<叫ぶ氷原>から二週間ほど北上の旅を続け、アレクシスたちは<お告げの所>の島へ橋渡しをする街<橋の都市>へとたどり着いた。だが、あらゆるところで献上金を差し出さねばならぬと知り、神を祭ることの意味にアレクが疑問を覚え始めていたとき、育ちの良さそうな子供に、自分を誘拐した犯人の役を引き受けてほしいと頼まれて……
ああ、やばい。やばいぐらいヘロディアがかわいいぞ。普段は、アレクを伴侶と呼んで、何かとベタベタしてるのに、アレクから頼られたら喜んだり、褒められたら真っ赤になりながら怒ったりと、アレクを思う気持ちがこれでもかと伝わってきてやられます。
女王然としてるくせに、子供に泣かれたら、さりげなくあやすところもいいですよね。表情すら見えそうな彼女の感情の変化は、この物語の楽しみのひとつです。
というわけで、神の威光を笠に着る権力者たちの住む街を訪れたアレクたちが、街を正しき姿に戻したいと願う子供フォルティスたちの陰謀に巻き込まれて……というお話。
フォルティスの子供らしいまっすぐさがまぶしいですが、一刻も早くという思いがあったからか、願いをかなえるには考えが足りないところはもったいないなあ。ただ、ここでアレクたちと出会えたのは、彼の運の良さでもありますよね。ヘロディアの指摘で、己の過ちに気づいたと思いますが、聡明な彼なら、きっと同じ過ちを犯すことはないだろうと、そう思わせてくれるものがありました。アレクのお話であると同時に、フォルティス少年の成長物語でもあった展開はすばらしい。
そんな中フォルティスたちが権力者に狙われ始めていくんですが、ここで、大きな出会いがありましたね。フォーンという半獣族がヘロディアと語り合うところに大いなる意思を感じますが、イフの暗殺者といい、アレクを取り囲むものたちの動向には、気になるばかり。
個人的に、一番印象に残ったのは、フォーンの言葉を受け止め、世迷言にしか思えない言葉を、己のみに何があろうとも、届けようと努力し続けたアレクの姿ですね。権力者に言葉を届けるための行動は、どういう結果になるかわかっていただろうに、それでも、まっすぐ突き進む姿は、愚直に思いながらも、惹かれるものがありました。この姿に、ヘロディアは心を奪われたんだろうなあ。
どうやら過去にも同じようなことをしたらしいですが、このあたりの話はいつ語られるんだろう。あとがきによると、起承転結の起の半分ぐらいとのことなので、壮大な物語を予感させてくれるだけに、今後の展開がとても楽しみです。
アレクシオン・サーガ <橋の都市>にて
五代ゆう
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