「不思議なこと?」
「うん。人が消えたの」
「はあ?消えた?なんだそりゃ」
「面白そうだ。よくわからないから、起こったことを時系列順に並べてくれ」
興味津々といった感じで圭介が促す。
ほずみは大きくうなずいた。
「うん、わかった。詳しく話すね」
何らかの目的があるわけではない者たちが集まる「無目的部」。その主要メンバーである常に読書してる一郎、ネットいじってる理屈体質の圭介、部室の外では優雅なお嬢様、部室内では……な千尋、元気印な女の子ほづみが、自分たちが体験したちょっと不思議な出来事について語り合ううちに、謎が解けていくという、いわゆる日常の謎みたいなミステリーテイストのお話ですね。
以下の八篇が収録されています。
- 十秒前にいたはずのクラスメイトが消えた?「教室で見たもの」
- 昇降口に飾られている有名な画家の絵は、贋作か?「アイ・ポイント」
- 昼休み。屋上へあがってきた人の人数が足りない?「カレー好きのX」
- 可愛い書店員さんは、どこに消えた?「書店の彼女」
- 演劇部の部室から、脚本で使っていたペンが消えた?「それでいいのかの猫」
- 渡されたラブレターは、まるで暗号のようにちぐはぐで?「ラブレター・フロム・誰か」
- 妹が目撃した幽霊はいったい何だったのか?「妹・由美子の話」
- 今まで語られた話がつながってくる、ちょっとホッとするお話「影絵芝居」
いやあ、面白いなあ。
ささいな謎について、ああでもないこうでもないとみんなで語り合い、最後に一郎が謎を解くといったパターンがいいんです。ヒントも結構与えられるので、途中で(といっても最後の最後前だったりするんだけどね!)気づけたりすることが結構あるんですよね。
それだけじゃなく、ゆるゆるとした雰囲気もいいんだよなあ。
たぶん、ここに集まるような人たちは、普通の人たちとの交流に、どこかちぐはぐしたものを感じたりするんだろうけれど、「無目的部」の部室という場所があることが、大きな安らぎになってるんだろうなあということが見えてくるから、なんか、こう、穏やかな気持ちになれるんですよね。
さりげなく見えてくる恋愛要素もとっても素敵で、「書店の彼女」「それでいいのかの猫」で見えた千尋のほのかな思いに、ニヤニヤがとまらないです。ああ、可愛い。
いやあ、面白かった。ゆるゆる物語が、最後の「影絵芝居」で、激変するんだけど、でもやっぱり無目的部だなと思えるラストが、とてもよかったです。
これはさりげなくオススメ。
ようこそ無目的室へ!
在原 竹広
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