二千年の時を経て、今なお、悪名を轟かせている<大魔法使い>ドラッケンフェルズを倒す冒険。そう、冒険!オスとランド選帝候の子息オスヴァルト公子の誘いの言葉は、<闇の口づけ>を受けて長寿となったジヌヴィエーヴにとって、退屈という重荷から解き放つものだった。
盗賊王、ドワーフ、殺し屋、賞金稼ぎなど、腕利きのものたちを集めた一行向かったドラッケンフェルズ城では、絶望的な状況から、ドラッケンフェルズを倒したオスヴァルト公子の名は、一躍有名になったが……
これは凄いものを読んでしまった。そんな読後感でいっぱい。
中世ヨーロッパのような世界で、二千年以上の時を生き、悪行の限りを尽くして恐れられていた「大魔法使い」ドラッケンフェルズを倒すために、オスヴァルト公子や六百年の時を生きた吸血鬼ジュヌヴィエーヴの一行が、ドラッケンフェルズ城へ向かうところから物語が始まるんですが、エピソードのひとつひとつがオドロオドロしく、近づくにつれてパーティーからひとり、またひとりと脱落していくところに、ドラッケンフェルズの残虐さとその力の強さを思い知らされます。
圧倒的力量差を思わせる相手に、どうやって立ち向かうのかと思っていたら、章が変わって、戦いは終わってて、しかもしかもドラッケンフェルズが倒されてから二十五年の月日が流れてて、という展開には、え?と思わされましたが、ここからがユニークでした。選帝候となろうとしているオスヴァルトが、ドラッケンフェルズとの戦いを劇にしようとするんですから。
ドラッケンフェルズを倒したという結末は知っていても、どうやって戦ったのかが明かされていないので、オスヴァルトの話や当時の話を元に、劇作家であるデトレフが物語を作り上げていくところに惹き付けられました。
劇を作り上げるにあたり、ドラッケンフェルズを倒した際のパーティの生き残りが、二十五年ぶりに集められるんですが、時の移ろいの残酷さを思わせられることがあって、何とも複雑な気持ちになったなあ。あの時の英雄が今や、という落ちぶれた姿は、哀しいものがありました。
ただ、古き良き仲間と出会えた嬉しさみたいなものとかもあって、さらに劇を演じる者たちとの交流も描かれて、このあたりを読んでたら、劇の成功を願いたくなるものがありましたね。ジヌヴィエーヴが食餌のために、あっちにこっちにと、浮気的なものを見せてくれるんですが、さりげなく恋愛要素もあったりして、面白かったです。デトレフがすっごいいい味出してましたよね。
不安がよぎり始めたのは、ドラッケンフェルズを劇場とし始めたところからでしょうか。数える度に変化する馬車の数の謎や、怪しい行為に恍惚とする者が現れてと、不吉な予感をさせてからの展開は、ゾクゾクさせられるばかり。裏で手を引いているのは、誰だ?とかいう謎にも引き込まれましたね。
そんな中、二十五年前にドラッケンフェルズを倒すためにこの城を訪れたものが、倒れていくところには、あぁ……と悲しくなりますが、それより何より、嫌悪させられる行為が示唆することに、まさかまさかと思わされるところが、恐ろしく、面白かったです。
ついに「ドラッケンフェルズ」の劇が始まり、第一幕、第二幕と進んでいくところでは、劇を行う者たちの描写に惹かれましたが、期待は裏切られなかった。劇中のクライマックスが描かれる最終幕の凄さといったら!!思わず、なんですとー!と叫んでしまいそうになるほどの衝撃を受けましたよ。
すごい。ほんとすごい。
自分が持っていた「吸血鬼」というイメージからは、違ったものを感じましたが、最後の最後まで気を抜けない展開に魅了されました。
ただ、まあ、できれば、ジュヌヴィエーヴとか外見12歳にしてお婆ちゃんのメリッサなどの吸血鬼たちの活躍ももっとみたかったなあと思っていたら、同時発売されてる「吸血鬼ジュヌヴィエーヴ」なる話は、ジュヌヴィエーヴのその後を描いたお話がだとか。うわー、嬉しい!「ドラッケンフェルズ」のあと、どんな放浪を繰り広げたのか興味津々です。
さらに「ドラッケンフェルズ」よりも時系列的に後のお話である「ベルベットビースト」なる物語もあるので、これは楽しみですね。
ウォーハンマーノベル ドラッケンフェルズ
ジャック ヨーヴィル
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Comment:2
- ジャラル 2007-10-07 (日) 13:31
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私は以前角川文庫から出版された版を読みまして、同じ様に衝撃を受けました。ちなみに、この作品は元々『ウォーハンマー』というTRPGの世界を舞台にした作品で、以前雑誌にドラッケンフェルズのゲーム用データが掲載されていて・・・・何じゃ、この「ボクの考えた悪魔超人」みたいなデータは!ジュヌヴィエーヴよくコンナのと戦ったな!と思いました。
あとジュヌヴィエーヴですが、同じ作者の『ドラキュラ紀元』、ドラキュラが大英帝国を支配した架空小説にも登場しています。そこでも実在・架空の人物相手に大活躍しています。 - deltazulu 2007-10-07 (日) 21:13
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やっぱり、衝撃受けますよね。すごいです。
> ドラッケンフェルズのゲーム用データ
そんなにすごいんですか?はじめのシーンでも結構感じましたが……、ちょっと見てみたいかも。>あとジュヌヴィエーヴですが、同じ作者の『ドラキュラ紀元』、
>ドラキュラが大英帝国を支配した架空小説にも登場しています。他の人からも教えていただきましたが、すっごい興味津々です。ただ、もう、売ってないみたいで……
地道に探していきたいともいます。






