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イチゴ色禁区 / 神崎リン

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イチゴ色禁区 1. 夏の鳥居のむこうがわ

日本の神社や寺のほとんどは玉城一族が管理している。それは霊の通る「道」を整備するためだ。今回、佐瀬波神社の近辺で霊のとおりが遅いという報告があり、道を塞いでいるイサマト―いわゆる妖怪を除去すべく、正樹と従妹の亜美は派遣された。
ところが現場に行って様子が違うことがわかった。道を塞いでいるのは妖怪ではなく、神様だったのだ。しかも小さな女の子にしか見えない縁結びの神様は、記憶を失っており……

なぜ神様が記憶喪失になったのかを追う退魔物語……というとミステリーな感じですが、ほとんどがギャグな一人語りで進んでいく展開ですね。文章としては「さよならトロイメライ」な感じ。こういったノリは結構好き。ただ、クセがあるので、好き嫌い分かれるかもしれませんね。

22歳の幼馴染の許婚や11歳の従妹、同じ年ぐらいの記憶喪失の神様等、みな正樹に対して好意を持っているけれど、本人はあまり気づいていないというお約束。正樹と共に行動する亜美の素直になれない気持ちと、子供っぽい拗ね方がとても可愛い。

亜美とコンビを組まざるを得ない正樹の暗い過去については、ところどころに臭わせるものがあるものの、はっきりしません。このあたりは退魔の能力と関係があるんでしょうけれど、戦いに重点がおかれていないせいか、能力がいまいちわかりにくいので、もう少し説明がほしかったかな。

最後の結末というか決着は、ちょっと強引かなと思わなくもなかったけど、なかなかよかったです。事件が解決したようで、実はきな臭さがいろいろ残っているので、次が楽しみですね。
第10回スニーカー大賞<奨励賞>受賞作。

イチゴ色禁区 1.夏の鳥居のむこうがわ - 神崎 リン

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イチゴ色禁区 2. 秋の神具の奪いかた

新しく出来た神社の神具を、神主共々に送り届ける。ただそれだけのことなのに、正樹と亜美が呼ばれるとはどういうことだろう。たしかに神主は、現在の玉城家の長の孫娘ではあるが……。
疑問に思いながらも任務に就いた正樹たちだが、よりによって神具を第三者に奪われてしまった。取り返すための手段として、亜美が思いついたのは、なんと狂言誘拐で……?

極秘扱いの神具を取り返すために、逃げる敵を追いつつ、味方からも隠れねばならない状態に陥る正樹たちの物語なんですが、まあ、何ていうか、事件そのものよりも、11歳の亜美と 19歳の正樹のやりとりが楽しくてしょうがない。相手をからかいつつ、時に相手の反応に戸惑う姿がたまりません。

前作よりも、より正樹の本音が見えてきたかな。亜美を傷つけてはいけないという思いが、強迫的なまでに伝わってきますが、彼女がいたからこそ、今の自分でいるのであれば、しかたないですよね。亜美の気持ちも同じかな?
仲良く喧嘩する姿が微笑ましい限り。

過去の自分と同じ思いをしている人がいたら、どうするか。決して相手を追い詰めず、でも心細いところに声をかけてあげる。たったこれだけのことなのに、なんて難しいんだろうと思いますが、うまく相手をした正樹がかっこよかったですね。

相手の思惑が掴めないまま物語が終わってしまったような気がしますが、ふたりの仲については、とっても満足です。テンポは相変わらずですが、前作よりも読みやすくなってますね。
次はどのあたりに絡んでくるのか楽しみだなあ。

イチゴ色禁区〈2〉秋の神具の奪いかた - 神崎 リン

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イチゴ色禁区 3 春の禁区のその果てに

秋に起こった事件から、玉城のあり方について疑問を持った正樹は、玉城家について調査を始めたが、そこで神社組と寺組のいがみあいの発端となる話を知ることとなった。長の言葉に悩んでいた正樹は、ある日、亜美と決定的な仲違いをしてしまった。それは他愛もない一言から始まったが……

玉城家の過去についての話と、亜美との間柄が大きく変わっていくシリーズ最終巻です。相変わらず、幼きイトコの女の子とのやり取りは、楽しいですね。じゃれ合う姿が微笑ましい限り。ケンカしながらも、ちょっとした言動から相手を思い合う様が伝わってきます。

それだけに、亜美が傷つくところは、ほんと痛かったなあ。あの雨の中の涙は、イラストの力も相まって胸が苦しくなりましたね。大切に思っているからこそ、あえて考えなかった正樹の迷う様に、不器用さを感じました。
一旦は、仲直りしたのかと思いきや、まさかそこまで……。正樹に対して、亜美が突きつけた言葉の強さに、呼吸が止まるかと思いました。うう、キツイ。僕だったら、ホンキで寝込みますね。

玉城家話は、途中から微妙な感じになってしまったので、う~ん。いや、復讐はいいんですけど、なんていうか、こう、そんな言葉で説得されるのかというのが続いちゃったりしたので、ちょっとね。
ぶっちゃけ玉城家話なんてなくていいから、普通に恋愛話やってくれればいいのにと思わなくもなかったです。まあ、そうなると、あのラストを迎えられなくなるから、仕方ないのかな。

ストーリィ展開は物足りないところがありましたが、正樹と亜美のいじらしいやり取りは、とても楽しめました。今までにない雰囲気を作り上げてくれた終章は、ちょっと切なかったですが、とても素敵。できればきっちり結末を……とも思わなくないけど、これはこれでいいかもしれない。

イチゴ色禁区 3 - 神崎 リン

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