ガーゴイルおるたなてぃぶ / 田口仙年堂
ガーゴイルおるたなてぃぶ
なんでも屋すら引き受けない困難な仕事を請け負うなんでも屋、それがひかると鳥型自動人形ガー助ことガーゴイルの営む「鳥屋」だ。今日も今日とて、家賃を払うため、食費を得るため、暴走ダチョウを捕獲して、ぐったりしていたら、謎の巨大生物が自宅の前で待機してくれていた。
どうやら古科学者が、ひかるたちを狙っているらしいが……
なんでも屋を営むひかるとガー助が、古科学者たちに教われるお話です。いわば「吉永さん家」の外伝にあたるのかな。吉永さん家が隣町にあるぐらいの場所でのお話ですね。普通にガーゴイルの話と思っていたので、意表をつかれましたが、これはこれで面白い。「吉永さん家」に出てたヒッシャムとか喜一郎が、普通に出てきてくれて、何か楽しい。
中心となるのは、ほのぼのとした話よりも、ひかるとガー助の成長かな。心温まるものはあるんですがではなく、少女の成長を描いていく物語という感じですね。まだまだ駆け出しの錬金術師であるひかりが、相棒のガー助やら周囲の人たちの力を借りて、敵となる古科学者たちと戦うという、少年漫画的な展開に思わず熱くなります。う~ん、いいねぇ。
ひかるは、いろいろと過去を持っているようですが、っていうか、実家が実家ですから、何があったのか大いに気になるところではあります。
ただ、ちょっと物足りない感じではありました。ひかるとガー助よりも、同じアパートに住む少女、千秋と敵であった彦左衛門との交流話が、目立ってしまったからかな。ガーゴイルらしい良い話なだけに、インパクトが強いです。
シリーズ一作目であるならば、もうちょっと、ひかるとガー助を中心にしてくれてもと思わなくもないです。
とはいえ、ひかるとガー助を結ぶ秘密やら、古科学者たちの思惑など、まだまだいろいろありそうなだけに、今後どういう展開を見せてくれるのか気になりますね。「吉永さん家」とのクロスオーバーも楽しみです。
ガーゴイルおるたなてぃぶ 2
極貧生活を続けている私たちの前に、父の秘書である西川さんが訪ねてきた。東宮が保有している「ラーの天秤」を譲って欲しいという FAX があったのだが、調べてみても該当するものがないので、調べて欲しいとのこと。これでご飯が食べられると、依頼を引き受けたが、どうにも手がかりがなく……
「ラーの天秤」とは何なのかと調べていくうちに、またもや古科学者たちに突き当たるというお話です。前作よりもアクションが多くて、とてもヒートアップしますね。勢いの良さに引き込まれました。
今回はひかるとガー助の関係がとても良かったなあ。何かとケンカばかりしていますが、ふとしたことではぐれて、相手の状態が確認できないときのひかるの様子に、自分の命がかかっているからではなく、仲間としての存在の大きさを感じます。
敵であるお七婆さんとひかるの関係が、何とも不思議ですが、ミズチの仕組みについては、おそらく共感できるものなんじゃないかと思います。方向が違うとはいえ、道を辿るもの同士、望むことは似ているでしょうから。
ただ、力で訴え、あまつさえ相手を意のままに動かすという、その一点だけで、仲間を信頼し、大切に思うひかるにとっては、手をとる価値がないでしょうね。迷うことなく、きっぱりと決断する姿に、心の芯を感じました。
それにしても、古科学による人形の狛が、とても可愛いかった。道具として生きていた人形が、ガー助とのやり取りを経て、徐々に感情を得ていくところは、さすがというぐらい素敵でした。執拗にガー助を追う姿は、まるで恋心のようですし、でも素直になれない態度はなんともツンデレで、思わずニヤリとさせられます。
強敵ではありますが、ガー助とは、いいライバルになりそうですね。
どんな強敵と戦うときでも、決して一人で戦っているのではなく、仲間がいるからこそ、勝ち抜いていけるという信頼とか友情とか、そういった繋がりの熱さは、前作に引き続き良かったです。
いろいろなところで、「吉永さん家」との繋がりどころもあるので、いつかクロスオーバーするのかな?なんて思うと、楽しくなっちゃいますね。
次あたり、さらに古科学者たちとの争いに拍車がかかりそうですが、さて、どうなるのかな。
ガーゴイルおるたなてぃぶ 3
天成会の親分さんから仕事の依頼が来た。それは豪華客船の中においてあるモノの護衛とのこと。二つ返事で引き受けたら、どうせならと親分さんはビルのみんなも船に招待してくれたのだ。思わぬプレゼントに私たちは喜んでいたが、護衛についてひかるはちょっと自信がない。なんせ、あるモノを狙っているのは、怪盗百色だというのだから……
錬金術における三大重要物質のひとつ「魂の塩」が保管されている豪華客船で、ひかるとガー助が護衛の任務をしていたら、狛やミズチの手が伸びてきて、というお話。
護衛のお仕事といいつつ、みんなでお出かけって感じが伝わってくる初めのシーンが良かったなあ。最上階に住む占い師瑠璃さんが、美人なのに、ひかるとタメを張るぐらい意地汚いとは思わなかった。だが、それがいい。さりげなく千秋のことを気にかけたりするお姉さんっぷりが、何気に好きだったりする。
とまあ、いつもどおりの「おるた」かと思ったんですが、怪盗百色の名が出てくると、妙にウキウキさせられましたね。しかも乗り込んできたのが、百色ならぬ怪盗白色というところに、思わず興奮。ひょんなことから始まった。ガー助 VS デュラハンのシーンは、ドキドキさせられまくりでした。
今まで「おるた」は、そこそこ面白いけど、ガーゴイル本編に比べると、ちょっと……という感じだったんですが、あちらからのキャラが出てくるだけでこうも違うとはなあ。百色からの予告状かと思いきや……というからくりを逆に利用しつつ、ってところは、ガーゴイルの方を読んでると、思わずにやりとさせられます。いやあ、面白い。
ミズチ側のほうは、狛が入り込んでいることだけじゃなく、怪しい気配がムンムンしていたので、まさかと思いましたが、なるほど、こうきましたか。予想はしてたけど、当たってほしくなかったなあ。ひかるのショックと同じものを感じました。
ただ、それでも敵になりきれないところから生まれるドラマが、ガーゴイルシリーズらしいですよね。傷ついた人を助けるために必死になるひかるや、奪われた知識が逆に役に立つところ、さらには名前すら明かさずに、それでいて存在感たっぷりな奇術師の働きに、じわりとくる感動がありました。
今回はほとんど錬金術側というか、ひかる側の活躍ばかりが目立ちましたが、敵側の個人的なお気に入りの狛が、あまりいい役じゃなかったのが、ちょっとなあと思ったり。使い手によって変わってしまうというのが、何とも嫌な方向にいってしまいまいしたね。っていうか、ミズチを束ねている二強の一人が、最悪すぎて、困ったことになりそう。
お七さんの思惑はわかりませんが、相手とて一枚岩ではなさそうだし、ミズチにあいつがいるなら、今後も百色たちとは、手を組むことが予想されるし、続きがすごい楽しみになりましたね。
ガーゴイルおるたなてぃぶ 4
ミズチってどうやってお金を稼いでいるんだろう。ふと気づいたことをひかるが調べようとしたら、喜一郎がその答えを持ってきた。なんと、ミズチは資金繰りのために、企業や著名人と接触していたのだ。それも脅迫という手段を通じて。彼らの脅迫は、もはやテロといっていい。なんとしても止めねばと、ひかるたちが決意をした直後に狛が現れたが、依然とはまるで別人のような強さを見せてきて......
錬金術師のひかると自動人形のガー助 VS ミズチの最終決戦です。
ああ、なるほど。研究を続けるには、どうしたってお金が必要で。資金難から、組織が別方面に傾いてしまったのか。なまじ研究熱心だからこその堕ち方には、思わず同情してしまうところがあります。だからといって、一線を越えていいわけじゃないですが。
かつて戦争という時代があり、「命」を兵器とした事実を思うと、今回のミズチの暴走が非道に思えますね。
というわけで、ミズチを止めるために、ひかるや喜一郎、敵対していたお七さんが動くんですが、立ちはだかる狛と、狛を扱うポチの強いこと強いこと。というか、強すぎじゃね?
正直、ひかるとガー助が倒れないことが、不思議に思うほどでしたが、どんなことがあっても諦めず、倒れても倒れても、創意工夫しながら立ち上がる姿に、熱いものを感じました。おるたなてぃぶのこういう一直線さが好きだなあ。
ただ、ラーの天秤の力で、敵の命すらいじれるところに、ちょっともやもやしたものも感じました。敵を倒すという点で言ったら、他の攻撃と変わりわないんですが、なんていうか、命というものが軽く感じられる気がして。そういうところは、ちょっとアレでしたけど、でも、そのラーの天秤があったからこそ、ガー助とひかるの繋がりが強まったんですよね。
最後の一撃が放たれるときの思いの強さにグッとしびれるものがありました。
最終巻ってことなので、もっと長いお話になるかと思ったら、サクっと話が進んでしまったところには、ちょっと物足りなさもあるんですが、ガーゴイルの裏側で、こういう出来事があったんだなという面白さが、とてもよかったです。
次に待ち受けている本編が、どんな物語になるのか、楽しみになってきましたね。
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