「うん。けど、ちょっとうれしいよ」
「?」
「新しい〝ミオ〟が見れて」
「……ばか」
自身の存在を確かめるためにリストカットしていた少女ミオと、自分の心と行動が一致しないと悩むカズヤが出会って、というお話の第二弾。っていうか、カッティングシリーズとしては、第三弾なんだけど、一作目のミオとカズヤの物語の続編となるので、まあ、第二弾っぽいって感じで。
個人的には、このふたりのお話大好きだったので、今回も楽しみにしてたんですが、とても良かったです。付き合うことになった二人の初々しくも、しっかりと向き合ってる様子が、素敵なんです。ベタベタするシーンなんてないのに、好き合ってる様子が伝わってくるんですよねぇ。
カズヤの妹と三人でデートするシーンとか、ふたりで本を読んでるシーンとか、それだけで、満足しちゃいそうなぐらいでした。
それだけに、この幸せな光景が崩れ始めるところは、心痛むものがあったなあ。
ミオと同じ秘密を持つ転校生が、さりげなくカズヤを誘惑して、もちろん、そんな誘惑に乗るカズヤじゃないけど、「秘密」がカズヤの心に沈んでいた疑問を浮かび上がらせてしまったから、やるせない。
お互い、相手のことが気になって気になって仕方ないのに、どうしても生まれてしまう距離感が、辛かったです。
まあ、相手を思う気持ちが強いからこそ、言ってはいけない言葉が出てきてしまうというのは、「秘密」がなくても、恋愛してたらありえることですよね。その逆に、言葉が足りないからこそ生まれてしまう誤解も。
なぜあのことを言わないのだろうと、思う事が何度もありましたが、やっぱりカズヤは気障なんでしょうね。そのことが格好悪いと思ってしまったから、ミオに言えなくて。溝なんてあってないものだったはずなのに……。
クラスメイトの支えや先輩の励ましから、自分を見つめなおして、ようやくお互いに思いをぶつけ合うことができたと思ったら……それが悲劇を呼ぶとは思わなかった。
不器用な二人の恋愛事情が、これからどうなっていくのか、続きがとても気になります。
カッティング3 Case of Mio Entanglement
翅田大介
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