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[妹尾ゆふ子] 魔法の庭 3 地上の曲

たしかに見覚えがある。だが、かつて訪れたときよりも色あせて見える。ほんとうに、ここに氷姫が眠っているのだろうか。疑問を抱えるアストラの前で、シリエンは氷姫に呼びかけた。それも己の本当の名を告げて。
やがて、目の前に青い薔薇が現れ、アストラたちは、イザモルドの意識に包まれたが……

最終巻はイザモルドと、彼女の唯一の友人である薔薇の切ない物語から始まるお話でした。

ああ、もう、何て孤独なんだろう。力を封じたにもかかわらず、他の人から避けられ続けたイザモルドの気持ちを考えると、胸が痛くなります。父である王と謁見しても、目すら合わせてもらえないところなど、幼いころから愛情ひとつ注いでもらえない境遇には、涙を誘われるものがありました。

彼女が唯一、心を慰められるのが、庭に咲いた青い薔薇で、いつしか薔薇も意識を持つようになったけれど、それゆえに、応えることができない自分が歯がゆかっただろうなあ。彼女のためを思って、禁を犯しているとわかりつつ、意識の声を放つ姿には、胸を打たれるものがあります。

イザモルトの孤独を癒したハルンラッドの言葉は、本当に素敵でしたね。イザモルトが自棄にならず、生きようと思ってくれたのは、間違いなく彼がいたからこそでしょうね。戦争によって、二人の間が離れざるを得なかったシーンでは、涙が浮かんで仕方なかったです。

これほどの仕打ちを受けたなら、己の力を取り戻したイザモルトが、呪いをかけてもしかたないと思いましたが、まるで違ったんですね。恨みから呪いをかけたのではなく、大地を、人々を愛したからこその呪いだったなんて。
「吹き荒れよ、北風の王!凍りつけ、我が大地!」
この言葉の意味が、一巻のときとは、違って聞こえてきました。むしろ心の叫びだったんだなあ。あぁ……。

この圧倒的な物語に心奪われていたおかげで、もうひとつの神同士の戦いには、ちょっと乗り切れないところがあったんですが、アストラが父と出会い、母と話、再び竪琴を手に取る終わり方は良かったですね。

エピローグで、アストラの母がエイーシャと出会うところは、何とも温かいものを感じられましたね。このあと、ふたりがどんなことを語り合ったのか、とても興味深いものがありますね。

第二巻の終わりでは、あとは氷姫と出会うだけだと思っていたのに、どうしてどうして、最も長いお話でしたが、読み始めたら、そんなことが気にならないぐらい引き込まれる物語でした。あーよかった。大満足。

今回この三部作は、お借りしたんですが、いつか、自分のものとして手に入れたいですね。
出版社が倒産されたということで、書店には並んでおりませんが、もし古本屋等で見かけたら、ぜひ手にとって見てください。素敵な世界が待ち受けてますから。
オススメ!

魔法の庭〈3〉地上の曲 - 妹尾 ゆふ子

魔法の庭〈3〉地上の曲
妹尾 ゆふ子

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