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[渡辺まさき] 月の娘 2

どうすれば、伊吹を元の世界に戻すことができるか。手がかりがないのであれば、まずは原点に戻ろうということで、伊吹が異世界から落ちてきたときの場所 ― 学校の屋上を調べてみたら、わずかではあったけれど、誰かが儀式魔術を行った形跡があった。
その場所を中心に、周囲を調べていたとき、一沙の友人である潤の行動に奇妙な点を見つけて……

異世界からやってきた伊吹を、元の世界に戻そうとするお話ですが、やっぱりいいですね、この雰囲気。特に何があるわけでもないのに、スッと引き込まれるものがあります。
魔法を使うために、いろいろな場所を回って方位やら地質やらを調べるシーンでは、まるで自分も登場人物たちと一緒になって、その土地を見回っているような、そんな雰囲気があります。このままずっと、何でもない日常的なシーンだけが続いてても文句ないですね。

いわゆる魔法とかが出てくる割には、さほど派手なことなく、周囲の反応もいたって平凡で、でも何かおかしいと思わせるような感じがあってと、のんびりとした雰囲気の中にある微かな黒さが、何気に不安を誘いますね。この微妙な感覚はよかったなあ。
そんな中、「この魔女め」と言いたくなる様な伊吹のお茶目さがたまらなく素敵。

個人的に印象に残っているシーンは、一沙の家に仕掛けた結界をはずした後、自転車にふたりで乗ったときの会話ですね。つたない言葉かもしれない。でも、相手にとって、これほど嬉しい言葉はなかったんじゃないかと思います。思わずグッとくるものがありました。

迎えた最後には切ないものがありましたが、ただ切ないだけで終わらず、ふたりの繋がりを思わせる言葉に、ふわりとした温かさを感じました。ちょっとしたことかもしれないけれど、この距離感がホントよかったですね。

あれ、もう終わり?というぐらい短く感じたのは、実際ページ数が短いからというのもあるんでしょうけれど、やっぱり気に入っていたからなんでしょうね。しかもこれが完結編ってことは、もう読めないのかー。
そう思うと、残念でなりませんが、次なる物語で、また会えることを期待しましょう。

月の娘 2 - 渡辺 まさき

月の娘 2
渡辺 まさき

ホビージャパン(文庫)
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