年が明けて一週間が過ぎた。ブレスレスによる事件は、小康状態を保っていたが、優殻は、むしろ、何かが動き出す前兆のような不安を感じていた。そんなとき、勇生の敬愛するセンパイ雨月鎮が、権威ある文学賞を受賞した。若き才能に世間の注目が集まる中、鎮はSTABのみならず世間を大きく揺るがす発言をして……
強い思いから生まれる人ではなくなったものブレスレスと、彼らに唯一通じる攻撃の幻銃を扱う者たちが集まった非公式の組織 STABの対決を描いたお話の完結編ですが、うーん、最後に来てちょっと微妙だったなあ。何ていうか、すっきりしないものがありすぎて、不完全燃焼気味というか、そんな感じ。
「始まり」のブレスレスが引き起こす騒動が、あまりにも唐突で、強引だったからかなあ。それとも、優殻の迷いが、だんだんと稚拙……とは違うんだけど、深さみたいなのがなくなってきた感じを受けたからかしら。どうも、上っ面を撫でてる感じで、うーん。
混乱するのはわかるんだけど、なぜそこで?と思うところで迷うから、なんかノレなかったです。「始まり」の言葉に、揺れるとしたら、勇生かなと思ってただけに尚更そう思うのかも。
その勇生が、STABではない道を提示されたときに、徐々に論破されていくところは、たまらなくドキドキでした。同じ方向に進むのであれば、所属が変わっても……と思うのはありだと思ったので、どういう決断をするのか、気になりましたね。
おそらく、本当の意味で迷いを断ち切ったのは、ベネトナーシュの存在があったからだと思います。まさか彼女がそっちから来るとは予想だにしてませんでしたが、彼女という存在があったからこそ、このラストが生きたんだろうなあ。
迷いがあっていい。後悔してもいい。そんな昨日があるからこそ、今日を、明日を、生きられるんだというところが伝わってくる最後の戦いは良かったです。
個人的には、勇生と優殻のみならず、ベネトナーシュについても、もうちょっと掘り下げてくれたらなあと思いました。もっとハードにダークな展開にも持っていけただろうに。まあ、三巻で終わらせようとしたら、これがギリギリなのかもしれませんが、妹についても思わせぶりなままで終わってるし、いくつか疑問も残ってるだけに、残念です。
ブレスレス・ハンター3
葛西伸哉
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