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アキカン! / 藍上陸

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アキカン!

アキカン! (集英社スーパーダッシュ文庫 ら 1-2) - 藍上 陸

カケルがメロンソーダの缶に口をつけたら、美少女とキスしていた。なんと彼女は、メロンソーダの缶の精霊だというのだ。人間に缶のことをもっと大切に扱ってもらうことを目的としていて、いつの間にやら共に住む事になってしまった。何かとわがまま言い放題のメロンに、呆れながらも相手をしていたが、経済産業省のお役人が「アキカン」に目をつけて……

メロンソーダの缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタコメディです。

自動販売機とケンカしたり、思い出し叫びをしたり、全裸ブリッジしたりと、初っ端のカケルのハイテンションっぷりには、ちょっとついていけなかったりしましたが、一段落ついてからは普通のラブコメになってくれたので、楽しかったです。

自身がスチール缶だからといって、アルミ缶に嫉妬したり、他のジュースを飲もうとすると起こったりと、対象はともあれ、独占欲の強い女の子って感じでいいですよね。「出かける前にあたしを飲んでいきなさいよ」ってセリフが、何かカワイイ。
始めはメロンを疎ましく思っていたカケルでしたが、衝突を繰り返していくうちに、彼女と共にいるのも悪くないじゃないかと思い始めていくところが良かったですね。

ここからまさかバトルものになっていくとは思わなかった。缶の規格を統一しようという政府の目論見から、アルミ缶とスチール缶の「アキカン」たちによるバトル。いや、もう何ていうかアレですが、自分達の存在を賭けた戦いだけあって、実はシリアスだったりします。ぶど子(グレープジュース缶の女の子)との戦いは、オーナーの気持ちを考えると悲しくてしかたなかったですね。

「アキカン」同士で戦うことを止めさせたいカケルと、戦うことをやめようとしないメロンの亀裂は、ちょっと微妙なものを感じないでもなかったですが、ここにカケルを思う幼馴染のなじみが参戦してきた事で、いい具合に三角関係……といっていいのかしら。素直な女の子なだけに、思いつめたように行動してしまうところには、心が痛みますね。

最後の方はちょっとクサくてムズムズしちゃうところがあったけれど、それぞれの思いが隠されることなく見えるところは良かったですよね。
個人的に印象的だったのは、この言葉。

なあメロン。物語って、最後はハッピーで終わるべきだろ?
途中どんな辛いことがあっても、最後は幸せになるべきだろ?
そのハッピーまで書かねえでバッドで終わらすなんざ、創作者の怠慢だと思わねえか?
オレはな、メロン。信じてるんだ。
途中どんな困難があっても、もうマジヤベエって諦めかけても、それでも。
それでも、最後にはきっとハッピーになる。
オレはそう信じてる。そう信じて生きてる。

激しく同意なこの言葉どおり、ハッピーエンドで良かったです。

とはいえ、例のお役人たちの恥ずかしい名前の計画は動いてますし、まだまだ安心することはできませんね。ラブコメしつつ、バトルも盛り上がっていきそうなので、続きが楽しみです。

アキカン! (集英社スーパーダッシュ文庫 ら 1-2) - 藍上 陸

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アキカン! 2缶めっ

アキカン! 2缶めっ - 藍上 陸

つい先日、アキカン・エレクトという殺し合いの戦いをしたとは思えないほど、平和な日々が続いていた。そんなある日、カケルは幼馴染であるなじみと、プールと遊園地のテーマパークでデートをすることに。聞きつけたメロンはこっそりとカケルを尾行しはじめたが、同じようになじみを尾行してきたエールを見かけ、そして敵対する二人は、手を結んで……

缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタラブコメ第二弾。今回は、カケルに積極的にアプローチするなじみを、何とか阻止しようと、メロンやエールが奮闘するお話です。

周囲に引っ張られて積極的になりつつ、本人を前にしたら、素直になれない女の子たちの取り合いっていいですね。「あたしは別にカケルなんて……」といいつつ、尾行したり、同じ目的を持つものと手を結んだりと、乙女心炸裂するツンデレが面白い。

なじみもとてもかわいくて、今までずっと思ってたんだよ的な内に秘める思いや、好きな人と一緒に遊べる楽しさを体全体で表してくれて、幼馴染ってだけだからという朴念仁なカケルでさえ、一緒にいたら楽しかったでしょうね。お約束満載なプールでの出来事は楽しかったです。

ただ、カケルのハイテンションギャグだけは、どうしても楽しめない。むしろ引きまくり。ぷいぷいバリな蘊蓄ギャグとかはいいんだけどねぇ。何かと変態なことしたり、同じようなちょっかいを懲りないで出すところとかが、一冊の間ずっと続くと、さすがにお腹いっぱいになってくる。特にアキカンバトルがまるでなかったので、そっち方面のシリアスさを期待していた身としては、物足りなかったなあ。ぶっちゃけ、アキカンの設定がまるで使われてなかったし。

でもね、そんなこといいながら、最後はしっかりと素敵なシーンを持ってきてくれるんですよ。残りも30ページなくなったぐらいのところから始まるアキカンたちの思いが伝わってくるシーンにグッとさせられるばかり。この人はアイテムの使い方がとんでもなくうまいです。

お互い溜まっていた気持ちを吐き出して、ちょっとだけ素直になって、でも素直になりすぎることはなくて。恋人未満な距離感に、とても青春を感じました。この最後のシーンだけでやられちゃいましたね。

最後のほうで、思わせぶりなアキカンが登場してきたので、ひょっとしたら、次あたりはバトルがあるんでしょうか。それとも、バトルなしでまた騒動がおきるとか?
ラブコメとして楽しむ分には文句ないですが、続きが気になるかといわれたら、そうでもないので、ううむ。

アキカン! 2缶めっ - 藍上 陸

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アキカン! 3缶めっ

アキカン! 3缶めっ (3) - 藍上 陸

体育祭が近づき、ロングホームルームで、誰がどの競技に出場するかを決めていた。いつものようにバカを言って、いつものようにツッコまれてと、わいわい楽しくやってるときに、ふと、カケルの頭に思い浮かんだのは、昔、なじみが誘拐されそうになった時のシーンだった。あんなことは起こさせない。そんなカケルの決意も空しく、アキカン・エレクトを挑んでくる輩が!
傷つける事を躊躇しない拳介とアキカンの舞は、カケルたちのみならず、他の生徒にも目を向けて……

缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタラブコメ……だったのが、段々とシリアスなお話になってきましたね。平和な毎日を過ごしていたカケルたちの前に、強さと残酷さを兼ね揃えた敵が現れて、というお話です。

体育祭で誰がどんな競技に出るかを決めるホームルームや、その後の野球話が楽しいだけに、カケルが時折思い出す過去話は、きついものがありますね。小学生の頃に、あれほどの心の傷を負ったらと思うと、ゾッとします。必要以上に、ハイテンションなのは、そのほうが楽しいからという事もあるでしょうけれど、不安を寄せ付けないための防御でもあったんでしょうね。未だにうなされるところに、心に負った傷の深さを感じます。

そんなカケルを心配するメロンが、いろいろ頑張ろうとする姿はいいなあ。常識を知らないところがあるので、うまくいかないんですが、カケルのためにという思いが伝わってきます。それなのにカケルってば、もう。察してあげてよと言いたくなりますが、素直に言葉で伝えるということができないツンデレさんは、こういうとき不利ですね。

そんな中、アキカン・エレクトを仕掛けてくる輩が現れてきたんですが、カケルが立ち向かうことよりも、逃げ延びることを選択してしまうのは、過去のことがあったからでしょう。 大切な人を守りたい。いや、傷つけたくないかな。そういう思いが強くなりすぎて、メロンとの間にチグハグなものが生まれていくところは、気になる存在であることが伝わってくるだけに、やるせない気持ちでいっぱい。

一方のエレクトを仕掛けてきた拳介についても、始めは単なる不良かと思いきや、重いドラマがあったりするから、きついですね。ここまで来ると戦わない道を選ぶことは難しいと思いますが、舞について目を向けてないところがあるようなので、そこいら辺で突破口が見えるといいんだけど、うーん。

今まで存在感の薄かったジゴローが、かっこよさを見せ付けてくれましたが、対立する相手に対してまとまって立ち向かう寸前に、まさかと思いながら、やっぱりとも思える出来事が起きたところで終わって、あぁ!
いや、読んでる途中で、今回は一冊に収まらないだろうなとは思っていましたが、あのとき、あの場面で動けなくなってしまったカケルの心情が強烈で……
下巻となる次作でどのような展開が待ち受けているのか、気になるばかりです。

アキカン! 3缶めっ (3) - 藍上 陸

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アキカン! 4缶めっ

アキカン! (4缶めっ) (集英社スーパーダッシュ文庫 (ら1-5)) - 藍上 陸

以前と同じ状況に戻っただけなのだから、一人でいるのがさびしいはずがない。そう思いながらも、つい誰かを探してしまうカケルは、ふと疑問に思った。オレはメロンにとって何なのだろう?悩むカケルと同じく、メロンも悩んでいた。いったい自分はどうしたいのかと。
二人のすれ違いが続く中、アキカンオーナー同士の戦いが刻一刻と迫っていき……

缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタラブコメの第四弾。今回はアキカン・エレクトに対する意見のすれ違いから、メロンがカケルの前から姿を消して……というお話。

以前の自分に戻っただけと思いながらも、喪失感に苛まれるカケルの姿と、許せないと思いながらエールの力を借りて、カケルを見守るメロンの姿に、似たもの同士なものを感じますね。相手を思っての行動といいながら、実は相手を信頼していないのではないかということに、気づいていく展開が良かったです。ま、そうはいっても、なかなか素直になれないふたりなんですけどね。
っていうか、カケルのためにあそこまで頑張るなら、さっさと戻ろうよメロンと思った。それ以上に気づけよカケルと思った。

個人的に良かったなあと思ったのは、メロンとエールの友情が見えたところですね。メロンの逃避を手伝う羽目になったことを迷惑そうに思いながら、メロンとカケルの架け橋となっていく内に、自分となじみを重ねて、アドバイスするエールの姿と、そんなエールを手本としてカケルとの距離を縮めようとするメロンの姿がとてもよかった。どちらも素直に好意を現さないけど、この距離感は親友のそれと思ってもいいよなあと、微笑ましくなりました。
恋敵であるはずのなじみも、メロンのためを思って動いたりして、仲間な雰囲気が素敵です。

それにしても、学園祭に乗じて始まったオーナー同士の戦いは熱かった。
大切な人が戦っているからこその応援と、大切な人の応援に応えるものと。
自分の弱さをこれでもかと突きつけられる戦いで、心が折れそうになったとき、仲間と大切な人の存在が、どれほど力となってくれるかが伝わってきました。

いがみ合っていたものたちが、拳で語り合ううちに……というのは、お約束かもしれませんが、じんわりと来るものがありましたね。あの盛り上がりはすごかったです。
カケルやメロンのみならず、戦うことになったケンスケと舞の間にもドラマがありましたが、最後にあったかい気持ちになれるものがあって……、こういう関係っていいなあと思いました。

いやあ、面白かった。
悲観的なものしか見えなかったアキカン・エレクト問題についても、カケルらしい解決策に思わずにやり。これからも悩むことがあるだろうけれど、メロンがいて、なじみがいてエールがいて。仲間が力を合わせれば、きっと何とかなるとそう思わせてくれるものがありますね。
次作では、新キャラも登場するとのことなので、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。

アキカン! (4缶めっ) (集英社スーパーダッシュ文庫 (ら1-5)) - 藍上 陸

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アキカン! 5缶めっ

アキカン! 5缶めっ - 藍上 陸

「あ……あの…………は、はじめまして」
小豆色の和服を着た、小学五年生くらいの女の子。
「な、な……っ」
突然の出現に面くらい、カケルは思わず二、三歩後ずさる。
「あの、その…………わたし、あなたが飲んだ、おしるこの缶…………なのです」

缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタラブコメの第五弾。今回は、アキカン・エレクトを潰すには、と悩んでいたカケルが、おしるこ缶に口をつけたら、和服姿の小さな女の子になっちゃって、というお話。

思わずにやりとしてしまうのは、真面目なしるこちゃんを妹のように可愛がるカケルに対して、メロンやなじみが嫉妬するところですね。まあ、たしかに猫かわいがりってぐらいによしよしと撫でてるし、おしるこなので、暖めないと調子が悪くなるから、何かと抱き寄せてあげてるから、カケルを思う女の子たちからしたら、面白くないのはわかるけど、大人気ないなあ。
なまじ、しるこちゃんがいい子だから、余計やりにくいんだろうけど。

まあ、カケルがしるこちゃんを可愛がるのは、とある理由があったりするからなんですが、もうひとつ、メロンとの間にある気まずさから逃げようとしているからなんですけどね。カケルのことをもっと知りたいと言い出した彼女の思いに同調するものがあったりして、自分でもどうすればいいのかわからないんだろうなあ。

このあたりの話をもっとちゃんと見たかったんだけど、残念ながら、嫉妬合戦やら、しるこちゃん可愛い方面ばっかりで、話が進んでしまったので、いろいろ物足りないものがありました。いや、気を引くために、Yシャツ一枚でカケルの前に出るメロンとか、ロリコン治療と称して、カケルの×××を出そうとするなじみとか、面白かったけど……でもね、やっぱり、もうちょっと真面目なところも見たかったのよ。

というわけで、今回は、面白いけど普通というぐらいだったんだけど、最後にきてやられました。
カケルという温かさに包まれながら、それだけじゃ駄目なんだと、孤独を感じていたしるこちゃんに、それまでほとんど脇役に徹していたエールが、無言で温かさを伝えてあげたところは、素晴らしいです。やっぱり触れ合うって大事ですよね。
温かさに包まれたしるこちゃんの流す涙に、思わずもらい泣き。

あー、よかった。毎回、毎回最後の盛り上がりにやられますね。
さて、最後にアキカン・エレクト方面で、新たな動きがあったので、あの少女が、どんな鍵を握っているのか、大いに気になりますが、どうやら、次は短編集になるらしい。となると本編の続きはお預けかな。
クラスメイトを巻き込んだ、ハイテンションなやり取りは、結構好きだったりするので、ああいうので短編一本読んでみたいですね。

アキカン! 5缶めっ - 藍上 陸

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アキカン! 6缶めっ

アキカン! 6缶めっ (6) (集英社スーパーダッシュ文庫 ら 1-7) - 藍上 陸

わたしは小学三年生だった。とっても小さくて。とっても子供で。何も知らなくて。
そしてちょっぴり嫌な、女の子だったとき。
わたし、天空寺なじみは。
ある男の子のことが、大嫌いだった。

缶に口をつけると(キスすると)少女化し、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」たちと、そのオーナーたちが繰り広げるドタバタラブコメの第六弾。今回は短編集です。

  • エールが飼い始めたカメの名前で悩む「エールとカメの商店街。
  • ボクサーを目指す塔堂がカバディに奮闘する「BLOWIN'
  • 魔女・揺花のイメージビデオ「マジカル☆ゆかりん
  • なじみとカケルの幼いころの出会いを描く「夏の帰り道。そして一万円のスルメ。
  • タイトルどおり「メロンの、とくにメロメエでもないだらだらした一日。

いやあ、楽しかった!
無表情エールが、そこはかとなく見せてくれる感情や商店街の人たちに好かれてる様子が見えてくる「エールとカメの商店街。」から始まって、うきうき気分になったら、二編目でやられました。

カバディ大会のお話を描く「BLOWIN'」。別にカバディ自体は悪くないのに、あのクールな男が「カバディカバディ」とキャストしてる姿を想像すると、笑いが止まらなくなる。しかも、よりによって、大会でカケルと遭遇するんだから、そりゃ……ね。正体を隠すための必死さが、また笑いを誘うスパイラルは、まさに外読厳禁なお話でした。舞がちょっと可哀想だったけど、まあ、塔堂に罰は当たってるので許して差し上げましょう。

個人的に印象に残ってるお話は「夏の帰り道。そして一万円のスルメ。」ですね。社長令嬢ななじみが、田舎に転校して、毎日を苛つきながら過ごしていた小学生時代。おバカなカケルがちょっかい出していくうちに、はじめは頑なだったなじみの心が、だんだんと開いていって、いつしか笑顔を見せるようになったところは、ほんと良かった。こうやって、友達ができて、こうやって大切な人になっていったんだなあ。
それにしても、このころのなじみのツンデレっぷりは素敵すぎるものがある。

最後のメロン話も良かった。特に何があるってわけでもないんだけど、大掃除の模様とか、バイトする姿を見ていても、無理してないというか、家族の一員として、それでいて大切な人がいることの幸せみたいな空気が感じられて。
素直じゃないから言い出せないけど、でも行動にはしっかり移した年明け最初のキスにニヤリ。

あー、楽しかった。各キャラの別の顔が見えると、これからの本編がますます面白く感じるでしょうね。続きがとても楽しみです。

アキカン! 6缶めっ (6) (集英社スーパーダッシュ文庫 ら 1-7) - 藍上 陸

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