学園カゲキ! / 山川進
学園カゲキ!
タレント養成学園とも言うべき私立歌劇学園では、誰もが明日のスターを目指して、日々努力している。学園のことをよく知らいまま、なんとなくで入学した会澤拓海は、気づかぬうちにドラマ撮影の邪魔をしてしまい、ヒロイン役を演じていたクラスメイトの橘九月とは、口げんかする仲になってしまった。
ある日、ヒロインである九月の恋人役をクラスから募集することになって、おずおずと立候補した拓海だが……
「目立ったやつが勝ちだ!」という生徒会長の言葉どおり、タレントを目指して誰もが目立とうとしている学園に、目立つことに興味がない拓海が入学して、クラスメイトにして親友の加賀雅弥や、喧嘩ばかりしてるけれど本当は?な橘九月たちと繰り広げる学園コメディものです。
いやあ、いいなあ。展開としてはオーソドックスな学園ものといっていいと思うんですが、こういうの大好き。お約束などを巧く絡められているせいか、ニヤリという笑いが止まらないです。特に元気のいい女の子の九月と、普段はおとなしいのに九月とだけは口喧嘩してしまうというやり取りはたまりませんね。わかっていても、楽しめるものがありました。
九月はだんだんと拓海のことが気になり、拓海はだんだんと九月のことが気になって、でも素直になれずに喧嘩してて、というときに、九月が主演しているドラマでキスシーンがあることがわかるというのは、何ともベタだったりするんですが、ここからの告白な盛り上がりは、照れまくってしまうものがありました。いやあ、初々しいね。
うまくいったと思ったら、ちょっと辛いことがあって、それでもふたりで乗り越えてと、素敵な素敵な二人の話になるのかと思ったら、まさかまさかな展開に驚き。言われてみれば確かにそういう伏線があったけど、予想外すぎですよ!この物語ならではの、それも一回限りのウルトラCといっても過言じゃないですよね。
この一捻りは、いろいろな感情を巻き起こしてくれましたが、最後の最後、どうなるかわかっていても、熱く訴える言葉にグッとさせられました。
いやあ、楽しかった。面白かった。これはぜひぜひ続編を希望したいですね。今のまま続いても楽しめると思うけど、この学園の設定だったら蓬莱学園みたいに、巻ごとに主役を代えたお話にしてもいいんじゃないかなと思ったり(というほど蓬莱学園知らないけど)。
続きが出るのかどうかはわかりませんが、個人的には楽しみに待ちたいと思います。
オススメな第一回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞受賞作。
学園カゲキ!2
怪獣の着ぐるみを普段着にしている少女と、そんな彼女に振り回される善良な少年の恋愛コメディドラマ「きぐるみん」が製作される事になり、拓海は少年役を、九月はヒロインの親友役を、九月の親友である逢由が、ヒロインである怪獣少女を務めることになった。
学園公認カップルである拓海と九月の間に入ることになった逢由は、あるときから拓海のことが気になり始めて……
町全体が歌劇のために存在する実験都市にある私立歌劇学園で、撮影することになったドラマ「きぐるみん」で生まれた三角関係が、ドラマの外にも影響していくお話です。
前作で公認カップルとなった拓海と九月のじゃれあいっぷりが楽しいなあ。カップルというよりは、お友だちって感じなんだけど、時々、相手を思う気持ちとかを見せてくれて、照れあう姿がいいですね。見てて微笑ましく思えます。
そんな姿を見せてくれる親友の恋を応援していたのに、ドラマの中で拓海とカップルになってから、だんだんと拓海に惹かれていく逢由の姿は、三人でいるときの関係が微笑ましいだけに、なんとも切ドラマの中とドラマの外で、似ているようで違う三角関係が進んでいくのは、それぞれの心情がとてもよく出てたと思います。
親友の恋心に気づいてしまったときの九月のショックとかは、胸に痛いものがありましたが、ただ、拓海と逢由の間にあったという出来事については、あまりにイキナリすぎて、はぁ?と思わなくもない。
まあ、その辺りはおいとくとして、仲の良かった三人の間に走った亀裂を取り持ったのが、かつて同じように「学園カゲキ」のドラマで三角関係に陥った(であろう)監督と脚本家だというのが、良かったです。
「脚本家なら、どんな悲しい物語でも結末をハッピーエンドに変えられるからです」
学園カゲキで主役をはるほどだった役者が、脚本家となった理由を聞かれたときの言葉は、甘いと言われても、支持したくなるものがありました。このふたりの過去に、どんなドラマがあったのかは、読んでみたかったな。
個人的に一番印象に残っているのは、逢由の一世一代の演技ですね。どのような返事があるか分かっていながら、それでも伝えたかった思いと、傷つけてしまった友人への思いをかみ締めるところには、グッとくるものが……。
お互いに相手がどんな辛い思いをしてきたか気づいて、仲直りするラストが良かったですね。一作目ほど、捻ったものがなかったですが、恋愛を通じて、二人の少女の友情が描かれる展開が素敵でした。
さりげなく良い雰囲気を壊してくれる劇中作「きぐるみん」のラストは、どうかと思いましたけどね!
学園カゲキ!3
「そこで私たち歌劇学園放送部は考えまっした!」
チビッコ放送部員は黒板に平手を叩きつける。
「会澤拓海を苦しめたBSカゲキ関係者にどっきりを仕掛けて、その無様な姿を全国に晒しちゃえば、BSカゲキに不満を持っていた視聴者は大喜びするはずわっしょい!その名も『BSカゲキリベンジ』!これが今回のどっきり企画の骨子です」
町全体が歌劇のために存在する実験都市にある私立歌劇学園での出来事を描いたシリーズの第三弾。今回は「BSカゲキリベンジ」の合間に、学園随一のクールな男、生徒会副会長の加賀雅也が、かつて歌劇学園に所属していたという年上の幼馴染をひとりで捜していたら、いつの間にやら多くの人に知れ渡ってしまい、というお話です。
これはよかったなあ。ちょっと青臭いところもあるけれど、まっすぐな学園ものですよね。シリーズをここまで読んできた身としては、あのあたりでひっくり返すんだろうなあとか、いろいろ予想できちゃうんだけど、それでも楽しかったです。
何といっても良かったのは、雅也の思いが見えたことですね。今までクールなキャラで売ってたけど、実は結構熱い人だってことが見えてきて、すっごい好感度上がりました。親友のために動くところとかは、今までもあったけれど、内面が見えてくると、また違った一面が見えた感じがしますね。
そんな中、過去話がとてもよかったなあ。小学生の雅也と中学生の睦月の出会い。初めは無愛想な子供をあやすように接していたのに、いつしか夢を話すような間柄になって、雅也のほうも、だんだんと睦月を近所のお姉さん以上の意識をするようになっていくやり取りが、とても素敵でした。親の都合で別れることになってしまったとき、勿忘草を必死に探すところには、彼女の思いにグッとなりましたよ。
そんな出会いと別れがあったからこそ、今の雅也がいるんですね。なるほど、そりゃ、睦月を捜したいと思うようになるわけだ。
睦月探しと同時に、学園のほうでは「BSカゲキリベンジ」として、「BSカゲキ」で拓海をだました人たちをターゲットとした、ドッキリ企画が進んでいくんですが、これがまた予想外というか、予想内というか、危ない方向に進んでいくから面白いんだ。
意外なところから二つの話がつながってきて、そして最後に……。
切なくも、学園歌劇らしい、感動的なラストが、心にきました。
いやあ、面白かった。よく考えたら、表紙を飾ってる癒しの生徒会長って、あまり活躍してないような……とか思ったりしましたが、まあ、いつもの面子は活躍してたからいいか。
次は誰が中心となる物語になるのかわかりませんが、楽しみに待っていたいと思います。
学園カゲキ!4
成就 or DEATH!みんなで恋のバカ騒ぎ
筋肉バカ・力丸、一生小学生系・きらら、悪のハードボイルド・ジョー先生、幻少女・真白が挑む恋のどっきりチャレンジ! 幼馴染みクールガイ・雅弥、天然魔性女・玉緒、ゴシップ脳・杏子も参戦?で、もー知らないっ!
町全体が歌劇のために存在する実験都市にある私立歌劇学園での出来事を描いたシリーズの第四弾。今回は、筋肉大好きなカゲキアクションクラブ(KAC)の部長、アクションスターを目指す少女、悪役専門の教師、二学期まで存在を知られてはならない新入生と、の四人が繰り広げる片思い連鎖物語です。
筋肉部長がKACに入ってきた少女のためにがんばるんだけど、少女は別の人が好きで、その別の人は別の子が好きで、みたいな感じで、全員が全員片道切符なんですが、とある期間をそれぞれの視点で描いてくれてるので、ああ、このとき、この人はこういう思いでいたんだなとというのが見えて面白い。
個人的に一番面白かったのは、悪役専門の教師「辰巳城二」のお話かな。教師になったのは、あくまで次へのステップまでのつなぎで、ガキどもなんざ嫌いだと言って、実際生徒たちに話しかけられてもぶっきらぼうだったりするんだけど、なんだかんだ言って面倒見がよくて、言動一致してない姿に、にやり。
しかも、そんな先生が、ひとりの生徒に恋をしちゃうんだから、そのギャップに笑いが止まらない。いや、真剣に悩んでる人を笑っちゃいけないよなあと思いながらも、にやけ顔はとめられないわけですが。
ま、それ以上に例の子の謎が早い段階で見えていたのもあるけど。
まあ、教師のお話だけじゃなく、それぞれ恋をしながら、思い切った一歩を踏み出せないところとか、青春してるなあと思ったけど、主人公たちが出てこなかったのは残念。それと、連鎖によるつながりは面白かったけど、ぐるりと一周ってわけでもなくて、時系列もばらばらだったので、ちょっと中途半端に感じました。
次あたりは本編に戻るのかな。それだったら手をつけるかも。
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