ぼくと魔女式アポカリプス / 水瀬葉月
ぼくと魔女式アポカリプス
体育館の裏へ呼び出し。そんなありきたりのシチュエーションで告白された。普段から暗くいじめられやすい女の子だったが、どうやらぼくが何かの拍子に助けたことがあるらしい。そんな気はないと言ったとき、彼女の後ろに現われたのはいつも彼女をいじめてたクラスメイト。
ただ、雰囲気が違う。表情がない。まるで誰かに操られているかのように。
そして彼女は刺された。ナイフで腹部を……
ユーモアたっぷりでテンポよく進むストーリィは、読みやすくニヤつかされっぱなし。程よくグロでしたが、わりとありきたりな話だなあ。そう思ってたらやられました。甘かった。
鮮やかに操られるストーリィがいつしかどんでん返しに続くどんでん返し。ラストのほうは息をつくことすら忘れる。伏線という点ではちょっと強引だなと思わなくもないですが、これだけやってくれたのなら満足。究極の選択ではこちらが苦しくなるほどでした。面白い。
これはちょっと期待の新シリーズかも。
ぼくと魔女式アポカリプス 2 Crandle Elves Type
道を歩いていたら突然ドロップキックをくらい、ぼくは一度殺された。サンバイザーにチャイナドレス、ポニーテールという姿をした蘭乱爛崎寝々に。エベネゼルによると、間違いなく彼女は代替魔術師であるというが、寝々にはそんな意識はなく、正義の味方として行動しているだけとのこと。
劣悪に容赦なく、妙な行動が多いが、どうにも憎めないのは ― いや、考えるな……。
劣悪は正殺する自称正義の味方、蘭乱爛崎寝々と出会うお話。敵なのか味方なのか、よくわからない状況なのに、いつもどおりの捻くれ具合で応じる澪が楽しい。と、始めは思っていましたが、気づいていくにつれて、心が痛くなっていきました。
心の傷を無視しようとするあまり、逆に囚われている様子が伝わってきます。
今回はなんと言ってもエルフのレンテンシアが良かったです。拒絶されても、危険を冒してでも、己の決めたことを貫こうとする姿には、なぜそこまでという疑問があったんですが、これほどの後悔に苛まされていたとは思いもしませんでした。
恐怖に襲われながらも、目を背けることができない後悔とは、どれほどのものかと胸が苦しくなります。
ただ、不安を予感させるところから、加速していくまでの間がちょっと長くて、そのあたりが個人的には、ちょいとダレた感じがありました。各シーンごとの様子はわるくなかったんですが、つなぎ?みたいなところが、どうにも上っ面をなでるような感じだったし、言葉遊びというか、そのあたりも微妙でした。
と、思って油断してたら、まさか、こんな展開になるとは……。今まで感じていたことが、一瞬にしてひっくりかえされるとは思わなかった。澪が相手に告げた事実が示す意味を理解したとき、ズレてたものが一瞬にしてカチっとハマった感じがして、ものすごい衝撃を受けました。
すごい。すごすぎる。
だから彼女の視線はあんなにも温かさを感じたのか。だから彼の視線は……。
むしろ正気を無くすことができれば、どんなに楽かと思えるだけに、ふたりの心の動きから感じられる痛みがたまらないです。
哀しい結末に思えましたが、孤独でないだけ悪くなかったかもしれません。例え偽りであったとしても。孤独を味わいながら生きてきた人がいるだけに、そう思ってしまうのかも。
その孤独な人の思いがわかってしまったからこそ、澪は動けなかったんだろうなあ。初めから認めていれば、防げた悲劇がいくつもあっただけに、後悔しないことはないでしょうね。
いやあ、なかなかよかったです。砧川の立場も、ちょっと変わってきたし、エベネゼルの様子もちょっと違ってきたので、また新たな展開が待ち受けてそうな感じですね。
ただ、どんな展開があるにせよ、ハッピーエンドはありえないと思ってしまうだけに、今後が楽しみであり、不安でもあります。
ぼくと魔女式アポカリプス 3 Nightmare Crimson Form
ぼくと砧川が話している間に、レンテンシアの遺体を持ち逃げようとするやつがいた。見たことがある姿と思って動揺して逃げられてしまったが、きっと、偽者に違いない。そう自分に言い聞かせていたのに、次の日、奴は僕の目の前に現れた。僕らと戦う決意をして……
代替魔術師の戦いで、もうひとつの選択肢を得た澪の前に、クラスメイトが参戦してきて、というお話。今まで以上に読みにくく思ったのは、僕だけかしら。
それはともかくとして、新たな参戦者のお話は、なかなかにきついですね。知り合いであることもあることながら、相手が戦う意志を持っている原因が、自分たちにあるんですもんね。戦わずとも、と強く言えない気持ちはわかります。
おかげで、相手に言葉で押されていましたが、それでも、話をするところから始めようとする澪の姿に、意思を継ぐ者としての覚悟が見えましたね。
今回もっとも印象を残したのは、寝々のバイト先の店長、双子の沁姉妹ですね。寝々を家族のように思い、寝々の死に澪たちが何か関係しているのではと、接触してくるまではいいんですが、そこから先が狂気過ぎます。ただの人間というレベルをはるかに超えた戦闘力と、極端な思考回路と、リズムある二人の狂気な会話に引きずり込まれそうになりましたね。
圧倒的戦闘力を持つとはいえ、唯の人間が代替魔術師戦線に入ってきて、しかも一歩も引かないんですから、この双子素敵すぎです。
一般人が参戦したことで、ただの人を殺して良いものかどうかと、澪が迷いまくりな姿は、何とももどかしいものがありましたね。死にもっとも近く、もっとも遠いからこそ、死というものを考えてしまうのかもしれませんが、砧川の状態に変化がなかったら、はたして本当の意味で最後の決意したのか、気になるところですね。
最後の戦いでも、砧川にすべてを背負わせようとせず、すべては自分のせいだというところに、優しさを感じましたね。「任せる」という言葉がとても心に響きました。
ただ、戦い終わった後は、ちょっと蛇足かなあ。あそこはスッと終わってほしかったです。
ところで、あとがきを読んでると、次がでるか怪しい雰囲気なんですが……
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