「あ、あの、いったい、何がおきたの?」
「テロだな。おそらくは反魔法系団体の」
魔法の素質判定が最低レベルのDランクでありながら、内閣特別対策局というエリート組織に所属している椎葉十郎が、とある事件での失敗の懲罰として、教官を勤めることになった魔法士育成学校に、反魔法主義を掲げるテロ組織が襲撃してきて……というお話。
これは面白かった。
無愛想で捻くれて、子供だろうと気にせず直球を投げるから、生徒たちが遠ざかっていく中、野良猫が縁となって、委員長の雛咲月子が少しずつ打ち解けていくところが、いいですねぇ。冷血な態度が誤解を生んで、でも実は端々に優しさが見えて、いつの間にか気になる先生になっていくところが良かったです。
そんなときにテロ組織が学校を襲ってくるんですが、生徒や教師が人質となっているため、機動隊は動くことができない中、たまたまテロ組織の手を逃れていた十郎が、ひとり立ち向かうという展開なので、いわゆるダイ・ハードですね。教官なんて面倒だと言っていた十郎が、生徒の日常を取り戻すために動く。その思いに至る過程がすっごい良かった。
十郎自身は、エリート組織に属してはいるものの、素質はDランクであり、敵の魔法士ははるかに上のため、これをどう切り崩していくんですが、この駆け引きもなかなかでした。
それでも資質の差は歴然としていたんですが、こういう展開で突破していくとは、いやはや面白い。
いろいろなものを思い出させる子ですね、月子は。
いやあ、面白かった。王道な展開がとても好みでした。
しかも嬉しいことに恋愛要素も見えてきたじゃないですか。まあ、十郎はアレなので、月子がどうがんばっていくかが、今後の鍵になるでしょうね。
これからがとても楽しみなお話だと思うので、ぜひとも続きをお願いしたいところです。
第2回ノベルジャパン大賞大賞受賞作。
スクランブル・ウィザード (HJ文庫 す 3-1-1)
すえばしけん
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