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[渡辺まさき] ゆうなぎ

明日から仕事で地方に行く ― 居酒屋『夕凪』で、コウの言葉を聞いたマイカは、不意に思いついた。サヨリも連れて行ってはどうかと。王都から出たことがないサヨリは、外に目を向けることが大事だというマイカやシーラの言葉に説得されて、錬金術士見習のコウと自動人形のサヨリは、共に地方へと足を運んだが……

居酒屋「夕凪」を舞台の中心において、店員のマイカが昔を想ったり、錬金術士見習いのコウと自動人形のサヨリが、地方へと足を運んだお話の二編からなる物語です。

ああ、これはいいですね。ちょっと時代がかった人情ものみたいなお話に魅了されます。人と見分けがつかない自動人形やら、錬金術などといった単語が出てくるけど、日常の雰囲気は壊されることないですし、人と人との距離感や繋がりが、とても心温まるんです。

一編目の「夕化粧」は、マイカが「夕凪」の店員になる前に、とある居酒屋で始めて働いたときのお話なんですが、女将さんであるアオイのしたたかさや強さ、そんなアオイに時に厳しく、時にやさしく「仕事」を鍛えられていくマイカの姿を見ると、ああ、見て覚えるとは、乱暴に聞こえるけれど、何と大きな繋がりを感じるものなんだろうと思いましたね。
魚をさばくシーンとかが丁寧に描写されてるんですが、教わるマイカ同様、思わず見入ってしまうものがあります。

二編目の「ほうこぐさ」は、地方へ行くコウの仕事に、サヨリがついていって、そこで土地の男の子と仲良くなる……お話といっていいかしら。サヨリは自動人形なので、感情に機敏でなく、少年の淡い気持ちに気づかず、みたいなお話が、ちょっとくすぐったく、ちょっと切なかったり。
正直な言葉が相手を傷つけてしまい、でもそれが何なのかわからないのに、自分の心も痛んで、という、サヨリの心情の変化がいいですね。
こういう経験があったからこその成長を遂げたサヨリが、最後に見せてくれたたくましさに、うふふ。
何でも食べられるという話で、もじもじするサヨリも可愛かったけど、こういう姿もまた良し、ですね。

いやあ、いいなあ、こういうお話。
ただ、この作品は、以前に富士見ファンタジアで出版されていた「夕なぎの街」というシリーズの続編らしくて、それを読んでることが前提になるんじゃないかなと思うことが度々ありました。

マイカの素性とか、取り替えっ子とか、そもそも錬金術がどの程度のことをできるのかもわからないし、サヨリの自動人形の話も、二編目の中盤以降ようやく見えてくる程度ってな具合で、前シリーズ読んでないと、よくわからないことが結構ありました。物語に関係ないといえば、関係ないところではあると思うけど、こういった人情ものみたいなお話だと、人間関係は大いに知りたいところじゃないですか。「母と娘」とか、一番気になるコウとマイカの関係とか。……ひょっとしたら、夕なぎの街シリーズでも描かれてないことなのかしら。
だとしても、もうちょっと背景がほしかったなー。どうせだったら、夕なぎの街もHJで出してくれればいいのに。

ゆうなぎ - 渡辺 まさき

ゆうなぎ
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ジャラル 2008-01-09 (水) 11:12

富士見で出ていた『十八番街の迷い猫』『こころのかけら』の続編にあたる作品です。錬金術や魔術は西洋寄りなんですが、生活風俗は明治~大正の雰囲気の世界でのお話です。あまり話すと管理人さんが以前の話を読んだ時に楽しみがなくなるので言いませんが、コウとマイカの関係は・・・前進も後進もしないあ~いう関係です(笑)。

deltazulu 2008-01-11 (金) 20:47

さすがに新刊では手に入らないようなので、古本屋巡りをする予定です。ネットの古本屋でも手に入りそうなので、そっち使うかもしれませんが。

> コウとマイカの関係は……
あー、こういう感じなんですね(笑)。
それはそれで、とてもいい関係のような気がします。
読むのが楽しみになってきました。

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