純情感情エイリアン / こばやしゆうき
純情感情エイリアン 1 地球防衛部と僕と桃先輩
僕は運命に出会ったんだ。彼女は僕的に完全無欠の美少女だった。たとえ怪しいことをやっていたとしてもかまわない。どんなハードな内容でも乗り越えられる。 そして、僕は彼女がいる地球防衛部に入部した。部室には小学生と見間違えるような先輩と獅子舞のような顔をした先輩と、運命の美少女がいて……。
誰も信じないけれどエイリアンは本当にいるんだよってことで、戦うための体力づくりから宇宙人についての勉強までするハードな部活、地球防衛部のお話。といっても薀蓄関係はまるでなし。普通に高校生の部活を見ている感じです。雰囲気としては、究極超人あ~るの光画部みたいな騒動満載(方向違うけど)+恋愛ものといった感じ。
何といっても面白いのが、美少女の桃先輩大好き、という赤城くんの思考。面と向かっては言えないけれど、漏れ漏れで楽しいです。
少しずつ桃先輩が赤城くんに惹かれてくる様子がまたいいですね。特に美少女の転校生が、赤城くんにちょっかいを出してきたら、不機嫌になってしまったりとか、そのことに赤城くんは気づかなかったりとか、お約束のような展開だけど、とても面白い。
ツンデレというほどではないですが、先輩として、また部長として行動しようとするために、素直になれない姿がかわいくてしょうがない。
個性あふれる OB の人たちとの交流や、突如始まる宇宙人との抗争など楽しさ盛りだくさんだし、最後は何だかよくわからない桃先輩のデザート話があったりと、ドキドキも多いです。
一人称でクセがあるというか、個人の日記を読んでいるような感じの文章に、慣れるまでちょっとひっかかりましたが、楽しい雰囲気は伝わってきました。
今回の角川学園小説大賞ものでは一番好きかな。ぜひとも、この雰囲気を続けてほしいものです。
第9回角川学園小説大賞奨励賞受賞作。
純情感情エイリアン 2 僕の愛は海よりも深く
気づいたら病院にいた。どうやらぼくはここ 1ヶ月ほどの記憶を失っているらしい。エイリアンに記憶操作を受けてるとか言われたが何のことやら。そのことに桃先輩がなぜか怒り出し、気まずい雰囲気に。
なぜ怒っているのかわからないけれど、このまま夏休みに入ってしまうのは避けたいと思った僕は、なんとか機嫌を直してもらおうとしたが……
前作と異なり、桃先輩側からのアプローチが多いです。せっかく両思いになったのに、赤城が覚えてないってことで、なんとか思い出させようと奮闘する桃先輩の姿がたまりません。映画を参考にしたシーンとか、やばすぎです。
ふたりの気恥ずかしいやりとりに、ニヤニヤしますね。
そんなふたりも参加する地球防衛部の合宿ですが、実際のところは、合宿という名の遊びみたいなものですね。地球防衛部の面々が、海で浜辺でハシャギまわる姿がとても楽しい。バカっぽいことでも、みんながいると大笑いしてしまうような雰囲気が伝わってきます。
新キャラのナルシーっぷりが、桃×赤城コンビに隠れてしまうのはもったいない気がしますが、ふたりの様子が楽しいからいいか。
どうやら毎回変態することになるらしい(?)赤城君。今回は蛸ですよ、蛸。いや、あの場面で変身するかといったら疑問が残りますが、桃先輩がピンチになると、暴走しちゃうからしかたないか。
個人的には地球防衛部の強さがあまり感じられなかったのが、残念だなあ。せっかく強いOBがいるんだから、もうちょっと爽快な勝ち方が見たかったと思ったり。
そんなわけで後半の戦闘シーンはちょっと物足りないところがありましたが、夏合宿を締めくくる肝試しは最高でした。桃先輩の言葉が甘くて甘くて優しくて。
やはりこういったお約束は大事です。
きゅんきゅんと胸にきちゃいましたが、最後はやっぱり落とすところに、笑っちゃいました。
こういう体質(?)の人が相手だと、桃先輩は毎回苦労することになりそうだなあ。
といいつつ、頑張る桃先輩がまた見れるのかもと思うと、楽しみですね。
純情感情エイリアン 3 史上最大の愛の奇蹟
先輩とデートだと浮ついていたら、高知能エイリアンに連れて行かれてしまった。何でも僕は過去に一度死に掛けて、彼が助けてくれたのだという。だが、そのとき移植した疑似細胞があと五日しか持たないというのだ。このまま死ぬか、それとも、桃先輩たちを助けるために、エイリアンとなって戦うか。迷っているぼくの前に、今度は悪魔が現れて取引を持ちかけてきて……
今回は地球防衛部としてのお話ではなく、死ぬか、桃先輩と別れて、エイリアンと行動を共にするか、死なないし桃先輩たちと別れないですむという悪魔と契約するか、という究極の選択で迷う赤城を中心としたお話でした。
軽快な文章ということもあり、赤城の悩んでいる感じがあまり伝わってこないんですが、それでも余命宣告を受けたあと桃先輩と会ったときの様子には、涙が出そうになりましたね。自分が消えるかもしれないこともあるんだろうけれど、それ以上に桃先輩を悲しませたくないという気持ちが伝わってきて、ああ、もう、辛い。
でも、部の先輩が迷っていたら、そちらに意識を持っていかれてしまうのが、赤城のいいところでもあり悪いところでもあり。青山先輩の悩みに桃先輩が立ち入ろうとしたとき、思わず反応してしまったのは、今の自分と重なるところがあったからでしょうね。言いたいことが言えない状態での対立には、胸が痛くなりました。
ただ、いい意味で真っ直ぐな桃先輩なので、何があっても突き進んできてくれるのは、嬉しいですよね。
エイリアンと悪魔の対立で、どちらを信じられるかについては、考えるまでもないんですが(表紙がアレですし)、片方を信じると決めた後は、楽しいですね。仲間であっても操られているなら容赦しなかったり、鞭を使う女王様だったりと、ドタバタ劇に気分高揚です。そんな中でも、仲間の熱い思いを感じられるところが、良かったですし、地球防衛部にいたからこそ乗り切れたという展開が素敵でした。
最後は桃先輩から素敵な素敵なご褒美がもらえて、お約束のような邪魔があってと、ほんと楽しかったです。これで終わりだなんて残念だなー。もっと桃先輩との初々しくドキマギするラブコメが見たかったのになーと思いましたが、次なる物語で、また楽しいお話をきっと書いてくれると思うので、期待して待っていたいと思います。
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