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ドラゴンキラー / 海原育人

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ドラゴンキラーあります

ドラゴンキラーあります - 海原 育人

竜を素手で殺しえる超人ドラゴンキラーが、敵味方を虐殺したあの日。軍を抜け出し、北の辺境バスラントで便利屋として生活を営なみながらも、あの日のことを思い出す度に、ココはひどい頭痛に悩まされていた。
そんな彼の前に亡命中の皇女アルマと彼女の護衛リリィが現れた。よりによってドラゴンキラーであるというリリィを手助けするつもりはなかったが、彼の頭痛の原因たるドラゴンキラーの情報を持っているということで、しかたなしにお姫さまを預かることになり……

人を傷つけるのが苦手なドラゴンキラーのリリィと手を組んだ便利屋ココが、皇女なお嬢ちゃんアルマを守るために、自身の復讐のために、奮闘するお話です。

おお、これは面白いですね。紛争地帯ということで、誰も彼もが銃を持ち、気を抜けばやられ、下品な言葉も飛び交いますが、会話も物語もテンポよく進むので、リズムよく読むことができます。

ドラゴンキラーに恨みを持つココが、ドラゴンキラーたるリリィのお願いを聞いたのは、復讐のためとか、自身の行動がアルマに危険を呼び込んだこともあるでしょうけれど、ドラゴンキラーでありながら、リリィの心は人間と変わらないことに気づかされたからでしょうね。口や態度では表さないけれど、アルマを助けるために身を投げ出す覚悟や身の上話などを聞いて、手助けするあたり不器用な優しさが伝わってきます。

こういった一風変わった優しさは、他の面々にもあるんですよね。何か気に入らないことがあれば、すぐに鉛の弾が飛び交うような町で、だまし討ちすらよくあるのに、カフェの店主ラダーマンとココの関係は、金でしか繋がってないように思わせながら、義理人情みたいな信頼がありましたね。こういう関係って好きだなあ。

ドラゴンキラーは人数が少ないとはいえ、治安が悪いところならば、お抱えな組織もあったりするので、如何にして、彼らに手を引かせ、命を狙ってくるものはぶち倒すかという駆け引きが、面白いったらないですね。決して弱くないココですが、それでも町一番の組織の幹部と対峙したとき、恐怖に駆られてたわけですが、ハッタリと、リリィちょっとした後押しを受けて、乗り切るところがよかったです。

敵対するドラゴンキラーが圧倒的な力を持つ相手なだけに、策略でどこまで持っていけるのかと思いましたが、ああ、そうやってくるのかと、思わずポンと手を打ってしまいました。キーとなることについては、そういえば、散々言われてましたね。なるほど、ドラゴンキラーだったなという戦いの結末と、いつの間にやら口が悪くなって、ココと対等にやり合うリリィにニヤニヤです。おまえら、お似合いだ。
タイトルどおりのオチに、クーと言いたくなりました。

ちょっと殺伐とした雰囲気ではありますが、ハードボイルドさとユーモアがうまく組み合わさっているファンタジーなので、アウトローなお話が苦手でなかったら、楽しめるんじゃないかな。個人的にはこういうお話大好き。

とても魅力的なコンビだったので、これで終わっちゃうなんて残念だなと思ったら、なんとなんと、早くも来月に続編「ドラゴンキラーいっぱいあります」がでるっぽいじゃないですか。これは大いに楽しみですね。
第3回C★NOVELS大賞特別賞受賞作。

ドラゴンキラーあります - 海原 育人

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ドラゴンキラーいっぱいあります

ドラゴンキラーいっぱいあります - 海原 育人

殺伐とした町で便利屋を営んでいたココは、半人半竜のドラゴンキラーであるリリィと共に、今日も今日とて貧乏暇無しの生活を送っていた。ところがある日から、突然仕事が途絶えた。何者かが、ココたちの仕事を横取りしているのだ。ただでさえ大食であるリリィを抱えてる身としては、横取り野郎を許す訳にはいかない。と息巻いていたとき、軍人時代の上官であるロブが哀れみすら抱かせる落ちぶれ具合で、ココの前に現れて……

仕事の邪魔する輩を追いながら、かつての上官の世話をするハメになったココとその相棒リリィが繰り広げる騒動を描いたお話。

いやあ、楽しい楽しい。シリーズ始めは、言い負かされる事が多かったリリィが、いつの間にやらたくましく成長して、ココをやり込めるほどになってるところがいいですね。押されっぱなしのココを見てると、汚い言葉での罵倒が負け惜しみにしか聞こえなくなるほどです。
まあ、なんだかんだいって、クチや態度の悪さとは裏腹に、仲間に対しては、人の良さみたいなものがありますよね。仲間以外には、容赦ないけど。

今回は軍人だったときの上官が出てきたわけですが、これがまたどうしようもないぐらい腐った奴で、なんで、ココは放っぽり出さないのか不思議に思いましたね。そこいらのチンピラは、気に食わないときガツガツ殺してるのに。それだけ軍での出来事ってのが、ココにとって大きかったんだろうなあとも思いますが、読んでる身としては、ココの卑屈な態度やロブの傲慢な態度にフラストレーションたまりまくりでした。きっと、リリィも同じような思いをしてたんじゃないかしら。

さらに登場したドラゴンキラーが、よりによって最悪な人間と手を組んで……というところからの展開は、まさに一気読み。

恩があろうが義理を欠こうが、金儲けのためなら、姑息にもなるココの小悪党っぷりには、なんだかなあと思いつつも、彼なりに抱えているスタンスには、かっこ良さを感じましたね。

命の危険を感じながらも、リリィを見捨てることができなかったところでは、リリィとの間にある何とも言えない距離感が、不意にクリアになった感じがして、ほんと素晴らしかったです。ひねくれた心に隠れていた思いを気づかせるきっかけを与えたアルマの言葉も良かったですね。出番は少ないけど、ココやリリィの精神安定剤として、大活躍のアルマが可愛いったらなかったです。

そんなリリィとココの話もいいですが、個人的にはカフェの店主ラダーマンや、情報屋パーマーとのやり取りも魅力に溢れてましたね。二言目には金やら下品な言葉が飛び交う間柄でありながら、言葉の端々で感じ取れる信頼にしびれました。命の危険が迫っているのに、立ち向かう不器用な馬鹿どもが、ほんとカッコよかったです。

最後には、町中を巻き込むような騒動を引き起こしてくれたココたちでしたが、命の危険の真っ只中でありながら、ふたり揃うと罵倒しあう緊張感のなさに思わずにやり。これもまたふたりなりの信頼関係が築いたものなんでしょうね。随所に見えてた二人の好意があっただけに、目を覚ますための行為には、良くやったココ!とニヤニヤさせられっぱなしでした。

いやあ、面白かったです。なるほどこれでこのタイトルなわけか、というオチでしたが、安易に手を汚さないリリィならではの選択肢でしたね。またまたやり込められたココが可哀相で笑わされました。
ますますココの立場が弱くなっていく気がしますが、今後逆転はあるんでしょうか。

「ドラゴンキラー売ります(仮)」なる続編が予定されてるっぽいので、楽しみに待っていたいと思います。
大絶賛オススメ。

ドラゴンキラーいっぱいあります - 海原 育人

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ドラゴンキラー売ります

ドラゴンキラー売ります (C・NovelsFantasia う 2-3) - 海原 育人

ラダーマンの店で飲んでいたとき、声をかけてきた女をみて、リリィが複雑な表情をした。ヴィーと名乗る女は、リリィのドラゴンキラーとしての師匠だというのだ!
思わず警戒する中、皇女アルマの奪還とリリィを拘束するために、ドラゴンキラーが四人も派遣されてきたという情報を知らせてくれたヴィーは、逃げろと忠告をしてきたが……

殺伐とした町で便利屋を営むココの元に、皇女アルマと、ドラゴンキラーの護衛リリィが転がり込んできて、というシリーズの第三弾にして、シリーズひとまず完結編です。

誰しもが手に入れたいドラゴンキラーをふたりも抱えてるのに、いっそ手放したいと思う極貧状態に陥ってる便利屋事務所の経営状態には、苦笑してしまうものがありましたが、ポンポン飛び交う会話のテンポは相変わらずでした。いやあ、面白い。

そんな中、皇女の奪還と重罪人リリィを拘束するために、ドラゴンキラーが四人も派遣されてきて、という展開になるんですが、よりによって、リリィの師匠や、その師匠よりも強いと言われるドラゴンキラーまでがやってくるんですから、どうなることやらとドキドキの連続でした。

まさかのアロマ奪取から、選択肢をひとつ奪われたココたちでしたが、ここで逃げ出さないあたりが「らしい」ですよね。利用できるものはなんでも利用する「小悪党」でありながら、身内としたものは守り抜こうとするココの姿勢は、いつもながら惹かれます。
ただ、事務所の解散を示唆するなど、身内との別れを思わせる言動が幾度となく見えたのは、大切なものが側にいることで、逆に束縛みたいなものを感じてしまったからなのかな。

こういう世界で生きてきたからこその発想には、ちょっと寂しいものがありましたが、でも、やっぱり大切な人だったんだなというのが、少しずつ見えてくるあたりは、ほんとよかった。つい先日までの仲間であっても銃を向けることができるココが、生き残るためであってもリリィに手を下せなかったところに、彼女を取り戻すために継げた言葉に、殺伐としたココの心の中で生まれた深い思いを感じました。

いやあ、面白かった。今回も愉快痛快なお話でした。なるほど「売ります」になるわけだと、にやりとする終わり方に満足です。
これでひとまず完結とのことですが、お話としてはまだまだ続けられると思うので、いつか再開してくれることを期待したいですね。次に始まるという魔法使いのシリーズも期待してます!

ドラゴンキラー売ります (C・NovelsFantasia う 2-3) - 海原 育人

それにしても、アルマ……恐ろしい子……。ひょっとして彼女が成長したら、この町を牛耳ってしまうのでは……と思わせるものがあったりして、あまりの微笑ましさにニヤリ。

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