DDD / 奈須きのこ

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DDD 1

DDD 1 (講談社BOX) - 奈須 きのこ

親子三人で自殺したという噂が、いつの間にかカイエの元まで届いていたようだ。事件にかかわるつもりはなかったが、ヤツから義手を借りていて、しかも木崎さん家は三軒隣。
期待値が労働値を上回ったこともあって、俺は木崎家に向かった。『相手の目を見ると死ぬ』というカイエからの忠告をもって……

悪魔憑きとは、人間の精神を狂わせて、肉体を変貌させる原因不明な病気のことで、犬を攫って食べる悪魔憑きなどに対して、左腕をなくした石杖所在(アリカ)と、肢体の不自由な迦遼海江(カイエ)が、悪魔祓いを……みたいなお話です。

はじめから最後まで、独特のフォントを使っていて、見慣れないせいか、ちょっと読みにくかったですが、雰囲気たっぷりで、非常に惹かれます。ただ、一話目がどうにもきつかったです。説明ないまま、話が進んでいくので、置いてけぼりをくらってる感じだったので、どうにもノリきれなかったのが残念。

とはいえ、二話目、三話目と進んでいくにつれて、構造が見えてくるのでどんどん面白くなっていきます。ちょっとしたトリックが使われてたりしてましたが、たぶん驚かせるためじゃなくて、悪魔憑きの特性を見せるための技なんでしょうね。独特の構成が、ハマったときの威力はすさまじいです。

例の姉弟の話では、少しずつ侵略されていくことを実感する恐怖にはゾクゾクするものを感じましたが、それ以上に怖さを感じたのは、常人と悪魔憑きの差を実感させる言葉でした。常人がすべてを掛けて数年費やしたことを、数日でと漏らした一言。気負わない、軽い口調なだけに、妙に心に残った一文でした。

無敵のように思えるけれど、それでも人間には勝てないところに、何ともいえない皮肉を感じます。まあ、悪魔憑きの保護を目的とする監察官のマトさんが、超人過ぎるってこともありますが。何ですか、あの戦いっぷりは。わりと好きなキャラなので今後も活躍してほしいところ。

とりあえず、ひとつのエピソードとしてまとまっているものの、アリカの妹やカイエの全貌については、明らかになっていないし、アリカ自身も、まだ何かありそう。いろんなことを予感させる伏線もあって、今後が楽しみですね。

DDD 1 (講談社BOX) - 奈須 きのこ

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DDD 2 (講談社BOX) (講談社BOX) - 奈須 きのこ

ピッチャーとバッターによる一対一の勝負「SVS」と呼ばれる賭博が流行始めた中、参加していたバッターが、次々と殺されていった。「シンカー」と名づけられた犯人は、SVSルールに則った勝負をしたあとに、打てなかった相手を殺していたのだ。SVSを覆う暗い影に、をオリガ記念病院を退院したばかりの石杖所在は、いつの間にか巻き込まれることになって……

人間の精神を狂わせて、肉体を変貌させる原因不明の病気、アゴニスト異常症患者、通称、悪魔憑きが引き起こす事件を、左腕をなくした石杖所在(アリカ)と、肢体の不自由な迦遼海江(カイエ)が、悪魔祓いするお話の第二弾。

今回は、SVS勝負を持ちかけ、打てなかった打者を殺害する「シンカー」を追う「S.vs.S-1」と「S.vs.S-2」と、吸血鬼と呼ばれるほどの不死を見せる悪魔憑き、日守秋星が名乗りを上げる短編「FOMALHAUT」、次作の波乱を予感させてくれる、言うなれば予告編的短編「Vt.in day dream.」が収録されています。

読み始めは結構混乱したなあ。時系列が一巻よりも前なのね。あっちこっちへ移動するので、流れをつかむまでに時間を要しました。

ともあれ、アリカが始めて悪魔祓いしたお話「S.vs.S-1」と「S.vs.S-2」は、いわゆる野球話ではあるんだけど、打つ・投げるしかない簡略化したものなのに、とても緊迫感を感じるものでしたね。「シンカー」が関わってくると、死を意識させられるから、ある意味当然ではあるんですが、一球一球に込められる思い、相手との駆け引き、襲い掛かる恐怖などなど、見ごたえ抜群でした。
しかも、犯人について、見事に騙されましたからね。懇切丁寧に説明があったのに、気づかなかった僕がいました。ああ、なんか、悔しい。

S.vs.S-1」で、事件の全貌を確認して、「S.vs.S-2」で、当事者たちの内面が明かされていく。この内面に切り込んでいく話は、ほんと切ないものがありましたね。格差から生まれたすれ違いが、ここまで人の思いに重さを与えるとは。アリカの後輩にして犯人の知人である霧栖が、バットを手放した理由は、間違いなく、相手に対する責任感からでしたから。

このふたりのすれ違いが生んだ事件ならば、解決できるのもこのふたりしかいないってことで、アリカが提案したSVSバトルの迫力といったら!一球投げるごとに、一回スイングするごとに、伝わってくる思いと、あの見開きのイラストに、思わず涙が出そうになりました。変則的すぎるけど、青春の一ページといってもいいよね。うん、この話、大好きだ。

FOMALHAUT」は、SVSのときに、アリカと友人になった(自称)日守秋星のお話でしたが、何もなくともトラブルを引き起こしてくれるテンションの高さが楽しかったです。周囲の人からしたら迷惑この上ないでしょうけれど、何かと憎めない性格が、個人的には好きだなあ。
バラバラになっても戻ってくることから、不死身と呼ばれるほどの秋星ですが、不死身の理由がそれありか?的で思わず脱力させられましたが、仮にできたとしても、1日で神経擦り切れそう。ああ、そうか、だから、バカなノリしてるのか。

側にいたら、確実に引っ掻き回してくれるであろう秋星が、アリカが考えた秋星の二つ名を、名乗り上げるときのシーンは、不覚にもかっこいいと思ってしまいました。そのあとバカすぎて、ちゃんと幻滅したけど。
そういえば、秋星とマトさんの初対面もありましたが、この辺がどうつながっていくのかな。

とまあ、これだけでも面白かったですが、驚きは最後の短編「Vt.in day dream.」。扉絵が妹だったので、喜んでしまいましたが、20ページにも満たないお話だから、番外編的なものかなと思ったら、とんでもなかった。そんなオチ?と拍子抜けした後の展開には、驚きを隠せませんでした。これは次なる巻で、とんでもないことがおきること間違いなしですよね。
いったいどうなるんだろう、どうするんだろう?と、まるで読めない展開だけに、気持ちが高揚してきます。これは続きがとても楽しみ。

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