組織「エスクード」の薫がコンビを組み、「ゲート」を封ずる唯一の存在「レディ・キィ」を捜し求めるシリーズの新章第二弾。今回は、薫と魔術士ルーシアが、イギリス女王の命により、『落丁の一頁』とそれを追っていた部隊を救出するために、魔族が集うというフランスのモン・サン・ミッシェルに赴くというお話です。

まさか!
読み終わった瞬間に思わず叫んだ言葉でした。まさか、こうくるとは思ってもいなかった。前作から、ずっと臭わされていたレディ・キィの存在が見えたときには、ああ、もう、鳥肌がとまらなくなりました。なるほど、薫にとっては辛い「選択」だ、これは。

とまあ、ラストの衝撃はさておくとして、『落丁の一頁』を巡るお話。
『落丁の一頁』は、ルーシアにとっては大きな意味を持つもので、彼女の恐怖を知っていると、不安定にゆれる気持ちがよくわかってやるせない思いになりますが、ある意味追い詰められたことで、彼女も素直になれたのは、良かったような気がします。
薫もまた思いを受け止めたわけですが……、でも、たぶん、言葉以上のものはないだろうなあ。朴念仁だし。

一方、魔族たちは、八百年ぶりに開かれた会議に集ったわけですが、ここであがった議題が、名を言えぬ『真紅の貴婦人』にかかわるものってことで、一気にキナ臭くなってくるから面白い。彼らは彼らで、権力争いみたいなものがありますからねぇ。
状況証拠を固めながら相手を打ち崩すかと思いきや、一歩手前で押さえ込んだ方が、一気に押し戻してきてと、先が見えない展開に、もどかしくも引きこまれました。

あとから考えると、人間側だけでなく魔族側も、とある人の手のひらで転がされてるって感じでしたね。いやはや、バラバラだったパーツがつながる事で復活する魔族の手腕に思わず拍手を送りたくなる。

いやあ、面白くなってきた。これからどうなる、どうする?

灼熱のエスクード2  LADY STARDUST (富士見ファンタジア文庫 132-8) - 貴子 潤一郎

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灼熱のエスクード(3) I WILL CATCH U

「だ、だって最後の『ゲート』はすぐにでも封印を行わなければ開いてしまう状態なんでしょ……?」
「はい。それでもバチカンは……」
キースは大きく息をついで、言葉を続けた。
「バチカンはレイニー・ブラディミールを殺すことを決定しました」

この世界と向こう側をつなぐ「ゲート」を一千年にわたり護りつづけてきた「鍵の番人」レイニーと、同じくゲートを護る教皇庁の組織「エスクード」の薫がコンビを組み、「ゲート」を封ずる唯一の存在「レディ・キィ」を捜し求めるシリーズの新章第三弾。今回は、レイディ・キィが発見されたことを受け、バチカンがレイニーの処分を実施しようとするお話です。

ああ、やるせない。けど、それ以上に燃え上がる思いがあります。前作のラストの衝撃度はすごかったですが、今回も後半は怒涛の展開でしたからね。

前半は主にレイニーの千年前の回想が語られます。聡明な少女が如何にして、グランマスターの牙を受ける羽目になったのか。この過程は、家族との幸せな時間があったことを知ると辛いものがありますね。特に妹のフラウの存在は、彼女にとってどれほど大きなものであったかが見えると……現在、自身の身に降りかかったことで、心が折れそうになっても仕方ないですよね。今回は非常に弱いレイニーが見えました。

一方、レイニーを慕う薫が、処分に猛反発する姿はいつになく激しかったですが、これは理では相手のほうが正しいとわかっているからなんだろうなあ。それでも好きな人を、との思いから、あそこまで思い切った手を打つんだから、人の思いの強さに心を打たれますが、それだけに、アロマがあざ笑うかのようにやったことが、胸に痛かったです。よりによって、同じ運命をたどるなんて……。

それでも、それでも、レイニーと薫が、心を通わせることができたのは、ひと時の安らぎかもしれないけれど、繋がりを得たことは良かったと思いました。

盟主アロマによって世界が破滅へと導かれていますが、遊び心からゆえに立ち上がる人たちも少なくないし、魔族とて一枚岩ではないので、ひょっとしたら……という思いもあったりする。特に薫の身に起きたことは、悲劇でありながらも、世界を救うためのキーにもなると思います。

いやあ、すごい展開ですね。はたして薫は、世界を守りながら愛する人を守ることができるのか。残り二冊で終わるという物語がどういう結末を迎えるのか、とても楽しみです。

灼熱のエスクード3  I WILL CATCH U (富士見ファンタジア文庫) - 貴子 潤一郎

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