こういった雑誌を買うのは初めてなんですが、なぜ買ったかといったら、創刊だっていうお祭り騒ぎに乗ってみたかったのと、「図書館戦争」の短編と紅玉いづきの中篇が載ってると聞いたからです。
目次を見てみたら、小説にカテゴライズされていた作品は、全部で四作品。
- 「キノの旅 パクリの国」 時雨沢恵一 / 黒星紅白
- 「ブギーポップをさがして」 上遠野浩平 / 緒方剛志
- 「別冊 図書館戦争」 有川浩 / 徒花スクモ
- 「とらドラ・スピンオフ! 虎、肥ゆる秋」 竹宮ゆゆこ / ヤス
それと、スポットライトとして、紅玉いづきの「MAMA」が掲載されてたので、簡単に感想でも書いてみる。
「キノの旅 パクリの国」 時雨沢恵一 / 黒星紅白
シリーズ読んでないので飛ばそうかと思ったら、1ページしかなかったので読んでみた。
意味わかんね。
シリーズ読んでる人だと通じるものがあるのかしら?
「ブギーポップをさがして」 上遠野浩平 / 緒方剛志
統和機構のメローイエローが、ブギーポップの噂を聞きつけて、好奇心からやってくるお話。
あっという間に、世界を作ってくれるなあ。ほんのちょっとしたエピソードみたいなお話なんだけど、妙に惹かれるものがあります。ほんの数行の登場でも格好いいぜ、ブギーポップ。
メローイエローの恋する気持ちとかがちらりと見えて、おやおやと思ったりしましたが、いろいろ想像させるラストが気になる。
「別冊 図書館戦争 もしもタイムマシンがあったら」 有川浩 / 徒花スクモ
過去に戻れるとしたらいつがいい?という話題で、堂上班の面々が、盛り上がっていたことで、大学のころの恋を思い出した緒形副隊長の過去話。
緒形副隊長ってどんな人だっけ?というぐらい覚えていませんでしたが、ああ、なんと切ない恋物語。両親が公務員というだけで、同じような道を歩み、結果として愛しい人を失うことになった浅慮さを悔やむ姿が心に痛いです。二十年に月日がたっても、未だはっきりと覚えているのは、それだけ深い思いがあったからなんだろうなあ。
針のむしろであることを理解しながらも図書隊へ入隊して、居場所と友を手にいれたけど、未だ心に大切に仕舞われている思いに、実直さと不器用さを感じました。
むろん、有川さんがこのまま終わらせるわけがなく!
未練がましいと思いながらの行動が、相手の目に触れていたことが見えたとき、うれしくてうれしくてたまりませんでした。「都合のいい想像」とか聞いたときには、悶えながらにやりです。
そういえば、折口もさりげなく告白してて(本人にじゃないけど)、うふふ。
みなさん、お幸せに!
「とらドラ・スピンオフ! 虎、肥ゆる秋」 竹宮ゆゆこ / ヤス
副題どおり、竜児の料理がおいしくて、食べに食べていたら、「あんた……太ったんじゃない?」とみんなに言われるようになった大河のお話。
いや、もう、笑った笑った。竜児の指摘ならかわせても、みのりん、2-C公式美少女トリオ(亜美・麻耶・奈々子)、さらには北村にまで指摘されて、落ち込む姿が笑えます。
こうなったら、ダイエットするぞと意気込みながら、険しい道のりにグダグダしたり、超ハードなみのりんダイエットに挫折したりと、笑いが止まらない。
そんな中やってくれたのは亜美でした。ばかちーといいつつ、大河が頼ったのは、美の追求に余念がない彼女の姿勢を評価したからでしょうね。っていうか、あそこまでがんばって女性は生きてるのかと驚き。
亜美のツテで通ってみたジムでの騒動は、笑いが止まりませんでしたが(特に竜児のヨガ)、それでもダメだったあとの逆転劇がすばらしい。いや、大河からしたら、アレかもしれませんが、なんだかんだいって、憎まれ口をたたきながらも、亜美のいい人っぷりが最高でした。あー、なんか、また、とらドラ読み返したくなってきましたよ?
「MAMA」 紅玉いづき / カラス
サンドバールの名を持つ魔術師集団の落ちこぼれであった少女トトが、封じられし人喰いの魔物ホーイチと出会い、彼のママになろうとするお話。
阻害されていた二人がお互いを求める様には、子供らしい微笑ましさがあるのに、切なさを覚えてしまうのは、魔物との繋がりが強くなることで、仲間との距離が広がっていくからでしょうね。落ちこぼれから、人喰い憑きへと変わって、力を得たにも関わらず、誰からも拒絶されることになってしまったのは、皮肉としか言いようがないと思います。
拒絶されることに慣れ、自信を失ったトトが、王家の末娘であるティーラン姫との出会いで、変わっていくところが、個人的には印象に残ってます。はじめに出てきたときは、なんと嫌みな女だろうと思いましたが、あでやかに微笑みながら、身ひとつで戦う彼女の姿勢と心の強さに惹かれました。ティーランがいなかったら、トトもここで終わってたでしょうね。このなんとも言えない友情は、もっと見たかったなあ。
努力しても、成果を出しても、どうしても虚無を覚えてしまうトトの姿には、悲しさや寂しさばかりが目立ちましたが、それでも決してホーイチを放さなかったのは、意味がわからずとも、ママとなる決意をしたあのころの思いが強かったからなんだろうなあ。なんとなく歪んだものを感じなくもないですが、それもまた深い愛情のようなものだったんだと思います。
そして、ホーイチもまた魔物でありながら、優しさを覚えて。
小さな小さな約束が、産み出した最後に声に、耳を傾けたくなるものがありました。
やっぱり、この人の雰囲気はいいなあと思うんですが、もうちょっと何かほしかったかな。なんとなく、しっくりこない気がする。
作品について紅玉さんのインタビューが載ってるんですが(顔写真付!)、「MAMA」と、その後日談ではないけれど、細くする物語である「AND」というお話をまとめて、二月に新刊を出すとのことなので、一冊になって読んだときに、どういう感じを受けるか楽しみです。
電撃文庫MAGAZINE (マガジン) 2008年 01月号 [雑誌]
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